本日、このようなニュースが報道されました。

「処方箋電子化解禁へ…医療機関と薬局で情報共有」YOMIURI ONLINE
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電子データ化の波は、ついにここまで来ました。とはいえ、実は調剤薬局内に限定された部分では、すでにデータ化は進んでいます。今回のニュースの主旨は、薬局と医療機関の間のデータ共有が主となります。

なので、患者側にとってのメリットはそれほどないのではないかと思っています。

むしろ、薬事日報のサイトの記事によると、レセコンの処理待ちによる処理時間の増加すら懸念されています。レセコンとはレセプトコンピューターのことです。

妻が歯科医であることから、レセプト(医療報酬の明細書)処理の実態については私も話を聞いています。また、最近介護関係の方と話す機会も増えています。皆さま、レセプト処理の改善については思うところが強いようです。

結局のところ、レセプトとは、健康保険の加入者が負担する医療費の算出に必要なものです。つまり、診療行為ごとに診療報酬点数が決められているため、その点数を算出し、そこから医療機関と患者の負担額を導出するのです。この点数算出の方法が頻繁に切り替わるため、医療事務方の負担となっています。

では、IT化すればよいじゃないか、という意見がありそうです。ですが、上に書いた理由から、レセプト処理についてはあまりにも仕様が煩雑で頻繁に変わるため、汎用化や共通化が遅れています。そのため、専門のソフトやハードが未だに残されています。レセプト処理専門のキーボードすらあるほどです。106キーボードやJISキーボードとは似てもつかない様々なレセプト処理に特化したキーボードです。そういった事情から、レセプト処理を専門とするIT業者も存在します。

オープン化の波がIT業界を席巻してかなりの年月が経ちました。汎用機という名のメーカー専門機はどんどん脇に追いやられています。しかし、医療業界ではまだレセプト専門機や専用ソフトが幅を利かせています。クラウド化やオープンソース化はまだまだ先の話でしょう。

今回の処方箋の電子化は調剤薬局にとってはゆくゆくは事務作業の軽減化になりえるでしょう。しかし、患者にとってはその恩恵を顕著に感じられるまではまだ掛かると思ったほうがよいでしょう。弊社を含めた一般のIT業者にとっても今回の電子共有化にあたっては、特に利点はないと思っておいたほうがよさそうです。

ただし、少しずつ、医療業界においてもIT化の影響は及びつつあります。クラウド化の流れはこの分野においても避けることはできないでしょう。すでに医療分野でも着々とクラウド化は進んでいます。その時に備え、弊社でも対応できるよう、この流れは注視したいと思っています。


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