法人設立にあたっては、色々本を読んだ。その最初の本が「会社は誰のものか」。記録によると2014/12/20から2014/12/24に掛けて読んでいる。つまり、私が法人化を意識し始めたのは2014年のクリスマス直前であるようだ。

「会社は誰のものか」を読み、「下町ロケット」を読み、その次に読んだのが本書である。経営者の気構えについての本、経営者が追うべきミッションや夢の本、そして法人化の手続きに関する本というわけだ。そのアプローチは今思い返しても導かれたような順番といえる。

本書は、法人化手続きの実務についての本だ。ただ、実際は司法書士の先生に安価でほとんどやって頂いたため、本書で得た知識を実践することはなかった。しかも、私が設立したのは合同会社であり、本書で主に取り上げられているのは株式会社である。

しかし、本書は読んでおいてよかった。

本書を読んでおいたからこそ、合同会社を薦める司法書士の先生の言葉も検討できた。手持ちの資金があまりなかったので、登記費が安く、公証人による公証を頂かずに設立できる合同会社は悪くない。合同会社は、れっきとした法人だ。西友もユニバーサルミュージックもシスコシステムズもApple Japanも全日空ホテルズもWWE Japanもみんなみんな合同会社である。

私の立場は社長ではなく、代表社員となる。定款で定めれば社長にもなれるが、肩書きに興味がなければ、社長である必要もなさそうだ。

営業内容についても合同会社だからといって、不便を被ることもない。結局、株式会社と合同会社を隔てるのは、手続きに尽きる。設立前も設立後も、制度や手続きといった、商いの本質と外れた部分の違いが主だ。役員や監査役を募り、署名を集める必要もない。もし、株式会社にしたければ、登記料の差額をはらえばアップグレードできるようだし。

合同会社とは、まさに法人成りを狙う個人事業主にとっては適した制度と言えるのではないだろうか。

ほとんどの起業者が株式会社を選ぶ。そんな中、合同会社を選んだ私は、多少変わり種なのだろうか。起業してから数多くの方と会わせて頂いたが、よく質問される。なぜ合同会社にしたのか?どう株式会社と違うのか?話のネタには事欠かない。さらには、株式会社にしなかったことを失敗であるかのようにとられたこともある。しかし、その辺りは問題ない。というよりも、合同会社アクアビットのような零細規模では意味のない事かもしれない。そのあたりの柔軟性を発揮できるのは、今後の私の努力次第ということなのだろう。設立したら終わりではなく、ここからが始まりであることはいうまでもない。まだまだ精進していかねば。

今回の法人化の切っ掛けは妻である。友人の社労士さんに、個人事業主の税金が高くて・・・とこぼしたところ、なら法人化しなよ!とアドバイスを頂いたのが切っ掛けだ。以来、その社労士さんから、税理士の先生をご紹介頂き、税理士の先生からは司法書士の先生をご紹介頂き・・と、次々にご縁を頂き、3ヶ月と少しの後に法人化できた。以来、いくつもの縁を繋いで頂いている。感謝感謝である。

また、人脈作りとともに、私自身の生活も変わった。法人化設立を決断する前、私は伸び悩んでいた。本は読んでいたが、レビューを書く気力が湧かずにいた。スマホゲームにもはまっていた。しかし、法人化を決めてからはきっぱりとスマホゲームは断った。一年間一度もスマホゲームに手は出していない。その分、書くことにエネルギーを使うようになった。この一年、書いたblogの量もかなりのものだ。イベントを開催し、そこでは喋らせてももらった。メディアでの連載もさせて頂けるようになった。よいご提案も頂けている。

結果として本書は、実践としては役に立たなかったかもしれないが、私の気構えには効いたといえる。本書を読んで以来、もう一つの課題であるNPO設立については、様々な本を読んだ。しかし、株式、合同を問わず法人化に関しての手続き本は一切読んでいない。手続きに関する一切は税理士、司法書士の両先生にお任せし、私は人脈作り、書き物などの自分の伸ばしたい点、売り出した点に重点をおいている。それでよいと思う。

‘2014/12/27-2014/12/29


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