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2024年の抱負


明けましておめでとうございます。

昨年末にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、本当にいろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願いいたします。

今年も抱負を書きます。
本稿の内容は年末にある程度まで考え、元旦に熟慮しました。

一年の計は元旦にあり、とはよく言ったもので、忙しくなってくるとこの言葉の意味がよくわかります。もう正月ぐらいしか計画をゆっくり考える時間がありませんから。
この抱負を仕上げた後は、詳細の内容についてより考えを深めます。そして、昨年末にアップした投稿にも書いた反省を生かし、改善する一年にします。

昨年は案件の増加に備えて3月に1人、4月に3人のメンバーを増やしました。また、既存の外注メンバーの二人には正社員になってもらいました。
ところが、増える一方の案件をこなす速度が釣り合わずにメンバーは疲弊し、増やしたメンバーのうち3人が去ってしまいました。研修計画や教育体制やその他の基盤が未整備なまま採用を急いだ焦りが招いた失敗です。

そうした経験を通して痛感したのは、弊社の企業としての基盤が未整備であることです。各自が個々に動いてしまいがちの弊社で、チームとしてのまとまりがとうとう持てませんでした。

その理由がフルリモートワークの弊害であることは確かです。また、フルリモートワークを遂行するにあたり、統一した事務手続きや研修資料、そして開発にあたっての各種のガイドラインがないことも致命的でした。

あと、もう一つ、うまく行かない理由として挙げられるのは、私の目指す会社の方向とメンバーのそれがずれていたことです。方向だけでなく、そこにいくための手段についても。

まず抱負として挙げるべき当面の目標。
それは、この正月にガイドライン(アクアビット蒸留書)のドラフト版を作り上げることです。
それと同時に、経営理念や企業理念を考え直し、業務計画を作り直すことです。

まずやるべき事を以下に書きます。

1.ガイドライン作成

昨年5月の連休に集中して作ったガイドラインを仕上げます。少なくともドラフト版として内部に出せるレベルには仕上げるつもりです。

昨年作った版は、案件の引き合いから商談、そして契約に至るまでは現状の運用の七割程度は盛り込めたはずです。ところが、開発ガイドラインに着手したところで連休が終わってしまい、そのあとは業務の多忙にかまけて全く進められずにいました。

そのあと、経営が苦しくなると、ますますガイドラインの整備に時間を使う余裕はなくなりました。
また、経営のやり方を変えなければと思うとともに通常の開発のやり方の限界を悟り、伴走開発やサービス提供に舵を切りました。それによって開発のやり方自体に変更が生じ、ガイドラインの必要性がはますます増しています。

今の弊社に足りないのは生産性です。
各自の作業を細かく見ていると、既存のロジックを再度作り直すか、既に作成したコードを構築しなおしているケースが散見されます。
各個人単位ではそうしたことはないはずです。が、別のメンバーが既に作っているコードを再発明したり、すでにある調査結果を再度読み直したり、といったことが起こっているようです。
そうした無駄や重複の部分を弊社内できちんと整理し、業務手順として作り上げる必要があります。それがガイドラインの目的です。

いうまでもなく、マニュアルは読むためにあるのではありません。各自が作り上げていくためのマニュアルです。その点については、昨年の師走に参加した「CHALLenGERS」の中で紹介されていた『無印良品は、仕組みが9割』の中に書かれていました。
作業そのものをまねるためにやり方が逐一書かれたマニュアルは必要ありません。
それよりも、誰がなんのために、いつやらなければならないのか。何故それをするのか。そうした作業の目的を明確にし、個人に視点が固定されないためのガイドラインが必要なのです。

そのガイドラインを(アクアビット蒸留書)と名付けます。

アクアビット蒸留書に盛り込むべき内容は、弊社のありとあらゆる作業です。引き合いから商談、契約に至る作業。経理の上で重要な記帳に関する作業。また、人事・労務に関する手続きや総務に属する作業。
そして、アクアビット蒸留書は永遠に未完成です。常にドラフト版でありながら、全員でこれを研修計画や教育体制が整っていない間に磨き続け、少しでも正規版に近づけるよう努力します。そして全員が遵守します。

そのため、アクアビット蒸留書は月一度、定期的に更新していきます。個人のノウハウややり方がアクアビット蒸留書に書かれているよりも優れているのなら、それを無理にやめさせるのではなく、むしろアクアビット蒸留書に取り込んで全員で共有します。
アクアビット蒸留書がその純度を増すごとに、余分な作業で時間を使うことが減り、案件の実装が円滑にいき、納品までの速度が増えるはずです。

2.弊社の業務の五分割

弊社の業務を大きく五つに分割し、担当者と目的を整理します。

昨年の反省として、代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋められなかったことが挙げられます。
メンバーの立場からすると、既存の案件がまだ終わっていないのに、次々に新しい案件が飛び込んでくることで既存案件が積み残され、心理的にストレスになっていました。
また、あちこちを飛び回って新たな案件や考えや技術を持ち込んでくる代表についていけない事もストレスになっていたはずです。
新たな案件もいいけど、それよりも既存案件を単価を上げてしっかり維持する。そして案件の数は少なめにし、メンバーのフォローをしっかりすべき。そんなメンバーの不満を感じました。

それももっともで、一番ひどい時にはあるメンバーが十個強の案件を抱えていました。これは改善しなければ。

ただし、まず前提として考えておかなければならないのは、固定の案件ややり方を墨守していては会社の成長が見込めないことです。このAI時代にそんなやり方で会社が続くはずがありません。ましてや弊社のような零細企業が。
また、代表の性格的にも同じ案件ややり方を続けることはできません。そんな苦痛さえ感じるやり方では経営意欲にすら影響を与えます。

その相反する矛盾を解消するため、弊社の業務を五つに分けます。

一つ目は、既存の大型継続kintone案件です。
大口でかつ継続のお客様は単価を上げてもらいます。その上で、既存のカスタマイズ手法を踏襲したまま、引き続き開発にあたります。案件によっては伴走に近い形でやっているものもありますし、半常駐でがっつりやっている案件もあります。
これらのお客様は、弊社の経営の安定に欠かせません。が、それ以上にお客様から信頼をいただいていることが一番重要です。今年はこれらの案件を優先し、引き続きお客様のために力を尽くします。別紙に書いた案件が該当します。

二つ目は、既存のkintone開発案件です。
これらの案件は、伴走開発のやり方も取れないまま、既存のJavaScriptカスタマイズによるやり方で追加スポット保守や追加開発を続けています。別紙に書いた案件が該当します。
これらの案件は徐々にJavaScriptカスタマイズからプラグインやサービスを利用する形に変えていきますが、当面はJavaSctiptカスタマイズが必要になるでしょう。
また、この後に述べる三つ目の伴走開発の中で開発が必要になった作業も、随時この既存のkintone開発案件に加えていきます。

まず弊社メンバーにはこの一つ目と二つ目に集中してもらいます。
多くても一人当たり四つの案件に絞り、集中して当たってもらいます。

三つ目は、新規の伴走開発案件です。
これらは代表の私が主に携わります。
伴走案件の場合、アプリ構築やカスタマイズはお客様が行います。
カスタマイズを行う際はJavaScriptはなるべく使わず、既存のプラグインやサービスを積極的に活用します。
新たな案件が増えても、うちのメンバーには作業を振りません。一旦、代表の私の方で要件定義や伴走開発を行います。別紙に書いた案件が該当します。

四ッ目は地域活動やコミュニティーです。
代表の私は今年もまだkintoneエバンジェリストを続ける予定です。また、今年は弊社役員の妻が地域クラウド交流会のオーガナイザーとして本格的に活動を始めます。

代表はkintoneエバンジェリストとして、引き続きkintone Caféや各種のセミナーに積極的に登壇します。昨年の登壇回数は18回でした。そこで今年は登壇の回数を増やし、25回を目標にします。
そうした活動からは、地域活性化など、いくつかの案件の種も芽生えつつあります。今年も引き続きそうした活動に関わっていきます。
別紙に書いた案件が該当します。

また、オーガナイザーの妻も6/29に予定されている山梨での地域クラウド交流会を必ず成功させ、山梨県で弊社の基盤を構築します。

三つ目と四つ目に代表の私が当たることにより、私の持つ拡大・新規志向を満たすとともに、新規案件の創出も実現させます。

五つ目は新規サービスの開発です。
昨年、3つの新規サービスをリリースしました。
今年はそのサービスをより拡充していきます。そしてサービサーとしての認知度を上げていきます。

弊社の強みは、外部のSaaS/PaaSとの連携実績が多数あることです。そこに弊社の価値を打ち出し、アピールしていきます。

今年11月にはCybozu Daysが開催されることが発表されています。
そこに焦点を当て、当日は新規サービスをベースにブースを出展する事を目指します。
別紙に書いた案件が該当します。

3.評価制度・賃金テーブル・人事計画

弊社の業務を再構築した結果を基準にし、もう一度弊社の経営計画を作り直します。そこには評価制度・賃金テーブル・人事計画のそれぞれを改定し、盛り込みます。

すでに作成したビジョン・ミッション・バリューや人材育成や課題に加え、5年先の財務計画や人員構成計画や、評価制度・賃金テーブル・人事計画も全て作り直します。

弊社は、そもそもKPI(重要業績評価指標)設定が全くできていませんでした。評価制度以前の問題です。そのため、何を目標とし、個々のメンバーは何をすれば達成感や成長を感じられるのかがあいまいになっていました。
メンバーのモチベーションが極めて持ちにくい状態になっていた状態を改善します。

今年からは人事評価について、アクアビット蒸留書に書かれた内容をベースに考えていきます。
アクアビット蒸留書の中では、KPIの設定とその基準について詳しく決めていきます。

もちろん、決めていくにあたっては引き続き外部の力が必要です。ただし、自社で決めていくしかない事も分かっています。

4.コミュニティ・出展

コミュニティへの関与やCybozu Daysをはじめとした展示会への出展は弊社にとって大きなアピールの機会です。

今年のCybozu Daysの開催日は11月7-8に決まっています。今年も弊社は出展する予定です。
出展にあたっては、弊社の役員や経理人事担当が企画から当日まで積極的に関わります。また、代表の私も企画や出展までの準備を任せきりにせず、社運を賭けて準備にあたるつもりです。そのため、ここ数年のやり方を変え、自社のみで出展する事を念頭に準備にあたります。

出展にあたっては、上に書いた五つに分けた弊社業務のうち、新サービスをメインに打ち出します。また、代表の私のネームバリューは最大限に利用する予定です。

代表の私のネームバリューを有効に活かすためにも、代表のコミュニティへの関与の頻度を上げていきます。登壇回数は25回を目標にしますし、それも5分程度のLTではなく、より長尺(20-60分)の登壇についての回数で25回を目指します。
そのためにも、自ら積極的に登壇の機会を増やします。今までのように頼まれたり、依頼を受けたりした後に動き出す受け身の登壇ではなく、積極的に登壇機会を作ります。
また、地方でのセミナーや勉強会出席も引き続けます。

昨年の師走に弊社は山梨で独自イベント二つの創出に関わりました。そのうちの一つは弊社主催です。今年もすでに栃木でのkintone Café開設に関わっています。それだけにとどまらず、コミュニティの創出にさらに関わっていきます。

また、役員の妻が地域クラウド交流会(ちいクラ)のオーガナイザーとして山梨での開催を準備しています。
各地で開催されるちいクラにもなるべく代表の私も参加するようにします。それによってkintoneエコシステムの一員として貢献し、認知度も上げます。

また、各地の地域創生や活性化にも関わる予定です。
今までは単なる参加者でしたが、今年からは違う関わり方を模索します。

まずは一月の城崎と糸魚川から。
そして、一月の戸田市での新年会での展示から始めていきます。

5.ビジョン・ミッション・バリュー

代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋めるため、もう一度弊社の目指す方向性を定めます。

企業理念

「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを
最新技術をお客様、地域に提供し、メンバー、家族、パートナーと輪になって幸せになる」

・うそはつかず、でも失敗は認める会社であるべきです。

目標

「2027年3月までに
・正社員8名 外注パートナー10名に
・社員一人当たりの粗利を 150万円に
・サイボウズパートナーの賞を受賞
・他SaaS/PaaSでももう一つ今のkintone並みの知名度を得る」

価値

①システムを継続してもらえる品質と対応を行います
②技術に偏らず、お客様ビジネスの現場を尊重します
③経営を継続するための自社サービスを生み出します
④社員・協力社・技術者・家族の事を大切に考えます
⑤顧客とともに一期一会でない継続の関係を築きます
⑥技術の進化に先手を打ちながら、自社も進化します
⑦世の中の働き方改革に貢献する手本となり続けます
⑧地域の非営利組織・団体のために技術で貢献します

上記に書いた内容のうち、目標と価値はあまりいじりません。ただ、企業理念と経営理念はもう少し練り直します。
また、それらを基にしたより具体的な経営計画をこの正月に作り込む予定です。

6.ワークライフバランス

代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋めるためにもう一つ必要なのはワークライフバランスへの考え方を整理することです。

公私の充実を両立させたいとする私の価値観はいささかも揺らぎません。
ただ、昨年は残念ながら私の日常は全て仕事にとられてしまいました。それは誰の責任でもなく、私の招いた因果です。

弊社のメンバーには無理な残業や休日の仕事はさせずに済んだはずです。ただ、それでもストレスを感じさせてしまったとすれば、それが今の働き方の標準なのでしょう。
昭和どころか、平成に若手だった私の働き方すら、今の若い人から見ると異次元であることを認めます。

ただ、私自身が仕事の苦しさや経営の辛さに負け、会社の統制を強化したり、ブラックな働き方をメンバーに強いたりすることは厳に慎まねばと自戒しています。
案件をどれだけ受けてもこなせるだけの仕組み作り。これが今までの弊社に欠けていました。仕組み作りをきちんと整備し、代表の私も含めてワークとライフのバランスがとれるようにします。
先ず隗より始めよ。その言葉通り、私から率先してワークライフバランスを整えます。

私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。

7.事業継続のためのその他の施策

経営を継続させるため、BCP計画(事業継続計画)も定めます。
ちょうど本稿を書いている最中、元旦に能登で震度七の地震が発生しました。
弊社も富士山噴火や首都圏直下型地震が起こった時に備えておかなければなりません。

事業を継続するための山梨に拠点を設ける計画も今年中にはめどがつくはずです。

もう一つ必要な施策は、発信を継続的に行うのが代表のみであることです。それは弊社の弱点だと認識しています。
個人商店ではなく、会社としてのアクアビットのためには、代表以外にも定期的に発信を行う必要があります。
弊社メンバーも思い立った時はイベントの時には発信をしてくれます。ですが、それをもっと自発的かつ随時やってもらうように働きかけます。

8.個人的な抱負

ここからは6.で触れたとおり、個人的な抱負を書きます。
私は遠方に出張することによって、旅への欲求を満たしてしまうきらいがあります。そして、ワークライフバランス目標への飢餓感が薄れてしまう可能性があります。そのため、プライベートの目標をこの場できちんと書こうと思います。
2023年は個人的な目標をどこにも書かなかったことが失敗の原因の一つでした。

以下に書くのは代表の私の個人的な抱負です。
・家族で宮崎と鹿児島に旅行します。これをもって全47都道府県を制覇します。
・今年は結婚25周年ですので、家族でハワイに行きます。
・次女の彼氏のご両親に挨拶するため、韓国にも行く予定です。
・私自身の個人としてのアピールポイントをkintoneエバンジェリスト以外にも打ち出します。
 ・ウイスキー検定二級合格です。三級に受かってから数年間、ほったらかしになっているので酒知識を貯めます。
 ・もう一つ、新たな趣味も作ります。そのためには苦手意識のある習い事に通って師匠に付くことも厭いません。
・共同著者でもよいので、今年は本の出版のための具体的な一歩を踏み出します。
・訪れる場所や読んだ本や観た映画の数は、昨年と同程度をめざします。

ただ、そのワークライフバランスの実現は、アクアビットの経営が継続できるための基盤を確立してこそです。
私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。
そのバロメーターとして個人的な抱負の達成を目指します。

上記、1ー8までが2024年の抱負です。
ガイドライン(アクアビット蒸留書)を整理し、そのためにも弊社の業務を五つに分割します。ビジョン・ミッション・バリューも定め、コミュニティや出展の目標も掲げました。これらを実現させるために今年一年、懸命に努力します。

これらが実現した暁には、弊社の経営は好転するはずです。

ただし、それまでにも決めるべき事、やるべきことはたくさんあります。

ですが、今はAIがあります。
弊社でも使っていますし、サービス運営者やAIの開発者とも密につながっています。
AI元年に遅れをとらないよう、抜かりなく準備を進めていきます。


CHALLenGERSに参加してきました


2023年12月18日に『CHALLenGERS』に参加してきました。
詳細は告知サイトをご覧ください。

『CHALLenGERS』の主催はエン・ジャパン様。
このビルには過去に何度か訪れたことがありますが、エン・ジャパン様のオフィスを訪れるのは今回が初めてでした。
私は別案件との調整があり、前の週になるまで参加できるかどうか判りませんでした。

無事に参加できることになり、『CHALLenGERS』のスケジュール表を見てみると、メインスピーカー4名、LTスピーカー7名というとても豪華な陣容。
それぞれの方が、kintoneを使って業務改善をしていく際に味わった人しれぬ苦労や、kintoneから学んだ気づきなどを惜しげもなく公開してくださり、学びの多いイベントだったと思います。

今回のスピーカーの皆さんの多くは、技術者ではありません。
技術者でない方々も、むしろそれゆえに業務改善に大きく貢献できる事実。kintoneを筆頭にしたノーコードツールは、プログラミング、いや、データベースへの深い知識がなくても業務システムを作れる環境を作りました。

技術者ではない方々が主役となったkintoneのイベント。これこそが裾野の広がりです。
一時期、私はkintone Caféのテーマを技術者向けにして主催していました。しかし挫折しました。そこで反省し、最近はユーザー目線のkintone Caféを開くようにしています。すると、開催がスムーズになってきました。

技術者がkintoneを使うようになるのは、あるツールの変革にすぎません。ですが、システムを作ることができなかった現場の皆さんがkintoneを使うようになるのは革命です。

日常の業務はマニュアルがあったとしても、それは作業手順にすぎません。しかもそのマニュアルを使う側でしかなく、マニュアルを作る側にはなれません。
それを作る側になるきっかけとなるのが、kintoneに作業を作り替えることではないかと思います。
kintoneで作ることで、業務を再構築し、さらに業務を見直すことでマニュアルを作る側にも変われる。

なぜこう書くかというと、マニュアルを作ることの効力を教えられたからです。
エン・ジャパンに入社して日も浅いちったろ_たなみんさんとおかそんさんの登壇は、私に衝撃を与えました。入社して四日目でkintone開発養成講座一日目を受講し、さらに上司と実案件の現場に同席させられるスピード感には驚かされました。
私にとって育成は経営者になってからの大きな悩みです。これほどの速成のノウハウが知りたいのは当然です。
お二人が登壇の中で紹介していた「無印良品は、仕組みが9割」。この本を私はさっそく『CHALLenGERS』の翌日に買い求め、帰りの電車の中で読み込みました。

マニュアルとは考えさせるツールであり、マニュアルには答えを書かない。このことに私が逆に考えさせられました。
あいまいさを残さないからこそマニュアルのはず。あいまいさの排除は、5000弱あるエン・ジャパン内で活用されている内部のkintoneアプリに一切のJavaScriptを許可しない思い切りに表れています。かと思いきや、そのマニュアルには答えをそのまま書かないところ。つまりあいまいさや考える余地を残していること。

この二つの相反する命題が両立していることに、エン・ジャパンさんの研修の秘密があるのかなと思いました。それが私が当該本を買った理由です。
標準化とはいったい何を指すのか。おそらく考え方の軸というか芯を指すのではないか。それが私が感じたことです。ただしもしそうだとしたら、それを文章化し、明示化するのはとても大変なはず。

『CHALLenGERS』で推奨されていたのは「ナイスチャレンジ」です。私もその言葉に相当に感化されました。この正月のチャレンジとして、中途で途絶えていた開発ガイドラインを仕上げてしまおうと思うほどには。
暗黙知をどのように文書化するかが重要です。ただの作業手順を超えた、より深い内容をマニュアルに反映させる必要を感じました。

その動機を頂いたのが『CHALLenGERS』の良さでした。
エン・ジャパンの皆さん、登壇者の皆さん、ご参加者の皆さん、ありがとうございました。

イベント後、終電ギリギリまで新宿で過ごしました。3次会か4次会まで参加したかは忘れましたが、ギリギリ帰れてよかったです。さすがに新宿で始発チャレンジや野宿チャレンジを敢行するのが『CHALLenGERS』のナイスチャレンジではないはず。

こちらにXポストまとめサイトを載せています。


kintone Café Metaverseに参加&登壇しました。


4/22に行われたkintone Café Metaverse Vol.3に参加と登壇を果たしました。
本稿ではそこで感じたことを書いています。

私はkintone Café Metaverseには準備の段階から参加しています。
Vol.1では登壇を、Vol.2にも参加しました。
告知サイト

今のメタバースは決して栄えてはいません。むしろ、一度もてはやされただけに、斜陽ワードに貶められてしまった感すらあります。
ですが、決してメタバースはオワコンではないと思うのです。

その理由は、私たちは仮想空間での活動にまだ慣れていないからです。そして、仮想空間内にあるはずの可能性のすべてに気づけていないからです。
まだ知らないものに対してオワコンのレッテルを貼り付けるのはいかがなものか。

可能性を知るためには、メタバースに没入する体験が必要です。ですが、そのためのゴーグル(Oculus Quest 2)が使いにくいのは確か。これは重大な課題です。
私はメガネを着用しています。そのため、別途購入したアタッチメントレンズをOculus Quest 2にはめた上で使用しています。ですが、このレンズの度が後頭部のバンドの調節となかなか合わず、それが私にストレスを与えています。
そのため、私は仕事でOculus Questを使う事がほぼありません。

私はそれでも、メタバースを始めとした仮想空間に今のうちに慣れておくべきと考えています。メタバースがその入門にふさわしいことも。

今回のkintone Café Metaverse Vol.3、私の登壇タイトルは「新入社員の提案ロープレ(仮」です。
ロープレ、つまりロールプレイングは提案や商談を事前に通して行っておく練習です。人と話す職種には欠かせません。
普通、ロープレは社内のどこかを使い、対面形式で実施します。メンターや上司を前にして。その際、関係性はあくまでも内輪にとどまります。実際の提案に即した形式をなぞったとしても、なれ 合いの感覚はどこかに残ってしまいます。
では、ZoomやGoogle meetやmeet-inなどのオンラインミーティングツールを使ったロープレはどうでしょう。それもしぐさや視点や振る舞いなどの言語にできない情報、しかもそれらの情報は商談の中で重要であるにもかかわらずオンラインツールでは取りこぼしてしまいます。つまり、ロープレの効果は失われます。
いうまでもありませんが、ただ台本を暗記して読むだけの営みはロープレではありません。

今回、kintone Café Metaverse Vol.3では、登壇席に移動し、そこから着席している皆さんに向けてkintoneの提案を行ってみました。そうやって話したことで、メタバース内でkintone提案を行う貴重な経験が私の中に蓄積されました。
そこでの学びとは、メタバースはリアルの場の内輪感を払拭し、なおかつ平板になりがちなオンラインミーティングツールの欠点を補うことができることです。
何よりも、臨場感こそがメタバースの最大の強みです。反応を受けつつ、その場で適した提案を行う練習ができました。

ただし、メタバースはアバターの表情がまだ未熟です。壇上からの距離があるように表現されるため、アバターの表情、つまり相手の反応がうまく見えません。
そうした欠点はありますが、それを踏まえても手ごたえはありました。それは私にメタバースの可能性を見せてくれました。

先日、今回の登壇を契機に「メタバースはまだ来るはず」というタイトルでnoteにも似たようなことを書きました。

今回は毛海さんに司会進行役を担っていただきました。

私の登壇の後は、
藤村さんによる「kintoneでマニュアルってどう実装する?」です。

kintoneのマニュアル実装は皆さん共通の悩みです。弊社でも同じ。
メタバースだからこその広々として空間を利用したマニュアルが作れれば、根本からの改善ができそうに思います。

ディスカッションの場でも、有意義なマニュアル作成のノウハウが出ていました。

渋屋さんの「左脳と右脳からの学び」は、まさに私の気性にあっていました。

なぜ私がkintoneにこれほどはまったか。
それは、設計をきっちりしてから実装する今までのシステム開発「知る→分かる→できる」に飽き足らないものを感じていたからです。
ですが、kintoneはまずアプリを作る「やる→できる」を実現できます。これに可能性を感じたのです。それを右脳と左脳の違いから語った渋屋さんの登壇は、まさにメタバースも考える前にやることを示しています。

続いての三浦さんの「どうやって進める?kintone開発!!」も、仕様書という意味で可能性を感じさせる内容でした。
藤村さんの登壇と同じく、メタバースの広々とした空間を使い、自在に仕様書を作成する。どれほど複雑なアプリ間の連携も、メタバースなら広く使えるはず。

ディスカッションの場でも、有意義な仕様書の作成ノウハウや統制・アプリ運用のノウハウが提案されていました。
私からもアプリ運用の実例をお伝えしました。

毛海さんの「メタバースはリモートワーク苦手マネージャを救えるか?」は、
Zoomなどの既存のリモートワークツールが抱える問題点がわかりやすく示され、
それを救う可能性としてのメタバースに触れておられました。

仕事とはコミュニケーションに尽きます。それをメタバースの臨場感が実現できれば、メタバースは広がるはずだと思います。

近い将来、仮想空間での商談やエンターテインメントは当たり前になるはずです。それは間違いないと思います。
それを担うのはあるいはメタ社のメタバースではないのかもしれません。新しい会社が発表する革新的な次世代のデバイス。
あと数年もすれば出てくると思うのです。いや、すでに出ています。
簡単にメガネのように装着するだけで、VRの世界が体験できるデバイスが。そのデバイスの値段をさらに下げ、人々が手に取りやすくする。
その時、メタバース内での商談や提案やセミナーはより一般的になるでしょう。まさに今回のkintone Café Metaverseのようなイベントも。

インターネットが世の中に広まり始めた当初、ブラウザーとはネットスケープ・ナビゲーターを指していました。が、今やそれは失われました。今やネットスケープ・ナビゲーターを追いやったインターネット・エクスプローラーでさえも消え去りました。
別の会社がより優れたブラウザーを出し、技術は進歩しました。そして今、インターネットは今や社会にとって当たり前のインフラに成長しました。

あるいはメタバースもネットスケープ・ナビゲーターと同じ道をたどるのかもしれません。
ですが、ネットスケープ・ナビゲーターの功績は否定されません。当時、ネットスケープ・ナビゲーターを通してインターネットの世界にいち早く触れた人々がインターネットを武器とし、商売として成功しました。私たちはその歴史をよく知っています。メタバースも同じ。仮にメタバースが廃れたとしても別の会社がより優れたデバイスと仮想空間のプラットフォームを作り上げるはずです。
ただ、そうなってもメタバースで培った経験は無駄にならないはずです。おそらくメタバースの世界データも引き継がれ、育っていくはずです。
今のOculus Quest 2から次のデバイスに変わった瞬間、何かとんでもないことが起きるような気がしてなりません。

私は仮想空間の入門としてメタバースは存在価値があるとみています。まだメタバースも捨てたものではないのです。
では、メタバースの可能性をもう一度世の中にアピールするためには何が必要なのでしょうか。

まず、今のメタバースはエンターテインメントに偏りすぎているように思えます。
確かにビデオデッキやパソコンやインターネットはアダルト業界から普及しました。メタバースでも同じ成功体験をなぞろうとしているのでしょう。
でも、もう世の中に似たような娯楽は掃いて捨てるほどあります。今はビデオやインターネットの黎明期ではありません。娯楽で訴求しようとしても無理だと思います。


それよりも仕事やビジネスユースに振った方が仮想空間はニーズがあるはず。
コロナをとおしてリモートワークの光と影、浸透と課題があらわになった今だからこそ。
あたかも、そこに人がいるかのような臨場感のもとで仕事ができる可能性。しかも、通勤の手間やストレスから皆が解放され、オンラインミーティングツールの平板な関係性で疎外感を覚えず仕事ができる環境。
その実現にはもう少しかかるでしょう。が、わざわざラッシュアワーに巻き込まれる必要がありません。しかも上司の承認欲求を満たしながら同じフロアで作業をする感覚をメタバースが与えてくれれば、いうことはありません。

その可能性を世の中の人々にあまねく広める。そのためにメタバースの体験の機会がもっとあればよいのに、と思います。
このままでは、メタバース勃興期のサービスの一つとして後世から振り返られるだけの存在になってしまいかねません。
私もkintone Café Metaverseにはなるべく出て、自分の中の可能性をより広めたいと思います。

そのためにはメタバース内で使えるキーボードや、メタバース内からツイートできるようなスキルを磨かなければ。
まずは今回ご参加してくださった皆様、ありがとうございました。


よくわかる株式会社のつくり方と運営 ’13~’14年版


法人設立にあたっては、色々本を読んだ。その最初の本が「会社は誰のものか」。記録によると2014/12/20から2014/12/24に掛けて読んでいる。つまり、私が法人化を意識し始めたのは2014年のクリスマス直前であるようだ。

「会社は誰のものか」を読み、「下町ロケット」を読み、その次に読んだのが本書である。経営者の気構えについての本、経営者が追うべきミッションや夢の本、そして法人化の手続きに関する本というわけだ。そのアプローチは今思い返しても導かれたような順番といえる。

本書は、法人化手続きの実務についての本だ。ただ、実際は司法書士の先生に安価でほとんどやって頂いたため、本書で得た知識を実践することはなかった。しかも、私が設立したのは合同会社であり、本書で主に取り上げられているのは株式会社である。

しかし、本書は読んでおいてよかった。

本書を読んでおいたからこそ、合同会社を薦める司法書士の先生の言葉も検討できた。手持ちの資金があまりなかったので、登記費が安く、公証人による公証を頂かずに設立できる合同会社は悪くない。合同会社は、れっきとした法人だ。西友もユニバーサルミュージックもシスコシステムズもApple Japanも全日空ホテルズもWWE Japanもみんなみんな合同会社である。

私の立場は社長ではなく、代表社員となる。定款で定めれば社長にもなれるが、肩書きに興味がなければ、社長である必要もなさそうだ。

営業内容についても合同会社だからといって、不便を被ることもない。結局、株式会社と合同会社を隔てるのは、手続きに尽きる。設立前も設立後も、制度や手続きといった、商いの本質と外れた部分の違いが主だ。役員や監査役を募り、署名を集める必要もない。もし、株式会社にしたければ、登記料の差額をはらえばアップグレードできるようだし。

合同会社とは、まさに法人成りを狙う個人事業主にとっては適した制度と言えるのではないだろうか。

ほとんどの起業者が株式会社を選ぶ。そんな中、合同会社を選んだ私は、多少変わり種なのだろうか。起業してから数多くの方と会わせて頂いたが、よく質問される。なぜ合同会社にしたのか?どう株式会社と違うのか?話のネタには事欠かない。さらには、株式会社にしなかったことを失敗であるかのようにとられたこともある。しかし、その辺りは問題ない。というよりも、合同会社アクアビットのような零細規模では意味のない事かもしれない。そのあたりの柔軟性を発揮できるのは、今後の私の努力次第ということなのだろう。設立したら終わりではなく、ここからが始まりであることはいうまでもない。まだまだ精進していかねば。

今回の法人化の切っ掛けは妻である。友人の社労士さんに、個人事業主の税金が高くて・・・とこぼしたところ、なら法人化しなよ!とアドバイスを頂いたのが切っ掛けだ。以来、その社労士さんから、税理士の先生をご紹介頂き、税理士の先生からは司法書士の先生をご紹介頂き・・と、次々にご縁を頂き、3ヶ月と少しの後に法人化できた。以来、いくつもの縁を繋いで頂いている。感謝感謝である。

また、人脈作りとともに、私自身の生活も変わった。法人化設立を決断する前、私は伸び悩んでいた。本は読んでいたが、レビューを書く気力が湧かずにいた。スマホゲームにもはまっていた。しかし、法人化を決めてからはきっぱりとスマホゲームは断った。一年間一度もスマホゲームに手は出していない。その分、書くことにエネルギーを使うようになった。この一年、書いたblogの量もかなりのものだ。イベントを開催し、そこでは喋らせてももらった。メディアでの連載もさせて頂けるようになった。よいご提案も頂けている。

結果として本書は、実践としては役に立たなかったかもしれないが、私の気構えには効いたといえる。本書を読んで以来、もう一つの課題であるNPO設立については、様々な本を読んだ。しかし、株式、合同を問わず法人化に関しての手続き本は一切読んでいない。手続きに関する一切は税理士、司法書士の両先生にお任せし、私は人脈作り、書き物などの自分の伸ばしたい点、売り出した点に重点をおいている。それでよいと思う。

‘2014/12/27-2014/12/29