プロ野球史に興味を持つものとしては、国鉄スワローズの名前は避けては通れない。国とプロ野球という今では考えられない組み合わせもさることながら、400勝金田投手の名前が残る限り、必ず言及されるからである。

晩年こそ名球会会長を追われる形で辞任したことで、選手時代に天皇と呼ばれた傍若無人ぶりがクローズアップされたが、本書を読む限りではたとえ万年B級と揶揄されながらも金田投手が国鉄球団に抱いていた愛着がうかがえる。

国鉄の労使一体となった球団への応援体制や、日本野球草創期からの国鉄と野球のかかわりなど、その膨大な調査結果には頭のさがる思いである。新書と軽んじてはならぬ内容の充実ぶりは、野球ファンだけでなく、鉄道好き、経済や企業文化好きにとっても得るものが多いと思われる。

こういった球団の存在があってこその今のプロ野球の隆盛なのだが、扱いとしては誠にさびしい限りである。

最近西武ライオンズが前身である西鉄ライオンズへのリスペクトを打ち出しているが、ヤクルトスワローズも国鉄スワローズに対して何かやってくれないだろうか。

’12/3/1-’12/3/1


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