本稿は、以下のリンクに書いた内容と重複しています。
こちらのリンク先の内容は、福島県お試しテレワークツアーから帰ってすぐに書き込んだものです。
朝ご飯を皆で用意する。そしていただく。いただいた後は洗う。
道の旅籠「椿」さんのルールです。
ゲストハウスの醍醐味。その分おいしさも増します。
さて、朝食を取った私たちがヴァンに乗って向かったのはアスパラ邸です。猪苗代駅の東隣、川桁駅の近くにあります。
ところが、私たちは当初、アスパラ邸の場所がわかっていませんでした。内田さんや福島県庁の中根さんも含めて。
ここかな、と思われる家屋の前で所在もなさげに立ち尽くす私たち。ところが、実はその家ではなかったのです。
アスパラ邸はそこから徒歩ですぐ近くの場所でした。
アスパラ邸とは面白い名前です。が、そこはもともと、空き家だったそうです。空き家を譲り受け、リノベーションを行った後、移住者の集うコミュニティスペースとしてオープン。それが私たちの訪れる四カ月前のことでした。
リノベーションしただけあって、もともとの家の雰囲気が感じられないほど、おしゃれで洗練された空間になっていました。
こういうリノベーションの事例を見ると、思った以上に地方創生の初めの一歩は取り掛かれるのだ、ということがわかります。
地方に空き家が増えている現状は、少し旅をすればすぐに気づきます。東京の過密は一向に解消しないのに、こうした空き家が地方では目立つ。
その現状を正すべく、少しでも活性化させるこうした取り組みは応援したいですね。
ちなみにこの施設は昨日LivingAnywhere Commons会津磐梯に来てくださった石川さんが運営されています。
続いて私たちが向かったのは「集まりいな」です。こちらは会津若松の街中の目抜き通りに建っていた大きな店舗の二階の空きスペースを利用しています。
広さも十分にあり、可能性も含めてこれからが楽しみな場所です。
実際、訪問してから一年がたった今でも、さまざまなイベントに活用されているようです。
そこであらためて、テレワークツアーの趣旨や「集まりいな」についてのアウレさんの取り組みなどをご紹介いただきました。
そして、さっそくテレワークタイム。こちらのWi-Fiは私のパソコンでも認識してくれたので、無事に仕事が進んでいきます。
皆さんがそれぞれに作業をした後、近くのソースカツ丼が名物の「まるいち食堂」へ。ここ、とてもおいしかったです!
まるいち食堂への道中は、車で送っていただきました。この時、私は周辺の町並みをじっくりと見ていました。
猪苗代町も衰退の色は隠せません。街に活気があるといえばうそになってしまいます。
でも、株式会社アウレの遠藤さんと石川さんは、なんとかこの街に活気を呼び込もうと頑張っています。
そうであれば、私も猪苗代の街をさらに歩いてみなければ。そして、何かの案をださないと。
まるいち食堂から「集まりいな」に戻った後、私たちには複数の選択肢が示されました。
このまま「集まりいな」に残って作業をするか、LivingAnywhere Commons会津磐梯に移動して作業するか。
皆さんの多くはLivingAnywhere Commons会津磐梯に移動しましたが、私は「集まりいな」に残ることを選びました。さらに、時間を見て猪苗代の街を歩くと宣言しました。
というのも、午前の作業で「集まりいな」の環境がWi-Fiも繋がるし、集中しやすいと判断したからです。
その見込み通り、「集まりいな」では前日co-ba koriyamaで調べたzenrin mapとkintoneの連携が無事に実装ができました。また、首都圏のお客様とのオンライン商談も無事に終えられました。
13:30の時点でやるべき実装が終わったので、街を少しだけ歩くことに決めました。
まずは猪苗代駅の方へと向かいました。道路を行き交う車はわずかで、空いている店もそれほど見当たりません。要は活気がないのです。
猪苗代町は、街が生んだ野口英世という偉人を擁しています。磐梯山や猪苗代湖といった観光資源にも事欠きません。ですが、野口英世記念館は猪苗代湖を周回する道に沿って建てられています。猪苗代駅や猪苗代の市街地からは離れた場所で人を集めているのです。
猪苗代市街地から猪苗代駅に至る道は、かつては街の目抜き通りだったはず。ですが、今は何もありません。あまり雪が積もっていないのに、雪を解かすための融雪パイプから水が噴き出している姿がさらに寂しさを際立たせています。
本来ならば冬場は雪に覆われ、それが街の寂しさを白く覆い隠していたのでしょう。が、この時は全国的な暖冬で雪不足。磐梯山麓のスキー場も麓から見ても明らかに雪の少なさがわかります。
雪不足がさらに猪苗代町の景気の沈滞に拍車をかけているようでした。
猪苗代駅の駅舎にはそれなりの風格があります。にもかかわらず、駅前には観光案内所以外に店が開いていません。そもそも店すらありません。バスとタクシーが数台停まっているだけで、駅前は閑散としていました。
もう鉄道が”オワコン”なのは仕方ないのでしょう。としても、地方の中規模の都市にある駅には、かろうじて街の中心としての存在感が残っています。ところが、猪苗代駅からはそれすら失われているようです。駅前から見える磐梯山が優美で壮大な姿を見せてくれているだけに、この落差は残念に思えました。
私は再び街に戻り、「集まりいな」を過ぎ、まるいち食堂を過ぎて、町役場へと向かってみました。
その道中も、とてもちぐはくな印象を受けました。街の景色に統一感がないのです。
そのまま、私は歩いて亀ヶ城公園へ向かい、天守台の跡にも登りました。ここから見る磐梯山は素晴らしい景色で、猪苗代の町並みも見下ろせます。
こうやって眺めてみても、猪苗代とはとてもよい場所に思えるのです。それなのに、どうしてこうも活気がないのでしょう。私が行くべき場所を通っていないのか。それとも観光客は野口英世記念館の方に行ってしまうか、磐梯山麓のペンションやホテルに回ってしまうのでしょうじか。そして車は湖畔の国道49号線か、福島に至る115号線沿いのチェーン店に向かってしまうのか。
どちらにしても、とてももったいないと思いました。
ただ、そのさびれた感じを私は逆に猪苗代の伸びしろとして受け止めました。
つまり、せっかくの歴史的な資産を生かし切れていないのでは、と。
今のように、人の行動が車に依存している状況では、人の行動は点と点の移動で成り立ってしまいます。
つまり、その一帯を面として訪れてもらうようにならなければ、観光地としては苦しいのです。観光地には面の魅力が必要。面を備えないと、人は寄り付かない。そういうことです。
せっかく周囲に磐梯山や猪苗代湖、奥磐梯や摺上原古戦場や母成峠古戦場といった観光資源を擁し、野口英世という偉人がいたとしても、それらが点と点にしかなっていない。そうした観光客を面として呼び込められれば、猪苗代には可能性があるのではないでしょうか。
私のその思いは、夜の猪苗代を歩き、さらに次の日の朝に古くからの通りを歩いたことでさらに強まりました。
この日の夜、遠藤さんに夜の猪苗代を案内していただきました。その時に歩いた界隈は昔からの旧市街の様相を色濃く残していました。私が日中に歩いた猪苗代駅や集まりいなの通りの雰囲気とは明らかに違っています。
夜の懇親会では、遠藤さんからなぜ猪苗代で起業したのか、についても伺いました。
それによると、猪苗代は福島県の政治の中心である福島市と経済の中心である郡山市、そして歴史やITの中心である会津若松市を結ぶ場所にあるとのこと。そこに猪苗代のポテンシャルを見いだしたということです。なるほど。
要は、その三都市へのアクセスの利を生かし、ここを居住地として活用してもらえればよいのでは、ということです。
そのためにもアスパラ邸みたいな移住者のための場所が求められるのでしょうし、「集まりいな」も街の拠点としての意味が増すはず。
今から思い出しても、その見立ては間違っていないと思います。
猪苗代の街を歩いてみると、よりやるべきことが無限にあるように思えました。
「集まりいな」に戻ってすぐ、LivingAnywhere Commons会津磐梯に行っていた皆さんも戻ってきました。そこで、中ノ沢温泉で温泉に浸かりに行くことになりました。
内田さんの運転するヴァンに乗って約十キロ。
中ノ沢温泉 露天温泉の宿 花見屋旅館」につきました。実はこの中ノ沢温泉街は、初めて郡山を訪れた三年三カ月前にも一人で訪れました。達沢不動滝に行く途中で。
花見屋旅館には巨大な露天風呂が設えられていて、この大きな風呂を私たちだけでほぼ独占しました。温泉もまた、テレワークの旅の醍醐味です。仕事で疲れた頭も休めるためにも。
リフレッシュしたところで、再び猪苗代へと戻りました。そして、道の旅籠「椿」に荷物を下ろします。
そして、夜の猪苗代をご案内してくださるという遠藤さんのご厚意に甘え、暗くなった街を歩きました。
遠藤さんの選んだルートがよかったのでしょう。昼に一人で街を歩いた際には気づかなかった別の顔が見えてきました。
その別の顔は、かつて亀ヶ城を中心にひらけていた城下町の面影を宿していました。
おそらく、かつての市街地は猪苗代駅の方には伸びていなかったのでしょう。そして、城下町の姿を色濃く残している場所には、歴史を積み重ねていそうな商店がいくつも軒を並べています。
つまり、かつての亀ヶ状の城下町は猪苗代湖の方ではなく、90度違う角度を向いていたのです。
猪苗代町の中心部は人が閑散としているわけではなさそうです。
その証拠に、最初に遠藤さんが連れて行ってくださった「わたや 猪苗代店」は人が満席で入れなかったです。そこで、私たちは「すし割烹 はなまる」にお邪魔しました。
こちらのお店には、全国の料理が集まっていました。それらがとてもおいしかったです。さらに、地元のお酒がとてもおいしく、ここだけで四合瓶が10本近く空いた気がします。
ここではさまざまな話に花を咲かせました。遠藤さんのユニークなワークライフスタイルについてもお話を伺えました。上にも書いたなぜ遠藤さんが猪苗代に拠点を置くのか、ということも聞けました。
楽しかった飲み会でした。
すっかりよい感じに酔っぱらった私たちですが、さらに道の旅籠「椿」の飲み放題プランの一升瓶をさらに2,3本は空けました。私もおそらく一本近く空けたはず。
このテレワークの旅は、とにかく飲みました。相当に飲み干しました。そして語りました。熱く語りました。何を語ったのか忘れましたが、とにかく語りました。夜は。
面白かったなぁ。