「アクアビット航海記」の冒頭では十回分の連載を使い、起業の長所と短所を述べました。
本稿ではその長所となる自由な働き方を実現する上で欠かせない基盤となるリモートワークについて語りたいと思います。

そもそも、私自身の「起業」に最大のモチベーションとなったのは、ラッシュアワーが嫌だったためです。
ラッシュアワーに巻き込まれたくない。巻き込まれないためにはどうするか。嫌なことから逃れる方法だけを考え続けて今のスタイルに落ち着いた、というのが実際です。

では、ラッシュアワーはなぜ起きるのでしょう。
それは周辺都市に住んでいる労働者が、首都に集まった職場に通うためです。
リモートワークやテレワークなどという言葉がなかった時期、人々は一つ所に通い、そこで顔を突き合わせながら働くしかありませんでした。
そうしなければ仕事の資料もありません。指示すら受けられません。そして雇う側も管理するすべがないのです。
そのため、一カ所に集まって仕事をするのが通念となっていました。

今、情報技術の進化によって、リモートワークが当たり前になりつつあります。リモートワークによって、ラッシュアワーからはおさらばできるのです!

ただし、それには条件があります。その条件とは、置かれた立場の違いによって変わります。
大きく分けて、雇われているか、そうでないか、の違いです。

まず、あなたが雇われているか、契約によってどこかに通う条件に縛られているとします。
雇用契約を結んでいる場合は、雇い主の人事発令に応じた部署で働くことが前提です。
その企業の人事制度が自由な働き方を認めている場合は、喜び勇んでその制度の恩恵にあずかればよいでしょう。
そうでない場合は、まずリモートワークを認めてもらうための運動を始めなければなりません。

おそらく、その企業にはそれまでの慣習があるでしょうから、リモートワークを見越した業務の設計がなされていません。
リモートワークを申請しようにも、体制が整っていないから無理、と却下されるの関の山でしょう。
その体制を上司や別の部署を巻き込んで変えてもらう必要が生じます。おそらくは大変で面倒な作業となることでしょう。
それをやりぬくには、あなたの日ごろの業務への姿勢と、あなたが扱う情報の性質にかかっています。
上司の理解と信頼、という二つの味方が支えてくれていれば、決して不可能ではないはずです。

もう一つの立場とは、個人事業主か経営者の場合です。この場合、上司はいません。あなたの意思が組織の意思です。リモートワークまでの障壁は低いはずです。
ただし、顧客先との契約によってはリモートワークが無理なこともあります。契約に特定の場所で作業することが定められている場合、リモートワークはできません。
そうしたケースは情報処理業界の場合によく見られます。
常駐でなければならない理由は、情報漏洩のリスクです。ハッキングのリスクもさることながら、監視がゆるいため、モラルがない故意に情報をさせてしまうのです。
また、情報処理業界といってもまだまだ対面による打ち合わせが主流です。そして、進捗管理や仕様の伝達に手間がかかります。そうした手間がリモートワークの普及を妨げています。

しかし、それらもリモートワークのためのツールは多く存在しています。実際は、組織や企業の考え方次第で、リモートワークの導入は進むはずです。
また、労働者の側でも意識を変える必要があることは、言うまでもありません。

ここでは、労働者として、私自身がどういうことに心がけてきたかを述べたいと思います。

・連絡をこまめに。
リモートワークは、相手の顔が見えません。だから発注側はお願いした仕事がきちんと納品されるのか不安です。だからこそ、こまめな連絡は必須です。
初めて出会った方は、こちらの人物をまだよく知りません。私の場合、さまざまなイベントで出会った方にはメールで丁寧なメールを返すことを心がけています。
最初はメールで、そのうちに徐々にチャットツールでの連絡に導きます。その方がメールよりも簡略に連絡ができるからです。電話もよいのですが、やりとりが後に残りません。また、電話は相手に準備の時間を与えないため、チャットツールをお薦めします。
ただし、連絡をもらったら返信は即座に。原則として受け取ったボールは相手に預けるようにしましょう。

・コンプライアンス意識
リモートワークは信頼がなければ成り立ちません。
情報を意図して漏洩させることは論外ですし、ミスも起こさないように気をつけたいものです。
その意味でもメールではなくチャットツールは有用です。添付ファイルは後でも取り消せますし、暗号化通信が基本です。堅牢な防御体制をクラウド事業者に任せてしまうのです。もし、印刷して紙の情報に頼ってしまう癖があるのなら、あらためた方が良いです。

・リモート端末の操作に通じる
リモートワークである以上、ノートパソコンは欠かせません。タブレットやスマートフォンは連絡程度であれば可能ですが、業務や作業にはまだまだ不向きです。
また、最近は有線LANが張りめぐらされている光景もあまり見なくなりました。ほとんどがWi-Fi接続による無線LANです。だから、お使いの端末にWi-Fiアダプタがあるか、また、出先でもWi-Fiのアクセスポイントをうまく拾う方法をチェックしておきましょう。
キャリアや鉄道会社、コワーキングスペースが提供しているWi-Fiが安全です。コンビニのものも連絡程度ならよいでしょう。
また、電源の確保も重要なので、どう言った場所に電源があるのか、チェーン別に把握しておくことは大事です。モバイルバッテリーの準備も検討してよいですね。
また、ブラインドタッチに慣れてしまうと、タブレットやスマホで文字入力がやりにくく能率が落ちます。フリック入力などもマスターしておくべきでしょうね。

・移動中はスマホやタブレットの操作に十分注意する。
これは最近、鉄道会社のマナー啓発キャンペーンでも良く登場します。実際に操作しながら移動するあなたは動く凶器です。
なので操作と移動はきっちりメリハリをつけた方が良いです。
そもそも、せっかくリモートワークを行なっているのですから、もっと外の景色を楽しみましょうよ。外の景色から刺激を受けることは、あなたの生産性の向上にもきっと寄与してくれるはずです。


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