キャラ立ち小説として、京極堂シリーズはもはや老舗の感があるが、その様々な登場人物の中でも極め付けが本書の主人公であることは論をまたないだろう。

本書は廉価版コミックのような紙質と体裁を採っている。それを新刊として出すことに何らかの意味があるのか疑問だが、新たな試みとして受け入れたい。体裁はどうあれ、中身までが廉価というわけではないのだから。

榎木津探偵の異能と傍若無人なキャラ全開で迫る今作は、京極堂シリーズとして番外的な扱いとなっている。妖怪を中心とした薀蓄と衒学に彩られた本編では、その異能故に脇役としてしか扱えず、著者も榎木津探偵の扱いに苦労していたのでは、と思う。本編の様々な設定上のしがらみを一掃した本書は、キャラ立ち主人公の魅力爆裂で、正にタイトルに偽りなし、という感じである。

本作も外伝として続けていって欲しいと思う。

’12/04/26-12/04/26


カテゴリ: 読ん読く.
最終更新日: 7月 27, 2014

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