至仏山を登り、尾瀬から帰ってきた私。
足を休める間もなく、AM3時に家を出ました。

羽田まで車を駆って、国際線駐車場に着いたのはAM4:05。
こんなに早く着いたのも、9カ月前に妻と二人で台湾を旅した際、LCCのチェックイン時間を読み違えた失敗があったからです。

物心ついてから初めて国外に出る娘たちは、チェックインカウンターや税関に戸惑いを隠せない様子。
でも、搭乗口107Bには相当の余裕をもってたどり着くことが出来ました。私はそこでひと眠り。
AM5:50に出発するpeach航空の台北行きには、早朝にも関わらず、多くの旅行客で混みあっていました。

皆さん、旅の期待にあふれています。わが家もそう。何しろ、家族四人で海外に出るのは14年振りなのですから。

桃園国際機場に着いた時も、その興奮は鎮まるどころか高まるばかり。
入国審査までの通路を歩く間にも、壁に貼られた広告に異国情緒を感じて興奮するわが家。
去年来た際は、それまでのドタバタと、台北までの時間のなさに焦っていたため、通路をじっくり見やる余裕がありませんでしたが、空港の通路の広告には旅人を現地になじませる効果がありそうです。


娘たちにとっては初めての入国審査。付き添いなどできないので、娘たちのそれぞれの対応にお任せ。
でも、かろうじて全員が台湾への入国を認められました。


まずは金を入手しましょう、と妻が換金を。さらに腹ごしらえ、ということで空港内にあったサブウェイへ。
台湾でサブウェイを食べるのは初めてかもしれません。まずは英語で注文するミッションをクリア。もちろん英語が話せる妻が。
普段は物怖じしない次女も、さすがに注文にあたっては尻込みし、なかなか話しかけるには勇気がいる様子。


最初はこんな感じでおっかなびっくりだった娘たちが、四日間の台湾の旅をへて、次第に慣れて行く様子が面白かったです。

さて、昨年は時間がなかったので台北までタクシーを使いましたが、今回は悠々とMRTを使って台北まで移動しました。
移動にあたっては、前回は買わなかった悠遊カードを四人分購入しました。係員のおじさんが手振り身振りを交えて買い方などを教えてくれました。


MRTは昨年の帰りに利用して以来。
車窓からの風景も、山々の間に点在する農村風景は日本との違いがあまり感じられません。
ですが、徐々に都市部に入ってくるとともに、次第に台湾らしさにあふれた景色が増えてくるとともに娘たちは興味津々の様子。
新しいのだか古いのだかよくわからない高層ビル。デカデカと掲げられた政治家のポスター。ひらがなやカタカナの一切ない文字。
娘たちにとっては物心ついてから初めての海外ですから、さぞやそうした景色から異国を感じてもらったことでしょう。


台北駅に着いた私たちが、乗り換えの長いコンコースを歩く間も、娘たちの興味は尽きない模様。
台湾のガチャガチャや独自の広告。あらゆるものに目をやっている二人の様子に目を細まります。
海外に連れてきてよかった、という思いとともに。


まずは一息、ということで台湾でもおなじみのスターバックスに入りました。
日本のお店との違いに興味津々の娘たち。
私と妻は昨年にも別の場所のスターバックスに入ったのですが、最初におなじみの店に入ることで、まずは娘たちも安心できるはず。こちらの方が空港で訪れたサブウェイよりもより安心できたかも。

私たちは台北駅からMRTに乗り換え、北門駅と西門駅を乗り継いで板南線へ。
実は台北駅で乗り換えを間違えたのですが、何度も乗り換えを繰り返す間にも悠遊カードの恩恵を受けました。こりゃ楽。

台湾のMRTは日本の地下鉄tと載っている感覚はそう変わらず、ある部分では日本よりも進んでいます。例えば切符がないこととか。
そうしたあらゆるものが娘たちに刺激となることが親としてうれしいです。

龍山寺駅に着きました。
さて、これまでの道中は、いわば観光客向けの台湾ばかりを見てきました。が、ここからは少し台湾の昔ながらの風景が展開します。
まだ朝が早かったのですが、服を商う店々のいくつかは軒を開けていました。
それでも、日本とは違う街の様子は娘たちには物珍しかったようで、キョロキョロとしていました。バイクの多さにもびっくりしたのではないでしょうか。バイクに興味のある次女にはとても興味深かったようです。


そんな通りを抜け、私たちはカイザーメトロホテルへと投宿しました。昨年も妻と泊まったホテルです。
今回は妻がチェックインしてくれたので、すんなりと手続きが済みました。
そして、荷ほどきもほどほどに、早速街へと繰り出しました。

まずはホテルの近くのファミリーマートへ。そこでまずは娘たちに台湾のコンビニの商品が日本とそう変わらないことを説明しました。
ここでも興味津々の娘たち。

続いて向かったのは龍山寺。昨年も妻と二人で中華風の参拝を学びました。
ここで娘たちを加えて四人で再び参拝。
独特の運試しのやり方や、見た目が派手な中国の仏教寺院を目に焼きつけてもらいました。


次いで向かったのは、近くのタピオカ屋さん。
次女の台湾での楽しみの一つは、タピオカ屋さんめぐり。
タピオカブーム真っ最中の日本ではなく、本場のタピオカ屋さんで思う存分食べてみたいとのことで、まず一軒目。
美味いと満足そうな娘。日本のタピオカとは粒のでかさから何から違うらしいです。

ほんの少し、ディープな台湾の街並みを歩み、私たちは再びMRTの龍山寺駅から西門駅へ。さらにそこで乗り換えて中正記念堂駅へ。


ここも昨年、妻と来ました。
民主廣場は広大で、空は雲が立っていたものの、青々としています。陽光をたっぷり浴びながら広場を歩いて中正記念堂へ。
まさかこの後、中正記念堂に閉じ込められるとも知らずに。

今回は衛兵の交替の時間をぎりぎりのタイミングで見られました。
この光景も日本では見られないものの一つです。


その後、私たちは、地下の文物展示室を見学しました。
ここは蒋介石総統の事績を様々な遺物から紹介しています。なので、かなりの広さがあります。
娘たちには興味がないでしょうが、私にとっては昨年来られなかったので、今回は来たいと思っていました。

理由は二つ。
一つ目の理由は、2蒋介石総統の執務室をバックに写真が撮りたかったからです。24年前にも撮ったこの場所で、24年の時間を楽しみたかった。
二つ目の理由は、根本博中将に蒋介石総統が送った花瓶のうちもう一対があることを、昨年の訪問後に知ったからです。それが見たかった。

その花瓶は確かにありました。とても立派な花瓶です。私はしばし、その前で感慨にふけりました。
根本博中将は国共内戦で窮地に立った台湾のために密航してまで台湾におもむいた方です。根本博中将が軍事顧問に就いたことで、国民党軍は金門島を巡る古寧頭戦役で共産党軍に大勝し、台湾と台湾海峡はかろうじて国民党の主権が保たれました。
根本博中将は晩年、私が普段利用する駅のすぐそばに住んでいたそうです。ですが、私はつい最近まで根本博中将の事すら知らずにいました。
自らの不明を詫びつつ、24年前の自分との違いに思いを馳せました。

案の定、娘たちにとってこうした展示には興味がありません。母娘でベンチに座って会話してました。
なので、私も展示を切り上げ、家族で中正記念堂のお店を見て回っていました。


そんな館内に突如雷鳴がとどろき渡ったのはその時です。そして、激しい雨音が。夕立です。広場を歩む時の空には入道雲が立っていたとはいえ、夕立の気配どころか暑すぎるほどだったというのに。
しかもこの夕立、相当に激しいものでした。中正記念堂から見ると、外はたたきつけるような雨、そしてひっきりなしに周囲に落ちる稲妻の激しい光と音。
中正記念堂には直接地下で外部とつながる通路はなく、出ようと思えば雷雨の中を広場を歩くほかはありません。つまり、異国の地にあって私たちは閉じ込められてしまいました。猛烈な雷雨に。

さて、どうするか。
夕立なのでいつかは止むはず。それまでに中のお店をさらに見て回ろうと、あちこちのお店を巡りました。台湾土産としてふさわしい品を物色しながら。
中正記念堂にはいわゆる土産物屋さんもあれば、郵便局、本屋、お茶店などもあります。時間をしばしつぶすには充分の規模です。
床にはトリックアートが描かれています。
美術館とミュージアムショップも。ちょうど、美術館では精巧な人体像をテーマとした展覧会が催されていて、興味がありました。が、見送りました。
なにしろ、雷雨のことが気がかりになっており、展示に集中できそうにありません。


店巡りをあきらめた私たちは、ホールで一時間以上も雷雨の収まるのを待っていました。が、雨の勢いは一向に衰える様子を見せません。
さすがにまずいと思い、大きめの傘をお土産屋さんで購入し、決死の思いで外へ脱出することに決めました。
作戦はこう。私が3往復し、娘たちと妻を一人ずつ送り出すのです。
中正記念堂から近くの大孝門までは約百メートル。幸いにも少し稲妻の頻度は弱まったので、土砂降りの中を一人ずつ、私と相合傘で。
雷に打たれることなく、無事に三往復して大孝門までたどり着けました。

続いては、大孝門から中正記念堂駅まで移動しなければなりません。距離は約500m弱。
そこで、塀の内側に回廊のような通路があったのでその通路を進んだのですが、残念ながら、その通路はちょうど200メートルほど進んだ場所でふさがっていました。
さて、どうするか。
回廊から、庭園の中の通路に出られるので、そこを突っ切って、次に向かうべき道を偵察に出ました。
すると、あちこちで池みたいになっている庭園の通路さえ超えられれば、國家技藝院の大きな階段の下まで行けそうです。


また一人ずつ、相合傘で突破することに決めました。
二人で歩むには色々と難儀する道のりでしたが、なんとか全員を國家技藝院まで送り届けられました。
しかも、最後の一人を送るときになって、ようやく雨もやみ、青空まで戻ってきてくれました。
かなり苦労しましたが、妻や娘の肩を抱いて歩んだこの経験は旅の思い出として大切にしたいです。
おそらく平時に娘たちの肩を抱く機会はそうありませんので。

中正記念堂駅に着いたことで、ずぶ濡れのままMRTに乗って台北駅へ。
そろそろ夕方なので、おなかも空いてきました。
なので、昨年妻と二人で偶然訪れて美味しかった饗食天堂へ向かいました。
ビルへは少し迷いましたが、無事にたどり着けました。Q Square。この見事な空間は日本に引けをとらないばかりか、凌駕していると思えます。
娘たちにも台湾が先に進んでいることを理解してもらえたと思います。

饗食天堂は昨年の感動もそのままに、おいしくいただきました。
昨年は勝手がわからずに頼まなかったアルコールまでいただき。
すっかり満腹。中華料理の神髄を堪能しました。


しかも帰りには台湾コスメのお店でいろいろと試させてもらったりして、すっかり台湾に好印象を持った様子。
海外旅行で海外に恐怖感を味わってほしくない親心にとって、よい旅行になりそうです。

そこで、再び地下鉄に乗って龍山寺駅へ。
そこからカイザーメトロホテルへと戻り、初日の旅の疲れを癒やしました。


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