宇宙や歴史、物理など、学問の成果にわくわくさせられる分野は色々とあるけれど、かつて心理学の本を色々と読んだことのある経験から、脳についても関心をもっていて、宇宙論と同じぐらい新しい発見が次々とあるこの分野にはなるべくついていこうと思っている。わからないなりに。

この本を読んでいて、非常に読みやすくなるための工夫がしてあるのがすごい。内容は決してやさしくないのだけれど、随所に一般人の感想めいたセリフが挿入されていて、著者も随所に軽口をたたく存在として登場する。これらの工夫によって、難しい内容でも先に読み進めようと思わせる。

もちろん内容は難しいだけでなく、きちんと図やイラスト、写真などがふんだんに使われていて可能な限り理解の手助けになるようにしてくれている。なによりも、採り上げられている実験結果や成果が非常に興味深く、私が子供のころにSFとして採り上げられていたようなことが次々と実現間近では?と思わせるようなところまできている。

それはもはや、心理学という学問の存在感を薄めるようなレベルに来ていると思う。

ただし、読み終えるにあたって私の胸に刻まれたことの一つとして、著者が文中で繰り返し述べていることだけれども、この成果を早とちりすることはやめようと思う。例えば遺伝子解析から様々な脳の弱点が予測できてしまうとか、考えることがあらかじめ予測できてしまうとか、それによる安易な飛びつきと、社会に与える悪影響について、口を酸っぱくして著者は警鐘を鳴らしている。

私もなるべくこの本を読んで得た最新の知見について、知ったかぶりはやめようと思う。

’11/11/12-’11/11/13


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