氏の本は20代中ごろによく読んだ。心理学という学問に興味がわいたそのころ、色んな心理学の本を読んでいたけれど、一番読んだのは河合氏の本だったように思う。対談の名手として氏の対談集も色々と読んだけれど、仕事が忙しくなるにつれ、氏の本からも心理学の本からも遠ざかってしまった。亡くなられたのも2年ほどして初めてしったほど、疎遠になってしまっていた。

ところが私の娘たちはすくすく育っていく一方で、少しずつ人との距離感の取り方に試行錯誤する時期に差し掛かってきていて、私にも色んな悩み事をぶつけてくるようになりつつある。そんなとき、以前購入したまま積ん読になってしまっていたこの本を手にとってみた次第。

当代一流の各分野の著名人との対談形式で、皆さんの主に子供時代のことを語ってもらうという趣向で、河合氏と比較的同年代の方々から話を伺っていくスタイル。皆さんそれぞれに人間関係の距離に試行錯誤をくりかえし、もまれて削られて、その切磋琢磨によって今の名声があることが河合氏の絶妙の話によって引き出されていく。

干渉しないようにしようしようと思いつつも、子供からみると干渉してくる鬱陶しい親になりつつある自分に改めて自戒。私の場合は本読め本読めと娘たちにせっつくことを自覚しているだけに、本だけは読め読めというまい、と肝に銘じた。

もっともこの本を読み終えた2日後に次女がもっと分厚い本が読みたいと言いだしたことに喜び勇んでしまう自分がいたわけだけど。

’11/11/16-’11/11/18


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