著者の作品を読むのは初めてである。だが、粗筋に興味を惹かれ読み始めてみた。街の口コミ(Word Of Mouth)から引き起こされる殺人。しかも被害者は口コミを仕掛けた化粧品会社の製品を使った女子高生。口コミと女子高生という組み合わせにアイデアのひらめきを感じる。

本書の上梓は2001年とある。私にとっては子供をもち、雑事に仕事に追われていた頃である。当時20代とはいえ、私にとって女子高生とは接点がなかった。これを読んだ今、さらに無縁さは増している。とはいえ、女子高生予備軍の娘を持つ身としては、身近な文化となってきたのかもしれない。そういう興味からも、本書で描かれた文化は興味深いものであった。

本書の中では、口コミ文化やそれらの企業の広告・マーケティング戦略の技が色々と散りばめられているのも興味深い。本書の執筆にあたって、著者の調査の跡が表れている。

また、口コミ文化に対応する刑事の世界が描かれているのも本書の彩りを多彩にしている。主人公としてコンビを組むのが、女子高生の娘を持つ父子家庭の中年の所轄刑事と、シングルマザーである若い容貌の本庁の刑事である。二人の刑事が捜査を行う中で謎に迫り、心を通わせていく点が印象的である。

警察小説は、推理小説の一ジャンルとして最近目覚ましい脚光を浴びているが、本書もその嚆矢として評価されても良いと思う。

’14/2/8-’14/2/15


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