上巻の感想では書かなかったけれど、この本、実は太平洋戦争論、日本人論としてかなり突っ込んだところまで書いている。

平和ボケの私には分かり様のない戦争の理不尽さや、戦争に行った人間が今の平和な世に対して頂く複雑な思いなどを含め、皇室や戦後の日本人に対して辛辣なまでに筆が走っている。

戦争に赴く人間の滑稽さや理不尽さとともに、敗戦をへた日本人は日本人なのか?という極端な問いが発せられているこの小説からは、単純に戦前の日本が悪かった、いや良かったなどといった立場を超えて、ただ日本人として在っていくこと、戦後の繁栄する世間が美徳を忘れていようといまいと、それを受け入れていくという姿勢を問われているように思えた。

ここまで皇室や戦後日本人を辛辣に書いてこそ、逆に肯定するという考えもあるのだろうなと。

’11/10/22-’11/10/22


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