関西人として、京都には何度か行っているわけだけれど、大学の配置からこのような物語が紡ぎ出されようとは・・脱帽である。

私は大学生活を描いた小説には弱く、読むたびにかつての自分を思い出してしまう訳だけど、この小説も大学生活を描いている割にはそういう感傷を覚えることはなかった。なんたって設定や展開が想像の埒外だから。でもこんな大学生活も送りたかったなぁ・・・と青春の感傷に浸りそうになる。

設定もさることながら、展開の読めなさも絶妙。別に意表を突く展開ではなく、想定できる展開の一つのはずが、やられたと思わされるのも筆運びのうまさの為せる業なのだろうか。

本書は壮大な世界観の構築という点ではデビュー作ゆえに物足りない点もあるけれど、世界観は弱くともこれだけの面白い本が書けるだけで凄いと思う。

実は著者の本を初めて読んだのは昨秋の「プリンセス・トヨトミ」が初めてだったのだけれど、それまで著者の本を知らなかった不明を今回も痛感させられた。

年末のミステリ総括本に頼らざるを得ない今の自分の本情報アンテナの貧弱さを何とかしないと。

’12/1/18-’12/1/19


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