著作全てを読んでいる訳ではないが、著者のテーマの選び方と採り上げ方のうまさには感心する。

本書では、非正規労働者が増える一方の我が国の現状に対する、著者なりの回答を、読みやすく仕立てあげてくれている。衣食住が何とかなってしまい、国土拡張の余地もない現状では、国富を発展させるためのモチベーションも低調になりがち。労働意欲すらも奮い立たせないと維持するのは難しいのかもしれない。

国を憂うとか、国威発揚とか、そんな小難しい理屈ではなく、人は成長を続けてこそ、というメッセージが本書では明確に示されている。よしんばそれが、本書のように母の病気や姉の叱咤激励によって引き起こされた成長であったとしても。

仕事であっても趣味の世界であっても、自分がどこかしら成長できている、という実感が持てることって、生きていく上で大切ではないだろうか。

自分も青年期の数年間、生きていくことについて悩んだ時期があり、今から思えば本書の主人公の軌跡と自分のそれが重っているように思える。

当時の自分に読ませても良かったかな、と思える秀作。

’12/06/16-12/06/17


カテゴリ: 読ん読く.
最終更新日: 7月 30, 2014

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