先日、cybozu.com conference 2015 Tokyoに行ってまいりました。https://cybozuconf.com/
私にとってcybozu.com conferenceは3年半前に参加して以来となります。
その時のcybozu.com conference 2012では「世界に通用する日本の企業クラウドを作る」という青野社長の基調講演から、各種セミナーにいたるまでじっくりと参加できました。その少し前に行われたcybozu.comのプレス発表会にも参加させて頂いた私は、海外製品が幅を利かせる現状にサイボウズさんが風穴を開けてくれることに期待し、心地良い期待感と昂揚感に胸躍らせたことを覚えています。
以来、cybozu.comの成長は素晴らしいものがあります。まさに日本発のソフトウェア企業として、有数の会社になっていると思います。私もその波に乗りたかったのですが、cybozu.com conference 2012の直後から参画したプロジェクトに忙殺され、まったくユーザー会にもカンファレンスにもお伺いできずじまい。忸怩たる思いをずっと抱えていました。Kintoneの正式リリース前からkintoneβ版で開発し、正式リリースとほぼ変わらぬ時期にお客様に販売管理システムを無事納品し、以来ずっと運用している自負を持つだけになおさら。
でも、現状をどうこう言っていても仕方ありません。現状をいかにして将来に役立てるかが重要です。今回のサイボウズカンファレンス2015ではセミナー2つのみの参加でした。しかし、その2つのセミナーこそが、今私が参画しているプロジェクトでの経験を将来に役立てるにあたり、ためになると思ったので参加しました。
「サイボウズで実現するNotesマイグレーション~事例に学ぶーNotesマイグレーション成功の鍵~」
「ただしく恐れるクラウドのセキュリティ」
最初のNotesセミナーですが、私にとって現状を活かすには最適なセミナーでした。今のプロジェクト行っている諸作業のうち、Notes Designerを使ってのNotesDB作成があります。正直なところクラウド全盛の今にあって、クライアント/サーバー(クラサバ型)システムによるNotesグループウェアが通用するかは微妙です。しかし、NotesはNotesで今まで広く使われていただけに、慣れた人には使いやすいのでしょう。私にしてもNotes Designerを使い始めたのはこの1、2年ですが、拡張性や機能自体は悪くないと思います。ただ、Lotus Scriptのデバッグやエディタなどがイライラするほどユーザーに優しくないことを除けば、やれないことはあまりないといってもよいと思います。しかし、それにはスキルがいります。NotesはNotesでクラウド化を推進していると聞きますが、多くの現場では依然としてクラサバ型の構成が主流でしょう。特定のNotes技術者を育成せねばならぬところ、開発者向けの環境充実にあまり力を入れていないところからすると、衰退も致し方ないのかもしれません。
しかも、Notes Designerを触って思ったのが、テーブルいらずの発想が、クラウド製品に似通っていること。普通はテーブル設計から入り、Create文を作ってストアド・プロシージャ―などを流してDBを作り込みます。しかし、Notesはいきなりフォーム設計から入ります。フォーム設計でフィールドとして項目を埋め込んでいくことで、それがテーブルとなっていく。この構成は実は、kintoneやSalesForce.comといったクラウドの代表的なアプリにも見えます。ここらに、両者に共通する点を見つけることができました。セミナーでうかがったのですが、青野社長がサイボウズ社を創業するにあたり、Notesの管理者をされていたことがベースにあったとか。これは知らなかった。
サイボウズさんでは、Notesマイグレーション事業を行うにあたり、ターゲットとなる製品をGaroonとkintoneで想定していらっしゃるようです。そして私はkintoneユーザーかつエバンジェリストの端くれでもあります。Notes Designerの現役開発者であり、かつ、kintoneの開発者。ここに私には現状を将来に向けて活かせる突破口を見出したのです。
また、私はkintoneには慣れていますが、Garoonはまだ触ったこともない状態。今回はGaroonに取り組むきっかけになるのでは、とも思いました。例えばNotes上の文書に貼り付ける添付ファイルの位置、これもGaroon上でほぼ再現できるそうです。これは大きいセールスポイントです。
ここ3年ほど、私の人生にとって、技術力の成長面では停滞していたといわれても仕方ありません。エバンジェリストにして頂いたり、法人化を成し遂げたり、診療所を開設したり、自治会で総務部長を完遂したりと個人的にはかなりの成長を遂げることができた3年ですが、最新技術の吸収ではかなり遅れを取っています。危機感も相当持っています。今回のセミナーは、そういった意味でも勉強になりましたし、今後の自分のスキルとして営業に加えていこうと考えています。
また続いてのセキュリティセミナー。これもまた重要です。実は今までもサイボウズさんのセキュリティに関するセミナーには参加させてもらっています。しかしやはり現役の運用本部長からのお話は、紙やディスプレイで読むのと違い、頭に入ります。クラウドに興味を持っていただくお客様の第一の要件は、業務を遂行することができるか、ということです。ただ、お客様自身、あまり口には出しませんが、クラウドのセキュリティへの不安はお持ちではないかと思うことがあります。それはまた、2016年1月からのマイナンバー導入を目前にした今、ますます注視されていることでしょう。私にとって、改めてサイボウズさんの施している万全のセキュリティに対する体制を伺わせて頂いたことは、良かったと思います。今参画しているプロジェクトでも、セキュリティ遵守に関する話は統括部門だけに当然耳に入ってきます。また、運用本部長の山本氏のセキュリティについての謙虚な姿勢も良かったです。100%安全ですというセキュリティに対する態度程危ないものはないと思っています。常に努力と改善しかないのだろうな、と思います。
今回のセキュリティセミナーの受講で新たになった私の知識は、今後のクラウド提案に活かせると思っています。会場でも配布していましたが、セキュリティ&運用基盤というパンフレットは常に最新版を持ち歩いていたいと思いました。説明を求められた際には対応できるように。
現場の作業の都合もあり、青野社長をはじめとした豪華ゲストの方々による基調講演は行かれず。また、夜の池上彰氏による特別講演も聞かれませんでした。しかし、たとえわずかな時間であっても、昨年は参加すら出来なかったことに比べたら状況は回復の途中にあるといえます。私も、このまま回復基調を維持し、次なるキャリアステップに役立てたいと思います。