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スナックジョイゾーにて妻が覚醒~


11月18日にジョイゾーさんにて行われた「スナックジョイゾー@オフライン vol.9 〜デイズナイト〜」に参加し、LTの機会をいただきました。
本稿ではそこで話した内容に加え、スナックジョイゾーに参加して感じた弊社変革への予感も書いています。

https://note.com/joyzojp/n/n568b8c4daa83

開催の日程や詳細は以前から伺っていたのですが、私がスナックジョイゾーの申し込みを済ませたのは、Cybozu Daysが終わった11月13日のこと。その時は、ただの参加者のつもりでいました。すると、前々日になって「エバンジェリストが教えるDaysのまわり方」というテーマでお話ししてほしいと言う依頼がジョイゾーさんからありました。
おおう!ちょうどその時、いくつもの立て込んだ案件を抱えていた私の時間は相当差迫っていました。
ですが、前々回のスナックジョイゾーにもお招きいただきましたし、高知や鎌倉、そして釧路でいただいたご縁とご恩の深さは、1度や2度話したところで到底返しきれるものではありません。即決でよろこんで、と返事しました。

とは言え、プレゼン資料を作る時間が枯渇しているのも事実。正直にいうと、プレゼン資料は突貫で作りました。
いただいたテーマの趣旨を満たすため、私が選んだのは選択式のプレゼン。最近あまり見ないですよね。来場者の属性を選んでいくと、託宣が表示されるアレです。

私は会場に来るまで、話すのは私だけだと思っていました。ところが、会場に来ると石井さんとなかじさんがおられました。常連さんだから当たり前ですよね。エバンジェリスト三人がそれぞれCybozu Daysを巡るためのテーマを話す。それが今回のスナックジョイゾーのメインコンテンツでした。事前に示し合わせたわけでもないのに、私たちが話したLTの内容は三者三様でした。まさにkintoneエバンジェリストの多様性の現れですね。それは自画自賛してよいかもしれません。

さらに驚いたのは参加者の顔ぶれです。サイボウズ社の方々が三人もいらっしゃいました。元副社長の山田さんのお顔も見えます。ほかにもM-SOLUTIONSの植草さんや、トヨクモの皆さんも。うわ~!なんという豪華なメンバー。
今回はスナックジョイゾー史上でも最高の参加者数だそうです。そのような中でお話できる機会のありがたみを感じました。
突貫で作った割には、私の託宣式のLTが皆さんから受けたのは良かったです。ダイレクトに反応をもらえるのはリアル会場の良さですね。しかも偶然にも私の資料の託宣にM-SOLUTIONSさんやトヨクモさんを載せていました。それこそが自分の引きの強さなのかもしれません。

私たちの登壇が終わった後は、皆さんと楽しくお話ししました。これぞ交流の醍醐味ですね。9月のスナックジョイゾー vol.7で感じた雰囲気の良さを存分に堪能しました。ジョイゾーの皆さんには感謝です。

今回、私はスナックジョイゾーに妻を連れて参加しました。妻もジョイゾーさんの雰囲気には共感してくれたようです。
なぜ私が妻を連れて行ったのか。それは妻にジョイゾーさんの様子を見せたかったからです。私はスナックジョイゾーvol.7に参加したことで、ジョイゾーさんを弊社の目標に定めました。弊社の目標を妻に示すには、スナックジョイゾーに来てもらうのが一番と思ったのです。

ここにきて、私とジョイゾーさんとのご縁が生まれたのは、6月のkintone Café 高知 Vol.16 & SORACOM UG SHIKOKUがきっかけです。私もお招きいただき、高知まで駆け付けました。その時、同じく登壇されていたのがジョイゾーの四宮さんでした。
その場でSORACOM UGの皆さんと御縁ができたことで、9月のkintone Café 神奈川 Vol.13もSIORACOM UG 東京との共催イベントへの道が開けました。鎌倉の安国論寺で開催したそのイベントは、高知のイベントの再現を目指しました。オフラインのみの開催だった高知の内容をオンラインで参加できなかった方にお届けしたい。それが私の動機でした。そこで四宮さんをお呼びし、登壇してもらいました。
私が主宰しているkintone Café 神奈川には今まで、kintone界隈の巨頭といえる方をお招きしてきました。ラジカルブリッジの斎藤さんやアールスリーインスティテュートの金春さんを。ですが、四宮さんにはまだ登壇してもらったことがありませんでした。鎌倉のイベントはそれを実現する良い機会でした。
鎌倉のイベントの前には、SORACOMさんのイベントで大崎に訪れました。そこで偶然にお会いしたのがジョイゾーの小渡さんや木野宮さんや松田さんです。小渡さんには鎌倉にもお越しくださいました。
そうしたご縁が積み重なった結果を受けての鎌倉のkintone Caféです。その後の懇親会では四宮さんといろいろとお話出来ました。私がスナックジョイゾーやCLS道東のお誘いを受けたのもこの時です。

スナックジョイゾー vol.7で初めてジョイゾーさんのオフィスに伺って感じたのは、ジョイゾー社内の雰囲気の良さです。また、規模感とビジョンが私の目的とするところに近く、その点にも親近感を覚えました。
その日のスナックジョイゾーのテーマはジョイゾー新入社員の皆さんが入社して半年の体験を語るものでした。新入社員の皆さんの話を聞いて感じたのは、四宮琴絵さんの存在の大きさです。ジョイゾーさんがここまで成長し、社風を育ててきた中で、琴絵さんの貢献は相当大きいはずだと感じました。この日、琴絵さんはいらっしゃいませんでした。が、私は琴絵さんと妻を会わせたいと思いました。そして妻にジョイゾー社内の雰囲気を知ってもらい、弊社の飛躍を手伝ってほしいと強く思いました。
琴絵さんのすごさは、スナックジョイゾーvol.7からほどなくして行われたCLS道東でも存分に感じました。釧路で行われたイベントで中心になっていたのは琴絵さんでした。

琴絵さんの姿をみて、私は妻のことを思いだしました。
私より数段も高いコミュニケーション能力を持っているにもかかわらず、妻は今までさまざまなコミュニティで挫折を味わってきました。妻がその能力を生かしきれず、空回りしていることに私はもどかしい思いを味わってきました。おそらく妻も自分で忸怩たる思いを抱いていたはずです。
妻は設立当初から弊社の役員です。が、今までは名のみの役員でした。それは私の責任でもあります。ですが、そろそろ弊社のために妻の力を尽くしてもらう時期がきたのです。

今回、スナックジョイゾーに妻を連れて行ったのは、琴絵さんとなら共鳴し合い、妻が何かを得られるのではないかという期待です。そして、ジョイゾーさんの様子から感じたことを弊社に還元してほしい、ということです。
四宮さんは言うまでもなくMr.kintoneの異名を持つすごい方です。経営能力や技術力など、私とは段違いのレベルです。ですが、四宮さんだけでは、ジョイゾーさんのこの雰囲気は作り出せなかったはず。夫婦で協力することが弊社には必要だったのです。
弊社がこれから大きくなるため、私に足りないのはチームビルディングの能力です。弊社がジョイゾーさんを目標にするうえで、妻の力は絶対必要になるはず。

ジョイゾーさんを目標とするのは、以下の理由で親近感を覚えているからです。
・四宮さんが単身で始められたこと。
・kintoneに賭けていること。
・四宮夫婦の関係性が、私と妻の可能性を感じさせてくれたこと。
・同じ東京にあること。
・高知や鎌倉や釧路といった地方を何とかしようとする視点があること。
・現時点のジョイゾーさんの規模が私の思う姿に近いこと。
・kintoneの将来性と両社の理念を考えると、同じ東京に拠点を構えていても競業の可能性が薄いこと。

実際、妻はジョイゾーさんの雰囲気にとても感銘を受け、共感もしてくれたようです。
妻も自分がワンオペで経営している歯科医院の今後に限界を感じているようです。そこで曲がりなりにも拡大している弊社への関与に可能性を感じてくれているようです。

このご縁を生かして、弊社がより規模を拡大し、kintoneのエコシステムに貢献できるようになること。
今回のジョイゾーさんとのご縁で妻が覚醒してくれたことで、私もより一層経営の可能性に手応えが感じられました。
私もジョイゾーさんを目標に、チームビルディングに努力しようと思います。弊社が成長してもジョイゾーさんはさらにその先を走っているでしょうが。

まずは四宮さんご夫妻とジョイゾー社の皆様、そして上に書いたご縁で関わってくださった皆様に感謝を申し上げます。特にじゅんちゃんこと片岡さん。高知でのご縁がきっかけとなり、さまざまな動きにつながりました。本当にありがとうございます。


逸翁自叙伝 阪急創業者・小林一三の回想


本書こそまさに自伝と呼ぶべき一冊。本当の自伝を読みたいと願う読書人に薦められる一冊であると思う。

阪急電鉄を大手私鉄の雄に育て上げただけではなく、宝塚歌劇団や東宝グルーブ、阪急ブレーブスの創設など興業の世界でも日本で有数の企業を育て上げた立志伝中の人。
線と点からなる鉄道を面の事業として発展させ、鉄道を軸にした都市開発や地域開発に先鞭をつけたアイデアマン。
独創的な着眼点でわが国の近代企業史に燦然と輝く経済人。
小林一三。ロマンチストであり続けながら経営の世界でも実績と伝説を残した希有の人物である。

明治以降、わが国の財界は多くの人物を輩出してきた。それら錚々たる人物列伝の筆頭に挙げられる人物こそ、小林一三ではあるまいか。
本書はその小林一三が自らしたためた自伝だ。しかも財界人が自らを思い返したただの随想ではない。かつて作家を目指し、新聞に連載小説を受け持っていた人物が書く自伝である。それが本書を興味深い一冊にしている。

小林一三が残した遺産の多くは、幼い頃の私にとっておなじみのものだった。阪急電車。西宮スタジアム。西宮球技場。宝塚ファミリーランド。宝塚大温泉。
私の人間形成において、おそらく小林一三が残した影響はいまだに残っているに違いない。
だが、このブログでも何度も書いたとおり、私は今の宝塚歌劇団の経営姿勢に良い印象を持っていない。

その一方で、小林一三が宝塚少女歌劇団を創設したときの純粋な志まで否定するつもりはない。少女歌劇を立ち上げるにあたっての試行錯誤は、小林一三が作家として挫折した思いを考えると尊い。
不評で廃業したプールの上に蓋をした「ドンブラコ」から始まったタカラヅカは、いくつもの試練を乗り越え、100年続く劇団に育った。その功績は小林一三のものだ。
自ら戯曲を書き、作詞まで手がけた異彩の人を抜きにしてタカラヅカは語れない。

小林一三は「私が死んでもタカラヅカとブレーブスは売るな」と言い残したと伝えられている。が、今の阪急グループを見て小林一三は何を思うだろうか。ロマンチストのアイデアがふんだんに盛り込まれたはずの事業は、企業を存続させるための論理の前にはかなくついえた。しかも阪急自身の手によって。
阪急ブレーブスはとうの昔に身売りされた。タカラヅカも少しずつ公演の重心を有楽町に移しつつある。宝塚ファミリーランドはなくなり、跡地にはどこにでもある商業施設がのさばっている。
本稿をアップする三週間ほど前、宝塚ファミリーランド跡地の横を車で走り抜けた。が、何の感興も湧かなかった。無惨と言うしかない。

今の阪急グループは大企業となった。つまり、株主や投資家の期待に応え、従業員を養わねばならない。それはわかる。だが、今の阪急グループにワクワクする感じを期待する事は出来ない。
経営が現実の中に縛られてしまっているのだ。経営が現実の中に逃げ込むほど、ロマンチストの思いを経営に色濃く反映させた小林一三の凄さは際立つ。
私は小林一三には尊敬の念しかない。
文学で身を立てようとして挫折し、実業界で才能を発揮した転身の妙。それも私には強烈な魅力として映る。
同じ経営者として、小林一三のユニークな経歴から学ぶべきことは多い。憧れと言ってもよい。

その型破りな発想の秘訣はなんだろうか。その発想の源泉はどこにあるのか。
その答えは、著者が自分を語る本書に載っているはずだ。小林一三が若き日の無軌道な振る舞いの中に。

著者は自分の幼いころからの日々を振り返り、その中で犯した過ちも包み隠さず書いている。

大学を十二月に卒業し、三井銀行に就職が決まった後も、入社式や卒業式もほったらかしで熱海に逗留しつづけ、そこで知り合った女性のことが忘れられず、ズルズルと出社を延ばして、結局三カ月も出社しなかったという。今の世では絶対に許されない行いだろう。
考えてみればのどかな時代ではある。現代の方が物質的にも技術的にもきらびやかで洗練されている。技術も進歩し生活も豊かである。が、実は日本人の精神力は半比例するように硬く貧しくなり、衰えているのではなかろうか。小林一三の破天荒な青年時代はそんなことさえ思わせる。

本書で語られる前半生の著者を見ていると、自分の核がない代わりに、降ってくる話を拒まない。自らの天分と天職に巡り合うまで、自らの境遇を定めずにいる。まず飛び込んでから身の振り方を考えている。
その姿勢こそが著者の大器を晩成させたのだろう。
その姿勢は、上にも書いた通り、本気で作家を目指していた著者の資質から導かれたものだろう。

慶応大に在学中の著者が山梨日日新聞に連載していた小説「練絲痕」も本書には収められている。
いくら当時の文壇が発展途上だからといって、新聞に連載を持ったことは大したことだ。著者は半ば職業作家だった。そして、そのような経歴の持ち主で、かつ著者ほどの実績を打ち立てた経営者を私は知らない。
著者の前半生は、謹厳な経営者とは真逆だ。無頼派と呼ぶにふさわしい乱脈なその姿は、作家が文士と呼ばれた頃のそれを思わせる。

著書がすごいのは、そこから生まれ変わったかのように経営に目覚めたこと。そして、経営にしっかりと若き日の自由な発想を活かしたことにある。
それでいながら、鉄道の開通にあたって資金繰りの厳しい時に見せた辛抱強さなど、それまでの著者とは打って変わった人間性を見せた事も著者の人生を決定づけたはずだ。

こうした著者の動きを念頭におき、仮に著者が同じ人格を持っていたとしよう。ここでもし著者が世間に合わせて勤め人であろうとし、冒険を控えていたらどうだっただろう。あくまでも仮定でしかないが、阪急で成し遂げたような多角化の発想は生まれなかったのではないだろうか。
自由な発想の持ち主が心の赴くまま、自由な振る舞いにおぼれ、存分に自らの心魂を理解したからこそ、経営者になった著者の脳内には発想の豊かな泉が涸れずに残ったのではないかと思う。

今のわが国の停滞が叫ばれて久しい。
その理由を画一的な学校教育に求める人も多い。
だが、同じくらい企業文化の中にも画一化の罠が潜んでいるように思う。

本書を読み、経営者としての目標の一つに著者を設定した。

2020/11/7-2020/11/10


住友銀行秘史


かつて私は、某大手銀行の本店に勤務していた。全国の行員が使う内部のシステム構築の担当として。
開発センターではなく本店の中での勤務だったので、いわゆるシステム開発の現場とは違った雰囲気の中での仕事だった。朝は早く、帰りも残業ができず、強制的に帰らされることが多かった。他の開発現場に比べて納期に直接追われない現場だったのはありがたかった。受けるストレスといえば、朝夕に都心まで通うラッシュアワーだけだった事を覚えている。

今までの私の社会人経験を振り返ると、カスタマーセンターや中小企業や開発現場が多い。
個人事業主としてエージェントに仲立ちしてもらい、常駐先に通うように初めの現場は某上に挙げた大手銀行とは別の銀行の開発センターであり、かなりストレスを受けた現場だった。
その次に入った本店が開発センターと違い、現場と本店ではこうまで違うのかという経験を積ませてくれた。

この時の本店の個人個人の行員の皆さまは私によくしてくださった。私が離任するとき、行員の皆さんが10名弱集まって私のために慰労の飲み会を開いていただいたことも思い出す。

とはいえ、私は今までのさまざまな経験から組織と言うものをあまり信頼していない。

個人としては人間味が豊かに感じられる方であっても、組織の中では組織の論理に従い、非情な振る舞いに徹する。それが組織の中に生きる現実であることは分かっている。
本書は、そのような組織の中の人の振る舞いを教えてくれる。

かつての銀行勤務経験が私に本書を手に取らせた。そして本書は、それ以上の気付きを私に与えてくれた。

私は本店にいたとは言え、しょせんは外部から来た協力会社の人間に過ぎない。もちろん、内部のグループウエアにアクセスできたので、普通の人が知り得ない情報に触れられた。が、それすらもきちんとリスクマネジメント部署による統制が効いており、私が触れられることができた情報などはほんの一握りだったはずだ。

本書は、当時部長だった著者がイトマン事件に揺れる住友銀行の内情を赤裸々に語っている。文字通りの事件の渦中にありながら、著者は当時のことを克明にメモに取っていたそうだ。本書はそのメモをもとに構成されている。

本書で取り上げられるイトマン事件は、戦後最大の経済事件と呼ばれる。
大阪の中堅商社である伊藤萬の経営が傾いた。住友銀行から送り込まれた河村社長の経営責任が問われる。当時、住友銀行の天皇の異名をとった磯田会長は子飼いの河村氏を伊藤萬に送り込んだ以上、尻ぬぐいのために動かざるを得ない。道理を無理が押し通し、磯田氏の家族を巻き込んだ不透明な金が伊藤萬に投入される。そこにつけこんだ闇のフィクサーとしての異名を持つ許永中氏や伊藤寿永光氏の名前が連日のように報道され、何人もの逮捕者を生み出した。

事件によって、数千億の資金が住友銀行から伊藤萬を通してのみ社会に消えていったとされている。
そうした一連の事件を指して、バブルに踊る当時の日本の虚しさを指摘する事はたやすい。

本書に登場する人物のほとんどは当時の部長以上の役職だ。ほとんどが取締役や副頭取・頭取・会長といった経営陣ばかり。一般の行員は本書にはめったに出てこない。つまりそうした高い地位の人々だけが自らの裁量で金を自由に動かせる。銀行の些末な業務など一般の行員にまかせておけばよい。そのような論理が透けて見える。
さしずめ、本書に登場するような人々から見ると、システムを作るだけの私など一顧だにされなかったはずだ。銀行の内部にいた私も、銀行の抱える闇も深みも何も見ていなかったに違いない。

そんな私が本書から感じたこと。それは、資本家のグループと労働者の価値基準の違いだ。資本家とはつまり、会長や頭取、執行役員などを示している。そして労働者とは部長以下の一般の行員をさしている。

あえて資本家と言う手垢のついた言葉を使ったのは、本書に登場する人物たちの言動が世の価値基準から浮いてしまっているからだ。本書には高位の役職の人しか出てこない。
かろうじて労働者に属する著者が、資本家の毒に染まらずに義憤を感じて内部告発に踏み切った。そういう構図が読み取れる。

本書を読んでいると、取り扱われる額の大きさにも時代を感じる。わが国が空前のバブル景気に湧いていた時代。銀行が、バブル景気の演出者として最も羽振りの良かった時代だ。
少しくらい審査が甘くても乱発される融資。財務や経理データの語る事実よりも人と人のつながりやしがらみが重んじられる取引。それは本書の記述のあちこちに記されている通りだ。
最もリスクに敏感だったとされる当時の住友銀行にしてこの有り様。つまり、ほとんどの銀行が同じような状況だったと理解して差し支えないだろう。
後の世にさんざん批判され、大手銀行を苦しめることになる不良債権の種。それが旺盛に世の中にまかれてゆくいきさつ。それこそが本書だ。
著者のメモも、誰それと会ったとか密談したとかばかり。帳簿とにらめっこして頭を絞る担当者の姿や窓口で預金者と対話するテラーの姿は全く登場しない。それは著者が部長という役職だから当たり前なのかもしれない。

本書は、著者が訴えたいバンカーとしての自らの存在価値を越え、好景気に浮かれた当時の銀行がわが国の失われた30年を作り出したことをはからずも告白している。

私が大学に入学する少し前に弾けたバブル。それは私の人生の漂流に少なからぬ影響を与えた。
幸いにして、私は銀行内に勤務する経験も含めて、さまざまな経験を積んできた。そして、今も経営者の端くれとして活動している。

私が本書から学ぶとすれば、自分が金を操るだけの人間に堕さないようにという戒めだろう。資本家としてただ単に金を操るだけの人間には。
経営者であってもその戒めは常に持ち続けたい。

2020/10/19-2020/10/20


スマレジアプリコンテストで佳作をいただきました


弊社の応募した「チェアサイドレジ」が第二回スマレジアプリコンテストで佳作をいただきました。
まずはこのような機会を作っていただいた上に、受賞の栄誉までくださったスマレジ社の皆様と審査員の先生方に御礼を申し上げます。

今回、応募したきっかけ。それは、昨年11/26に行われた「スマレジDevelopers Day」への参加でした。コロナでオンラインイベントが続く中、Cybozu Daysを除けば久しぶりのリアルイベントがこの「スマレジDevelopers Day」でした。(サイト)
会場では、第一回のスマレジアプリコンテストのグランプリ受賞者である大幸パートナーズさんが登壇されました。アプリ受賞にあたっての苦労など、スマレジアプリの作成にあたってのノウハウが聞けました。また、主催のスマレジ社からは、スマレジアプリストアの目的や意義についてのお話がありました。その中には、技術者にとってオープンな場を作りたいとの思いがこもっていました。


この中で、第二回スマレジアプリコンテストの募集要項も発表されました。
大幸パートナーズさんの受賞アプリであるcleeeanで実現した機能に感心し、スマレジアプリの仕組みにうなずく私。
その時、私の中にひらめきが降りてきました。
「これ、うちのココデンでも入れられるんちゃう?」と。
矯正歯科にスマレジを導入し、それをkintoneとつなぐ。その場でアプリの連携や構成が頭の中であらかた組み上げられてしまいました。

この頃、私の精神状態は結構参っていました。
それはCybozu Days 2021の出展によって弊社のメンバーと私の価値にずれが発覚したためでした。
人を雇うことの難しさ、経営の奥深さ。
Cybozu Daysではあえて私は経営者として裏方に徹しました。出展するコンテンツの開発も弊社メンバーか協力会社の技術者に委ねました。皆さんの頑張りもあって、Cybozu Daysでは並み居るブースの中で一定の存在感は出せました。成果はあったと思います。

その一方で、Cybozu Daysでは自分の技術者としての証しを封印してまで経営者に徹しようとしたのに、経営者としての能力に自信をなくしてしまった自分がいました。
このまま技術者として衰えていってもよいのか。自己研鑽はしなくても良いのか。技術者としてコンテンツを作る気概は残っていないのか。そんな葛藤と向き合う日々でした。

悩む日々の中で、自分の技術者・経営者としての長所や短所を見直しました。
見直す中で長所に挙がったこと。それは、私の妻が10年前から矯正歯科医院、ココデンこと、ココデンタルクリニックを経営していることです。
世の中には多くの技術者がいます。ですが、妻が歯科医で診療所を経営している技術者はあまりいないはず。その点、私は他の技術者に比べて恵まれているのかもしれません。

ココデンの開業や経営にあたっては、かなりの苦しみと苦労と試練がありました。私は妻の苦労をすぐそばで見ていました。また、歯科経営が家計に与える苦しみを共有しました。
ところが私がココデンの開院にあたって担った作業は、LINE/Facebookページの開設や初代のホームページ作成のみです。診療所のシステムに関する領域には一切関わりませんでした。
なぜ関わらなかったのか。それは、当初の開院時から電子カルテのシステムが業者によって導入されていたからです。それはスタンドアローンのサーバーで動いていました。ですが、アナログな妻はシステムを患者さんの口内写真の保存のみにしか使っていませんでした。
受付も雇っていないため、全ての業務は、妻がワンオペかつアナログ作業で回していました。
患者さんの診断カルテは手書き。支払い授受も現金による手渡し、またはCAFIS端末を利用したクレジットカード決済。
つまり、ココデンにはシステムを導入する余地がなく、私が関わる余地もなかったのです。

開院以来10年、経営で十分に苦しみ、試行錯誤を重ねてきたおかげか、ここに来て患者さんがコンスタントに来るようになりました。少しずつ経営も好転する兆しが見えてきました。
それとともに、妻も年齢を重ねてきました。ワンオペをいつまでも続けるのはしんどい。今回の機会に思い切ってシステムを取り入れるよう、妻を説き伏せられるかもしれない。
また、経営者として反省する中で、自社サービスの開発が必要ではないか、と課題を感じていました。

「スマレジDevelopers Day」の会場で私の脳裏に湧いた着想とは、こんな感じでした。
自分一人で開発し、その成果をスマレジアプリコンテストに応募してみよう!

今年の正月の三日間は、休みを取らずにシカレジ(仮称)の企画や構想に充てました。
正月が明けても、わたしの中からスマレジアプリコンテストへの思いは去りません。
政府の統計情報が蓄積されているサイトを何度も訪問して統計情報を分析しました。図書館では分厚い統計情報の本のページを繰りました。本屋に行くたびに歯科経営の専門書コーナーで長い間立ち読みして知識を蓄えました。
そうした作業の甲斐があって、少しずつシカレジに必要な項目や連携すべき点、オペレーションで改善すべき点について学ぶことができました。
もちろん妻にはどういう項目が必要かを聞きました。受付の運用なども見聞しました。また、妻の弟が埼玉県で歯科医院を経営しているので、訪問して電子カルテシステムの内容を見せてもらいました。

こうした作業から感じたのは、今まで私が有利な立場を活かしていなかったことです。目の前に歯科経営の教材があり、それを技術者・経営者としての糧にできたはずなのに、何の成果も得ていなかったこと。私はとてももったいない日々を過ごしていました。

1月はそんな風に過ぎていきました。開発にも取り掛かっていて、kintone内部やスマレジとの連携はうまく行きそう。
そんな中、1月の半ばにスマレジ社のご担当者様からいただいたのは、患者さん向けの情報ページをLINE ミニアプリで実装してみないかというお話です。
さらに、妻からはシカレジはダサいから、名前をチェアサイドレジに変えたほうがいいんじゃない?という提案まで。

ここでシカレジ、あらためチェアサイドレジについて概要を説明します。

チェアサイドレジの中で、患者さんが診療情報を確認する手段として私が考えていたのは、ウェブサーバーに認証付のページをおくことでした。
CMSでページを構築し、それをkintoneやスマレジと連動する。それらを連携する開発は経験済みなので可能。それが私の当初の目論見でした。
ところが、ここでLINEミニアプリという提案が登場します。私は、この時にご提案をいただくまでLINEミニアプリのことを全く知りませんでした。そもそもLINEと連動させるシステムすら全くご縁がなく、未経験でした。
でも、LINEのユーザー認証を取り入れられれば、セキュリティはさらに強化できそうです。セキュリティだけが弱いと感じていたので。残り時間は少ないけれど、チャレンジしてみよう、と決断しました。

ところが間の悪いことに、1月の末頃から本業の方で案件の引き合いを連日のようにいただくようになりました。
案件が来ると私が対応しなければなりません。要件定義やヒアリング、さらには上流工程などの調整。一方では既存の案件のコーディングの指導や指示を弊社メンバーに行います。案件の難易度によっては私が手を動かす必要が生じます。その合間には機密保持契約や基本契約の締結を行い、見積書や請求書の提示などの作業もこなします。もちろん経理業務や雑務も頻繁に発生します。それらが怒涛のように一気に押し寄せてきました。
私からチェアサイドレジに携わる時間が顕著に奪われていきます。

そのような案件の活況は、第二回スマレジアプリコンテストの締め切りの3月末どころか4月半ばまで続きました。
そのような状況に追われる中、私は正直、3月初旬の時点ではもう応募すらできまい、と半ばあきらめかけていました。
でも、気力を出し、わずかな合間に資料やアプリをまとめて応募にこぎつけられました。妻がロゴの原案を考え、イラストレーターの長女がそれをロゴデータにしてくれました。

受賞した時の思いは、この記事の中にも書いています。

率直に打ち明けると、「スマレジDevelopers Day」の時点で、私はヤマっ気を持っていました。
雇用やコロナ感染によって悪化してしまった財務状況を、スマレジアプリコンテストでグランプリをとることによって解消しようという欲。
ところが、案件の引き合いが増える中で、なんとか財務を持ち直すことに成功しつつありました。
そのため、4月の末にスマレジアプリコンテストで佳作を受賞したご連絡をもらった時、グランプリの1000万円を逃した悔しさはありませんでした。純粋にアプリが評価されたことへの感謝だけがありました。

5/26には第二回スマレジアプリコンテストの授賞式がありました。
最初のユーザーはココデンタルクリニック、つまり妻を予定しています。そのため、妻にはきちんとスマレジの仕組みを知ってもらう必要があります。そこで一緒に授賞式に来てもらいました。



授賞式は動画配信の予定があったのですが、機材のトラブルによって、私が登場するのは講評の部分からです。
ただし、妻が動画を撮影してくれていました。

なお、この時のスピーチで私は大したことを話していません。
むしろ、この後の座談会で話したことのほうが重要です。ただし、残念なことに動画は残っていません。
座談会では、各社さんの応募したアプリの工夫や思いも伺えました。また、店舗に訴求するスマレジの可能性を感じました。店舗オペレーションに特化したスマレジをkintoneが補完できる可能性も含めて。
弊社の価値は、kintoneの中だけに閉じていては発揮できません。kintoneをベースにした、他のPaaS/SaaSと連携するところにあると確信しています。

まだまだチェアサイドレジには直すべきところが残っています。それはこの記事でも書いた通りです。
これは私が引き続き開発していきます。自分でやるべきタスクだと思っています。
上に書いた通り、私自身に技術者としての可能性が尽きていないことの証し。それがこのチェアサイドレジだと信じているからです。

そして、弊社の将来のことを考えると、自社サービスの展開にチャレンジし経験を積んでおくことは、将来への布石としてやらなければいけないことももちろんです。

それらも含めて弊社にとってはとても重要な受賞だったと思います。
あらためて授賞式に来てくださった方、皆様、スマレジ社、審査員の皆様、ありがとうございました。


サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ


サイゼリヤは私が上京してからよく訪れているレストランだ。さまざまな店舗を合わせると、百回近くは行っているはずだ。
その安さは魅力的だ。そして味も常に一定のレベルの品質が保たれている。
(一度だけ、わが家の近所の店であれ?ということはあったが)

著者はサイゼリヤの創業者であり、今も会長として辣腕を振るっている。
その著者がサイゼリヤを創業し、経営していく中でどのように一大チェーンを築き上げたのか。そのノウハウや哲学を語るのが本書だ。

本書は、レストランの業界誌に連載されていた内容をもとにしているという。そのため、ページ数はさほど多くない。とはいえ、内容がコンパクトにまとめられているので、著者なりの経営の要点が学べる。

私が経営者として感じている壁は無数にある。その一つが、個人からチェーン展開への壁だろう。
個人で全てを回せているうちはまだいい。だが、規模を拡大しようとした途端、個人の能力や時間では賄えなくなってしまう。個人には24時間しか与えられていないからだ。
そこで人を雇う。さらに拠点を増やす。そうなると経営者の目は行き届かなくなる。個人のノウハウをどうやれば伝達できるのか。社員を多く雇い、規模を大きくするには、個人のノウハウを伝達しなければならない。スキル、哲学、規律。それを教えることが最初の壁だ。経営者が自らのビジネスを拡大するためには、まずその壁を乗り越えなければならない。その壁は高く険しい。
それは私自身が今、零細企業の経営者として実感していることだ。

本書は、地に足のついた経営を実践する上で参考になる点が多い。
個人から組織へと規模を拡大するにはどうすればよいか。
本書を読むと、サイゼリヤの成長の軌跡が分かる。サイゼリヤは、資金を調達し、急拡大を遂げてきたのではない。本書から受けるのは、一歩一歩徐々に規模を大きくし、自社でノウハウを積み上げながら経営を進めてきた印象だ。
それは経営の壁にぶつかっている私の立場からは、とても心強い。融資を受けるにはハードルが高いからだ。

著者は市川で開業した一号店で、多くの苦労と失敗をした。そしてそこから多くを学んだ。
著者は状況を打開するため、イタリアに視察に行った。そしてイタリア料理に着目した。当時は高級料理だったイタリア料理に着目したのは著者の先見の明だ。だが、それだけではない。そこから、思い切って金額を下げることで他店との差別化を行った。それらは著者が失敗から学んだことであり、それも著者の明断だといえる。

金額を下げる。それは、いわゆる安売りである。だが、一般に安売りはよくないとされている。私自身、かつては自分の単価を安く設定してしまい、自分の価値を下げてしまった失敗がある。
だが、著者は安く売ることで状況を打開した。私もそこを本書から学びたいと思った。

安売りといっても単に安く売るのではない。安く売るためには、安くてもなお、利益を出せなければ。そのためには利益を出すための体制が欠かせない。

著者は創業の頃から人時単位での生産性を重視してきたという。粗利益÷従業員の1日の総労働時間。この基準を著者は6000円という金額に設定しているそうだ。
また、ROI(Return On Investment)、つまり投資利益率を求める計算式は利益÷投資額×100だ。これも最低基準として20%に設定しているとのこと。

本書を読んでいると、サイゼリヤの成功の秘訣が見えてくる。それは、創業者である著者がどんぶり勘定ではなく、初めから利益と経営への意識をしっかり持っていたことによるのだろう。
だからこそ、継続的に成長を刻みながら、今の規模まで育てられたのだと思う。

もちろん成功の理由はそれだけではない。商品開発や組織開発なども必要だ。本書には財務だけでなく、経営全体に対する著者の努力も書かれている。
財務と組織。その両輪をきちんと押さえていたからこそ今のサイゼリヤがあるのだろう。

翻って私の反省だ。
私は個人で動くことに慣れてしまっていた。一人でやる分には、仕事も十分に回る。私は独立したとはいえ、長い期間を常駐の現場で働いてきた。そのため、私が本当の意味で経営者となったのはごく最近のことだ。常駐から抜け、個人で仕事を請けて回すようになったこの五年。それが私の経営者としての歴史だ。

この五年、個人で仕事を回せるようになってきた。とはいえ、著者の例でいうと、私はまだ、商品開発に没頭している状態だ。組織開発や財務への意識は二の次。
著者を例に例えると、店内で調理をしながら配膳をし、レジ打ちもこなしている。それが私だ。多店舗展開とは程遠い状態にある。

ようやく本書を読んだ数カ月後から、弊社でも人を雇い始めた。ようやく次の壁を乗り越えようとし始めたのだ。

その壁を乗り越えるためにも、経営者としての心の持ち方を養わねばならない。また、失敗を次への教訓として生かさねばならない。また、経験を次代に伝えなければならないし、そのためにも公平な評価を心掛けなければならない。あれもこれも追うのではなく、要となる商品をベースにおき、数値目標は一つに絞る。
ここに書いたことは、どれも本書にも書かれている経営の要諦なのだろう。

そして、経営を行うためには、単なる精神論に頼らない。気持ちを前向きに持ちながらも、押さえておくべき経営のツボはきちんと把握する。その大切さ著者は説いている。
それは例えば在庫回転率や立地の重要性である。著者はそうした観点や指標を例に挙げる。ただ、著者が経営するチェーンストア業界ではなく、それぞれの読者の属する業界によって、その指標は臨機応変に変わるはず。まずはそれを理解すべきだろう。

例えば私のような情報処理業界の場合に置き換えてみる。
例えば、適切な案件が継続的に請けられ、その用意と準備と実装と保守が順調に回る状況。それこそがあるべき姿なのだろう。
そのためには、自社の得意分野を踏まえた上で、正当な商圏を見据える。そして、むやみやたらと広告や営業を打つのではなく、特定の企業に売り上げを依存するのでもなく、適度に分散してリスクを負わない営業チャネルを構築する。そんなところだろうか。

著者は働くことは幸せになることだ、という理念を掲げ、それを常に見直しているという。さらに、経営に失敗という概念はなく、失敗に思えるものはすべて次へつながる成功なのだとも説く。
そして、著者が説くことでもっとも私の心に刺さったことがある。それは、変化に対応するために必要なのが「組織」だと著者はいう。
普通に考えると、機動力と行動力のある一人の方が変化に対応しやすいのではないか。だが、一人だと、対応できるのは一人が動ける時間に限られる。一人の一日の持ち時間は24時間だ。
だが、組織の場合、人数×営業時間が持ち時間として与えられる。分業だ。それぞれが分業をこなし、その能力を磨きつつ、能力を発揮する。それができたとき、組織は一人の時よりも変化に対応できる。

本書で著者が説いている内容は決して難しくない。だからこそ、理屈をこねくり回す必要もない。経営とは複雑なものではなく、本来は単純なものなのかもしれない。だが、そう分かっていても経営は難しい。だが、経営者はそれをやり遂げなければならない。

私は自分の会社をどうしたいのか。経営理念は作り、雇用に踏み切った。失敗もして、ようやく少しずつ組織が形になりつつある。
税理士の先生、社労士の先生に加え、人財コンサルタントの方にもご指導を受けている。
本書で学んだこと、諸先生方のご指導を踏まえ、少しずつ経営の実践と安定に努力しようと思う。

2020/10/5-2020/10/5


2022年2月のまとめ(法人)


令和四年二月。
北京五輪が終わりました。ですが、オミクロン株の患者数は高止まりしたままです。
高揚と混乱が依然として世界を覆う最中、ウクライナにロシア軍が侵攻をはじめました。国際関係に起こった混乱は、平穏無事な日々から私たちをさらに遠ざけていきます。

戦後から今まで、成長を遂げてきたわが国。バブルが弾けてからの30年、長期停滞が叫ばれていた間も、わが国の文明水準は諸国に比べて高いレベルを享受してきました。
ですが、その状態に慣れてしまったわが国を尻目に、新興国がぐんぐんと成長を遂げ、わが国を抜き去っていきます。

ウクライナがロシア軍に攻め込まれたことは、いくら日本国内が安定していても、諸外国が何を起こすかわからないリスクの前では無力な事を私たちに教えてくれました。
ただでさえわが国にはさまざまな課題があります。諸外国のリスクや自然災害のリスクも考えると、生産性を阻害するような商慣習ぐらいは改めておかないと。今のままではいざ有事が起こった際に対応できません。
それには働き方の改革が欠かせません。既存の成功体験はとっくに古びてしまいました。高度成長の成功に酔った過去は忘れた方が良さそうです。
新たな働き方に考え方をアップデートしていかなければ。つまり、リモートワークを前提とした働き方に対応していかねばなりません。常に前向きに、未来を見て考える。その癖をつけておかなければ。

弊社でもそれは同じ。まだまだ課題は山積みです。昨年の反省を真摯に考えるため、今年から心機一転してさまざまな活動に取り掛かっています。
昨年末からは、持続可能な経営体質に変えようと自社サービスの開発も始めました。避けていたSESも、メンバーの成長を考え、受けることにしました。

達成度6割。達成感6割。満足感5割。それが今月の代表自身の自己採点です。

まずはもう一度足元を固め直します。
弊社とご縁をいただいたすべての方々に感謝します。ありがとうございました。


●弊社の業績

§ 総括 二月度の売上は、まだ確定していませんが、目標額には到達できました。ただ、年間を通してみると最低ラインに届かない見込みです。昨年の10月の落ち込みが響いています。
あと一か月、がんばって積み上げなければ。

お陰様で今月は多数の引き合いを頂きました。ほぼ毎日といってもよいほど、新たなお話を頂きました。土日祝ですら新たなご相談を何件も頂きました。

そうした案件に対応できる体制を構築するため、今年に入ってからは最低でも週二日、サテライトオフィスにおいて対面で教えながらの開発を行っています。
お陰で、kintoneの中だけで完結できるようなご要望については、うちのメンバーだけで回りつつあります。
ただ、kintoneだけで回せるような案件は小規模です。売上の中では小規模であり、大きな案件も引き受けて行かなければ。弊社の価値とは他のPaaS/SaaSとkintoneを連携させることにあると置いているので。

そうした他のPaaSやPaaSとkintoneを連携するにあたっては、全体の設計や細部の構築が必要です。これらを担うための代表のリソースは、新たな案件を次々と頂いていることもあって不足しています。

Cybozu Days 2021で得たご縁やその他のチャネルから、新たな案件の引き合いはいくつもいただけています。
やはり、Cybozu Days 2021に出展したことで弊社の認知度はさらに上がったように思います。

ですが、それをこなすだけの開発スピードを確保しなければ。スピードが落ちると、昨年のコロナ感染の後の弊社が経験したようにサイクルが崩れます。そうなった途端、経営にダメージを受けます。
そのためにも、メンバーに対する教えを強化していきます。私も、技術顧問の方にも案件に携わっていきながら。

今月は弊社にとって以下のようなトピックがありました。
・代表が分報を始めました。
・サイボウズ社よりバレンタインデーのチョコをいただきました。
・弊社ではブロックしていたSES的な半常駐の案件をお請けすることにしました
・弊社契約としては約11年ぶりに新たなkintone環境を契約しました。

実績を出しつつ、日常も充実させるための工夫。それらは全て、代表の求めるワークライフバランスの実現につながってゆくと信じています。


§ 業務パートナー 今年からサテライトオフィスにて弊社メンバーに対して対面開発をして教える。そう決めたことで、サテライトオフィスへの訪問頻度を増やしています。

数年前から一緒にやっている有限会社シンボ技研様は、昨年のCybozu Days 2021でも出展やスタッフ協力でもお世話になりました。
弊社のサテライトオフィスは有限会社シンボ技研様のオフィスの一部をお借りしています。
そのご縁をこの春からさらに強化しようと思っています。来月早々より作業をお願いするつもりで考えています。

昨年末から今年にかけては、他の企業様からも複数の協業の提案をいただいています。
そうしたご提案をおこなってくださるのはとてもありがたいのですが、協業のご提案の多くは弊社にとっての発注元としてのお申し出です。現状で案件の引き合いを多数いただけている弊社が、これ以上の案件を請けることについては慎重に進めていかねばと自重しています。リソースの問題がありますので。

また、業務を単に丸投げしてしまうことも慎むつもりです。外注は弊社のノウハウにならないばかりか、外注費が増加による財務諸表への悪影響にも繋がります。
そのため、なるべく外注費を抑え、弊社が直に実装する体制をとりたいと考えています。

とはいうものの、昨年末から、代表が自分にかけていたいくつかの心理のブロックを外しました。例えばオフショア開発、常駐、サービス開発も含めて。

外したブロックの中には、業務パートナーとの関係性も含めています。今後は柔軟に付き合っていこうと思います。

§ 開発案件 今月は九割の開発案件がkintoneがらみでした。
ありがたいことに複数の案件のお話を連日のようにいただいています。これもCybozu Daysへの出展など、露出してきた効果だと思っています。

昨年の師走から、初心に戻ってうちのメンバーにもう一度kintoneを教えながら、じっくりと育てていく方向に舵を切りました。
私も焦っていたのかもしれません。能力以上の仕事を振ってしまっていたと思っています。いろいろとある反省点を踏まえ、難しい案件は私と技術顧問とで開発も含めて取り組む方向に舵を切りました。

ただ、それ以上に案件のお話をいただけている今、じっくりと育てる悠長なやり方が厳しくなってきました。

新規案件の実装に私と技術顧問が携わることで開発速度を上げています。
しばらくは、経営者としての理想を追うだけの振る舞いをやめ、一作業者として原点に戻ります。おそらくしばらくは休みも取れないでしょう。
ただし、経営者がワーカーに奔走していては社の発展は望めません。
代表が経営に時間を割けなくなると、大所が見えなくなり経営上のリスクとなります。
弊社の発展を進めるためにも、ここを早く何とかしないと。

今月は3DCADソフトウエアや、3Dプリンターでも新たな勉強をさせてもらいました。



§ 財務基盤の堅牢化 財務をきっちりすること。前からの課題です。
弊社としては問題ないのに、家計が絡むととたんに脆弱になる。
いつになればこの状態が落ち着くのか。財務基盤の弱さをいかにして克服するか。課題は山積みです。

少しずつ財務状況に希望は見えてきていますが、まだ気を緩めるわけにはいきません。
財務の件は、引き続き最優先で取り組んでいきます。

§ 社内体制 昨年の師走の初めに、一年前に作成した社是、企業理念、経営理念やスローガンを見直しました。メンバーが離任した理由に、肝心な部分の価値観のずれがあったためです。そこで年始にあたり、三人でもう一度忌憚のない意見を交わしながら、それらを練り直しました。以下に掲示します。

企業理念
「情報技術を生かして、
正直に、飾らずに、自分、家族、パートナー、お客様、地域に寄り添う」

経営理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

9つ(ナイン)の「ない」
「組織図はない」
「タイムカードない」
「ノルマは設けない」
「多数決で決めない」
「社長室は作らない」
「肩書きもいらない」
「皆が経営者の行い」
「定年は強制しない」
「雑談は惜しみない」

アクアビットに合う方
「家族を大切にする気持ちのある方」
「仲間を大切にできる方」
「笑顔のある方」
「まず肯定から入る方」
「夢を持ち続ける方」
「人の話を聴ける方」
「人間が好きな方」
「可能性を信じる方」
「自分が好きな方」
「自分で仕事を見つける方」
「会社に滅私奉公せず公私を大切にする方」

メンバーの募集を出した時と考え方の軸はぶれていません。

先々月から、東京都中小企業振興公社の方に人財制度についてのアドバイスを受けることになりました。
アドバイザーの方からもビジョンや価値観を持つことは大切、とのお墨付きを頂きました。今月もZoom越しでアドバイスを行って頂きましたが、弊社の方向性に間違いはないようです。
単なる金稼ぎのためのビジネスに堕す事がないよう、これからも理想を忘れない経営に励みたいと思います。

ただし、理想とはあくまでも継続的に経営が成り立つ体制があってこそ。業務基盤を疎かにしてはいけません。
そのためにも、弊社では継続的な案件やサービスの構築に力を入れ、それが今月は成果を上げています。

今年からは、昨年アドバイスを頂いたとおり、人事評価と技術スキル評価を混同しないように心がけています。
また、今年からはSlackのハドルミーティングの頻度を下げ、できるだけ顔の見えるZoomの打ち合わせに戻しています。またSlackでは朝夕に出退勤の連絡を入れてもらうように運用を変えました。

昨年の真摯な反省をもとに、まず経営の運用をきっちりすることを目指します。

§ 人脈の構築 年始からのコロナ・オミクロン株のまん延によってまん延防止法が発令され、リアルでお会いする機会がますます減りました。
リアル対面で行う商談がいくつかオンラインに切り替わりましたが、リアルでも三回ほどお客様との打ち合わせを行いました。また、世の中がオンライン商談を前提で動き始めており、新たなオンライン商談も含め、多数のオンライン上のご要望をいただきました。岡山、福島、愛知、佐賀など場所にとどまらないお話をいただいています。
今月、頂戴した名刺は8枚です。

もう少しオミクロン株のまん延はつづくでしょうから、こうしたご縁をこれからも大切にしたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

§  対外活動 今月はこちらのイベントに参加しました。freee受発注✖️NINJA SIGN連携リリースセミナー(2/3)。

今月、登壇する機会はありませんでしたが、来月はkintone Café 神奈川 Vol.11を開催する予定です。オミクロンはまだ猛威をふるっているでしょうけれど、オンラインとリアルの併催を実現させます。

オミクロン株のまん延により、予定していた飲み会などもゼロになってしまいました。リアルの場の商談すら三回しか行っていません。

そうした状況を基に弊社の認知度を上げる施策の一環として、今年からnoteに毎営業日に記事をアップしています。これは2年ほど前から弊社とパートナー会社向けのSlackに毎朝アップしていた「朝の雑感」を外部向けに公開するものです。内部に公開した後、二日遅らせてnoteに書いています。

弊社の開発や記事執筆のお仕事はこうした対外活動から生まれています。代表自身による新たな交流を発信することは絶対に怠ってはならないと肝に銘じています。

きっと、必ずや、コロナは小康状態に落ち着くと信じ、また皆様と交流を深めたいと思っています。
まずは今月の弊社と関わっていただいた皆様、誠にありがとうございました。

§ 執筆活動 以前に連載していたCarry Meさんの運用する本音採用サイトの「アクアビット 航海記」を弊社サイトにアップする作業ですが、今月は1本アップしました。
(「アクアビット航海記 vol.40〜航海記 その25」)
正社員になったことで担うことになった作業と、それが私を鍛えてくれたことを振り返っています。

今月、書いた本のレビューは3本(
R帝国
人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?
黄金峡

今月、書いた抱負は0本() 。
今月、書いた旅日記は0本() 。
今月、書いた物申すは0本() 。
今月、書いた弊社の活動ブログは0本()。
今月、書いた弊社の技術ブログは0本()。

なお、先月から毎営業日にnoteに書き始めた記事ですが、今月は以下の内容をアップしました。
2月 1日 限界鉄道が復活した喜び
2月 2日 リーダーシップについて
2月 3日 節分の日の心構え
2月 4日 3D造形はSFでなく現実だった
2月 7日 人工雪の北京冬季五輪
2月 8日 ワーケーションの熱が再び
2月 9日 メタバースにどう付き合うか
2月10日 データを扱う教育が必要
2月11日 建国記念の日に祖先に感謝
2月14日 ルールを決めることの限界
2月15日 音楽ビジネスの変革の波
2月16日 技術者の初心を思い出す
2月17日 分報を始めて得た気づき
2月18日 リモート不可の仕事すら…
2月21日 選挙に限らず自己発信力を
2月22日 ウクライナ情勢がいよいよ
2月23日 スポーツ観戦からの気づき
2月24日 Web3.0に乗り遅れの自分

§ 年表

・二月お仕事

御徒町SeaForce様で商談、カフェCreateaで作業、武蔵小杉で商談、中原図書館で作業、稲城Starbucksで作業、ファミリーマート 町田鶴川駅北店で作業、江戸川区で商談、ミニストップ 二俣川店で作業、倉式珈琲店二俣川で商談、ドトールコーヒー二俣川で打ち合わせ、相模大野駅コンコースで作業、コーチャンフォー 若葉台店で本を購入、ホテルJALシティ関内横浜で作業、アクアビットサテライトオフィス×9

§ ツイートまとめ
・二月ツイート

https://togetter.com/li/1852148


2022年1月のまとめ(法人)


令和四年一月。
オミクロン株が今まで押し寄せた五度の感染増加の波をさらに上回り、未曽有の陽性者数を増やし続けています。
その一方で日本各地やトンガでは地が震え、地球のあちこちが不気味な兆候を示し続けています。
弊社も事業継続計画を考えねばと思いつつ、日々の業務を回しています。

コロナや地震に関係なく、わが国にはさまざまな課題があります。それを解決するには働き方の改革が欠かせません。既存の成功体験はとっくに古びてしまい、高度成長の成功に酔った過去は忘れ、新たな働き方に考え方をアップデートしていかなければ。つまり、リモートワークを前提とした働き方に対応していかねばなりません。

弊社でもそれは同じ。まだまだ課題は山積みです。昨年の反省を真摯に考えるため、今年から心機一転してさまざまな活動に取り掛かっています。
昨年末からは、持続可能な経営体質に変えようと自社サービスの開発も始めました。

達成度5割。達成感6割。満足感4割。それが今月の代表自身の自己採点です。

まずはもう一度足元を固め直します。
弊社とご縁をいただいたすべての方々に感謝します。ありがとうございました。


●弊社の業績

§ 総括 一月度の売上は、まだ確定していませんが、目標額には到達できない見込みです。


社会の働き方改革の流れは弊社にも多くの案件の引き合いとして及んでいます。ですが、弊社に完全なリモートワークはまだ早すぎたと昨年末に反省しました。
そこで今年からは最低でも週二日、サテライトオフィスにおいて対面で教えながらの開発を行っています。
なぜそうしたかというと、受注をいただいてから御検収の期間まで、一定の期間がどうしても必要だからです。一定の期間が必要なため、それぞれの作業フェーズを並行でこなしながら、少しずつその期間をずらす必要があります。そうすることで毎月継続的に御検収と御入金をいただけるサイクルが回転します。
ただ、昨年は案件の実装も遅れた上に、代表がコロナウイルスに感染してしまいました。それによってこのサイクルが完全に崩れてしまいました。そこにメンバーへの給与が入ってきたことが、弊社の経営にダメージを与えました。

もっとも、おかげさまで案件は次々といただけています。今月も新たな案件の開発を始めました。来月以降に向けても複数の新たな案件の引き合いをいただけています。しかも、継続的な有望な案件の引き合いが複数。これは来期の業績を考える上で好感触です。

Cybozu Days 2021で得たご縁やその他のチャネルから、新たな案件の引き合いはいくつもいただけています。
やはり、Cybozu Days 2021に出展したことで弊社の認知度はさらに上がったように思います。

ですが、それをこなすだけの開発スピードを確保しなければ、上に記したとおり、今のやり方はサイクルがいったん崩れると途端に経営にダメージが生じます。
そのためにも、メンバーに対する教えを強化していきます。私も、技術顧問の方にも案件に携わっていきながら。
私自身、正月の三日間はほぼ仕事に携わっていました。

今月は弊社にとって以下のようなトピックがありました。
・noteで毎朝代表が記事のアップを始めました。
・はたママプロジェクト様のサイトにて昨年末に代表が受けたインタビューを記事にアップいただきました。
・代表がkintoneエバンジェリストの年次更新を行いました。
・弊社がサイボウズ社オフィシャルパートナーの年次更新を申し込みました。

実績を出しつつ、日常も充実させるための工夫。それらは全て、代表の求めるワークライフバランスの実現につながってゆくと信じています。


§ 業務パートナー 今年からサテライトオフィスにて弊社メンバーに対して対面開発をして教える。そう決めたことで、サテライトオフィスへの訪問頻度を増やしています。

数年前から一緒にやっている有限会社シンボ技研様は、昨年のCybozu Days 2021でも出展やスタッフ協力でもお世話になりました。
弊社のサテライトオフィスは有限会社シンボ技研様のオフィスの一部をお借りしています。
そのご縁をこの春からさらに強化しようと思っています。

昨年末から今年にかけては、他の企業様からも複数の協業の提案をいただいています。
そうしたご提案をおこなってくださるのはとてもありがたいのですが、弊社にとっては発注元となります。現状で案件の引き合いを多数いただけている弊社が、これ以上の案件を請けることについては慎重に進めていかねばと自重しています。リソースの問題がありますので。
その時、よほどの信頼関係が構築で来ていない限りは、弊社の業務をお願いするパートナー企業は増やさないようにしようと思います。
たとえば信頼関係にあるシンボ技研様に案件をお願いする場合でも、かつてのように業務を投げっぱなしにする方法だと弊社の利益になりません。そもそもSESには手を出すつもりはありません。うまくバランスをとりながら、弊社にとってもプラスになるような案件をこなしていこうと思います。

すでにある案件については弊社は開発に従事せず、パートナー企業にお任せしています。今後も弊社であまりノウハウのない案件は、パートナー企業や技術者さんに振るつもりでいます。

昨年末から、自分にかけていたいくつかの心理のブロックは外しました。例えばオフショア開発、常駐、サービス開発も含めて。

外したブロックの中には、業務パートナーとの関係性も含めています。今後は柔軟に付き合っていこうと思います。

§ 開発案件 今月は九割の開発案件がkintoneがらみでした。
ありがたいことに複数の案件のお話をいただけています。これもCybozu Daysへの出展など、露出の効果だと思っています。

昨年の師走から、初心に戻ってうちのメンバーにもう一度kintoneを教えながら、じっくりと育てていく方向に舵を切りました。
私も焦っていたのかもしれません。能力以上の仕事を振ってしまっていたと思っています。いろいろとある反省点を踏まえ、難しい案件は私と技術顧問とで開発も含めて取り組む方向に舵を切りました。

新規案件の実装に私と技術顧問が携わることで開発速度を上げています。
しばらくは、経営者としての理想を追うだけの振る舞いをやめ、一作業者として原点に戻ります。

とはいえ、弊社の発展を諦めたわけではありません。そもそも経営者がワーカーになっては社の発展は望めません。
なので、来季に向けて手を打ってもいます。福岡の久米さんにお声がけいただいたkintone開発フレームワークのGAMENIにも参加しています。また、弊社内でもPHPのAPIの連携クラスは多数のSaaSに適用中です。
また、今月は反省を生かして複数の心理ブロックを外しました。そうして得た成果は、弊社の利益構造と売り上げ構造を変えていくはずです。今年の春には必ずや成果をあげて見せます。


kintoneはTVCMの効果もあったのでしょうが、認知度が飛躍的に上がっています。仕事の中でkintoneを知らないという方に出会うこともほぼなくなりました。
今月はサイボウズ社よりCybozu.com10周年のアメニティグッズもいただきました。βテスターから関わっていた弊社にとってもとても感慨深い出来事です。

実際、弊社にはさまざまにお声がけをいただけるようになりました。
来月以降にも、続々とお話をいただいています。それらをきちんとこなすためにも、準備と実装のための環境は作っていかねば。
弊社としてもまだkintoneを広めていきたいと考えているため、代表はkintoneエバンジェリストの年次更新を申し込みましたし、弊社としてもサイボウズ社のオフィシャルパートナーの更新を申し込みました。



§ 財務基盤の堅牢化 財務をきっちりすること。前からの課題です。
弊社としては問題ないのに、家計が絡むととたんに脆弱になる。
いつになればこの状態が落ち着くのか。財務基盤の弱さをいかにして克服するか。課題は山積みです。

とはいえ、この四ヶ月は家計のせいにできません。明らかに弊社のパフォーマンスが落ちていたからです。

少しずつ財務状況に希望は見えてきていますが、まだ気を緩めるわけにはいきません。
財務の件は、引き続き最優先で取り組んでいきます。

§ 社内体制 昨年の師走の初めに、一年前に作成した社是、企業理念、経営理念やスローガンを見直しました。メンバーが離任した理由に、肝心な部分の価値観のずれがあったためです。そこで三人でもう一度忌憚のない意見を交わしながら、それらを練り直しました。以下に掲示します。

企業理念
「情報技術を生かして、
正直に、飾らずに、自分、家族、パートナー、お客様、地域に寄り添う」

経営理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

9つ(ナイン)の「ない」
「組織図はない」
「タイムカードない」
「ノルマは設けない」
「多数決で決めない」
「社長室は作らない」
「肩書きもいらない」
「皆が経営者の行い」
「定年は強制しない」
「雑談は惜しみない」

アクアビットに合う方
「家族を大切にする気持ちのある方」
「仲間を大切にできる方」
「笑顔のある方」
「まず肯定から入る方」
「夢を持ち続ける方」
「人の話を聴ける方」
「人間が好きな方」
「可能性を信じる方」
「自分が好きな方」
「自分で仕事を見つける方」
「会社に滅私奉公せず公私を大切にする方」

メンバーの募集を出した時と考え方の軸はぶれていません。

先月から、東京都中小企業振興公社の方に人財制度についてのアドバイスを受けることになりました。
アドバイザーの方からもビジョンや価値観を持つことは大切、とのお墨付きを頂きました。今月もZoom越しでアドバイスを行って頂きましたが、弊社の方向性に間違いはないようです。ただ日々の運用が間違っているだけで。
単なる金稼ぎのためのビジネスに堕す事がないよう、これからも理想を忘れない経営に励みたいと思います。

ただし、あくまでも継続的に経営が成り立つ前提です。業務基盤を疎かにしてはいけません。今年からは、昨年アドバイスを頂いたとおり、人事評価と技術スキル評価を混同しないように心がけています。
また、今年からはSlackのハドルミーティングの頻度を下げ、できるだけ顔の見えるZoomの打ち合わせに戻しています。またSlackでは朝夕に出退勤の連絡を入れてもらうように運用を変えました。

昨年の真摯な反省をもとに、まず経営の運用をきっちりすることを目指します。

§ 人脈の構築 先月頭のCybozu Days 2021からリアルのイベントが少しずつ増えてきました。
ですが、年始からのコロナ・オミクロン株のまん延は再びリアルでお会いする機会を奪いました。対面で行う予定がいくつかオンラインに切り替わり、技術者さんとの飲み会も中止になりました。
今月、頂戴した名刺は2枚ですが、実際は私用に近い場で頂いたので、仕事の商談で頂いた名刺は0枚です。リアルの商談すら三回だけしか行っていません。

とはいえ、オンラインでまだ緊密な関係を結べていなかった何人かの方と、より突っ込んだ商談を行いました。一度イベントで会っただけの関係から次の関係に進めたことは今後に向けてよい結果を生みそうです。実際、よいご縁につながりそうな気もしています。
はたママプロジェクトさんからも昨年末に受けたインタビューを記事にしていただきました。

もう少しオミクロン株のまん延はつづくでしょうから、こうしたご縁をこれからも大切にしたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

§  対外活動 今月は以下のイベントに参加しました。Re:Change User Conference(1/18)。スマレジ プラットフォームAPIを使ったアプリ開発方法を伝授!(1/18)。

今月、登壇する機会はなかったのですが、はたママプロジェクトのサイトにてインタビューを記事にアップしていただきました。このインタビューは昨年末に受けたものです。
https://www.hatarakumama-pj.com/posts/interview1061/

オミクロン株のまん延により、予定していた飲み会などもゼロになってしまいました。リアルの場の商談すら三回しか行っていません。

今年からnoteに毎日記事をアップしています。これは2年ほど前から弊社とパートナー会社向けのSlackに毎朝アップしていた「朝の雑感」です。内部に公開した後、二日遅らせてnoteに書いています。

弊社の開発や記事執筆のお仕事はこうした対外活動から生まれています。代表自身による新たな交流を発信することは絶対に怠ってはならないと肝に銘じています。

きっと、必ずや、コロナは小康状態に落ち着くと信じ、また皆様と交流を深めたいと思っています。
まずは今月の弊社と関わっていただいた皆様、誠にありがとうございました。

§ 執筆活動 以前に連載していたCarry Meさんの運用する本音採用サイトの「アクアビット 航海記」を弊社サイトにアップする作業ですが、今月は1本アップしました。
(「アクアビット航海記 vol.39〜航海記 その24」)
家の処分に向けて動き始めたことや、初めて自分で契約文書を作ったことなどを振り返っています。

今月、書いた本のレビューは14本(
ウルフ・ホール 上
ウルフ・ホール 下
神去なあなあ日常
憂鬱な10か月
日本でいちばん大切にしたい会社 7
ベルカ、吠えないのか?
不思議な数列フィボナッチの秘密
タイガーズ・ワイフ
日本でいちばん大切にしたい会社
日本でいちばん大切にしたい会社 2
明日をどこまで計算できるか? 「予測する科学」の歴史と可能性
波形の声
夜更けのエントロピー
幻のオリンピック 戦争とアスリートの知られざる闘い

今月、書いた抱負は1本(
2022年の抱負
) 。
今月、書いた旅日記は0本() 。
今月、書いた物申すは0本() 。
今月、書いた弊社の活動ブログは0本()。
今月、書いた弊社の技術ブログは0本()。

§ 年表

・一月お仕事

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明日をどこまで計算できるか? 「予測する科学」の歴史と可能性


本書は、科学は果たして未来を予測できるのかという点に着目した一冊だ。
人工知能が世界を滅ぼす可能性が取り沙汰されている昨今だが、果たして今の科学は未来を確実に予測できるのだろうか。

それを克明に追っている本書はとても面白い。

本書は、過去に人類がどのように予測に取り組んできたかを追う。そして現在の状況と未来に人類は予測を実現させられるのかを検証している。
予測とは人類にとって生存そのものに関わる問題だ。その解決への努力は、人類の進化の歴史でもある。

そもそも未来は定まっているのだろうか。私たちはどこまで未来を予測できるのだろうか。そして私たちは未来を変更できるのだろうか。私たちは自由意志の名のもとに生きていると信じているが、未来が定まっていたとすれば、私たちに生きる意味はあるのだろうか。
予測とは科学的な問題だと思われているが、実は極めて哲学的な問題なのだ。

過去において、人々の予測とは経験に基づいており、観念的なものにすぎなかった。
それでも科学者たちは、神の力に恐れおののくしかない過酷な現実を何とか乗りこなそうとモデルを作り上げようとしていた。宗教の名のもとにおける決定論は、人を予測から遠ざける装置としての威力を発揮していた。
予測することは神をも恐れぬ所業であり、バベルの塔のように神威によって一掃されるべき営みであった。

ところが、人類が科学の力を備えるにつれ、徐々に予測が現実的なものとなってきた。
人が神の運命に従うのか、それとも自由意志を持った存在なのか。そうした哲学的な論考も科学者によって唱えられるようになる。

「あるものに自由意志があるかどうかと考える場合、そのものの挙動をどの程度まで予測可能と考えるかにかかっていることが多い。あるシステムが完全に予測可能な場合、あるいは完全にランダムである場合には、私たちは、そのシステムが外からの力を受けていると仮定しがちである。しかし、もしシステムがその中間的な状態で動いていて、その挙動には認識可能なある種のパターンや秩序があるものの、予測はまだ難しい場合には、私たちは、そのシステムが独立して動いていると考える。」(124ページ)

今この瞬間にも、世界中で予測のための絶えざる試みと研究が続けられている。
例えば天気予報であり、病気の振る舞いであり、経済の景気の波など。

どれも人類の暮らしと生活と生存において欠かせない。まさに私たちが切望する営みだろう。
それらは人工知能が情報技術の粋を集めて予測しようとしている。だが、それらは全て、過去からの経験を探った結果にある。機械学習や深層学習による膨大なデータの学習によって。
そうした振る舞いはそもそも観察者効果によっての影響を与えているし、そもそも量子自体の振る舞いとしても不確定であるため、過去の経験値が全てにおいて未来を予測するわけではない。

物理的な法則によらない市場の景気の波は、人類の振る舞いの結果だ。そもそも、市場とは価値を交換する場所だが、その価値は状況に応じて変化する。つまり、予測によって市場に影響があった場合、その影響に引きずられて予測も変わってしまう。
「価値は固定された本質的な属性ではなく、状況とともに変化する流動的な性質である。」(248p)

本書の著者は人類の未来をあまり良い方向に予測していないようだ。
一方で人類を含めた生命のふるまいは予測できないともいっている。

「予測可能でないことは、生命の深淵なる性質だ。行動があまりに読まれやすい生き物は死に絶える。そして、予測不可能な環境においては、動的な内部秩序のようなものを保ちつつ創造的に活動する能力が欠かせない。正と負のフィードバック・ループのバランスが、生命プロセスが計算に還元できないことと相まって、複雑な生命体のふるまいを正確にモデル化することを不可能にしている。問題は、複雑な生命体は不安定なわけではなく、創造性と制御能力を併せ持っているという点にある。」(359p)

著者の人類やこの星の予測は以下のようなものだ。

「数百年以内のいつか、人口過剰と環境ストレスが最大の問題となり、貧困国の多くの人が干魃と飢餓で弱ったまさにそのとき、世界規模のパンデミックが起こるだろう。各国が検疫を強化し、人々が家に留まることで、世界中が連携して必要な物を必要な時に必要なだけ生産・調達する経済システムは崩壊するだろう。数年が経ち、疫病が鎮静化したとき、以前の経済システムを始動させてみる――が、錆びついているだろう。炭素排出量は下がり、やがて気候が安定する。戦争と侵略と暴動の時代を経て、人類も安定する。ふつうの暮らしに戻り、以前と違って賢く、謙虚で、自然に敬意を払うようになっている。」(372p)

これは決して悲観的な予測ではないと思う。
むしろ、地球を含めた総体として考えれば、人類という一つの生物の種が栄枯盛衰を繰り返すだけに過ぎないともいえる。ガイア理論のように。

もちろん、人類が技術的なブレイクスルーを果たし、宇宙へと乗り出す予測もありえるだろう。
シンギュラリティが達成され、人工知能によって滅ぼされた予測もありえるだろう。

どちらにせよ、私たちの予測に関わらず、この星の運命はより大きな未知の現象に委ねるしかないのだろう。
どのように予測しようとも、恐竜を絶滅させたような隕石が来たら終わりなのだろうし。

‘2020/08/02-2020/08/12


日本でいちばん大切にしたい会社 2


『日本でいちばん大切にしたい会社』に続いて読んだのは、続編である本書だ。

『日本でいちばん大切にしたい会社』にも出ていたが、著者が大切にすべき5人とは以下の方をさしている。

一、社員とその家族
ニ、社外社員(下請け、協力会社の社員)とその家族
三、現在顧客と未来顧客
四、地域住民、とりわけ障害者や高齢者
五、株主・出資者・関係機関

著者はこの順序を重んじる。
通常、企業が優先するのは顧客だ。顧客優先主義が重んじられる。「お客様は神様です」というアレだ。

だが、著者は顧客よりも社員を重んじる。そしてこのように書く。
「自分が所属する会社や組織に不平・不満・不信感をもった社員や、自分が所属する組織に感動や愛社心をもち合わせない社員が、顧客に対して心を込めた接客サービスや、感動的商品の創造提案をすることなどできるはずがないからです。」(18ページ)

この言葉に間違いはない。まさにその通りだと思う。
だが、心底からこの思いを抱き、偽りなく日々の業務にあたっているサラリーマンや経営者が果たしてどれだけいるのだろうか。正直、心許ない。
表向きは自社を愛し、会社に不満はないという振りをしながら仕事をしていないだろうか。

経営者としても同じだ。
私も社員のために経営したいと思っている。実際にその思いを抱いて雇用に踏み切った。
だが、実際に経営者として雇用に踏み切った今、その言行を一致させることの難しさを感じている。
企業とは売上を継続的に上げ続けなければならない。自分一人ならよい。だが、雇用した以上、継続的に給与を支払い続けなければならない。
営業もしながら、検収をいただき続けなければならない。その上、社員には技術の習得を求めなければならない。さまざまなお客様のビジネスの理解も深めてもらう必要もある。さらに、価値観の違いを踏まえてともに会社のために仕事をしなければならない。その難しさに直面しているのが今の私だ。

私は昨年、社員のための経営を継続するためには、まず継続的なサービス・商品の提供が不可欠だと痛感した。
もちろん社員を優先する姿勢は大切だ。だが、それと劣らないほど顧客を重んじ、顧客に支持されるサービス・商品を作らなければ継続的な売り上げは見果てぬ夢だ。

『日本でいちばん大切にしたい会社』に登場した五社は、理念も立派だが、まず会社として継続できる仕組みが成り立っていることを考えたい。
そのためには、まず創業者自身の不断の努力が必要だろう。
創業者が継続できる経営を作った後、ようやく社員に目を向け、社員への還元が必要となってくるのではないかと思った。

だから、理想としては著者の言う通り一、ニ、三の順番が望ましい。だが、一と三の間はほぼ僅差であるべきだと感じている。少なくとも今の段階の弊社にとっては。
もちろん顧客を優先するあまり、社員のことをおろそかにすることはおかしい。
このバランスをとることは本当に難しい。いざ経営者になってみると感じたことだ。

そこで本書だ。

本書には八社が紹介されている。

1、株式会社富士メガネ
戦前に樺太で創業したこちらの眼鏡店は、北海道を中心に、今や東京にも店舗を出しているという。

 その徹底した顧客第一主義は、多くの人々により支持を受けているという。かの松下幸之助や司馬遼太郎もこちらのメガネ店の顧客だったという。

 顧客からの支持を受けるばかりではない。長年の間、世界に散在する難民キャンプを訪れ、そこでメガネを作成して寄贈する活動を行っているという。それで国連やその他の機関からいくつもの表彰を受けているという。

 かけがえのない視力は、失われるとその貴重さが身に染みる。私も眼鏡をかけているからわかる。
この徹底した顧客第一主義と人道的な姿勢は、戦中の苦労を知り、それをうまく伝えているからだろう。とても大切なことだと思う。
この戦中の苦労は富士メガネさんのサイトに掲載されている。

2、医療法人鉄蕉会亀田総合病院
知っている方のお嬢さんがこの病院で看護師をしているそうだ。それ以外にもこちらの病院については多方面から良い話を聞くことがある。
本書に書かれているように、患者さんのためを真摯に思う姿勢は、金満主義や象牙の塔、冷たいといった病院に持たれる一般的な悪しきイメージを変えてくれるに違いない。

 病の苦しみに涙する人にとって、苦しい場所であるはずの病院をこのように信頼できる。おそらくそれは、考えているよりも難しいはずだ。
それは、病院に属する全てのスタッフが同じ理念をいだいてこそだろう。巨大病院の組織の中で激務にもかかわらず疲弊せずに仕事ができる仕組みにも見習う点があるはずだ。

3、株式会社埼玉種畜牧場「サイボクハム」

 埼玉にサイボクハムという牧場がある事は知っていた。まだ行った事はない。
本書によるとサイボクハムは、農業のディズニーランドと言うべき多様な施設がある楽しい場所だそうだ。

 だが、そこに至るまでには、豚の品種改良や経営に対する飽くなき努力があった事を忘れてはならない。そうした努力が、独自の地位を築いたのだろう。
こちらのウェブサイトには創業者の姿勢が載っている。
ようは酪農や種畜の業界のことだけでなく、自分の携わる仕事に対する姿勢の問題だと思う。
私も見習わなければ。

4、株式会社アールエフ

 飲み込める内視鏡付カメラ。フィルム不要のレントゲン。ともに素晴らしく画期的な製品だ。それは、創業者の熱意から開発されたという。
まだとても新しい会社だが、技術力の結晶のような部分で他の会社との差別化に成功し、継続的な経営を続けている。
医療の現場であるからこそ、女性を重んじ、お客様に対して熱意をもって仕事ができる会社なのだろう。

 後進を意欲的に育てる姿勢や、自社で大学院大学を設立すると言う構想など、私も頭に留めておきたい会社だ。

 ウェブサイトもなかなか個性的だ。

5、株式会社樹研工業

 超極小のプラスチック歯車を製造するこちらは、人事制度では大きな魅力を持っている。
入院した社員に亡くなるまでの3年半、給与を払い続けること。社歴にかかわらず年齢順に給与額を設定するなど、とても独創的だ。
定年がないということも特筆すべきだろう。

 とにかく社員を大切にし、投資を惜しまない。
それも製品が継続的に売上のあることが大切だ。そして、作り上げた仕組みを不断の努力で社内に展開しているからだろう。

 その両輪が好循環で回っていることが素晴らしい。
こちらのサイトに樹研工業さんの強みが書かれているが、全ての工程を外注せずに自社で賄っていることもすごいと思える。
目標にしたい会社の一つだ。

6、未来工業株式会社

 こちらの会社は日本で一番休みの多い会社だそうだ。
創業者のお二人が演劇に青春をかけ、実業家のイメージとはかけ離れているのもいい。

 タイムレコーダーやユニフォームもなく、残業すると罰金を取られるなど、あらゆる面で素晴らしい。自由を求めた演劇人らしい発想だ。

 本社を大きくせず、コミュニケーションを活発にするためコピー機を増やさず、その並んでいる列での交流を狙う。

 そうしたユニークな社風が、お二人の創業者が退いた後も引き継がれていることも素晴らしいと思う。出入り業者の営業担当者をスカウトされたということだが、素晴らしいと思える。
昔の私がこうした会社を知っていたら、もっと違った人生が歩めたのではないかとすら思えた。

7、ネッツトヨタ南国株式会社

 いわゆるカーディーラーは全国のあちこちにある。
あまり変わりばえがしないのかな、と失礼ながら思っていた。だが、この会社はユニークな研修制度を持っているようだ。

 四国と言えばお遍路が有名だ。そこを障碍者と二人でペアを組み、八十八カ所を案内して回るというのだ。

 ほかにも社内の制度や経営理念など、カーディーラーという失礼だがありきたりな業態であっても色を出せることが素晴らしいと思った。

8、株式会社沖縄教育出版

 朝礼がとにかく長いと著者も書いている。
だが、そこではあらゆる社員のためのイベントがあるという。

 私もかつて出版会社にいたことがある。社訓を読んで絶叫し、ボウズだと丸坊主に刈られる会社だったが。

 こちらの創業者もモーレツ社員として働いており、ある日自らの人望のなさに気づき、やり直したという経歴を持っているようだ。
やはり弱みを知った人間は強くなれる。

 私もやり直そうと思えた。

‘2020/08/02-2020/08/02


日本でいちばん大切にしたい会社


先日『日本でいちばん大切にしたい会社 7』を読んで感銘を受けた。
著者が講演で語っていた事例が載っており、私も経営者のはしくれとしてこのままではいけないと元気づけられた。
そこで、他の会社の事例も知りたいと思い、本を貸してくださったパートナー企業の社長に他のシリーズもお借りした。

本書はシリーズの第一巻にあたる。
本書の第一部では本書を世に出すにあたっての思いが書かれている。

「はじめに」では、企業経営者が陥りがちな五つの言い訳が挙げられている。
「景気や政策が悪い」
「業種・業態が悪い」
「規模が小さい」
「ロケーションが悪い」
「大企業・大型店が悪い」
これらは全て企業の経営悪化を外部の要因のせいにしている。

経営の悪化を外部のせいにするのではなく、まず内部を変える。それが本書の肝だ。
「内部は変えられない」のではなく、そもそも変えようとする努力をしていない。それも著者の厳しい意見だ。
その時、社員やその家族の幸せを第一に考えず、経営の悪化を社員のせいにして、社員に過度な負担を求める会社など経営者として論外。そう著者は断罪する。

もちろん、これらのことを言うだけなら簡単だ。その実践となると簡単ではない。
私自身、自分を省みて忸怩たる思いはある。経営に関しても苦しい思いをしながら試行錯誤している。

弊社の経営に関しては、変えるべきは企業の外部環境ではなく、内部であることは間違いないと思っている。
だが、経営者として企業の内部を見た時、メンバーを外部環境として考えていないだろうか。経営者の思いを内部とすると、メンバーや社員の働きを外部環境とし、そこに経営悪化の原因を求めているとすれば、経営の悪化を自分以外のせいにしているのと同じだ。

昨年、メンバーを雇用した時の私は、本書を読んだ結果を踏まえ、自分なりに理想を固めつつあった。
メンバーのための会社でありたい。私が起業や組織の中で働くなかで嫌だったことは、弊社のメンバーにはしない。経営の悪化をメンバーのせいにはしない。
そうした思いを基に企業理念や経営理念も定めた。

だが、私自身のコロナをきっかけに経営が苦しくなった。
私がこんなに頑張っているのに、私だと簡単にプログラミングできるのに、私はこんなにすぐに返信を打つのに。
私の気概が衰えた時、こうした悪感情が湧いてきたことがあった。

その結果を受け、年末年始に反省をした。そこで、そもそも弊社の業務が継続できるものでなかったことを認めた。私自身のスキルや経験を基準に考えた経営になっていた過ちを受け入れた。そして、そう思わないようにしたつもりだったが、私のスキルや経験のレベルをメンバーに急いで求めてしまっていたことを猛省した。

まず、メンバーのための会社を作る前に、会社が継続できるためのサービスを提供しなければ。
その思いをもとに、本稿を書くにあたり、あらためて本書を読み直してみた。

本書には五つの会社が紹介されている。
日本理化学工業
伊那食品工業
中村プレイス
柳月
杉山フルーツ

日本理化学工業さんは、川崎市にある。弊社のサテライトオフィスから自転車で行ける場所だ。私は本書を読んだ後、この会社のすぐ近くを通ったことがある。その時は気づかなかったが、機会があれば再訪して見学させてもらえればと願っている。
日本理化学工業さんは、チョークを作っている会社だ。チョークを世界に輸出している。
特筆すべきなのは、従業員の多くが知的障害者ということだ。
正直にいうと、今の弊社が知的障害者を雇って業務を回す自信はない。だが、日本理化学工業は六十年前からそれを実践し始め、今では全社員の七割が知的障碍者を雇って業務を回している。
まず、主力商品であるチョークが常に消費される商品であること。そして、それを開発し製造し販売する社内の仕組みが整っていること。その理念も素晴らしいし、社内で継続する仕組みができていることが素晴らしい。
だが、当初はかなりのためらいがあったことが本書には紹介されている。
会社で働くより施設でゆっくりしていたほうが幸せではないか、と思った創業者の大山氏がとある僧侶に相談したところ、以下のような言葉をもらったそうだ。
幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされること
②③④は施設では経験できない、と。
それに気づかされた創業者は社内の仕組みを障碍者でも担えるように少しずつ変えていったのだという。その絶えざる努力が素晴らしいし、一朝一夕には出来ない重みなのだろう。だが、私も含めたすべての経営者は、そうした努力を怠らないことだ。

続いての伊那食品工業さんは、著者のことを知る前から名前を聞いたことがあった。
四十八年もの間増収増益を続けたこともすごいが、社員の幸せを優先した経営を貫いていることも見逃せない。それは社員を家族として見る経営理念がしっかりしているからだ。家族だから礼儀作法についてもきちんと指導する。
こちらも、理念だけではなく、寒天という軸となる商品を持ち、それを開発・製造・販売する体制ができているからに違いない。
また、伊那食品工業さんはそもそも競合他社と戦わないという。それも重要な点だ。競合することで余計な社内のリソースが消費され、消耗する。そして社内を良くし、社員のために還元しようとする力が失われる。さらに、目先の利益を追わず、大手スーパーからの要望も、自社の目の届下範囲でやりたいという理由で断ったという。つまり少しずつの成長を重んじ、一時のブームに乗らないのだ。四十八年間の増収増益が途切れた理由も、寒天ブームがおこったため、経営者が社員と世の中からの要請に押され、反対していたが増産に踏み切ったことが翌年の反動につながったためだという。
伊那食品工業さんのホームページには、そうした会社の思いがしっかりと書かれている。弊社も見習わなければならない。

中村ブレイスさんは、島根の石見銀山の近くにある会社で、義肢製造をしている会社だ。
交通の便がとても悪い場所に位置しているにもかかわらず、就職を希望する方が引きも切らないという。
都市にでなければ業績は上がらないという言い訳。それをこの会社は会社を存続させてきたことで否定している。
米国で義肢を学んだ創業者の中村氏は、帰国後あえて大都市で操業せずに故郷をどうにかしたいとの思いで操業する。
最初に入った社員は、体がとても弱く、出社してもすぐに帰宅し、何日も来ないこともあったという。普通の就業時間を働けるようになるまで七年半もかかったという。
その辛抱は尊敬に値する。メンバーに対して焦ってしまった私自身を恥じる気持ちでいっぱいだ。
その存続にあたっては、世の中の人にとって必要な仕事であることも大きい。人口乳房や人工肛門、義肢などは当事者にとっては涙を流すほどありがたがるものだろう。それを制作することは、仕事のやりがいとなって社員たちは土日に自主的に出勤し、働くことも厭わずに制作に向き合っている。
こうした会社を見るたび、ITが本当に人々に大切な仕事であるために、何をしなければならないかを考えたい。少なくともブルシット・ジョブを楽にするためのIT技術であっては、中村ブレイスさんのようにはなれないだろう。

柳月さんは帯広にある和菓子のお店だ。帯広といえば六花亭が有名だが、こちらはあえて北海道の外に出ずに、質の高い製品を作り続けているという。
ここで心に留めておきたいのは、「あなたの会社がなかったら、お客様はほんとうに困りますか?」(151ページ)との問いだ。
情報処理を営む弊社に置き換えてみると、弊社と同じようなシステムを開発する会社は多い。その中で弊社でなければ、という存在意義を示さなければどうなるか。おそらく、並み居るシステム会社の中に埋もれていってしまうに違いない。
また、こちらの柳月さんは、同業他社と争わず、協業の姿勢を崩さないという。情報処理業界も相見積りや価格競争が盛んだ。
私自身は他社との競争をあまりしたくないのだが、そもそもシステム構築という目的やプロセスが似通っている以上、他社の業務とかぶってしまうところがある。そこをどのようにやっていくか。愚直に良い技術を研鑽していくしかないと考えている。

杉山フルーツさんは静岡の吉原市にある個人経営の果物店だ。商店街の一角にあるその様子は、私もGoogle Mapで確認した。
こちらのお店が日本中から評判を呼び、今や生フルーツゼリーで全国を出張展示で巡っているという。
その徹底した顧客視点の経営は、地元の商店街にあった大規模店舗の撤退による危機感がきっかけだという。
危機にあった時にどう振る舞い、どのような経営を行うか。それはどの経営者にとっても等しいテーマだ。
弊社も本書を読んだ後、経営で失敗しかけた経験を持った。杉山フルーツさんのように顧客第一の視点を、単なるスローガンでなく実践することを実践したいと思う。

‘2020/08/01-2020/08/01


日本でいちばん大切にしたい会社 7


本書は、パートナー企業の社長様からお借りした一冊だ。

著者の講演は拝聴したことがある。関西大学カイザーセミナーでゲストとして登壇してくださったのが著者だ。

目の前で講演の内容を伺った時の迫力は今も印象に残っている。
迫力とは、人を大切にしない会社への糾弾と批判のトーンの厳しさだ。経営をやっている価値がないとか、詐欺であるとか、辛辣な言葉は強く印象に残っている。

だが、著者が槍玉にあげるように、世の中にある多くの会社は利益を追うあまり、他の点がお留守になってしまっている。利益を優先するあまり、社員を統制し、費用を切り詰める。その一方で売上を伸ばし続けるために社員にノルマを課す。そうした会社がよろしくないのは当然だ。

私もそうした現場を見てきたし、それが嫌で独立した。
だが、利益のみを優先する会社が多い中でも、社員を大切にしながら、経営を成り立たせている会社はある。

本シリーズは7ということだ。7まで出ているということは、それだけたくさんの素晴らしい会社が世の中にあるということなのだろう。
なお、私は1から6を読んでおらず、7を初めて読む。

本書には全部で七つの会社が取り上げられている。
どれもが著者によって厳選された感動企業だ。

福島県の陰山建設
郡山のみならず、福島県全域で献血の陰山として有名らしい。
私は郡山には少しだけご縁がある。だが、陰山建設の名前は初めて聞いた。

社屋に隣接した広大な駐車場。ここは普段、広大な空きスペースとして遊んでいる。
ところが年に三日、この駐車場に献血車と献血志望者が集まるという。さらに、そうした人々をもてなすための出店が出されているという。そうした出店は全て、陰山建設の社員の方々が催しているという。当然費用は陰山建設が持っている。無償奉仕だ。
陰山建設の社会貢献に対する姿勢は素晴らしい。
この中で紹介されている跡取りとなった三代目社長の挫折とそこからの頑張り。そして、周りのサポートが受けられるまでに持ち直すストーリーも感動的だ。弊社もそうなるように見習わねば。

東京都の昭和測機
秋葉原にある精密機械のメーカーだ。
開発・営業・製造が三位一体となり、社内で自由なジョブローテーションを組んでいる。社長自らトイレ掃除とタイムカード打刻を率先して行っている。社長も社員と同じ立場との考えには全く同感だし、それを実践していることも素晴らしい。
経営も多品種少量生産を続け、本業と関係のない投資は一切行わない方針を堅持しているそうだ。

やはり、こういう光る部分を持っている企業は強い。本編を読んでいて、同じ技術会社として弊社の強みを生かさなければと強く共感した。

昭和測機が秋葉原にある事は、何か強みになっているのだろうか。
私には、秋葉原の伝統が何かと問われても適切な答えが見つからない。今や秋葉原はサブカルチャーのメッカとなっているからだ。
だが、昭和測機のような企業が秋葉原で頑張っていることは、秋葉原に日本のモノづくりの伝統が色濃く引き継がれている証しなのかもしれない。最近、衰退が叫ばれる技術立国日本の素晴らしさとして特筆すべきだ。モノづくり日本の希望といってもよいかもしれない。
昭和測機さんが理念を継続できるのも、社員の皆さんの風通しが良いだけでなく、社内で作り上げてきた仕組みがうまく回っているからだろう。弊社も切磋琢磨しなければ。

新潟県のフジイコーポレーション
新潟にあるこちらの会社は、除雪機を世界各国に輸出しているという。また、フジイコーポレーションの社員への心配りの細やかさには感動を覚える。亡くなった社員を社員総出で見送るだけでなく、社内の仕組みのあちこちに社員に負担をかけないための配慮がなされている。

メンバーを愛し、大切にする。それを口にするのは簡単だ。だが、その実践となると難しい。どこまでが正しいのか、私はまだ確信を持っていない。良かれと思ったことが伝わらなかった痛手も記憶に新しいからだ。だが、どのようになろうとも、まず社員を大切に思う気持ちだけは持ちたいと思う。

静岡県のNPO法人六星・ウイズ
創業者の斯波氏は、あのHONDAを創業した本田宗一郎氏と同じ会社で、しかもHONDAの創設メンバーの一人だったという。だが、斯波氏はある日、本田宗一郎と一緒に泊まった宿で視覚障害者の方から杖のことで相談を受けた。その時、視覚障害者の苦労とそれを助ける事業にやりがいを感じた斯波氏は、本田氏と違う道を歩み、視覚障害者向けの事業に奔走する。

今では斯波氏から事業を引き継いだ二代目の社長さんが運営しているが、その姿に営利の目的は感じられない。
視覚障害者といってもいろいろいる。障害者の皆さんにとって何がつらいか。それは、勉強しても仕事の機会が与えられないことだそうだ。
たしかに私が自分の目が見えなくなったと想像してみよう。仕事はほぼできなくなるだろう。さらにほとんどの娯楽が奪われてしまう。この上、仕事したいと望んでも、その機会すら奪われたら、生活に希望がなくなってしまうに違いない。

視覚障害者の立場に自分を置いてみるには、目をつぷって少しでも歩いてみればいい。その不便さは言語を絶する。
また、仕事をしたいのにできないことがどれだけ苦しみのかは、理屈でも理解できる。NPO法人六星・ウイズは障害者に点字の名刺を作成する仕事を通して就業の機会を提供している。これは本当に尊い仕事だと思う。

兵庫県のツマガリ
こちらの会社は、私もなんとなく名前は聞いたことがあった。西宮の甲陽園にあるそうだ。私はもちろん訪れたことがない。そして、大丸神戸と大丸梅田にしかお店もしておらず、オンライン・ショッピングを使わない限り、他地域の方はなかなか買えないらしい。
宮崎で極貧の家に育った創業者は、人の導くままに洋菓子の道に入り、導かれるままに今の繁盛店を築き上げた。

そこで創業者の人生について強調されるのは、自分で選んだ道ではないということだ。導かれるまま、縁のままに洋菓子の道に入った創業者。ところが、極貧ゆえ自然のものしか食べられなかったことによって舌が鋭敏になった。さらに、どの仕事でも子供時代の苦労に比べたら大したことがない、とこつこつと努力した結果が今につながっているという。
利益を顧みず、最高級の素材で庶民にも手が出る値段のケーキを出す。それだけのことでこれだけの支持が得られる。まさに見習わなければならないと思った。

島根県の出雲土建
こちらは、炭を建材にする商品を開発して会社を再生した。一時期は役員が業績悪化を取って辞任し、緊急の要請で常務から社長になった今の社長は、当初は無給で働いていたという。
楽しい時期、挫折の時期、雌伏の時期。そうした社長のいる企業は強い。

宮崎県の生活協同組合コープみやざき
生活協同組合はもともと、賀川豊彦氏が提唱した運動だ。賀川豊彦氏の活動範囲は多岐にわたったが、ベストセラーになった著作のほとんどは今では顧みられていない。だが、生活協同組合の仕組みは、今も世に伝わっている。
私もコープこうべは実家にいる頃はよく利用していた。残念ながら生活協同組合の仕組みは今、かつての勢いがないように思える。
だが、コープみやざきは250,000人もの会員を擁している。それは、なぜ共同購入するのかと言う理念が今も伝えられているからだ。安心な食品や誠実な良品を仲間内で助け合って購入する。その単純な理念が今もなお息づいているからだと言う。

理念が企業を存続させる良い例だと思う。

本書に登場する七つの会社はとても参考になった。だが、私が失敗を通して学んだ事は、理念とは、まず会社を継続させるための仕組みや提供するサービスの内容がしっかりとしていなければ、成り立たないと言うことだ。
その時、会社の継続を優先するあまり、社員に無理をさせ、顧客に迷惑をかけるようなことをしてはいけないのは当然だ。

本書からは理念の大切さは学んだし、それはしっかりと追求していかねばならないと思っている。だが、理念先行ではなく、まず会社の仕組みをきちんと構築しようと思った。折に触れて本書は読み返し、継続的な経営への取り組みが利益至上主義に陥らないようにしたいと思う。

‘2020/07/10-2020/07/11


2021年12月のまとめ(法人)


令和三年十二月。
コロナウィルスの影よりも、頻発する地震や富士山噴火の兆候に怯えながらの師走です。
事業継続計画を考えながら、日々の業務を回しています。

働き方は改革し続けなければなりません。
コロナやいずれ来るはずの地震は、その流れを後押しすることでしょう。
リモートワークを前提とした動きが当たり前となりつつあります。その流れは弊社にも多様な引き合いとして及んでいます。

ですが、弊社はそれとは逆の動きをせざるを得ないようです。まだ、弊社にはリモートワークは早すぎたと思っています。メンバーにも、代表にも。それを認めるのは辛いですが、11月末でメンバーが一人離任してそれを痛感しました。今年の総括として、リモートワークは時期尚早だったと。

おかげさまで案件は次々といただけているのですが、それをこなすだけのスピードを満たすには、リモートワークでは実現できないと判断しました。
今月からは三人体制でもう一度やり直そうとしています。来年からは必ず週二回、サテライトオフィスでメンバーと対面で会って作業することにし、その他の制度も変えることに決めました。

達成度六割。達成感五割。満足感四割。それが今月の代表自身の自己採点です。

まずはもう一度足元を固め直し、来年の飛躍を目指します。まだ弊社には化けられる可能性があるし、化けさせなければ。
弊社とご縁をいただいたすべての方々に感謝します。ありがとうございました。


●弊社の業績

§ 総括 十二月度の売上は、まだ確定していませんが、目標額は超えました。しかも今期で最高額です。

今月は、もう一度やりなおすつもりで仕事に精を出しました。九月に代表が罹ったコロナで萎えた気力を奮い立たせて。弊社の技術顧問にも案件の実装に入ってもらいながら。
それによって懸案だった案件の検収のうち、一つがいただけたのはよかった。もう一つ、一年近く前に予期せぬ仕様変更があって対応が求められていたお客様の案件も、かなり修正を掛けた結果、先月末をもって本番稼働に移行することができました。他にも二つほど検収を。

Cybozu Days 2021で得たご縁やその他のチャネルから、新たな案件の引き合いはいくつもいただけています。また、今月も新たな案件も始まりました。
やはり、Cybozu Days 2021に出展したことで弊社の認知度はさらに上がったように思います。

ただ、知名度を上げたことで案件は安定していただけるようになったのですが、案件をこなす速度を上げていかなければ経営が滞ってしまいます。

ジェネシスのアルバムタイトルのように「そして三人が残った」わけですから、この三人でやっていこうと決意を新たにしました。

今月は弊社にとって以下のようなトピックがありました。
・ここ数カ月、コロナによって検収が伸びていた案件の現地テストを二日続けて行った結果、テストが無事に完了し、検収を頂けました。
・kintone Café 神奈川 Vol.10を開催しました。
・今まで怠っていた事例集の記事を年末に三日続けてアップしました。

実績を出しながら、日常も充実させる。それらは全て、代表の求めるワークライフバランスの実現につながってゆくはずです。

§ 業務パートナー 弊社のメンバーが一人離れたことで、案件によっては業務パートナーを交える必要が生じました。むしろ、案件によっては助けを求めねばならないと思っています。

かつてのように投げっぱなしだと利益になりません。だからSESには手を出すつもりはありません。そこをうまくバランスをとり、弊社にとってもプラスになるような案件をこなしていこうと思います。
例えば弊社で請けると範囲が広がり、新規に覚えなければならない案件は、パートナーに振るつもりでいます。

今月から、いくつか自分にかけていた心理のブロックは外しました。例えばオフショア開発など。

外したブロックの中には、業務パートナーとの関係性のあり方も含めています。今後は柔軟に付き合っていこうと思います。

§ 開発案件 今月は九割の開発案件がkintoneがらみでした。
ありがたいことに複数の案件のお話をいただきました。これもCybozu Daysへの出展など、露出の効果だと思っています。

今月も複数のkintone案件のご依頼をいただいているので、初心に戻ってうちのメンバーにもう一度kintoneを教えながら、じっくりと育てていく方向に舵を切りました。
私も焦っていたのかもしれません。能力以上の仕事を振ってしまっていたのかもしれません。反省点は色々とあります。しばらく、難しい案件は私と技術顧問とで取り組むことにします。早速、今月から私自身が開発に手を染めることにしました。もともと、今年に入ってからも、以前からの案件については私が開発を行っていました。が、原則として新たな案件は全てメンバーに任せるようにしていました。自主性を育てるために。しかしその方法は残念ながら誤っていたようです。

今月からは新規案件の実装に私が携わることで。、開発速度を上げました。技術顧問と協力して。その結果、今月は四つの案件について検収に持ち込めました。もう一つ、数ヶ月にわたって遅れていた案件も、二人で力を合わせることで一気に前に進めることができました。
しばらくは、経営者としての理想を追うだけの振る舞いをやめ、一作業者として原点に戻ります。

とはいえ、弊社の発展を諦めたわけではありません。そもそも経営者がワーカーになっては社の発展は望めません。
なので、来季に向けて手を打ってもいます。福岡の久米さんにお声がけいただいたkintone開発フレームワークのGAMENIにも参加しています。また、弊社内でもPHPのAPIの連携クラスは多数のSaaSに適用中です。
また、今月は反省を生かして複数の心理ブロックを外しました。そうして得た成果は、弊社の利益構造と売り上げ構造を変えていくはずです。来年の春に必ず成果をあげて見せます。

kintoneはTVCMの効果もあり、認知度が飛躍的に上がっています。仕事の中でkintoneを知らないという方に出会うこともほぼなくなりました。
実際、弊社にはさまざまにお声がけをいただけるようになりました。
来月以降にも、続々とお話をいただいています。それらをきちんとこなすためにも、準備と実装のための環境は作っていかねば。

今月は月末に三日続けて事例集をアップしました。今までの開発事例も記事にしていく予定です。



§ 財務基盤の堅牢化 財務をきっちりすること。前からの課題です。
弊社としては問題ないのに、家計が絡むととたんに脆弱になる。
いつになればこの状態が落ち着くのか。財務基盤の弱さをいかにして克服するか。課題は山積みです。

とはいえ、この三ヶ月は家計のせいにできません。明らかに弊社のパフォーマンスが落ちていたからです。

少しずつ財務状況に希望は見えてきていますが、まだ気を緩めるわけにはいきません。
財務の件は、引き続き最優先で取り組んでいきます。

§ 社内体制 今月の初めに、昨年の秋に作成した社是、企業理念、経営理念やスローガンを見直しました。メンバーが離任した理由に、肝心な部分の価値観のずれがあったためです。そこで三人でもう一度忌憚のない意見を交わしながら、それらを練り直しました。以下に掲示します。

企業理念
「情報技術を生かして、
正直に、飾らずに、自分、家族、パートナー、お客様、地域に寄り添う」

経営理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

9つ(ナイン)の「ない」
「組織図はない」
「タイムカードない」
「ノルマは設けない」
「多数決で決めない」
「社長室は作らない」
「肩書きもいらない」
「皆が経営者の行い」
「定年は強制しない」
「雑談は惜しみない」

アクアビットに合う方
「家族を大切にする気持ちのある方」
「仲間を大切にできる方」
「笑顔のある方」
「まず肯定から入る方」
「夢を持ち続ける方」
「人の話を聴ける方」
「人間が好きな方」
「可能性を信じる方」
「自分が好きな方」
「自分で仕事を見つける方」
「会社に滅私奉公せず公私を大切にする方」

昨年の12月に募集を出した時にも上記の各理念の前のバージョンを出したのですが、その時と軸はぶれていません。

今月から、東京都中小企業振興公社の方に人財制度についてのアドバイスを受けることになりました。
アドバイザーの方からもビジョンや価値観を持つことは大切、とのお墨付きを頂きました。単なる金稼ぎのためのビジネスに堕す事がないよう、これからも理想を忘れない経営に励みたいと思います。
ただし、あくまでも継続的に経営が成り立つ前提です。業務基盤を疎かにしてはいけません。
このアドバイスの方からは、人事評価と技術スキルの評価を混同することの愚を教えられました。まさにこの二つの評価が混在してしまっていたのが今年の失敗でした。

今月は他にも、私を励ますような記事や書籍に多数触れることができました。
サイボウズ社の林田氏の記事「即戦力にならねば」と悩んでいる中途で入社された方にお伝えしたいこと
JOYZO社の四宮氏の記事「メンバーの成長を考えるなら「前提の共有」から始めよう
の二つの記事は深くささりました。私が育成に焦りすぎていたこと。前提の共有をしようとしていたが、まったく共有できていなかったこと。この二つの記事は私の失敗の原因を教えてくれました。
また、読読レビューでも取り上げた「リモートチームでうまくいく」。この中には新入社員に対してリモートワークはNGと書かれていました。私、この部分を無視してしまったようです。深く反省しました。
他にもアップが控えている記事を書くために「日本でいちばん大切にしたい会社7」を読み返したのですが、理念だけでなく、理念を実現する会社はおしなべて業務の基盤がきっちりと固まっていることを悟りました。

悩める私は先賢の知恵にヒントを得ようと、いくつかの場所を訪れました。そこで先賢の知恵に触れました。
大田区立勝海舟記念館では、島津斉彬公が語った言葉を勝海舟が語った言葉が印象に残りました。
「斉彬公はえらい人だったヨ。(中略)
ある時におれは公と藩邸の園を散歩して居たら、公は二ツの事を教へて下さツたヨ。それは、人を用ゐるには、急ぐものでないといふ事と、一ツの事業は、十年経たねば取りとめの付かぬものだといふ事と、この二ツだツたツケ。」
急いでいたし、十年ではなく一年でやろうとしていました。そんな私の焦りを斉彬公は諭してくださいました。
その少し前、西郷南洲留魂碑を読んでいた私の肩に鳥の糞が落ちてきたことも、私に反省を促している何かの啓示でしょう。
その翌週に訪れた松陰神社でも、吉田松陰が目指した教育方針として、このように書かれていました
「先生が手を加えて正していく教育ではなく、自分で気づかせ、個性を生かす心の通い合う教育。それが松下村塾。」
まさに恥じ入る思いでした。
自主性を養うため、あまり口を挟まないようにした。これがリモートワークでは機能しないことを深刻に感じました。

こうした反省を真摯に行い、来年はまず業務基盤を作ることを目指します。具体的には自社サービスの展開です。心理ブロックを外します。

§ 人脈の構築 先月頭のCybozu Days 2021から、リアルのイベントが少しずつ増えてきました。
今月は対面での打ち合わせを何度か行う機会を頂きました。
リアルで打ち合わせることの手ごたえを感じた月でした。今月、頂戴した名刺は9枚です。

先月のCybozu Days 2021ではありがたいご縁を多数いただくことができました。そのご縁で久々にお会いした方とは10年ぶりでした(12/2)。
その翌日に催された交流会で新たな御縁のありがたみを得ました(12/3)。
kintone Café 神奈川 Vol.10でも新たな御縁がありました(12/21)。他にもマッチングサイトからのご縁や(12/22)、弊社を見つけてくださってのご縁(12/11、12/14、12/22)など、首都圏を西に東に移動しながら、新たな御縁のありがたみに感謝した月でした。

あと、某メディアからインタビューのお申し込みがあり、ウェブでインタビューにも答えました(12/17)。他にも義弟の経営している歯科医院に伺い、貴重なお話を聞かせていただきました(12/16)。

これからもこうしたリアルのご縁を大切にしたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

§  対外活動 今月は以下のイベントに参加しました。UiPath Reboot Work Festival Japan 2021(12/1)。奉行クラウドフォーラム 2021(12/7)。kintone Café 神奈川 Vol.10(12/21)。
また、師走恒例のAdvent Calendarには以下の記事で参加しました。kintone Advent Calendar 2021(12/17)。

今月の登壇はkintone Café 神奈川 Vol.10で少しお話した程度です。冒頭の「kintone Caféとは」の部分と、kintone インポートチャレンジの出題者として。
今年の春に3カ月に一度kintone Café 神奈川を開催するとぶち上げたのですが、それが無事に貫徹できたのは嬉しかったです。

また、こうした世相ではありますが、今月はお酒や会食の席にもお招きいただきました。
Italian kitchen VANSAN(12/2)。炭火ホルモン焼き酒場 恵の家(12/21)。
最初のはCybozu Days 2021で弊社ブースに来てくださった方との飲み会です。久々にお会いしての会合はとても楽しかったです。後者はkintone Café 神奈川 Vol.10の懇親会です。高知からわざわざ来てくださったじゅんちゃんをまじえてのお酒はとても美味しかった。

リアルの場でこうして会える機会が増えたことは誠に喜ばしい。

弊社の開発や記事執筆のお仕事はこうした対外活動から生まれています。代表自身による新たな交流を発信することは絶対に怠ってはならないと肝に銘じています。

きっと、必ずや、コロナは小康状態に落ち着くと信じ、また皆様と交流を深めたいと思っています。
まずは今月の弊社と関わっていただいた皆様、誠にありがとうございました。

§ 執筆活動 以前に連載していたCarry Meさんの運用する本音採用サイトの「アクアビット 航海記」を弊社サイトにアップする作業ですが、今月は1本アップしました。
(「アクアビット航海記 vol.38〜航海記 その23」)
家のことで士業さんに相談するも、袋小路に追い詰められた頃の模索を振り返っています。

今月、書いた本のレビューは7本(
やし酒飲み
リモートチームでうまくいく
あなたを天才にするスマートノート
さよならホテル・カリフォルニア
図解明解 廃棄物処理の正しいルールと実務がわかる本
息吹
男役

今月、書いた抱負は0本() 。
今月、書いた旅日記は0本() 。
今月、書いた物申すは0本() 。
今月、書いた弊社の活動ブログは5本(
私、Mac方面については素人なのですが、、、
kintone Café 神奈川 Vol.10を開催しました
事例:株式会社テル・コーポレーション様
事例:某弁護士法人様
事例:株式会社ライライ様
)。
今月、書いた弊社の技術ブログは0本()。

§ 年表

・十二月お仕事

新橋で打ち合わせ×3、調布で会食、京浜島で現場テスト、ハローワーク町田で手続き、船堀で作業、船堀で現場テスト、新小岩バーミヤンで商談、コインスペースふじみ野で作業、ふじみ野の歯科診療所で調査、福祉パルたまでkintone Café 神奈川 Vol.10を開催、向ケ丘遊園でkintone Café 神奈川 Vol.10の懇親会、秋葉原の東京都中小企業振興公社で打ち合わせ、江戸川区で商談、月島で商談、丸の内ブリックスクエアで作業、アクアビットサテライトオフィス×13

§ ツイートまとめ
・十二月ツイート

https://togetter.com/li/1823321


初めてでもグングンわかる経理・簿記のツボ


本書は、先日に読んだ「一番やさしい簿記」に続いて読んだ会計の一冊だ。

「一番やさしい簿記」は、仕訳について重きを置いていた。何度も何度も読者に仕訳の練習問題を解かせることで、基本を理解させることに重きが置かれていた。(一番やさしい簿記レビュー
おかげで私は、かつて取得した簿記三級の知識を思い出すことができた。

本書はより専門的に経理業務を解説した本だ。本書が取り扱う経理業務の範囲は、経理業務の全体に及んでいるように見受けられる。
本書はもちろん仕訳についての説明がなされている。だが、「一番やさしい簿記」に比べるとその割合は少ない。せいぜい、本書全体の五分の一程度だろうか。

その分、本書は、仮払いや取引、預金取引、手形管理、販売管理、与信管理といった各勘定科目の内容について説明する。

売上や仕入の管理、消費税や役員報酬、給与支払、保険給付、請求書、減価償却、固定資産の管理など、経理の業務には仕訳以外にも覚えることが多い。
「一番やさしい簿記」を読んでから、本書を手に取った私の順番は間違っていなかった。

経理の各勘定科目の種類。技術者としてクラウド会計ソフトを操るにあたっては知っておくべきだ。他のクラウドシステムと連携させる際は特にこの知識が求められる。
そうした意味でも本書は役に立った。
特に弊社が採用している会計freeeは、左右の貸方借方を釣り合わせる複式簿記とは違う設計思想で作られている。ということは、そもそもの貸方借方の概要を知っておく必要がある。
セミナー登壇、ブログ執筆、動画作成と私自身が会計freeeの解説者のような立場である以上は。

取引をどのように仕訳として連動させるのか。
会計freee内で導かれた最終的なアウトプットを、どのように他のシステムにつなげれば良いのか。
会計を扱う技術者として、覚えるべき知識は多い。

そこで疑問が生じる。
経営者としては、どこまで経理の実務に精通すべきか。
私のような半人前の経営者にとっては悩みどころだ。

当然、本来ならば経理も経理の専門家に任せるべきだろう。
弊社の場合、顧問税理士の先生に経理の処理はすべてをお任せしている。

経理のデータは経営上の判断のために必要だ。その元となるデータは仕訳の作業の積み重ねから生まれる。その仕訳処理は経理ソフトやクラウド会計ソフトが自動的に行ってくれるようになった。
さらに、上に挙げた各勘定科目の内容については、税理士の先生がすべてを取り仕切り、しかるべき科目に振り分けて決算資料に導いてくれる。

では、経営者が本書から学ぶべき内容はどこにあるのだろう。
技術者として本書から得るべき要は何なのだろう。

経理の実務に経営者自らがあたる必要はない。それにもかかわらず経営者は、その勘定科目が何を表しているのか程度の最低限の知識は持っておくべきだと思う。
なぜなら、財務諸表は会社の状況を見るために欠かせない項目だからだ。
財務諸表の各勘定科目が何を意味しているのかわからなければ、会社の状況もわかるはずがない。
そして会社の状況が把握できなければ、会社を誤った方向へと進めかねない。それは経営者としての命取りとなる。

だから本書を読むことで、経営者は経理の実務よりも、勘定科目が何を対象とし、どういう目的で行われているのかを理解することが肝要だと思う。

当然のことだが、営業活動によって生まれた売上はすぐに入金とはならない。売掛金として収益に計上されるが、手元で自由に扱える資産にならない。
買掛金も支出になるが、負債にならない。
後日、入金があり次第、仕訳のルールに基づいてしかるべき勘定科目に記載される。売掛金は収益から資産へと。買掛金は負債から支出へと。

同様に、そのことは会社のキャッシュフローを把握する考えにもなる。
キャッシュフローを見誤って投資のタイミングを誤れば黒字なのに倒産してしまう。

また、投資する際も経理上の勘定科目の場所を間違えると、財務諸表で会社の財務に誤ったインパクトを与えてしまう。
もちろん、そうした事態を未然に防ぐために税理士の先生がいる。弊社も顧問料をお支払いしている。
だが、そこで顧問契約を結んでも、何をしてもらっているのかわからないようなら、支払う意味が半減する。
そうした意味からも、本書が扱う程度の知識は経営者として把握しておくべきなのだろう。

本書を読むきっかけとなったfreee & kintone BizTech Hackは四回に渡って催され、オンラインハンズオンの講師を二度、スタッフを二度務めた。任務は無事に終了した。
ハンズオンの中では、kintoneで作った取引データのステータスを請求まで進め、その時点でfreee上に取引データを作った。勘定科目を売掛金として。
ところが、参加してくださっていた税理士の方から、勘定科目は売上高の方が良いのでは、という意見をいただいた。
つまり、私自身の理解はまだまだ足りていない、ということなのだろう。
実際、上で偉そうに経営者が持つべき財務諸表の知識を語ったが、私が持つ経理の知識は足りない。私の財務の知識など、まだ個人の家計の延長でしかない。
経営者として学ぶべきことは多い。

さらに、私は技術者としてどういう知識を学ぶべきか。会計や経理の知識を今後どう学んでいけば良いのか。それをfreeeにどう活かしていけば良いのか。
それには経理や簿記を学ぶしか道はないと思っている。

その結果、私は簿記二級の取得にチャレンジすべきか。
そして、そもそも本書の内容に熟達すれば、簿記二級は合格できるのだろうか。

おそらくそうした点まで理解して初めて本書を読み切ったと言えるはずだ。
今の私にはまだまだ遠く及ばぬ域だ。

‘2020/02/18-2020/02/18


2021年の抱負


明けましておめでとうございます。

大晦日にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、いろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願いいたします。

一年の計は元旦にあり、といいます。今までも家族には抱負を披露していました。ですが、法人を経営する立場になった以上、公器として抱負を公開することの大切さも感じています。おととしの元日からブログにアップしていますが、当初の目標よりも予想外の方向で成長ができています。
自分を追い込むためにも、自分という器の容積を広げるためにも、目標は高く持ちたいと考えております。
たとえ目標通りに進まないとしても。

今年もまだコロナの影響は残り続けるでしょうし、社会や仕事の在り方もまだまだ変わり続けてゆくはずです。
そんな中、弊社は幸運なことにリモートワークが要請される世の流れに乗ることができました。
今年は昨年の流れをさらに加速し、社会の役に立てるような会社でありたいと思います。なおかつ、公私がともに充実できるようなバランスをとりつつ。そのためにも、昨年にあらわになった課題を解決する努力を惜しまず進みたいと思っております。

1.法人設立から6年目にあたって
(あ)総括・・
5年目の決算は、前年度を上回ることができそうです。

(い)体制のシナジー効果を追求する・・
昨年の8月より顧問技術者に専任で参画してもらいました。また、年末には求人と採用を行い、今年から新たに二名の仲間に加わってもらいます。さらにパートナー企業さんにも私のサポート役をつけてもらいます。
案件増によって代表のリソースが枯渇してしまった反省を次につなぎたいと思っています。
体制の強化によって、弊社の案件増に伴う品質の低下を防げると考えています。私が作業者になるのではなく、営業や要件定義、そして上流設計を担うことで案件に対応したいと考えています。
ただ、そのためにはしばらく対面で教える必要があります。そのため、私は固定の場所で仕事することは好まないのですが、サテライトオフィスに通う回数を増やさねばならないと思っています。

(う)SES業務はなるべく請けない・・
SES業務に頼るのは経営の上でよろしくないと考えています。SES業務がはらむ問題はおととしの年末にアップしたまとめにも書きました。
自社の要員をSES業務の要員に派遣するならまだしも、弊社の場合は自社の要員がおりません。つまりSESで得た業務のノウハウが弊社に蓄積できません。
正直にいうと、SES業務に頼った方が経営の観点では得策なのはわかります。ですが、弊社はSES業務に頼るのはやめようと思います。技術者の作業が技術者や派遣先のノウハウにならず、自社の技術者の作業は自社の全体のノウハウになるような体制をとりたいと思っています。

(え) 業務請負の案件に注力する・・
SES業務に頼らないとすると、業務請負か自社サービスの展開を業務の軸にすることが考えられます。
ただ、自社サービスの提供に取り組むには時期尚早だと思っています。それにはさらに体制を増やさなければ。
業務請負であれば、従来のノウハウで業務が回せるはずです。体制も強化したので。
その際、外注費はなるべく下げる。外注費比率を下げつつ、同時に弊社で雇用した方の人件費に充てられるだけの資金も用意する。それには売上の単価を上げるしかありません。今まで弊社代表が個人事業主として独立してから犯し続けていた過ち。それは、単価を低く設定しすぎたことです。
もともと代表がユーザー側からIT業界に入ったため、ユーザー側の立場での単価設定を心掛けていました。ですが、それは継続したサービスの提供にとっては逆効果でした。ここ数年、その考え方を矯正しようと、少しずつ単価ベースでは上がってきているように思います。

(お)kintoneを軸にする・・
2019年の11月よりCybozu社のオフィシャルパートナーとして活動し、kintoneエバンジェリストとしての任期も7年目を迎えています。
年を重ねるごとにkintoneの認知度が増しており、弊社にとっての追い風となっています。昨年の時点でkintone案件は弊社の案件の9割になっています。簡単にシステムが作れるkintoneの良さやそれを運営するCybozu社の理念が世間に受け入れられた結果だと思っています。
ただ、お客様のご要望を満たすためにはkintone単体だけでなく、周囲のSaaSとの連動や業務要件の分析なども含めた提案が必要です。そうした業務を体制の増強効果を生かして進めていきたいです。また、昨年は開発の進捗後の仕様変更に振り回されたので、お客様との情報連携、社内での情報連携の方法を追求していきます。
去年はkintoneのパートナー、エバンジェリストとしても実績が積めたと思っています。今年も引き続き、発信や登壇、セミナーや出展などを追求していきたいです。

(か)外注パートナー・・
外注パートナーは昨年と引き続き、限定した企業様と続けていくつもりです。三期前にむやみにパートナーを増やして自由意思に任せた失敗は繰り返しません。お客様と弊社、弊社内、そして弊社とパートナー。その間でどこまで工数を掛けず、なおかつ確実に仕様情報を伝達するか。
ただ、業務パートナーとの協業だけでは弊社としての体力がつかないこともわかってきました。そのためにも弊社の体制を強化しつつ、代表ではなく、弊社全体として外部パートナーとの協業体制をとりたいと考えています。そのためのドキュメントツールやコミュニケーションツールは引き続き試していくつもりです。そして仕様変更の際にどうやって工数を掛けずにお客様のご要望を実現するか。また、そもそも仕様変更を起こさないような要件定義の方法。それらの工夫に時間を掛けるつもりです。

(き)社会貢献・・
昨年は、町田市の地域活動にも関わらせていただきました。
自治会やNPOなどの案件は積極的に提案したいと考えています。
多くは登壇による認知度拡大を図っていくつもりです。「自治会 IT」で検索すると代表がトップに登場するアドバンテージは生かさねばならないと考えています。
コロナによってあらゆる社会の仕組みが見直されようとしている今だからこそ。

(く)事業計画・・
正月にやるべきこと。それは経営の軸がぶれないような事業計画の策定です。
コロナがひきおこしたような大きな社会の変革があっても、経営が揺るがないような経営理念。それを見据えた体制。
リモートワークの流れは今後も揺るがないでしょう。ですが、それに安心していると思わぬところで足をすくわれかねません。
弊社にとってのリスクとは、未知の病気や少子化やよりもむしろ自然災害だと思っています。それも地震や火事や台風ではなく、富士山の噴火を一番のリスクと考えています。火山灰が都心を襲った場合に情報機器がダメになる可能は、弊社として考慮しておきたいです。そのための体制も含めて考えたいと思います。

(け)主催するイベント・・
昨年は弊社としての露出が増やせました。kintone Café神奈川の主催、Cybozu Days 2020 Tokyoの出展、Cybozu Days 2020 Osakaの登壇などにおいて。他にもfreee Open Guildの運営やfreee BizTech Hackの登壇なども実現できました。
今年もオンライン・イベントが主流になると思いますが、主催ならびに登壇を増やしたいと思います。
特に、kintone Caféについては、もう少し回数を増やせないかと思っています。

2.話す技術、書く技術、システムの技術
(あ)話す技術、書く技術・・
昨年に引き続き、この3つは精進していきたいです。去年、しゃべる方もリアルで登壇を果たしたことで、多少の自信にはなりました。
あとは、書くスキルです。そろそろいい加減、本の一冊でも上梓しなければならない年齢にも差し掛かっています。昨年末に現役のライターで活躍している方とサシで飲む機会がありました。本気で本の出版を目指さなければ。
もちろん、それを目指しながら、弊社サイト内の各種ブログは書いていきます。今年は読む読むブログのアップの速度を少しだけ上げて100本を越えられるぐらいにしたいです。

(い)システムの技術・・
システムの技術ですが、今年は体制増強もあるため、あまり新技術の習得は考えていません。欲張らずに体制の整備に充てる方を優先します。ただし、kintoneとつなげるAPIの連携は多々必要になるでしょうから、そのノウハウの蓄積は引き続き求められると考えています。むしろ、プログラミングよりもCI/CDやソース管理のやり方を追求したいと思っています。
あと、今年の後半にkintoneエキスパート試験が新設されると聞いています。その合格はエバンジェリストとして必達事項だと思っています。それと、時間があれば昨年に申し込みすらしなかったAWS系の試験を取得したいですね。

3.ブログ
(あ)全体・・
昨年に続いてFacebook(法人/個人)、Twitter(法人/個人)の使い分けを行います。
今年も引き続きSNSは発信のみを中心にし、SNS巡回作業にはあまり時間を使わずに行こうと思っています。
また、SNSの発信内容は、あまり反響を狙っていなかったのですが、今年は営業につなげることを意識した内容にしようと思っています。
その他の書評・劇評・映画評・時評や旅行紀・技術ブログは引き続き2020年並みを維持します。それとともに、上にも書いた通り、本の上梓について真剣に考えたいと思います。

(い)音声入力・・
すでに発信のスピードはこれ以上上げられません。一日に与えられている時間は24時間しかありません。その中でインプットの時間を捻出する方法。それらを求めて引き続き情報収集をするつもりです。
ブログのいくつかはすでに音声だけで下書きのほとんどが出来上がるようになりました。それでもさらにスピードアップはできるはずです。

5.個人の抱負
(あ)全体・・
体力はこれからどんどん落ちてゆくことでしょう。老後、引退してからやりたいことをしたくても、行きたいところに向かいたくても、体力が落ちて叶わない可能性は高いでしょう。
そのためにも今のうちから個人でやりたいことは時間を作って行わねば。それとともに、老後に少しでも自分の望むことができるよう、体力は維持しなければ。
コロナによって旅や外出は自粛すべしとの通念があります。ですが、今年も可能な限り山や滝めぐりはしたいと思っています。

(い)山と滝・・
日本の滝百選に選ばれた滝は8カ所を目指します。具体的には、ニッカ宮城峡蒸留所に行きたいので、秋保大滝と三階の滝を。岡山蒸留所に行きたいので、神庭の滝を。維新152年の山口を旅したいので寂地峡五竜の滝を。阿波の土柱を見学に行きたいので大釜の滝を。尾瀬を再訪したいので三条の滝を。それと娘たちから家族で長野のカムループスさんに泊まりたいとのリクエストをもらっており、近くの惣滝を。あと、可能であれば九州の滝に伺いたいですね。
それと、2019年に上った至仏山が忘れられないので、尾瀬を挟んで対極にある燧ケ岳には上りたいと思っています。

(う)旅・・
仕事も絡めての旅をどうやって行うかについて、昨年は貴重な知見がたまりました。
今年は四国への仕事を絡めた旅がしたいですね。それと東北へ。2020年は福島へ三回仕事で訪れましたが、それ以外の東北にも訪れたいと思っています。
あと、家族では結婚20周年のおととしにハワイに行かれずじまいでした。今年はコロナが落ち着いていれば、ハワイに一度は行こうと思っています。

(え)文化活動・・
昨年はコロナもあって映画館に一度しか、それも大晦日にしか行けませんでした。
今年はミニシアター系の作品も含めて、もう少し映画の観劇機会を増やしたいと思っています。家ではどうしても仕事モードになってしまうので、帰り道に新百合ヶ丘のミニシアター館に寄るなどして。
また、読書量もここ二、三年で減ってきているのが気になっています。これも増やさないと。

私は結構、自分の目標は何度も読み返していますが、これを黙読だけでなく、音読することで一層実現に近づけたいと思います。

引き続き本年度もよろしくお願いいたします。


amazon 世界最先端の戦略がわかる


私はあまりamazonで買い物をしない。
そもそも私は物欲よりも知識欲のほうが勝っている人だ。そのため、普段はオンライン・ショッピングすらあまりしない。amazonもたまに本を買う程度だ。
だが、amazonのすごさについては十分に理解しているつもりだ。

あらゆる商品を扱うamazon世界の豊かさ。家にいながらにして世界中の品物が手に入るのだから、現代のサンタクロースと呼んでも過言ではないだろう。

2018年から世界の長者番付の筆頭に就いたのはamazonの創業者であり、今もamazonを率いるジェフ・ベゾス氏だ。
世界中のオンライン上の流通をほぼ一手に握ったのだから、氏が世界一になった理由もわかる。

だが、私のような技術者にとって、amazonのすごさは別にある。それはAWSだ。
AWSこそはクラウドの雄だ。情報技術の基盤サービスとして必要なあらゆるサービスを網羅されている。おそらくGoogleやMicrosoftの同種のサービスよりも。
そのすごさは、技術者の誰に聞いても証言してもらえることだろう。
あえて弱点をあげるとすれば、英語ベースのドキュメントが多いため英語圏以外の人にはとっつきにくいことだろうか。

本書はAWSを含めたamazonのビジネスモデルについて解説する。
著者は日本マイクロソフトの社長として名の知れた方だ。その視点は、amazonと同じGAFAMを構成するMicrosoftの経営を知っている。
だが、そのような上を見た人の視点でありながら、著者はamazonに対して驚嘆を隠さない。
その結果、本書は全体としてamazon礼賛の論調が勝っている。

だが、それもうなずける。それほどにamazonのすごさが圧倒的なのだ。そのすごさは本書を読めば読むほどに感じられる。
規模が巨大なだけでなく、その成長の速さこそがすさまじい。世界史の上でもamazonほどに急成長を遂げた企業は見つけにくい。おそらくダントツだろう。
しかもamazonは自らの企業情報をあまり公表しない。そのため、本当の規模がどれぐらいなのかはもはや誰にも分らない。おそらく創業者のジェフ・ベゾス氏でさえも。

その秘密として著者はいくつかの切り口から語る。
まずは、徹底した投資主義だ。
儲けや利潤を留保せず、全て拡大のための投資に振り向ける。それによって税金の支出を抑え、自社の規模を拡大することに専念する。
また、amazonが各事業体ごとに自由意志を持ち、ジェフ・ベゾスですらも統制していない。統制をやめることによって管理コストを抑える。
管理のための管理には一切の無駄金は使わない。その金はすべて拡大のための投資に振り向ける。その徹底は見事だ。
それによって組織は肥大しない。しかも、防御のための費用が節約できるだけでなく、企業の活力は維持される。
これが普通の会社であれば、規模の拡大と同時に統制や管理にも気を配る。だが、amazonはそれをしない。だから他社と違って拡大の規模とスピードが違う。それが他社のサービス規模を凌駕し、サービス内容でも優位に立てる。

全ての利潤を自社でまなかうサービスや体制の増強に回す。
本書を読むと、amazonとは徹底した自前主義であることが理解できる。
物流やシステム回りを自社で構築することにより、他社の都合や支払いを気にせずに社業の拡大に専念できるのだ。
その構築のノウハウを研ぎ澄まし、クラウドとして全世界に広げたのがAWSということだろう。

物流網の構築やシステムの内製により、世界中に兵站の網の目を張り巡らせたamazon。
いまや、圧倒的な商品点数と物流網を確保することで認知度は圧倒的になり、さらに潤沢なキャッシュフローを擁するまでになった。
著者はそのキャッシュフローの潤沢さこそがamazonのすごさだという。

仕入れた商品が手元でキャッシュになるまでのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)という指標がある。
amazonは小売業でありながら、その値がマイナスなのだ。ウォルマートでさえCCCは12日なのに。普通、CCCがマイナスになるのは飲食業などその場で現金払いがされる業態に限られる。それなのに小売でそれを実現したamazon。
つまり仕入れの前に現金を手に入れてしまう。それにより、キャッシュの流れが後手後手に回らず、先手を打てる。
著者はそのキャッシュフローにこそ、amazonが次々と規模拡大にまい進できる秘密があると指摘する。

どのようにして先手を打てるようなキャッシュフローを構築したか。それは、amazonが開設したマーケットプレイスの仕組みによるところが大きい。マーケットプレイスの開設により、決済までの間、顧客から預かり金を受け取ることができる。この預かり金こそamazonのキャッシュフローの源泉だと著者はいう。
プラットホームを開設することの利点は、預かり金を自由に扱えることにある。それによってキャッシュフローを潤沢にする。それこそがamazonの経営の秘密だろう。そのあたりの仕掛けが本書では学べる。

ここまで巨大な体制を構築したamazon。だが、今のamazonに硬直の兆しはない。むしろ積極的に他分野に打って出ている。生鮮流通・無人店舗・自動配達・宇宙・AI・顔認識など。
そうした活力は、管理部門にコストをかけない社風が大きく影響を及ぼしているはずだ。

おそらく、今後とも私たちはamazonとは無縁でいられないだろう。
私が推しているkintoneもアメリカ版は全てAWSを基盤として動いている。

ここまで大きくなると、amazonから学べる部分はあまりないように思える。
だが、ヒントはある。
例えばamazonの会議でプレゼン資料が禁止されていることはよく知られている。その趣旨は資料を作っている暇があればアイデアを出し合う時間に使え、ということだろう。

そうした無駄を徹底的に省くamazonの経営手法。私たちがそこから学ぶとすれば、「協調は必要とせず、個のアイデアが優先される組織であれ」の精神だろう。
amazonにとってはコミュニケーションすらも無駄だとされている。コミュニケーションが必要なうちは、組織は未熟というわけだ。
個人が自立し、研修や社風の醸成などが不要な社風。
もちろん、それには社員一人一人に組織への依存があっては成り立たないはずだ。

この考え方に立てば、私の経営などまさに未熟に違いない。
顧客ごとに個別の対応をしているうちは規模の拡大など難しいことはわかっているつもりなのだが。

‘2019/9/13-2019/9/19


75年目に社会活動に思いをいたす


原爆が落ちて75年目の今日。

切りの良い数字だと思い出したところで、被爆者の方の無念は晴れません。
それは分かっているのですが、切りの良い数字は、自らの人生を振り返るきっかけにもなります。

25年前の今朝は、私は原爆ドームの前にいました。そして、世界中の人たちとダイ・インに参加していました。
(ちなみにその前日は原爆ドームの前にテントを立て、友人達と野宿していました。)

当時、私は大学の政治学研究部の部長を退任した直後だったので、国際関係や政治には深い関心を持っていました。
ですが、今や疎くなってしまいました。会社を経営しながら自分でも商談や設計やコーディングに携わっていると、そんな時間はなかなか取れません。
私の中の関心も当時に比べて隔世の感があります。

ですが、それでは駄目なんですね。経営者の立場としても、そして年齢の上でも、こうした問題にもっとコミットしなければ、と反省しています。
なぜなら、今の複雑に絡み合った動きの速い社会に対して、官僚や政治家が有効な政策を迅速に立案できるとは、とても思えなくなっているからです。
つまり、私たち民間の人間がもっと自覚し、民間で世の中を回すようにしなければなりません。
小さい政府を想定し、それに備えた動きをしなければならない。そう思うようになってきました。

忙しい毎日。
そんな中でも、どこかで理想を追う自分を維持し、どこかで社会のために役立つ自分を持っておく。
そうでないと、日々の売上や支出や進捗に自分が引き裂かれてしまいそうです。

ですが、私は今、そうした政治や国際関係を語るだけの知識や見識が失われています。
少なくとも大学時代に比べると。

だから、今の私は、自分にできることをしようと考えを変えています。
それは地道な方法で社会貢献することしかないです。

昨日は生まれて初めてクラウドファンディングに寄付しました。
町田市地域活動サポートセンターさんが今、実施されているものです。
https://camp-fire.jp/projects/view/305818

また今夜、行われるfreee & kintone Biztech Hackも活動自体は無償です。
https://page.cybozu.co.jp/-/fk-biztech/
私には一銭も入りません。
これも技術を社会に広める意味では、社会貢献の一つだと感じています。

そもそも、日々の仕事を正直に公正に行うことも、立派な社会貢献だと思います。
それが社会を回し、人々の役に立っている限り。
だから、ことさら社会貢献にとらわれなる必要はないと思います。

ですが、せっかくの仕事も、組織のためだけで完結してしまうとなると、社会に及ぼす効果は薄いです。
管理のための管理、時間をつぶすための仕事になっていないか。そこは気を付けたいですね。
日々の行動を外部に直接的な影響を及ぼす。それが結果として社会貢献につながればよい、と思っています。

75年前に非業の死を遂げた方々のためにも。


世界史を創ったビジネスモデル


本書は年始に書店で購入した。
選書で450ページ弱の厚みは珍しい。見た目からボリュームがある。
分厚い見た目に加え、本書のタイトルも世界史を掲げている。さぞかし、ビジネスの側面から世界史を網羅し、解き明かしてくれているはず。
そう思って読んだが、タイトルから想像した中身は少しだけ違った。

なぜなら、本書が扱う歴史の前半は、大半がローマ帝国史で占められているからだ。
後半では、フロンティアがビジネスと国の発展を加速させた例として、ヴェネツィア、ポルトガル、スペイン、そして大英帝国の例が載っている。
そして、最後の四分の一で現代のビジネスの趨勢が紹介されている。
つまり、本書が取り上げているのは、世界史の中でも一部に過ぎないのだ。

例えば本書には中国やインドは全く登場しない。イスラム世界も。
しかし、中国の各王朝が採った経済政策や鄭和による大航海が中国の歴史を変えた事は周知の事実だ。
さらに、いまの共産党政権が推進する一路一帯政策は、かつてのシルクロードの交易ルートをなぞっているし、モンゴル帝国がそのルートに沿った諸国を蹂躙し、世界史を塗り替えた事は誰もが知っている。
つまり、中華の歴史を語らずに世界史を名乗ることには無理がある。

同様に、イスラムやインドが数々のビジネス上の技術を発明したことも忘れてはならない。ビジネスモデルと世界史を語るにあたって、この両者も欠かすことが出来ない存在だ。

さて、ここまではタイトルと中身の違いをあげつらってきた。
だが、ローマ帝国の存在が世界史の中で圧倒的な地位を占めることもまた事実だ。
その存在感の大きさを示すように、本書は半分以上の紙数を使ってローマ帝国の勃興と繁栄、そして没落を分析している。
その流れにおいてビジネスモデルを確立したことが、ローマ帝国の拡大に大きく寄与した事が間違いない以上、本書の半分以上がローマ帝国の分析に占められていることもうなづける。。

国際政治学者の高坂正堯氏の著書でもローマ帝国については大きく取り上げられていた。
それだけ、ローマ帝国が世界史の上で確立したモデルの存在はあまりにも大きいのだろう。
それは政治、社会発展モデルの金字塔として、永久に人類史の中に残り続けるはず。もちろん、ビジネスモデルと言う側面でも。

ここで言うビジネスモデルとは、国家の成功モデルとほぼ等しい。

国家の運営をビジネスと言う側面で捉えた時、収支のバランスが適切でありながら、持続的な拡大を実現するのが望ましい。
これは私企業でも国家でも変わらない。

ただし、持続的な成長が実現できるのは、まだ未開拓の市場があり、未開拓の地との経済格差が大きい時だ。その条件のもとでは、物がひたすら売れ続け、未開の地からの珍しい産物が入ってくる。つまり経済が回る。
ローマ帝国で言えば、周辺の未開の版図を取り込んだことによって持続的な成長が可能になった。

問題は、ローマ帝国が衰退した理由だ。
著者は、学者の数だけ衰退した理由があると述べている。つまり、歴史的に定説が確立していないと言うことだろう。

著者は、経済学者でもあるからか、衰退の理由を経済に置いている。
良く知られるように、ローマ帝国が滅亡した直接的な原因は、周辺から異民族が侵入したためだ。
だが、異民族の襲来を待つ以前に、ローマは内側から崩壊したと著者は言う。

私もその通りだと思う。

著者はローマ帝国が内側から崩壊していった理由を詳細に分析していく。
その理由の一つとして、政治体制の硬直を挙げている。

結局、考えが守りに入った国家は等しく衰退する。これは歴史的な真理だと思う。もちろん私企業も含めて。

著者は最終的に、ディオクレティアヌス帝が統制経済を導入したことがローマ帝国にとってとどめだったと指摘している。つまり統制による国家の硬直だ。
勃興期のローマが、周辺の民族を次々と取り込み、柔軟に彼らを活かす体制を作り上げながら繁栄の道をひた走ったこととは対照的に。

著者は現代の日本の状況とローマ帝国のそれを比較する。
今の硬直しつつある日本が、海外との関係において新たな関係を構築せざるを得ないこと。それは決して日本の衰退を意味するものではないこと。
硬直が衰退を意味すると言う著者の結論は、私の考えにも全く一致するところだ。
既存のやり方にしがみついていては、衰退するという信念にも完全に同意する。

本書がローマ帝国の後に取り上げるヴェネツィア、ポルトガル、スペイン、大英帝国の勃興も、既存のやり方ではなく、新たなやり方によって富を生んだ。
海洋をわたる技術の発展により、交易から異なる土地へ市場を作り、それが繁栄につながったと見て間違いないだろう。

では、現代のわが国は何をすれば良いのか。
著者は、そのことにも紙数を割いて詳細に分析する。

日本人が海外に出たからず、島の中に閉じこもりたがる理由。
著者はそれを、日本が海洋国家ではなく島国であると言う一文で簡潔に示している。
海洋国家であるための豊富な条件を擁していながら、鎖国が原因の一つと思われる国民性から、守りに入ってしまう。

だからこそ、今こそ日本は真の意味で開国しなければならないと著者は提言している。
そこでヒントとなるのは、次の一文だ。

「この新しい産業社会においては、ローマ帝国から大航海時代までのビジネスモデルは参考になる。しかし、産業革命以降20世紀前半までのビジネスモデルは、参考にならない。むしろ、反面教師として否定すべき点が多いのである。(316ページ)

つまり、第二次大戦以降の高度成長期。もっと言えば明治維新以降の富国強兵政策が取り入れた西洋文明。
これらは全て産業革命以降に確立されたビジネスモデルをもとにしている。著者がいう反面教師であるビジネスモデルだ。
つまり、わが国の発展とは、著者によって反面教師の烙印が押されたビジネスモデルの最後の徒花に過ぎないのだ。

バブル以降の失われた20年とは、明治維新から範としてきた産業革命以降のビジネスモデルを、世界に通じる普遍的な手本と錯覚したことによる誤りがもたらしたものではないだろうか。

著者が本書で記した膨大な分析は、上に引用した一文を導くためのものである。
私たちは誤ったビジネスモデルから脱却しなければならない。そして、この百数十年の発展を、未来にも通用する成功とみなしてはならない。

本書には、ビジネス史でも有名な電話特許を逃した会社や、技術の先進性を見逃して没落した会社がいくつも登場する。
そうした会社の多くは、世の中の変化を拒み、既存のビジネスモデルにしがみ付いたまま沈没していった。末期のローマ帝国のように。

そして今、私たちは明らかな変化の真っ只中にいる。
情報技術が時間と空間の意味を変えつつある時代の中に。
わが国の多くの企業がテレワークの動きをかたくなに拒み、既存の通勤を続けようとしている。
だが、私にとってはそうした姿勢こそが衰退への兆しであるようにみえる。

おそらく五十年後には、いまの会社のあり方はガラリと変わっている事だろう。わが国のあり方も。
その時、参考となるのはまだ見ぬ未来の技術のあり方より、過去に人類が経験してきた歴史のはずだ。

本書の帯にはこう書かれている。
「「歴史」から目を背ける者は、「進歩」から見放される。」
本書を締めくくるのも次の一文だ。
「歴史に対する誠実さを欠く社会は、進歩から見放される社会だ。」(448ページ)

過去の栄光にしがみつくのは良くないが、過去をないがしろにするのはもっと良くない。
過去からは学べることが多い。本書において著者は、溢れるぐらいの熱量と説得力をもってそのことを示している。
歴史には学ぶべき教訓が無限に含まれているのだ。

‘2019/4/27-2019/5/8


労働基準法と就業規則


平成三十一年を迎えた新年、令和の時代を間近に控え、私は自分の経営する会社に社員を雇う事を真剣に検討していた。

人を雇うといっても簡単なことではない。ましてや、十数年の間を一人でやっていく事に慣れてしまった私にとって、雇用にまつわる諸々の責任を引き受ける決断を下す事は、とても大きなハードルとなっていた。

ただ単に人に仕事を教え、ともに案件をこなしていく。それだけなら話は簡単だ。
だがそうはいかない。
人を雇う事によってさまざまに組織としての縛りが発生する。給与の定期的な支払いも欠かせない。だから営業上の努力も一層必要となる。そして会社として法律を全体で守っていかねばならない。そのために社員を統括し、不正が起きないよう管理する責任もある。
そうした会社として活動の基準として、就業規則の策定が求められる。

雇用とそれにまつわる諸作業の準備が必要なことは分かっていた。
そのため、前年の秋ごろから税理士の先生や社労士の先生に相談し、少しずつ雇用に向けた準備を始めていた。

本書は、その作業の一環として書店で購入した。

先に十数年にわたって一人での作業に慣れていた、と書いた。
一人で作業するのは楽だ。
何しろ、就業ルールについては自分が守っていればいいのだから。だから長きにわたって一人の楽な作業から抜け出す決断もくださずにいた。

もちろん、就業ルールは自分の勝手なルールで良いはずがない。
私の場合、常駐の現場で働く期間が比較的長かった。そのため、参画した現場に応じたルールは守るようにしていた。
例えば、労働時間は定められていた。遅刻や早退があっても、そこには契約上の勤務時間が定められていた。休日や休暇についても同じ。

ところが、私は二年半まえに常駐先から独立した。
完全に自由な立場になってからは、労働時間や休日ルールからは完全に自由な身となった。好きなときに働き、好きなときに休む。
その自由はもちろん心地よく、その自由を求めて独立したような私にとっては願ったものだった。それ以来、私はその特権を大いに享受している。

ところが人を雇用する立場になると、完全に自由と言うわけにはいかない。私がようやく手に入れた働き方の自由を再び手放さなければならないのだ。
なぜなら、仕事を確実にこなすためには完全な放任はあり得ないからだ。
私は自分自身が統制や管理を好まないため、人に働いてもらうにあたっても自由にやってもらいたいと思っている。もちろんリモートワークで。

業務を回すため、かなりの管理を省けるはずだ。だが、たとえわずかでも統制や管理は発生する。
だが、それだけではない。
就業規則の策定は企業として必要になってくる。
もし弊社が自由な働き方を標榜する場合も、その旨を就業規則に明記しなければならない。
リモートワークやフレックスタイムを採用するのなら、その枠組みを設けている事を就業規則として宣言しなければならない。

たとえ私と雇用した従業員の間に完璧な信頼関係が成り立っていたとしても。紳士協定に甘えた暗黙の雇用関係は許されない。ましてや自由な放任主義などは。

仮に社員の数が少ない間、すべての社員を管理できていたとする。でも、将来はそんなわけにはいかなくなるはずだ。もし人を雇用し、会社を成長させていくのであれば、一人で全ての社員の勤務を管理することなど不可能になってくるに違いない。
将来、弊社が多くの社員を雇用できたとする。その時、私がすべての社員の勤務状況を把握できているだろうか。多分無理だろう。
つまり、いつかは人に管理を任せなければならない。その時、私の考えを口頭だけでその管理者に伝えられると考えるのは論外だと思う。
だからこそ、管理者の人がきちんと部下を統括できるよう、就業規則は必要となるのだ。

だからこそ、本書に書かれた内容は把握しておかねば。多様な労働と、それを支える法律をきちんと押さえた本は。それは経営者としての務めだ。

本書は8つの章からなっている。

第1章 労働基準法の基礎知識
第2章 雇用のルール
第3章 賃金のルール
第4章 労働時間のルール
第5章 休日・休暇のルール
第6章 安全衛生と災害補償のルール
第7章 解雇・退職のルール
第8章 就業規則の作成

本書がありがたいのは、CD-ROMもついており、書類のテンプレートも豊富に使えることだ。

もう一つ、本書を読んでいくと感じるのは、労働者の権利擁護がなされている事だ。
労働者の権利とは、会社という形態が生まれた17世紀から、長い時間をかけて整備されてきた
年端もいかない子供を遅くまで劣悪な環境で働かせていた産業革命の勃興期。
だが、劣悪な状況は17世紀に限った話ではない。つい最近の日本でもまかり通っていた。

私自身、若い頃にブラック企業で過酷な状況に置かれていた。

働く現場は、労働者側が声を上げないかぎり、働かせる側にとってはしたいようにできる空間だ。
容易に上下関係は成立し、ノルマや規則という名の統制も、経営側の意志一つで労働者側は奴隷状態におかれてしまう。

私はそういう目にあってきたからこそ、雇う人にはきちんとした待遇を与えたいと思っている。
だからこそ、今のような脆弱な財務状況は早く脱しないと。

結局、弊社が人を雇う話は一年以上たった今もまとまっていない。業務委託や外注先を使い、これからもやっていく選択肢もあるだろう。だが、雇用することで一つ大きな成長が見込めることも確かだ。そのことは忘れないでおきたい。

本書を読んだことが無駄にならぬよう、引き続きご縁を求めたいと思う。

‘2019/01/13-2019/01/17


ビジネスモデルの教科書 経営戦略を見る目と考える力を養う


独立してから13年半。法人化してから五期目を迎えるというのに、私はビジネスが不得手だ。少なくとも自分ではそう思っている。

多分それは、私自身がなんでも独りで学んできたからだろう。特定の師匠や先生、メンターを持たず、本を頼りに自分の力で学んできた。言い方を変えれば、ビジネスの中で出会ってきたあらゆる人から学び、教わり、盗み取ってきた。
いくら私が大学で商学部に所属し、マーケティングや経営を学んだとはいえ、それはあくまでも机上の理屈。実学ではない。
私がそうしたビジネスの知識や仕組みを学んだのは、自ら個人の事業に乗り出していく中で試行錯誤しながらだ。
その生き方はかっこいいのかもしれないが、正統に学んだ方に比べるとかなりの遠回りをしているはずだ。
未熟であるがゆえに、今までにたくさんの失敗をしてきたし、この人には足を向けて寝られないという人も何人かいる。

そういう失敗を振りかえる時、私の中の悔いが頭をもたげる。
弟子としてきちんと学んでおきたかったと思うこともある。

それは私の中でビジネスプロセスについての知識が弱いリスクとして影を落としている。
ビジネスの中で試行錯誤しながらつかんだ知識は固いが、未経験のビジネスモデルとなるとはなはだ弱い。
今までにしでかした数多くの失敗は、私にとって糧となっているとはいえ、失敗したことでご迷惑をかけてきたこともまた事実。

一方で、今まで自分の力だけでやってきた自負もある。
失敗を反省し、ビジネスの現場で犯した失敗は、反省し、学びに変えることで私の中に活きた知識として身についているはずだ。

だがここら辺で一度ビジネスモデルについてきちんと学んでおきたい、そろそろ実学の知識を身につけておきたい。そこで本書を手に取った。

弊社の場合、情報処理業界をベースに活動している。
情報処理業界もビジネスモデルに沿って営まれている。そこに慣習もある。だが、それは他の業界では通用しない。情報処理業界に特化したビジネスモデルに過ぎないはずだ。
だから本書に挙げられているようなさまざまなビジネスモデルについて、私の知識は薄い。
そしておそらく今後も弊社がITを主戦場にしている限り、その他のビジネスモデルを自在に操ることはないはずだ。

ただ、弊社はシステム構築を武器にして、あらゆる業界の顧客に対してシステムの提案をする事がミッションだ。という事は顧客が採用するビジネスモデルについても知っておかねばならない。

そこに結論が行き着いた以上、他のビジネスモデルについて無知である事は許されない。だから、本書のような入門書は読んでおかねばなるまい。

実際、紹介されているビジネスモデルは私の知っているあらゆるビジネスモデルを網羅していると思う。

結局、経済活動とはある物品や見えないけれど人のためになるサービスを扱う商いだ。原材料から加工し、次のお客様に商品やサービスとして提供する。
原材料から次の加工へのプロセスは、携わる人が身に付けたスキルによってどうにでも変わる。
消費者側は、加工された商品や物件やサービスを評価し購入する。
それは、その主体者が個人であろうと法人であろうと変わらない。

しかもそのプロセスにおいては、生産者と加工者と消費者と言うプレイヤーの構造であることも多い。そこが定まっている限り、ビジネスモデルの種類がそうそう増えることはないはずだ。

その流通経路は、時代の移り変わりによって左右される。
かつては行商人が足を使って商品を流通させていた。それが馬車になり、帆船になり、鉄道となり、トラックになり。今やインターネットの中で商談が完結し、ドローンが発送する時代になっている。
間に商品を集積する市場があったり、中間に関与する企業があったり、そうした中間物を省こうとネットワークに頼ろうとするビジネスがあったり。

それらが網羅されているのが本書だ。以下に引用した目次の通り、あらゆるビジネスが網羅されている。
各ビジネスモデルは整理され、それぞれの特徴が簡潔にまとめられている。

第二部では、実際のセブン-イレブンやYKKといった有名企業のビジネスモデルが紹介され、とてもイメージしやすくなっている。

こうしたモデルをよく理解することで、よりビジネスが進展することだろう。私の場合はとてもよく理解ができた。末尾に目次を引用しておく。
全体的に見てもよくまとまっており、お勧めの一冊だ。

序章
ビジネスモデル概論と本書の読み方

第一部 事業レベル編
第1章 顧客セグメント・顧客関係のビジネスモデル
  地域ドミナント
  クリームスキミング
  特定市場の支配
  グローバル化
  顧客ライフサイクルマネジメント
  顧客の購買代理
  プラットフォーム

第2章 提供価値のビジネスモデル
  ソリューション
  同質化
  アンバンドリング
  デファクトスタンダード
  ブルーオーシャン

第3章 価格/収入構造のビジネスモデル
  レーザーブレード
  フリー
  敵の収益源の破壊

第4章 ビジネスシステムのビジネスモデル
  チャネル関係性の利用
  ダイレクト
  サプライチェーン種別の変更
  機能外販
  リソース先制
  マクドナルド化
  提携先のレバレッジ
  強者連合

第5章 事業レベルのビジネスモデルのまとめ

第1部 コーポレートレベル編
第6章 コーポレートレベルのビジネスモデル集

‘2018/11/29-2018/12/4


2020年の抱負


新年明けましておめでとうございます。

大晦日にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、いろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願いいたします。昨年の流れをさらに加速し、なおかつ、あらわになった課題を解決する努力を惜しまず進みたいと思っております。

自分を追い込むためにも、自分という器の容積を広げるためにも、目標は高く持ちたいと考えております。

1.法人化6年目にあたって
 あ)総括・・
 5年目の決算は、前年度を上回ることができそうです。弊社の認知度が上がってきていることが実感できました。

 い)kintoneを軸にする・・
 ようやくkintoneが弊社の売上の軸になってきました。年間売上の7割がkintone案件から生まれています。昨年はそれまでは手がけたことのなかった大手企業様からのご依頼も増え、金額でも社会の認知でもkintoneが案件として認められるようになりました。kintoneの大きな案件に上流工程から参画することも増えてきました。
 そのためには弊社代表がkintoneエバンジェリストである点は打ち出させていただこうと思います。引き続きエバンジェリストとしての発信が求められるでしょう。そしてkintone単体ではなく、kintoneと他の言語やソリューションの組み合わせで新たな価値をお客様に提供する。その心意気が大切です。
 新たな分野に飛び込むことを自重した昨年ですが、いくつかの開発言語の新たな習得にチャレンジしました。ソリューションについてもさらなる勉強が求められることはもちろんです。
 ノンコーディングだけであらゆる業務をこなすことができるようになるには、二、三年の時間がかかるでしょう。それまではコーディングスキルをベースに、使えるところはためらわずにどんどんノンコーディングツールを提案していきたいと思います。
 そうあり続けるには、ブログによる発信や登壇はもちろん、イベントの主宰などを通じた弊社および代表の認知の拡大が重要だと思っています。お呼ばれいただければ各地のセミナーにも顔を出したいと思います。

 う)体制の変革・・
 そのためには弊社にとっての弱点を克服しなければ。一つは個人事業主時代から続く財務の脆弱さ、もう一つは経営と作業を代表が兼任している現状です。
 財務の脆弱さは昨年、いろいろと施策を打ちました。それが実を結ぶまでは、まだまだ時間が必要です。そうしたことに煩われずに業務に邁進できるよう、重くみて進めていきたいと思います。
 昨年、サテライトオフィスを開設し、技術者と対面で教えられる場所は確保しました。昨年、数人の技術者を面談しましたが、残念ながら雇用にはつながりませんでした。具体的に3月までに雇用するかを決めたいと思います。

 え)外注パートナー・・
 外注パートナーは昨年に引き続き、限られた企業様と続けていくつもりです。数年前、むやみにパートナーを増やし、自由意思に任せた失敗は繰り返しません。
 サテライトオフィスをパートナー企業様と共有している環境をどう活用するか。どれだけの外注費を支払い、そのためにはお客様にはどれだけの売上が必要か。お客様と弊社、弊社内、そして弊社とパートナー。その間で工数をかけず、なおかつ確実に仕様情報を伝達する。
 クラウドサービスを活用し、飛び回る代表の私が技術者に対して要件やスキルをどうやって円滑に伝えるか。そのためのドキュメントツールやコミュニケーションツールは引き続き模索していかなければ。この工夫に時間を掛けるつもりです。

 お)自治会との関わり・・
 自治会やPTAなど非営利活動の団体様からのご要望は積極的にご協力したいと考えています。昨年末にもPTA様、自治会様からご相談をいただきました。そうした地域活動のお手伝いを行う上でとてもよいご縁をいただきました。
 今年も登壇による認知度拡大を図っていくつもりです。「自治会 IT」で検索すると代表がトップに登場する。そんなアドバンテージは得ようにも得られません。今のうちに自治会の業務は形にしたいと考えています。
 その結果が各地の訪問につながれば良いと思います。代表の個人的なライフワークである地方訪問と地方創生への何らかの貢献へと。

 か)事業計画・・
 もう一つやるべきこと。それは経営の軸がぶれないような事業計画の策定です。
 この三年で、弊社が目指すべき方向性がかなり定まってきました。それはこの先の日本が直面する大きな課題にも関わっています。具体的には地方創生、少子高齢化、一極集中の弊害です。その中でPTAや自治会などの地縁団体様のIT化が喫緊の課題であり、弊社にはそれができるノウハウが溜まってきています。これを軸に据えていこうと思っています。
 いよいよ2020年です。かねてから言っていた、2020年が過ぎればシステム案件は減っていくとの予測はおそらくエンタープライズ開発の現場で顕著に実現するでしょう。つまり技術者が大量に余るのです。それを見据えた計画が求められます。
 具体的には今年の売上額は、2019年度の1.25倍を目指します。事業計画は3月までに今年分を、4月までには5年後の計画が書かれたものを作りたいと思います。これは確実に履行するために、太字にしました。
 新規のkintone案件は10本受注することを目指します。そのためにはkintoneの案件で実績を作り、それをブログなどでアピールするしかないでしょう。ここ三年であちこちにまいた種が育っています。これらを実のある実績にすることが今年前半のミッションだと思っています。実績を作って行けば、自然と年末のkintone Advent Calendarや登壇の場でご披露できるネタはたまるはずなので。

 き)主催するイベント・・
 昨年は8回の登壇と2回の主宰イベントを行いました。多数の人を巻き込む発信力は、代表にまだまだ足りない課題だと思っています。引き続き、身に着けていきたいです。

2.話す技術、書く技術、システムの技術
 あ)話す技術、書く技術・・
 昨年に引き続き、この2つは精進しなければと思っています。去年、書くほうは量的には残念な結果に終わりました。書くための時間が取れない分を、音声認識でしゃべって補おうと思ったのですが。
 書くほうは、昨年、二人の著者の方から著書うけとりました。私も出版という形で私の人生の一部でも形に残したいと思っています。
 今年の読読ブログは100本アップすることを目標とします。また、技術Blogは去年の二倍の量を目指します。
 弊社代表が独立して法人を立ち上げるまでを描く「アクアビット航海記」も月2本の連載を行います。

 い)システムの技術・・
 システムの技術ですが、AWSの中身についてさらに勉強を行うつもりです。2つは資格を取りたいと思います。
 また、kintoneのエキスパート試験があらたに設置されると聞いています。これも受かりたいですね。苦労するでしょうが。

 う)弊社サイトの刷新・・
 それにあたって弊社サイトのhttps化は必須です。もう、これは一刻の猶予もありません。1月にhttps化を行う予定です。

 え)リモートワーク・・
 一昨年知り合った弁護士の方は海外をあちこち訪問しながら仕事をこなし、成果を上げています。弁護士の業務と同じレベルを開発で行うのは難しい。それは分かっていますが、少しでも近づきたいと思っています。
 昨年はワーケーションも試し、実践できるだけの目途がたちました。
 今年は各地でワーケーションを実施し、個人としての思いと仕事の両立をさらに図っていきたいと思います。

3.ブログ
 あ)全体・・
 昨年に続いてInstagram、Facebook(法人/個人)、Twitter(法人/個人)の使い分けを行います。
 SNSについては、一昨年末にライフログについての考えをまとめました。今年も引き続きSNSは発信のみを中心にし、多分、SNS巡回作業には時間を割かないと思います。
 書評、劇評、映画評、時評や旅行紀、技術ブログは2019年並みの量を維持します。それと同時に、技術的な記事はもう少し増やしたいです。昨年に引き続いて、私にしか書けないブログにしていきたいと思っています。ブログのスタンスは昨年と変わりません。実名で責任から逃げない。押し付けにならぬよう私から友だち申請をしない。仕事もプライベートも三六〇度カバーする。これらを成し遂げつつ、質を落とさずに仕事でも成果を上げる。それはかなりの難関です。どこまで生産性を上げられるかにかかっています。

4.体力と魅力増強
 あ)滝と山・・
 痛めた腰は、だいぶ良くなってきました。今年も山や滝めぐりはしたいと思っています。日本の滝百選に選ばれた滝は8カ所を目指します。具体的には、去年この抱負で挙げた滝はどこも行けなかったので引き続き。ニッカ宮城峡蒸留所に行きたいので、秋保大滝と三階の滝を。岡山蒸留所に行きたいので、神庭の滝を。尾瀬に行って三条の滝を。維新152年の山口を旅したいので寂地峡五竜の滝を。阿波の土柱をみに行きたいので雨乞の滝と大釜の滝を。下北山村に再訪したいので中の滝や双門の滝、七ツ釜滝を。それと娘たちから家族で長野のカムループスさんに伺いたいとのリクエストをもらっており、近くの惣滝を。他はどこか一カ所、九州の滝には行きたいですね。それと、昨年は至仏山を登りました。今年もどこか一峰は登りたいです。燧ケ岳とかいいですね。

 い)訪問・・
 海外は一カ所、国内は12都道府県の訪問を目指します。私の人生で日本の滝百選、近畿/関東/中部/東北の駅百選、名水百選、日本100名城、続日本100名城のコンプリートは最低限の目標です。それらが実現できるよう、引き続き旅に旅を重ねていきます。

私は、まとめについてはほとんど読み返しませんが、自分の目標は何度も読み返しています。これを黙読だけでなく、音読することで一層実現に近づけたいと思います。

引き続き本年度もよろしくお願いいたします。


劇団四季と浅利慶太


本書を読む数カ月前に浅利慶太氏が亡くなった。
演劇に一時代を築いた方の逝去とあって、盛大なお別れ会が帝国ホテルで催され、大勢の参列者が来場した。私も友人に誘われて参列した。

すべての参列者に配られた浅利慶太氏の年譜には、演劇を愛する一人の気持ちが込められていた。
その年譜には劇団四季の創立時に浅利慶太氏が書いた文章が収められていて、既存の劇団にケンカを売るような若い勢いのある文章からは、演劇への理想が強くにじみ出ていた。
また、豪華に飾られた棺の両脇には演出家として俳優に指導する姿や演劇論を語る在りし日の浅利氏の映像が流されており、棺の前で黙祷する列に並びながら、参列者が浅利氏について思いを致せるように配慮されていた。

「なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか」でも書いた通り、宝塚歌劇の運営体制の裏側を知ってしまってからというもの、私は演劇の理想を見失いかけていた。
そんな私は、浅利氏の説く演劇論に救いを感じた。
劇団四季を宝塚と並び称される劇団にまで育て上げた浅利氏は、劇団の運営をどう考えているのだろうか。
私は浅利氏のお別れ会に参列したのを機会に、浅利慶太氏と劇団四季についてきちんと本をよまねば、と決めた。タイトルそのものの本書を。

著者は政治について語る評論家だ。
そんな方がなぜ演劇を?と思う。だが、劇団四季の躍進を支えた一つの要因に浅利氏と政治家との関係があったことは言うまでもない。
そうした関係が劇団四季の経営を支えたことは、ネットで少し検索すればゴシップ記事として出てくる。
また、著者と劇団四季や浅利慶太氏の縁は、本書の「あとがき」で著者が語っている。血縁も地縁もなく、パーティーで浅利氏の知己を得たことで、著者は劇団四季や浅利慶太氏に物書きとしての興味を抱いたそうだ。
ゴシップ趣味ではなく、劇団四季や浅利慶太氏は本来、興行経営の観点から論じられるべきではないか、という著者の意志。それが本書を生んだ。
もちろん浅利氏と知己である以上、本書は劇団四季と浅利慶太氏の立場に立って論を進める。だから良い面しかみていない。それは前もって頭に入れておいても良いと思う。だが、それでも本書の分析は深いと思う。

まえがきに相当する「オーバーチュア」では、劇団四季の概要と本書がどういう方針で劇団四季と浅利氏を描くかを示す。
劇団四季に対する批判は昔から演劇界にあったらしい。その批判とは、セリフが明朗で聞き取りやすいがゆえに、かえって実生活とは乖離しているというもの。
え?と私は耳を疑う。私はあまり耳が良くない。なので、セリフがよく聞き取れない演目は評価しない。なので、セリフが聞き取れないことがなぜ批判の対象になるのか理解できない。
そもそも観客は舞台の全てを感じ取ろうとするはずではないのか。
私にとってはセリフも重要な舞台の要素だと思う。だが、昔の新劇にはそうした演劇論がまかり通っていたらしい。いわゆる「高尚」な芸術論というやつだろうか。
芸術は高尚であっても良いはず。だが、さすがにセリフが聞き取りずらい事を高尚とは認めたくない。浅利氏でなくても憤激するはずだ。そうした演劇論が「オーバーチュア」では紹介されている。かなり興味深い。

「第1章 ロングランかレパートリーか」
劇団四季は日本で唯一のロングラン・システムを演ずる劇団。それでありながらレパートリー・システムも手掛けている。
他の劇団、例えば宝塚歌劇団は五組がそれぞれに1~2カ月の公演期間の演目を切り替えるレパートリー・システムを採用している。
劇団四季は「キャッツ」や「オペラ座の怪人」「ライオン・キング」など、ロングランが多い印象がある。
それが実現できた背景には劇団四季の創意工夫があったことを著者は解き明かしてゆく。
例えば専用劇場。それによって常に劇団四季の演目が上演できるようになった。
また、地方の都市にある劇場でも演目が上演できるよう、シアター・イン・シアターという舞台装置のパッケージ化を進めるなど、効率化に工夫を重ねてきた。
そうした工夫の数々がロングランを可能にしたといえる。

「第2章 俳優」
この章は、私にとって関心が深い。もちろん宝塚歌劇団との対比において。
宝塚歌劇の場合、ジェンヌさんは生徒の扱いでありながら、実際は舞台の上ではプロとして演じている。そして生徒の扱いでありながら、公演以外のさまざまなイベントに駆り出される。
そのため、ジェンヌさんは舞台だけに集中できない。

それを補完するのが宝塚に独自のファンクラブシステムだ。
私設ファンクラブであるため宝塚歌劇団からは公認されない。当然、宝塚歌劇団からファンクラブの代表に対する手当は出ない。
ところが、実際はジェンヌさんのさまざまな雑事はファンクラブの代表が代行している。チケットの手配や席次までも。むろん、無償奉仕で。

一方の劇団四季には、そもそもそうした私設ファンクラブがない。属する俳優に序列は付けないのだ。
宝塚歌劇団は一度トップスターにになると、原則としてどの公演も主演が約束される。ところが劇団四季は各公演の配役をオーディションによって決める。毎回、公演ごとに出演が約束されていないため、出演機会も限られる。
それでありながら、団員には劇団から固定給と言う形で支払われている。
生活の基盤がきちんと保障されており、なおかつ課外活動のようにファンと触れ合う必要もない。お客様とのお食事に同席する必要もない。だから劇団四季の俳優は舞台だけに集中できる。
俳優が舞台だけに集中することが演目の質に良い影響すを与えることは言うまでもない。
本書には俳優の名簿も出ているし、給与システムや額までも掲載されている。

それでいながら、演目ごとのオーディションによって団員の中に慣れも甘えも許さない。
そうした四季の運営を窮屈だと独立し、離れた人もいる。その中には著名な俳優もいる。著者のそうした人に対する目は厳しい。
劇団四季に独自のセリフ回しや、稽古などは、他の劇団ではなかなかまねができないようだ。どちらが優れているというより、それこそが宝塚歌劇団との一番の違いではないだろうか。

「第3章 全国展開と劇場」
第1章でシアター・イン・シアターが登場した。
パッケージングされた劇場設営の仕組みは、ある程度限られた劇場にしか使えない。
だが、それ以外の地方都市までカバーし、劇団四季の公演は行われている。
劇場ごとに装置も大きさも形も違う中、演目によっては上演できる劇場との組み合わせがある。
本章には地方巡業の都市と演目のマトリクスが掲載されている。
それだけの巡業を可能とするノウハウが、劇団四季には備わっているということだ。

このノウハウはまさに劇団四季に独自かもしれない。
東京や大阪、名古屋、札幌、福岡といった大都市でなければ演劇が見られない。
そうした状態を解消し、演劇に関心を集める意味でも、劇団四季が全国を巡る意義は大きいと思う。

「第4章 経営&四季の会」
この章も私にとって関心が深い。
劇団四季は、ファンクラブによる無償の奉仕(宝塚歌劇団)のような方法を取らずに、いったいどうやって経営を成り立たせているのか。おそらく、経営の手法にも長年のノウハウが蓄積されていることだろう。
余計な人や空き時間が出ないような勤務体系が成されているに違いない。
一人の社員が複数のタスクでをこなしつつ、流動する柔軟な作業体制がつくられているのではないだろうか。その分、社員は大変かもしれないが。

また、ファンクラブを公認のみに一本化していることも特筆すべきだ。
一本化するかわりにサポートやサービスを手厚くしているのではないか。
さらに私設ファンクラブの場合、どうしてもファンクラブごとに方法やサービスやサポートに差が生じる。また、その活動が奉仕に頼っている以上、ファンクラブごとの資力の差がサービスの差となる。それはファンにとって不公平を生みかねない。
ファンクラブが一本化されていることでサービスは均質になる。密接な関係を持ちたいファンには不満だろうが、不公平さを覚えるファンも減る。

本書には、観客目線と言う言葉が頻出する。
この言葉が劇団四季と浅利氏の哲学の根底にあるのだろう。
もちろん本書が劇団四季にとってよいことを書く本であることは承知。それを踏まえると、経営の中には見えない闇もあることだろう。書けない内容もあるだろう。
それでも劇団四季がここまでの規模まで成長した事実は、政治家との関係が有利に働いただけでは説明できないと思う。
今までの歴史には経営や運営の数知れぬ試行錯誤があったに違いない。
本書には浅利氏が生涯の七割を経営に割いてきた、という言葉がある。おそらくその努力を軽く見てはならないはず。

「第5章 上演作品」
ロングラン・ミュージカル(海外)。オリジナル・ミュージカル。中型ミュージカル(海外)。ファミリーミュージカル。ストリートプレイ(海外)。現代日本創作劇。その他。
著者は劇団四季の上演する演目をこの七種類に分けている。
海外のミュージカルだけに限っても、劇団四季はかなり豊富なレパートリーを持っている。
そしてそれらの中には、劇団四季が独自に翻案し、その成果が本場からも評価されている演目があるという。もちろんそうした翻案には浅利慶太氏の手腕によるところが大きいはずだ。

結局、難解な芸術だけによっているだけでは、劇団の経営は立ちいかない。
だから、芸術を追求するストリートプレイも挟みつつ、有名なミュージカルでお客様を呼ぶ。そうした理想と現実を併用しながら劇団四季は経営されてきたのだろう。
ただ、本省に出ている現代日本創作劇の演出家がいないという浅利氏の嘆きが、少し気になる。
私もそれほど演劇には詳しくないが、日本にもよいシナリオがあるように思うのだが。

「第6章 半世紀の歴史」
この章では浅利慶太氏の生い立ちから、劇団四季の旗揚げとその後の発展を描いていく。
学生劇団として旗揚げしてから、さまざまな挫折をへて、今の劇団四季がある。本章では挫折の数々も描かれている。もちろん政治家との出会いについても描かれている。
もともと浅利氏の一族は政財界に顔が広かった。そうした持って生まれた環境が劇団四季の成長に寄与していることは間違いないだろう。
それでも、本書で描かれる歴史からは、日本の演劇を育ててきた浅利氏の執念を感じる。

本章で大事なのは、そうした挫折の中でどういう手を打ってきたか、だ。
劇団四季が日本屈指の劇団に成長したいきさからは経営の要諦を学べるはずだ。

「第7章 劇団四季の未来」
本書は浅利氏が存命のうちに書かれた。今から十六年前だ。
だが浅利氏はすでに社長と会長の座を降り、取締役芸術総監督の立場に降りていた。つまり経営を他の人間に任せていた。
任せるにあたっては、劇団四季は浅利慶太氏がいなくなっても独り立ちできると判断したのだろう。実際、そのような意味の言葉を浅利氏はたびたび発しているようだ。

その後、浅利氏がいなくなってからの劇団四季はどう成長するのか。著者は大丈夫だろうと書いている。
浅利氏も自らがいなくなった後の事には何度も言及しているようだ。
それらを引用しながら、舞台、経営、大道具、意匠、営業、人事、教育に至るまでの多彩な要素で劇団四季が盤石になっていることが書かれている。

私も本書を読んだ後、浅利慶太追悼公演の「エビータ」を見に行った。素晴らしい舞台であり、感動した。
あとは十数年たってどうなるか、だ。
宝塚歌劇団も小林一三翁がなくなって十数年後、ベルばらブームの成功によって当初の理想から変質していった。それは経営の正常化のためである。ただ、同じ轍を劇団四季が踏み、営利の海外ミュージカルのみを上演する劇団になってしまうのか。
それとも今のらしさを維持しつつ、世界でも通用する劇団に成長するのか。楽しみだ。

本書はそれを占うためにも有益な一冊だと思う。

‘2018/10/24-2018/10/25


ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える


若い時には理想主義にふけっていた私。利潤の追求は間違っている、とかたくなに信じていた。人々が利潤を独占せず、広く人々に共有できれば、世の名はもっと良くなる。半ば本気でそんなことを考えていた。

経営者になった今、さすがに利潤を無視するわけにはいかない。それは利潤が利潤を呼び、いつまでも成長することが経済のあり方だから、と無邪気に信じているからではない。有限の資源しかない地球でそんなことは不可能だ。利潤を追い求める営みを認めるのは、私の中に飢えへの恐怖があるからでもない。

今、私は経営者として順調に売り上げを上げ続けている。だが、それは私が健康だからできること。何かの理由で仕事ができなくなったとたん、収入は途絶える。そうなったら飢えの恐怖が私の心身をむしばむに違いない。その恐れは常に心のどこかに居座っている。私の心身に異常が生じた時、どこからともなく助けが得られる。などと虫のいいことは考えていない。よしんば助けが得られたとしても、それは最低限の生活を送るための資金がせいぜいだろう。だから私は、利潤を追い求めるだけが人生ではない、という理想は捨てていないが、経済の論理は無視できないと思っている。

そこで、ベーシック・インカムだ。生きていくのに必要な金額が国から支給される。しかも無条件に。助成金や補助金のような複雑な申請はいらない。ただ、もらえる。魅力でしかない制度だ。

だが、経営者になった今、私はこの制度に無条件に賛成できないでいる。それは、私が経営者になった事で、勤しんだ努力だけ見返りがあるやりがいを知ってしまったからだ。勤め人だった頃のように失敗や逆境を周囲のせいにする必要はない。失敗は全て己のせい。逆に努力や頑張りが見返りとして帰ってくる。全ての因果が明確なのだ。見返りがあるということは人を前向きにする。それは人間に備わった本能からの欲求だ。楽になりたいとか、利潤が欲しいという理由ではなく、自分の生き方を自分で管理できる喜び。

だから、私はベーシック・インカムの思想にある「無条件に」という言葉には引っかかりを感じる。「無条件に」という言葉には、努力や責任が一切無視されている。もちろん、弱い立場の方に対してベーシック・インカムが適用されることは否定しない。私がもし、体を壊して仕事ができなくなった時、ベーシック・インカムから無条件に給付を受けられればどれだけ助かるか。それを考えた時、弱い方へのセーフティとしてのベーシック・インカムは必要だと思う。だが、それでは今の福祉制度と変わらなくなってしまう。

私が抱えるベーシック・インカムへの矛盾した思い。その疑問を解決するには勉強しなければ。本書はそうした動機で手に取った。

本書は全6章からなっている。ベーシック・インカムの理念や仕組みだけでなく、古くから検討されてきたベーシック・インカムの歴史が紹介されている。民主主義の勃興に時期を合わせるようにベーシック・インカムは提唱されてきた。その歴史は意外と古い。今までの人類の歴史で、幾人もの哲学者や経済学者、また、マーティン・ルーサー・キングの様な著名な運動家がベーシック・インカムの考えを提唱してきた。ベーシック・インカムはにわかに現れた概念ではないのだ。私は本書を読むまでベーシック・インカムの長い歴史を全く知らなかった。

第1章 働かざる者、食うべからずー福祉国家の理念と現実

この章ではベーシック・インカムの要諦が語られる。著者はその定義をアイルランド政府がベーシック・インカム白書の中で示した定義から引用する。
・個人に対して、どのような状況におかれているかに関わりなく無条件に給付される。
・ベーシック・インカム給付は課税されず、それ以外の所得は全て課税される。
・給付水準は、尊厳をもって生きること、生活上の真の選択を行使することを保障するものであることが望ましい。その水準は貧困線と同じかそれ以上として表すことができるかもしれないし、「適切な」生活保護基準と同等、あるいは平均賃金の何割、といった表現となるかもしれない。

より詳しい特徴として、本書はさらに同白書の内容から引用する。
(1)現物(サービスやクーポン)ではなく金銭で給付される。それゆえ、いつどのように使うかに制約はない。
(2)人生のある時点で一括で給付されるのではなく、毎月ないし毎週といった定期的な支払いの形をとる。
(3)公的に管理される資源のなかから、国家または他の政治的共同体(地方自治体など)によって支払われる。
(4)世帯や世帯主にではなく、個々人に支払われる。
(5)資力調査なしに支払われる。それゆえ一連の行政管理やそれに掛かる費用、現存する労働へのインセンティブを阻害する要因がなくなる。
(6)稼働能力調査なしに支払われる。それゆえ雇用の柔軟性や個人の選択を最大化し、また社会的に有益でありながら低賃金の仕事に人々がつくインセンティブを高める。

この章では他にもベーシック・インカムのメリットが紹介される。その中で、社会保険や公的扶助の現状もおおまかに紹介される。そうした制度が対象とする貧困層に対し、国家はどう認識し、どう対処してきたのか。それは国が行うべき機能の一つと挙げられている。だが、かつて貧困層とは国から完全に見捨てられた層だった。

貧困層とは、雇用されず、生計が成り立たない人々をさす。国としてみれば完全雇用が達成されれば社会保障は不要。だが、現実にはそうはいかない。しかも日本の場合、生活保護対象世帯のうち、実際に保護を受けているのは二割程度だという。これは捕捉率というそうだが、先進国の中でも日本の捕捉率は際立って低いそうだ。

そもそも生活保護とは、貧困者を選別する制度につながる。他にも公的な社会システムはある。そのうち、生活保護制度だけが対象を選別するそうだ。選別という行為は、為政者にとって避けたい。ならば、誰に対しても等しく適用されるベーシック・インカムの制度のほうが政策にも取り入れやすい。そうした観点を著者は説く。

日本ではそのため、完全雇用に近づけるようなワーク・フェアの施策がとられていると著者は指摘する。完全雇用が達成できれば、民間に福祉を完全に委ねられる。そのような発想だろう。だが、諸外国のワーク・フェアと比べ、日本のワーク・フェアには公の補助が欠けているという。

第2章 家事労働に賃金を!ー女たちのベーシック・インカム

本章では、アメリカやイタリア、イギリスで繰り広げられたここ数十年のベーシック・インカムの運動をおさらいする。女性がベーシック・インカムを主張する場合、通常の値上げ運動とは性格が異なる。というのも、通常の値上げ運動は失業時や低所得者の救済を主な目的とする。だが、そうした運動には女性の家事労働に視点が向いていない。そもそも女性が家事労働に従事する場合、それ自体に報酬が支払われることはない。一般的な家庭では、夫たる男性が外で稼ぎ、収入を持ち帰る。妻たる女性は、それを受け取り、家庭のために使う。つまり、夫から受け取る金額の中に、家事労働の報酬も暗黙のうちに含まれている。そのような解釈だ。

だが、報酬を暗黙でなく、家事労働それ自体に報酬を与えよ、というのが彼女たちの主張だ。だが、家事労働の労力など測れるはずもない。なので、女性に対するベーシック・インカムを要求するのが、本章で取り上げる運動の趣旨だ。

アメリカでの運動にはマーティン・ルーサー・キング牧師が関わっていた。そこには公民権運動の一環としての性格もあったのだろう。当時、黒人の女性は弱い立場にあった。それを救済するための手段の一つとして検討されたのがベーシック・インカムだった。イタリアではその運動がもう少し趣を変え、家事労働自体が他の賃金労働と等しく労働だ、という主張がなされた。ただ、ここで誤解してはならないのが、主婦業への賃金を求める運動ではなかったということだ。

イギリスでは要求者組合という形をとり、弱者への福祉も含めた運動に広がってゆく。その中で、受給資格をめぐる議論もより深まっていったという。例えばベーシック・インカムを受ける資格がある女性は、一人暮らしなのか、男性と同居しているか、結婚しているか、など。要は生計を男性に援助してもらっているかどうかによって、ベーシック・インカムの受給資格は変動する。

第3章 生きていることは労働だー現代思想のなかのベーシック・インカム

本章では、アメリカやイギリスでは女性によるベーシック・インカムの運動が衰退したが、イタリアでは発展して長く続いた理由を考察する。そこには賃労働の拒否、そして家事労働の拒否、という二重の拒否があった。ベーシック・インカムはその主張の解決策でもあった。それは、労働の価値化をどう捉えるか、という次の考察につながってゆく。労働とは通常、何か基となるものから付加価値を生み出す営みを指す。生み出された付加価値のうち、労賃が労働者に支払われるというのが古典的な経済の考えだ。そして、今までは家事労働には付加価値が発生しないと考えられていた。発生したとしてもそれは家庭内で消費されてしまうと。もし家事労働に付加価値が発生するとすれば、それは夫である労働者が外で付加価値を生み出すための労働であり、子供という次代の労働力を社会に生み出すための労働であり、それ自体に価値を見いだす考えがなかった。

本章では、行きていること自体が労働という観念が紹介される。生きているだけで労働と認められるなら、その労働には賃金が支払わねばならない。それこそがベーシック・インカムという論法だ。その考えは斬新にも思えるし、突飛にも思える。もちろん、その考えが認められれば、ベーシック・インカムの論理はこれ以上なく確かなものだろう。なにしろ、仕事内容や性別、資産に応じた額の増減を考えずに済むからだ。

日本でも青い芝の会という障害者の権利向上を求める集まりがあるそうだ。青い芝の会では、障害者は生きている、すなわち労働だとの考えに基づいているという。著者はそれもベーシック・インカムに近いと考えているようだ。

後に触れるように原資をどうするか、という問題を脇に置くとすれば、私もこうした考えをベーシック・インカムの一つとみなすことに賛成したい。

間奏 「全ての人に本当の自由を」ー哲学者たちのベーシック・インカム

ここでは哲学者たちがベーシック・インカムをどう考えてきたかについて触れられる。ベーシック・インカムは社会主義や無政府主義に比べ、人類にとって適正な制度であるというバートランド・ラッセルの説や、真の自由を人類が得るためには、必要だとするフィリップ・ヴァン=パレイスの考えが紹介される。苦痛からの逃れる意味での自由ではなく、より真の意味での自由。ベーシック・インカムが給付された場合、生存のために働く必要はなくなる。だが、それでも働きたい人が働く自由も保証されるべき。そうした選択の幅が拡充されるのがベーシック・インカムの根本思想だという。

第4章 土地や過去の遺産は誰のものか?ー歴史のなかのベーシック・インカム

ベーシック・インカムの考え方は、社会制度が封建主義から次の民主主義に移ってしばらくしてから生まれた。それは同時に経済制度が資本主義に変わったとみなしても良い。要するに近代の社会制度が生まれ、ベーシック・インカムの考え方も芽生えた。本書はそれらの紹介を順に進めてゆく。現代の資本主義国家では、土地の私有が認められている。だが、資本主義が勃興した当初、土地は共有という考えがまだ支配的だった。つまり誰にでも土地の権利があり、その土地から収入を得られる権利があったということだ。その考えを敷延すると、まさにベーシック・インカムの考え方そのものとなる。無条件で収入を得る権利というベーシック・インカムの考え方が、土地の扱いという観点で資本主義の発生時からあったことを著者は指摘する。

その考えは、経済学の中でも代々受け継がれてきたという。弱者を救済するための社会制度という性格は同じだが、保険や保護を社会が担うのではなく、無条件に給付するベーシック・インカムのほうが、制度として有効だとの考えも一定数で唱えられていたそうだ。それは、社会主義が見事に失敗した今でも変わらない。

著者はここで、経済制度の分析にまで踏み込んでいない。だが、現行の資本主義の制度の中でも、土地が共有である考えは受け継がれていて、ベーシック・インカムの根拠となる考えは有効であるとの立場のようだ。それはもちろん、人は生きているだけで労働だからベーシック・インカムの権利がある、という考えにも照応する。

第5章 人は働かなくなるか?ー経済学のなかのベーシック・インカム

ここが今の私には関心の高い点だ。

今の社会福祉は、労働を前提としている。だが、社会からは明らかに人間が必要な労働量が減ってきている。それは、技術革新の恩恵にあずかるところが大きい。つまり、労働がないのに報酬を払わねばならない未来が近づいている。もしそうなったら、労働を基に付加価値をつける営利組織はたちまち立ちいかなくなる。だからこそ国や団体による報酬の支給が必要というわけだ。こうした課題を経済学者は今までさんざん議論してきた。

本書に紹介されるのは、どちらかというとベーシック・インカムに賛成の立場の論考だ。だから反対の意見はあまり登場しない。それを差し置いても、今の社会制度で福祉を継続するためには、保険や保護に頼るのは困難になりつつある。そのような意見が優勢になりつつあると著者は指摘する。

ただ、本書の全体を通し、説得力のあるベーシック・インカムの財源が登場しない。これは考えものだ。たぶん現実問題として、財源の不足こそがベーシック・インカムが普及しない最大の理由だと思うからだ。私としては、ベーシック・インカムの普及には技術の力が欠かせないと思っている。資本からではなく、技術の力で全く違う資源からベーシック・インカムとして支給する何かを生み出す。それが実現するまで、私はベーシック・インカムの実現は難しいと思う。

もう一つ、日本においてそれほどベーシック・インカムの議論が熱中しないのは、わが国には自治体による道路、水道、ガス、電気といったインフラが整備されているからだ。現時点で民営化されているとはいえ、こうしたインフラはもともと国家による国民へのサービスだった。だから現状で十分なサービスを享受できているわが国民にさらにベーシック・インカムの恩恵を施す必要はあるのか、という疑問が生じる。

インフラも整っておらず、実際に生活を送るには収入が欠かせない国の場合、ベーシック・インカムの必要性はある。ただ、生活必需品をそれほど労せずに享受できるわが国では、ベーシック・インカムの普及についての議論が深まらない。もちろん、より多様性のあるサービスを受けられる選択の幅があっても良いと思う。だからこそサービスではなく財で等しく受給できるベーシック・インカムは、国民がサービスを自由に選ぶために必要なのかもしれない。原資の安定供給を技術の進化に頼らねばならない現状は変わらないにせよ。

今、年金制度の崩壊が叫ばれている。年金は、その支給の資金を原資をもとに投資した利子でまかない、支給額を安定確保するために努力していると聞く。つまり、既存の旧来の拡大成長を前提とした経済論理に年金制度は完全に組み込まれている。有限の地球に無限の拡大成長は考えにくいとすれば、それをベースに考えられた福祉にどれほどの期待が持てるのだろう。

もちろん、福祉サービスとベーシック・インカムは別ということは理解している。ただ、本章でも提示されているように、何らかの社会的な貢献活動の代償は制度として設けられているべきだと思う。つまり、働いてこそ代償は受け取れる、という考えだ。

第6章 〈南〉・〈緑〉・プレカリティーベーシック・インカム運動の現在

だからこそ、本章で取り上げられる現在のベーシック・インカムを分析する視野が必要だと思う。章のタイトルにある<南>とは既存の資本主義の熟練国ではなく、新興の国々を指す。要はいまだ発展途上にある国々の事だ。<緑>というのは緑の党のような、持続が可能な社会を目指す人々を言う。

ここで著者はエーリッヒ・フロムを登場させる。フロムもまたベーシック・インカムの提唱者だったそうだ。彼は著書『自由からの逃走』で著名だ。その中で彼が唱えたのは自由を持て余した人々がナチスを生んだという理論だ。だが、それとは別に、ベーシック・インカムこそが人々をより自由にするとの考えも持っていたらしい。そして、彼は財ではなく生活必需品の提供でならばベーシック・インカムが成り立つのではないか、と考えていたそうだ。上にも書いたとおり、私はすでに物資が充実している日本では、生活必需品の提供というベーシック・インカムは成り立たないと思う。著者も同じ考えをもっているようだ。

プレカリティという言葉の意味は本章には出てこない。調べたところ、不安定とか予測できないという意味のようだ。第二章で登場した各国のベーシック・インカム運動のその後が本章では紹介される。どうすれば人々がひとしく恩恵を受けられるのか。それはかつての私がまさに目指そうとした社会でもある。そのような社会の実現が経営者としての立場では難しいことも理解している。まさに今の経済制度では現実は不安定で将来は予測できない。だが、これからも理想の実現に向けた努力は注視していきたいと思っている。

本書は各章ごとにまとめが設けられたり、巻末でもあらためてベーシック・インカムのQ&Aの場が設けられたり、各章のあとにはコラムが設けられたり、なるべく読者への理解を進めるような工夫がちりばめられている。何が人類にとって最適な福祉なのか、本書は一つの参考資料となるはずだ。私も自分の理想がどこにあるのか、さらなる勉強を重ねたいと思う。

‘2018/10/17-2018/10/23


経営センスの論理


Cybozu社のイベントで何度か著者をお見かけした。そのイベントとは、Cybozu Days。その中にkintoneを活用したユーザーが事例発表を行うkintone hiveというコーナーがあり、著者はその審査委員長だ。

そんなわけで著者の名前は以前から知っていた。だが、著作を読むのは本書がはじめて。本書のタイトルが私を引きつける。経営センス。経営者の端くれにいる私に全く足りていない。

私は、自分に経営センスがあるとは思っていない。あればとっくに大勢の人を雇っている。私に経営センスがないのは、経営についての勉強を全くしていないからだ。全てが独学。ようやく法人化して四年目を迎え、さまざまな話をさまざまな方から伺い、自分なりに経営に試行錯誤してきた。

だからこそ、経営には「センス」と「スキル」があり、経営には両方とも必要なのだ、という著者の説には勇気づけられる。私の場合、圧倒的に足りないのは経営スキルであり、経営センスは多少なりとも身についているのでは、という勘違い。私に足りないのはむしろ経営センスではないだろうか。

財務諸表の読み方など、しょせんスキルの話だ。それらをいくら身につけてもそれだけでは優れた経営者とはいえない。せいぜいがスーパー担当者に過ぎない。そんな著者の言葉には頷けるところもあり、耳も痛い。私の場合は多分経営者ではなく、スーパー担当者に過ぎないのだろう。経営者でありながら、自分でプログラミングや設計やテストをこなしているうちは経営者とは言えない。

とはいえ、経営センスを身につけねばならないことは差し迫った課題だ。そもそも経営センスとは何なのか。で、どうやって身につけるのか。分かるはずがない。著者は「善し悪し」よりも「好き嫌い」で経営することが経営センスではないかという。そう聞くと、「好き嫌い」による経営は感情を論理より重んずる経営と同じ意味になり、あまりよろしくない気がする。ところが、センスある経営者をみていると好き嫌いで経営判断を下しているとしか思えないと著者はいう。確かに有名な経営者の言動、例えばスティーブ・ジョブズや松下幸之助の事績を見ると、論理よりも感情が見え隠れする。

経営者といえども人間だ。時間も有限にしか持たない。つまり、どこまでを自らの手で行い、どこまでを任せるのかについての線引きをきっちり行わねばならない。それがすなわち、本書でいうハンズオンとハンズオフの境界なのだろう。とくに、オフの線引きが重要なことは本書から読み取れる。私の場合もそう。コーディングはまだしも、テストまで手を染めることはやりたくないし、やってはならないと思っている。ところが、先日、某案件で私自身がテスターとなってしまった。忸怩たる思いに苛まれている。

著者は経営で重要なこととして「自由意志の原則」を挙げている。本来経営とは自由意志に基づくはず。ところが「⚪⚪せざるを得ない」という理由で経営の舵取りをする経営者がいかに多いか、と嘆く。これも耳が痛い。弊社の場合、さしずめ「人を増やさざるを得ない」「案件を請けざるを得ない」から経営しているといえよう。

第1章が、「経営者」の論理であるなら、第2章は、「戦略」の論理を取りあげている。ここで重要なのは、「連続性」と「非連続性」の観点だ。ここでいう連続性とはルーチン業務を指す。この連続性のラインに載っているかぎり、イノベーションは生まれない。同業他社から一歩抜け出すためには非連続性の中に踏み込まねばならない。著者がここで持ち出すのは、米国のサウスウエスト航空の事例だ。航空業界の中にありながら、あえてLLCという機軸を生み出す。そして業績を好転させる。一方で著者は、IT業界を技術革新の連続からなる非連続性の業界と解釈する。アマゾンは非連続性の中でユーザーの購買行動という連続性に着目し、業界のみならず、全産業の中でも巨人となった。新規の事業ではなく、従来からある事業の連続の中に商機を見いだしたからこそ、アマゾンはその地位を得た。

ちなみに著者は非連続性の業界の例としてIT業界をあげたが、連続性の部分もある。いわゆるSESだ。多重請負のもと、大手開発案件に技術者を派遣する業務だ。私も以前はこの業態の末端にいた。この業態には残念なことにイノベーションはない。私自身も未来を感じられずにいた。それなのに十年近くも在籍してしまった。それは私の後悔であると同時に、本書の記載に唯一疑問を抱いた点だ。

あと、この章では攻撃は最大の防御という戦略も描かれる。著者はご自身の頭髪を例に挙げ、ユーモアをたっぷり振りかけつつ戦略を語る。本書は全体的にこのような脱線が随所に挟まれ、心を和ませてくれる。「善し悪し」よりも「好き嫌い」で経営は語られるべき、を実践するかのように。

第3章は、「グローバル化」の論理だ。

この章にも重要な指摘がちりばめられている。そもそも著者は、グローバル化に当たっては、三つの壁があるという。それは英語の壁、多様性の壁、経営人材の希少の壁だ。それらはある意味では分かりやすい構造だ。しかし、著者の視点によると、この壁はかなりの誤解を生んでいるという。まず、英語の壁は英語の能力ではない。コミュニケーション能力の壁であること。多様性についても同じく誤解が生じている。それは、経営とはどこかで統合しなければならないことだ。各部門が好き勝手やっていたら会社は成り立たない。当然の指摘だと思う。「経営の優劣は多様性の多寡によってではなく、一義的には統合の質によって左右される」(119p)

三つ目に挙げられた経営人材の希少。経営人材とは、一章で挙げられた経営センスを持った人材を指す。スーパー担当者だけでは会社は回らない。センスを持った人材を育てなければならない。「非連続性を乗り越えていける経営人材の見極めは多くの日本企業にとって最重要課題である」(131p)

もちろん弊社にとっては、私自身が経営人材として舵取りをしていかねばならないわけで、肝に銘じねばならない。

第4章は「日本」の論理。ここも、日本にしがみつかざるを得ない(という自由意志を放棄したような)、弊社にとっては心強い内容に満ちている。いわゆる日本の終わりを予言する論調。それらの論調に反し、著者は日本の優位を説く。例えば日本が抱える問題で筆頭に挙がるのは少子高齢化だろう。だが、著者に言わせれば、それは逆を返せば問題が分かっていることと同じ。そして問題が事前に分かっていれば対策も採りやすい。一方、諸外国にも問題はある。日本と違い、諸外国の抱える問題は不確定の要因からなっている。たとえば宗教の対立、民族の対立などの問題はいつ何時どのように起こるか分からない。日本の場合はその問題が相対的に低いため優位な地位にあるというのが著者の分析だ。また、日本の企業は専業志向であるため、その分野では底力を発揮するというのも著者の見立てだ。諸外国の企業はポートフォリオ経営に特化し、採算が悪ければあっさりとその事業を売却する。日本でも大手の家電メーカーは、事業の切り売りをはじめているが、中堅どころの体力のあるメーカーは専業志向で頑張っていると著者はいう。

第5章は「よい会社」の論理。

この章で著者は、若者のブランド志向を指摘する。かつての私を思い返すと耳が痛い。顔から汗が噴き出る思いだ。就職活動の時、ろくに会社分析をせず、イメージだけで選んでいた私自身への痛烈な指摘が続く。私はこの時の経験から大企業への信仰がすっかりうせてしまった。今、零細企業の経営者として恥じるところはまったくない。ところが今の若者たちの多くはまだ企業をブランドイメージで捉えていると思う。消費者として眺めたときのイメージと、働く側で見据えたイメージの落差。先日もとある方としゃべっていたが、その方からはいわゆる大手企業にある官僚的な体質、社風について懇々と教えていただいた。

良い会社とは、いわゆる企業ランキングではわからない。そこで著者はGPTWインスティテュートによる働きがいのある会社ランキングを推奨する。このランキングは従来の指標とは一線を画し、働き甲斐に着目したランキングなのだそうだ。

第6章は「思考」の論理。

ここではもう少し経営センスのコアな部分に着目する。「抽象」と「具体」の往復。それこそが、地頭の良さを決めると著者はいう。その振れ幅の大きさこそが、行動や選択の幅や人間の器を大きくする。頭でっかちなだけでは駄目で、猪突猛進なだけでもだめ。両方が出来る人こそが器の大きい人物なのだろう。また、情報と注意をトレードオフするコツとして、巷に溢れる情報の渦の中で、どこまでを取捨選択すべきに帰ったについて、著者は語る。私の場合はSNSからの情報を絞ることにした。結局のところ、SNSから得られる情報量と時間の生産性を考えると、どうしても生産性は落ちる結論に達する。私はそう割りきってSNS投稿を行うように変えた。私の考えでは、自分のビジネスの広告効果より、生涯の収穫量に重点をおいている。

このように、本書はさまざまな視点から考えさせてくれる。

’2018-06/22-2018/06/30


2019年の抱負


新年明けましておめでとうございます。

大晦日にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、いろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願いいたします。昨年の流れをさらに加速し、なおかつ、あらわになった課題を解決する努力を惜しまず進みたいと思っております。

今までは新年の抱負を胸の中で徐々に温め、個人的な抱負は家族のみに披露していました。ですが、昨年からこの場で具体的に書いてしまおうと思います。自分を追い込むためにも、自分という器の容積を広げるためにも、目標は高く持ちたいと考えております。

1.法人化5年目にあたって
 あ)総括・・
 4年目の決算は、前年度を上回ることができそうです。その中にはSES業務が含まれていますが、それを除いても平年と変わらぬ額を確保できそうです。

 い)SES業務はなるべく請けない・・
 SES業務に頼るのは経営上よろしくありません。SES業務がはらむ問題は昨年末にアップしたまとめにも書きました。自社の要員をSES業務の要員に派遣するならまだしも、弊社の場合は自社の要員がおりません。つまりSESで得た業務のノウハウが弊社にたまりません。それはSES業務が「人貸し業務」と揶揄されるゆえんでもあります。かといって弊社代表がSES業務の現場に入る訳にもいきません。代表は他の業務にも目を配らねばなりません。管理する時間も削られます。そもそも、代表自身の単価がSESの一般的な相場単価では賄えません。代表の技術についてはそうした評価もいただくようになりました。

 う) SES業務に頼らない・・
 SES業務に頼らない場合、業務の軸として考えられるのは業務請負か自社サービスの展開です。前者はお客様から業務を請け負い、弊社リソースで足りない部分は外注する形態です。その際、外注費はなるべく下げねばなりません。そして外注費比率を下げつつ、同時に外注パートナーの労力に見合った外注費を支払うことが肝要です。そうするには売上の単価を上げるしかありません。今まで弊社代表が個人事業主として独立してから犯しつづけていた過ち。それは、単価を低く設定しすぎたことです。ユーザー側からIT業界に入ったため、ユーザー側の立場での単価設定を心掛けていました。ですが、それは継続したサービスの提供を行う上で逆効果だったようです。

 え)kintoneを軸にする・・
 粗利率をあげるため、弊社代表が関わる作業はなるべくなじみのスキルで賄えるようにしました。今年もその路線を突き詰めていこうと思います。kintoneは大手会社でも開発基盤に採用されつつあります。そこからも多数の案件を請けられるようになってきました。弊社の今後の軸になり得るソリューションだと思います。そのためには弊社代表がkintoneエバンジェリストである点は活用するのが吉です。もちろん、引き続きエバンジェリストとしての発信が求められるでしょう。そしてkintone単体ではなく、kintoneと他の言語やソリューションの組み合わせで新たな価値をお客様に提供する。その心意気が大切です。新たな分野に飛び込むことを自重した昨年ですが、いくつかの開発言語の新たな習得にチャレンジしました。ソリューションについてもさらなる勉強が求められることはもちろんです。業務効率の追求と新たな勉強を両立する。そしてコーディングだけではなく設計からの上流工程にも絡めるような一年でありたいと思います。そうあり続けるには、ブログによる発信や登壇はもちろん、イベントの主宰などを通じた弊社および代表の認知の拡大が重要だと思っています。お呼ばれいただければ各地のセミナーにも顔を出したいと思います。

 お)体制の変革・・
 そのためには弊社にとっての弱点を克服しなければ。一つは個人事業主時代から続く財務の脆弱さ、もう一つは経営と作業を代表が兼任している現状です。それらを克服するため、今年は4月に二つの変革を行うつもりです。一つは出先の事務所を増やすこと。本拠は変えませんが、出先の事務所を設けます。出先の事務所には常駐しませんが、打ち合わせに活用します。これはすでに場所もほぼ確定しています。これによって家庭と事務所の分離を促進します。もう一つは人の雇用です。昨年末、お世話になっている会社様の忘年会に呼ばれました。弊社と同時期に法人化したのに、すでに5名の優秀な技術者を雇用し、売上を拡大しています。とても刺激を受けました。弊社も昨年末、とあるご縁から技術者の面談を行いました。その方とどういう形で仕事をしていくのかは年明けから決めていきますが、技術者さんの希望に寄り添いながら慎重に決めていこうと思います。

 か)外注パートナー・・
 外注パートナーは昨年に引き続き、限られた企業様と続けていくつもりです。おととし、むやみにパートナーを増やし、自由意思に任せた失敗は繰り返しません。お客様と弊社、弊社内、そして弊社とパートナー。その間で工数をかけず、なおかつ確実に仕様情報を伝達する。どうやればあちこち飛び回る代表の時間を割いてスキルが円滑に伝達できるのか。どうやればお客様の業務要件を開発に落とし込めるのか。そのためのドキュメントツールやコミュニケーションツールは引き続き模索していかなければ。この工夫に時間を掛けるつもりです。

 き)自治会との関わり・・
 弊社が関わる業務に制限は設けないつもりですが、自治会関係の案件は積極的に取っていこうと思っています。コーディングや設計にも携わりますが、主には登壇による認知度拡大を図っていくつもりです。「自治会 IT」で検索すると代表がトップに登場する。そんなアドバンテージは得ようにも得られません。今のうちに自治会の業務は形にしたいと考えています。その結果が各地の訪問につながれば良いと思います。代表の個人的なライフワークである地方訪問と地方創生への何らかの貢献へと。

 く)事業計画・・
 もう一つやるべきこと。それは経営の軸がぶれないような事業計画の策定です。その方法はこの二年でヒントをいただきました。2020年はすぐにやってきます。そして2020年が過ぎればシステム案件は減っていくでしょう。それを見据えた計画が求められます。具体的には今年の売上額は、2018年度の1.25倍を目指します。事業計画は3月までに今年分を、4月までには5年後の計画が書かれたものを作りたいと思います。あと、新規のkintone案件を8本受注することを目指します。そのためにはkintoneの案件で実績を作り、それをブログなどでアピールするしかないでしょう。実は一昨年、昨年とあちこちにまいた種が育っています。これらを実のある実績にすることが今年前半のミッションだと思っています。実績を作って行けば、自然と年末のkintone Advent Calendarや登壇の場でご披露できるネタはたまるはずなので。

 け)主催するイベント・・
 昨年の反省の一つとして、主催イベントが公私ともにゼロだったことが挙げられます。これは今年最低限解消しないと。最低でも三回は行うつもりです。多数の人を巻き込む発信力は代表に足りない課題なので身に着けていきたいです。

2.話す技術、書く技術、システムの技術
 あ)話す技術、書く技術・・
 昨年に引き続き、この2つは精進しなければと思っています。去年、書くほうは量的には目標を達成できました。しゃべる方も自信がつきました。今年は主宰イベントもからめ、しゃべる機会を増やしたいと思っています。代表の脳の回路の癖ですが、話さないとすぐにスキルが衰えてしまいます。ただ、書くほうもそろそろ目に見える成果として世に問いたいと思っています。今年も読読ブログは100本アップすることを目標とします。また、技術Blogは去年の二倍の量を目指します。弊社代表が独立して法人を立ち上げるまでを描く「アクアビット航海記」が案外読まれています。続きを望まれることさえもあります。発表媒体がないのは言い訳に過ぎません。まずは、今まで連載していたメディアの担当者に弊社内での転載の許可を得、続きを弊社内サイトで書いていくことも考えています。

 い)システムの技術・・
 システムの技術ですが、言語はGoを。さらに、AWSの中身についてさらに勉強を行うつもりです。AWS Loft Tokyoという格好の場ができたことですし。また、MONACAを活用したモバイルアプリを一本、形にしたいです。

 う)弊社サイトの刷新・・
 それにあたって弊社サイトのhttps化は必須です。松の内が明けてすぐ、弊社サイトを載せているレンタルサーバーの更改が迫っています。当面は今のレンタルサーバー上で動かしますが、それだとhttps化ができません。なのでなるべく早いタイミングでkusanagiを使い、AWS上に乗せ換える予定です。

 え)リモートワーク・・
 昨年知り合った弁護士の方は海外をあちこち訪問しながら仕事をこなし、成果を上げています。弁護士の業務と同じレベルを開発で行うのは難しい。それは分かっていますが、少しでも近づきたいと思っています。リモートワークしながら開発するスキルと設備を増強する予定です。

3.ブログ
 あ)全体・・
 昨年に続いてInstagram、Facebook(法人/個人)、Twitter(法人/個人)の使い分けを行います。それに関して昨年末にライフログについての考えをまとめました。今年も引き続きSNSは発信のみを中心に、あまりSNS巡回作業には時間を使わずに運用する予定です。また、ライフログでいうと、Google Mapへの投稿でGoogle本社のイベントに招待されました。昨年は英語動画がアップできず、Google本社には行けませんでしたが、今年は逃さぬようにしたいです。
 書評、劇評、映画評、時評や旅行紀、技術ブログは2018年並みの量を維持します。それと同時に、技術的な記事はもう少し増やしたいです。昨年に引き続いて、私にしか書けないブログにしていきたいと思っています。ブログのスタンスは昨年と変わりません。実名で責任から逃げないもの。また、押し付けにならぬよう私から友だち申請をしないことも同じです。これらを成し遂げつつ、質を落とさずに仕事でも成果を上げる。それはかなりの難関です。どこまで生産性を上げられるかにかかっています。

 い)音声入力・・
 すでに書くスピードをこれ以上上げるのは難しい。今の自分に無駄な時間はまだあります。どうやって無駄な時間をインプットの時間として活用するか。引き続きそのための情報収集をするつもりです。公共の場でスマホにしゃべりかけず、なおかつ正常にインプットできる方法を求めて。

5.体力と魅力増強
 あ)滝と山・・
 昨年の春に痛めた腰は、結局一年近く治らないままです。今年も山や滝めぐりはしたいと思っています。日本の滝百選に選ばれた滝は8カ所を目指します。具体的には、去年この抱負で挙げた滝はどこも行けなかったので引き続き。ニッカ宮城峡蒸留所に行きたいので、秋保大滝と三階の滝を。岡山蒸留所に行きたいので、神庭の滝を。維新151年の山口を旅したいので寂地峡五竜の滝を。阿波の土柱をみに行きたいので雨乞の滝と大釜の滝を。JR三江線が3/31で廃止になったので常清の滝を。それと娘たちから家族で長野のカムループスさんに伺いたいとのリクエストをもらっており、近くの惣滝を。他はどこか一カ所、九州の滝には行きたいですね。無理そうなら阿寺の七滝か養老の滝、または霧降の滝、常布の滝か早戸大滝のどれかを。それと、ここ二年、日本百名山に一峰も登れていません。どこか一峰は登りたいです。そのためにはまず腰を直さないと。

 い)訪問・・
 海外は一か所、国内は12都道府県の訪問を目指します。私の人生で日本の滝百選、近畿/関東/中部/東北の駅百選、名水百選、日本100名城、続日本100名城のコンプリートは最低限の目標です。それらが実現できるよう、引き続き旅に旅を重ねていきます。

私は、まとめについてはほとんど読み返しませんが、自分の目標は何度も読み返しています。これを黙読だけでなく、音読することで一層実現に近づけたいと思います。

引き続き本年度もよろしくお願いいたします。


2018年のまとめ


今年もevernoteで下書きをこしらえ、弊社ページにて一年のまとめを書きます。

総括すると、2018年は公私ともに充実していたと思います。ようやく自分の時間を自在に扱えるようになりつつある。そんな手応えを感じた一年でした。ですが、今の状況に安住する愚は犯してはなりません。そこには痛切な課題も潜んでいます。達成度6割。達成感7割。満足感8割というのが自己採点です。2018年の私および弊社とご縁をいただいたすべての方々に感謝します。ありがとうございました。

公私の「公」

●弊社の業績
§ 総括 目次 今年度は売上だけで考えれば、過去最高の実績を上げられそうです。今期はあと三ヶ月残っていますが、売上見込みも粗利見込みもたっています。何とか黒字も達成できそうです。が、一概に喜ぶわけにはいきません。その売上の中にはSES(システム・エンジニアリング・サービス)契約に属する業務も含んでいるからです。上半期に顧問税理士の先生のもとで今季の収支予測を立てたところ、このままの粗利率と売上では赤字が避けられない、との結果が出ました。そこでSESとは一線を画した営業チャネルを構築しました。その結果、ある程度の成果が得られつつあります。そして弊社リソースでも技術力で複数の案件をこなし、上流工程から関わることで粗利を確保する。今期はそのめどが立ったことが大きいです。ただ、弊社の財務状況が脆弱である事実には変わりありません。今の好況も後もって二年でしょう。そのためには弊社の利益体制も変革することが喫緊です。今、弊社では、来季に向けての体制を構築すべく動いています。

§ 業務パートナー 目次 実は昨年度、業務パートナーを増やし、ある程度の自由と自発に委ねました。それは見事に失敗しました。今年の初頭にもその余波が残っており、弊社に影響を与えました。その反省を痛烈に受け止めました。そして対策を打ちました。
それは、弊社内のリソースで売上を上げつつ、パートナー企業様もごく一部に絞る方策です。ただ、その売上の一部は、上に書いた通り、SES業務によるものです。SESに手を染めると売上は確保できますが粗利は下がります。それはつまり弊社の抱える労力ではなく、外部から調達した労働力を紹介し、仲介料を得る業務だからです。 また、SESは技術者派遣の一種ですからノウハウは技術者にこそたまれど会社のノウハウになりにくい欠点があります。また、SESは一度手に染めると売り上げがたつためそこに頼りがちになります。さらに会社の業務構造がSESに頼ってしまい、抜け出すのが難しくなります。言い方は悪いですがSESとは企業経営にとって麻薬のようなものだと思っています。エンドユーザーが支払う額と、末端の技術者が受け取る差額がどれだけなのか。その差異は暗黙の了解でうやむやになっています。ところが技術者本人の立場からするとそのギャップは大いなる矛盾として身をさいなみます。弊社代表も長らく末端で派遣される側であったため、その矛盾にもがきました。SES業務にそのような矛盾が内包されている以上、将来性も見込めないし、弊社としても粗利は見込めない。ですから弊社としてはSESは最低限に抑えるつもりです。
また、弊社自身が多数の会社から案件の発注先にお選びいただきました。ありがとうございます。その中で開発パートナーとして契約を結んでくださったイノベーション・プラス様とのご縁は来年大きく成果につなげたいと考えております。

§ 開発案件 目次 昨年の反省として、バラエティに富んだ開発案件を請け過ぎました。それを見直すため、携わる作業分野をかなり絞りました。そしてその分、提案にかなり力を注ぎました。それが功を奏し、新規kintone案件が複数受注できました。また、上にも書いたとおり、粗利を増やすため、弊社代表が関わる案件を増やしました。弊社代表の持ち時間は一日24時間しかありません。限られた時間を効率的に使えるような案件に絞る。その取り組みが功を奏した一年でした。
また、人脈作りにも力を入れた事が結果にも返ってきています。今年ご縁のあった方からの大型kintone案件も受けられるようになっています。来年以降の業務にもよいお話をいただけています。弊社代表は今年もkintoneエバンジェリストに継続して任命されており、DevRelJpで教わったTwitter活用で積極的な発信を行わせていただいております。年末にはkintone Advent Calendarに四年続けて参加し、ライフログをkintoneで活かす記事を書きました。
来年、さらにkintoneの案件のニーズは増えるでしょう。それはkintoneのサードパーティ製プラグインの充実を凌駕し、kintone専属エンジニアの仕事を絶やさないはず。引き続きそうした案件の新規受注を増やし、少しでも安定的な案件を増やす。これは必ず達成すべき課題だと思っています。
また、開発案件を絞ったとはいえ、開発に限れば新たな挑戦や勉強にも取り組んでいます。例えばIoT開発の案件。NFCリーダーを活用したプロトタイプアプリを作成してテクニカルショウヨコハマ2018に出展するネタを作りました。MONACA上でビルドし、モバイルアプリとして動かす案件にも二つほど携わりました。他にもnode.jsやPythonも勉強し、PythonフレームワークのDjangoとAWSのEC2やAURORAと組み合わせたソリューションとして結実させています。言語環境や開発環境については日進月歩の業界なので、勉強し続けなければなりません。停滞は許されませんので。

§ 業務基盤の堅牢化 目次 昨年度から取り組んでいるこの課題こそ弊社の一番の悩みです。昨年、個人事業主時代からずるずると続けていた家計と法人の財布の混在を完全に分け、資産表や収支表はきっちり顧問税理士の先生に管理していただいています。が、まだ改善すべき点が多いです。引き続き財務の正常化が弊社の今後を大きく左右すると認識しています。同時に、経営計画や事業計画書の策定にも取り掛かっています。来季は弊社の体制の変革も考えており、より家計と会社の分離を進めて行く予定です。今年はIT導入補助金導入支援事業者にも選定されました。そこで得た信用をより厚くしなければ。

§ 社内体制 目次 弊社の弱点は財務のほかに、私一人が実質的な経営者と作業者を兼ねていることです。ここをどう突破するかが個人事業主と企業経営者の壁でもあります。この壁を破るため、次なる体制構築を秋ごろから構想し始めています。年の瀬からは一部動き始めています。これが来年どう形になり、どう実るか。

§ 2018年度売上見込み 目次 上記の通り、SESの割合が高くなったとはいえ、SES以外の業務でも過去最高の売上のめどは立っています。今のペースを続けられれば、決算でも2017年度の実績より上回れる見込みがつきました。ただ、残り三カ月の努力が重要なのは言うまでもありません。

§ 人脈の構築 目次 今年は登壇も含めて露出および交流を増やそうとしていました。名刺コレクターに堕することなく、有効な人脈の構築に専念する。その結果、重要なステークホルダーの方とのご縁が多々作れました。Facebookを見る時間は一日に5分程度ですが、Twitterでの露出も増やし、焦点を定めた交流を心がけることで有効な営業チャネルがたくさん作れました。それが今年の充実した活動に繋がったと思っています。来年度も今年のノウハウを活かしつつ、引き続き新たなご縁をいただければと思っています。単なる仕事上のつながり、SNS上のみつながりだけでなく双方に良い関係を。ただ、代表個人の時間には限りがあり、お誘いしてもらったイベントの多くに参加できていません。この点は申し訳ないと思っています。

§ 対外活動 目次 2017年度は登壇の機会がほぼありませんでした。それを反省点として、今年は登壇の機会を増やしました。合計4回。まず5月のサイボウズ社にてチーム応援ライセンス開始記念セミナーに。「チーム応援ライセンス開始記念セミナー」「弊社ブログ」「「自治会こそITが必要!!」20種類を比較検討したIT顧問の選択
一番最後のサイボウズ社のブログに掲載のエントリーは、「自治会 IT」で検索すると一番に現れます。実はこのフィールドでも弊社は有利な位置におり、今後もこの有利さを活かした取り組みを考えています。
残り三つの登壇は、全てEBISU Tech Nightというイベントにおいてです。六月、九月、十二月と登壇して参りました。このイベントでは自分の中でも話し方や内容についてよい訓練の機会となりました。機会を与えて下さった運営の方々には感謝しかありません。
もう一つ今年の活動として代表が出身の関西大学の四回生向けに社会人の経験を語るイベント「東京知ル活」にもOBとして参加しました。少々、身もふたもないことを言い過ぎたかもしれませんが。
他にもさまざまなサービスのエバンジェリストの方が集まるDevRelJpに二回参加し、その両方で自己紹介のLTを披露させていただきました。また、cybozu Days 2018の前々日に行われたkintone evaCampでも他社サービスのエバンジェリストの方とご縁をもらい、とてもよい刺激を吸収しました。Cybozu Days 2018に初めて両日とも全て参加したのも今年です。
他にもイベントや勉強会、セミナーなどあれこれと参加させていただきました。「国際ファッションセンター新年会(1/11)」「荒川区ビジネスプランコンテスト(2/16)」「技術者交流会(3/30)」「ワイン&グルメ ジャパン2018(4/11)」「Zoholicsセミナー(4/18)」「IoT分科会(4/20)」「クラウドコンピューティング EXPO(5/10)」「東京知ル活(5/11)」「NPO応援ライセンス開始記念セミナー(5/16)」「AWS Summit Tokyo 2018(6/1)」「BNIバンブーチャプター代理出席(6/5)」「【ハンズオンセミナー】アプリにプッシュ通知を組み込もう!(6/6)」「Prezi Night Tokyo Ⅶ(7/13)」「kintone devCamp (8/2)」「Twilio ビジネスセミナー(8/23)」「kintone Café Tokyo(8/29)」「Smart Communication Award 2018(9/21)」「AWS Loft Tokyo オープニングパーティー(10/1)」「ハロー職1(10/7)」「DevRel Meetup in Tokyo #35 〜ソーシャル〜(10/10)」「墨田区地域クラウド交流会(10/19)」「Cybozu Days 2018(11/7-8)」「kintone Café Japan 2018(11/10)」「プロ向け勉強会 #1「AWSでWordpressを使うときのトラブル回避術<(11/15)」「技術者交流会(11/23)」「徳丸浩のセキュリティセミナー WordPressの運用時に注意するセキュリティについて学ぼう!(11/29)」「定着率・求人応募率アップ!紙芝居で学ぶユニーク会社制度セミナー on Zoom(12/1)」「DevRel Meetup in Tokyo #37 〜忘年自己紹介大会〜(12/5)」
こうした場に参加することは、自分の知見を高めるだけでなく、そこで得たご縁が次の仕事につながるため重要です。あらためて今年はそのことを感じました。ただし、今年の私ができなかったことがあります。それはイベント主催です。幹事すら一度もやっておらず、これはとてもよろしくない。kintone Café 神奈川は何度か開催のご要望ももらっていたのですがタイミングを逸してしまいました。来年は何か主催をせねばならないと思っています。

§ 執筆活動 目次 昨年からCarry Meさんの運用する本音採用でブログ「アクアビット 航海記」の連載がcarry meさんの編集方針と合わず、三月で連載が終わってしまいました。ところがこの連載、思った以上に各方面に読まれております。また、39回で中断した時点で、独立から起業に至る肝心な所は書けていません。これはどこかで発表の場を作りたいと思っています。
本のレビューは104本(相撲の歴史まで)、映画のレビューは8本、観劇のレビューは3本アップできました。また、12月には上に書いた通りkintone Advent Calendarに参加しています。その他の仕事に関したブログは23本。計138本のブログをアップしました。2018年も書くことへの情熱が尽きることなく可能な限り書けた一年となりました。ただし、書いた内容はまとまった形にできていません。来年、何らかの成果として世に問いたいと思っています。

§ 妻のココデンタルクリニック 目次 妻のココデンタルクリニックは、新患さんも増えてはいるようです。が、2018年度は妻自身が別のお仕事に忙殺されてしまい、傍から見ていてもとても診療室経営に専念できているとはいえませんでした。それは、昨年と同じく私の気分を大きく乱しています。残念ながら来年もその状態は続くでしょう。妻には妻の人生があるので、やりたいことはさせてやりたいとは思っているのですが・・・私が患者さんを紹介するなどして、診療所経営に専念させるようにしなければ、と思っています。

§ 年表 目次
 ・1月お仕事
  

自治会のIT化打ち合わせ、両国の国際ファッションセンター入居者の新年会、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・2月お仕事
  

新宿でサイト作成打ち合わせ、横浜のサテライトオフィスで作業×2、テクニカルショウヨコハマ2018、虎ノ門で商談、半蔵門で打ち合わせ、Yahoo LODGEで仕事、ブロックチェーンの開発打ち合わせ、荒川区ビジネスプランコンテスト、となりのkintoneインタビュー、戸塚で司法書士の先生と打ち合わせ、Stockのサービス提供元へ訪問、SYNQAで作業、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・3月お仕事
  

税務署訪問、堺筋本町で商談、三宮で飲み、半蔵門で税理士の先生と打ち合わせ、新宿御苑で打ち合わせ、Mass×Massで商談、妻のパソコン購入、横浜西口で商談、横浜で商談、渋谷で商談、成田空港で商談、横浜薬科大学で商談、戸塚で司法書士の先生と打ち合わせ、パートナー企業の皆さんと飲み、技術者交流会、パートナー企業様と飲み、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・4月お仕事
  

技術者さんと経堂で飲み、太田ふ頭で商談、コワーキングスペース町田で作業×2、中川で商談、ワイン&グルメジャパン2018、旧常駐先で飲み、BitClubセミナー、Zoholicsセミナー、町田法務局訪問、川崎で商談、IoT分科会、四谷三丁目で商談、Yahoo LODGEで作業、日本橋で商談、丸の内で商談、IT導入補助金導入支援事業者採択、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・5月お仕事
  

Mass×Massで商談、横浜のサテライトオフィスで作業、クラウドコンピューティングEXPO、半蔵門で税理士の先生と打ち合わせ、関西大学東京センターで知る活参加、渋谷で技術者さんたちと飲み、中川で商談、ココデンタルクリニック看板塗り、NPO応援ライセンス開始記念セミナー登壇(サイボウズ社)、西浦和で商談、パートナー企業の皆さんと暑気払い、両国で商談、渋谷で技術者さんと飲み、成田空港で商談、EBISU Tech Nightに参加、明治記念館で脳外科篠浦教授講演会、岩本町でデモ拝見、秋葉原でランチミーティング、SYNQAで作業、丸の内で商談、狛江で商談、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・6月お仕事
  

月島で商談、月島で打ち合わせ、AWS Summit Tokyo 2018、Mass×Massで商談、大阪府立大学同窓会打ち合わせ、BNIバンブーチャプター代理出席、半蔵門で商談、月島で商談、MONACA×ncmbセミナー、鷺沼で商談、渋谷で商談、太田ふ頭で作業、IT導入補助金導入支援事業者向けセミナー、浜町で商談、EBISU Tech Night登壇、荏原で商談、荏原町で打ち合わせ、半蔵門で税理士の先生と打ち合わせ、町田市役所訪問、町田税務署訪問、町田市立図書館で作業、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・7月お仕事
  

渋谷で商談、旧常駐先の方と呑み、両国で商談、Mass×Massで商談、お客様と飲み、Prezi Night Tokyo Ⅶ、町田市立中央図書館で作業×2、EBISU Tech Night参加、新羽で商談、両国で商談、和光大学ポプリホール鶴川で作業、センター南で商談、横浜のサテライトオフィスで作業、Mass×Massで商談、井土ヶ谷で訪問、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・8月お仕事
  

kintone devCamp 2018、四谷三丁目で商談、Yahoo LODGEで作業、丸の内で作業、丸の内で商談、月島で商談、新羽で商談、青山一丁目で商談、鶴川駅前図書館で作業、丸の内で作業、技術者さんと飲み、丸の内で作業、飯田橋で商談、丸の内で作業、八重洲で商談、二子玉川で商談、丸の内で作業、新宿で商談、飯田橋で商談、Twilioビジネスセミナー Vol.53、外苑前で飲み、警視庁遺失物センター、飯田橋で商談、技術の先輩とサシ飲み、丸の内で作業、渋谷で商談、飯田橋で商談、kintone Café Tokyo vol.7、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・9月お仕事
  

飯田橋で商談、鶴川駅前図書館で作業×2、ときわ台で商談×2、新宿で商談、Mass×Massで商談、東京ガーデンテラス紀尾井町で作業、パスポート申請、立川まんがぱーくで作業、両国で商談、SYNQAで作業×2、Smart Communication Award 2018、EBISU Tech Night、四谷三丁目で商談、丸の内で商談、四谷三丁目で商談、月島へ書類届けに、AWS にてスタートアップフォロー、目黒で商談、上野で商談、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・10月お仕事
  

AWS Loft Tokyoオープニングセミナー&パーティー、浜町で商談、両国で商談、横須賀で商談、ハロー職1観覧、渋谷でDevRelJp、パスポート受け取り、パートナー企業の皆様で飲み、墨田区地域クラウド交流会、曳舟で飲み、渋谷で商談、AWS Loft Tokyoで作業と商談、旧常駐先の方と池袋で飲み、神田で商談、八丁堀で商談、SYNQAで作業、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・11月お仕事
  

渋谷で商談、パートナー企業で呑み、飯田橋で商談、SYNQAで作業、八丁堀で商談、日本橋で商談、Cybozu Days 2018×2、お客様と幕張メッセで商談、渋谷で商談、kintone Café Japan 2018、青山一丁目で商談、Yahoo LODGEで作業、新宿で商談、両国で商談、AWS Loft Tokyoで作業、築地でプロ向け勉強会 #1「AWSでWordpressを使うときのトラブル回避術」、日本橋で商談×2、AWS Loft Tokyoで商談と作業、渋谷で商談、技術者交流会、パートナー企業様と飲み、半蔵門で商談、Yahoo LODGEで作業、PaaS研究会、徳丸浩のセキュリティセミナー WordPressの運用時に注意するセキュリティについて学ぼう!」、新宿で作業、パートナー企業で作業と打ち合わせ

 ・12月お仕事
  

定着率・求人応募率アップ!紙芝居で学ぶユニーク会社制度セミナー 、八丁堀で打ち合わせ、銀座で作業、有楽町で作業、田町でDevRelJp、日本橋でランチミーティング、四谷三丁目で商談、Yahoo LODGEで作業、半蔵門で税理士の先生と打ち合わせ、半蔵門で商談、日本橋で商談、町田市役所で商談、日本橋で商談、EBISU Tech Night、中華街でお客様の皆様と飲み、Mass×Massで商談、AWS Loft Tokyoで作業と打ち合わせ、鶴川で商談、日本橋で作業、目黒で作業と打ち合わせ、大宮で作業、上山で作業、パートナー企業で作業と打ち合わせ

公私の「私」

●家族との一年
§ 総括 目次 昨年にもまして、家族で行動する頻度は減りました。それぞれの生活があり、それぞれのタスクがある以上は仕方ありません。ただ、昨年よりはバトルの頻度が減りました。少しずつ大人になってゆく娘たちとの関係に悩みはつきませんが、今年は家族で二度泊りがけの旅行に行きました。それは家族にとってとても大切な時間でした。また、長女も次女も進路を定めなければならない年であり、ともに年内に推薦入学のめどがつきました。また、昨年亡くなった風花に変わり、三月から凛が我が家の家族の一員に加わりました。やんちゃ盛りで日々家族の神経をかき乱しています。

§ 娘たちに何ができたか 目次 今年は二人の娘がともに受験生でした。長女は首尾よくAO推薦をもらい、入試に合格しました。次女も年末に中学校から推薦状をもらうことができました。来年は二人とも専門学校に入学するはずです。娘たちが進路を決めるにあたり、私が意向を押し付けたことはありません。二人とも自分の意志です。具体的に手伝えたことは乏しいですが、新たな道を選ぶにあたっては障害ではなく、助言者としてありたいとの思いは貫けたと思います。これからも娘たちの進む道を示すガイドでありたいと思います。

§ 長女の一年 目次 長女は絵が好きで芸術系の学科に進学しましたが、人間関係など悩みも多く、高校生活に悔いはあるようです。ただ、それでもイラスト系の業界やその仕事への熱意は失いませんでした。イラスト系の専門学校に進むのも本人の意志です。私も新たな学校には見学について行き、娘の意志は確認しました。新たな学校に進学した後、悩み多き高校生活が実は無駄ではなかったことをいつか分かってくれると思います。中学の頃から個人事業主として活動している長女ですが、今も複数の仕事を請けているようです。私ももう少ししたら何かの仕事を振ってやりたいと思っています。長女とサシで出かけることは一、二回しかありませんでした。ただ、妻も含めてのお出かけは何度もしています。その中でも墨田区の職人さんを紹介するネット上の生放送番組「ハロー職1」に連れて行けたことで、メディアや自己表現の何たるかは感じてくれたのではないかと思います。年ごろのため不安定なところもありますが、引き続き長女には期待しています。

§ 次女の一年 目次 チアを諦めてまで中学の吹奏楽部を全うしたかったという次女の思いを尊重した私たち夫婦でしたが、次女は無事に吹奏楽を全うしてくれました。一方で今年は自由に生きたい次女とまだ手元におきたい妻がぶつかった一年でした。そのぶつかりが燃え広がり、何度かバトルに近いいさかいも家族の中に勃発しました。娘を持つことの難しさを感じた一年です。次女には彼氏ができましたが、私はそれを頭ごなしに否定せず、彼氏にも二回会いました。高校に行くには成績が足りない娘が調理師になりたいというので、その意志も尊重しました。そうした進路や生活態度についての話し合いも何度もしました。妥協もしたかもしれません。ただ、愛嬌もあり、人付き合いもうまい次女なので、必ずや道を踏み外さず、人生の旅路で成果を挙げてくれるはずと信じています。もう次女も子供ではないこと。大人になるため巣立とうとしていること。その二つをつくづく思わされた一年です。

§ 家族の一年 目次 そうした不安定な娘たちだった割には、危機感は感じませんでした。むしろ昨年のほうが不穏だった気がします。それは家族そろってお出かけしたことが功を奏したのだと思います。詳しくは書きませんが、それぞれの場所で良い想い出作りができました。特に3月の沖縄旅行と12月の山形旅行。去年は家族で泊まりの旅行に行けなかった分を取り戻すほどの充実した旅でした。今年の3月にわが家に凛が仲間に加わりました。五カ月近くペットショップの住人だったため、七色の癖を持ち、やんちゃでうちの家族を困らせています。可愛いのですが。あと4月の末に二回、私がグレて野宿で一夜を過ごしたことも忘れずに書いておきます。

§ 年表 目次
 ・1月帰省(泊まり)
  白山姫神社初詣神呪寺参拝、香櫨園駅、ホテルヒューイット甲子園ロイヤルホームセンター甲子園バッティングセンター西宮神社
 ・1月お出かけ
  

浅草雷門舟和屋浅草花月堂 馬道店浅草文化観光センター黒田屋本店遊食豚彩 いちにいさん 日比谷店TOHOシネマズ日劇(映画:DESTINY 鎌倉ものがたり)星野珈琲店コーチャンフォー稲城若葉台店、しゃぶ葉町田モディ店、いこいの湯、府中の森芸術劇場伊勢ヶ濱部屋ちゃんこ会伊勢ヶ濱部屋初場所打上式Stella Lounge

 ・2月お出かけ
  

東京宝塚劇場(舞台:ロベスピエール)東京都庁南展望室、籠屋(秋元酒店)、相鉄ムービル(映画:スターウォーズ 最後のジェダイ)、毘沙門天堂、Salad Stop表参道店根津美術館(展覧会:金と墨展)LINKS LondonTokyo Whisky LibraryThe Tokyo Dining 東京ライス、極鶏Bar下北沢、谷中銀座Orso、カポエイラ、八景の棚、相武台下駅、塩川滝、塩川神社、平山橋、とんかつはせ川、青山フラワーマーケット ティーハウス 赤坂Bizタワー店赤坂ACTシアター(舞台:ドクトル・ジバゴ)VILAMOURA 赤坂サカス店ペットフォレスト鶴川店

 ・3月お出かけ
  

はま寿司 町田野津田店、西宮市こうしえん観光案内所、手造り居酒屋 樽八、スーパージャンカラ生田ロード店、どん兵衛、桔梗堂、T先輩宅、汐見橋駅、芦原橋駅、木津川駅、浪速神社、大坂人権博物館(リバティおおさか)、太鼓屋又兵衛屋敷跡、昔勤めたブラック企業跡、個室居酒屋 宴丸 Enmaru 京橋駅前店、金の蔵 京橋北口店、辺川駅、海部駅、宍喰駅、甲浦駅、海の駅東洋町、白浜海水浴場 (白浜海岸)、宍喰海岸、道の駅 宍喰温泉、轟九十九滝、クリアウォーターOSAKA㈱、地鶏と鮮魚 一石二鳥 三宮店、らーめん 熊五郎 三宮西口店、甲子園球場、Bar Harbour Inn、イオンシネマ新百合ヶ丘(映画:グレーテスト・ショーマン)薬師池公園グリーンウォーク多摩シズラー府中店八景島シーパラダイスココリア多摩センター、公津の杜駅、相州春日神社、羽田空港那覇空港知念岬公園南城市地域物産館せーふぁキッチンアブチラガマひめゆりの塔波照間ボートレースアンテナショップ 沖縄・国際通り Double Deckerぱいかじ 国際通り店ホテルグレイスリー那覇中城PA崎本部緑地公園沖縄美ら海水族館エメラルドビーチcafeティーダVONGO & ANCHOR美浜アメリカンビレッジ、県庁前駅、海の駅 あやはし館アマミチューの墓シルミチュー大泊ビーチ伊計島灯台キングタコス与勝店勝連城跡市場本通り商店街海想 松尾店、古酒家本店、Splash Okinawa 2、Sky Rent a Car、那覇空港羽田空港凛お迎えららぽーと横浜

 ・4月お出かけ
  

相模原麻溝公園、八王子駅前ビルステーキのあさくま八王子打越店イオンシネマ多摩センター(映画:グレーテスト・ショーマン)、大森貝塚跡、うどん開都大地沢青少年センター草戸山境川源流町田あいす工房ラッテ小陽生煎饅頭屋 (生煎馒头屋)、アジアンフード バー バグース、井の頭恩賜公園、Bar 羽月、シズラー府中店柏屋LATTE GRAPHIC、BrewDog Roppongi、富士の国 やまなし館、玉川学園ゴスペルカフェ、稲毛神社、川崎堀之内ソープランド街、港町駅、六郷橋、川崎市観光案内所、薬師池公園、民権の森、野津田神社、小樽食堂町田広袴店、喰違見附、T.G.I.Friday’s 町田店、野宿、博多もつ鍋 やまや、野宿、レッドロブスター 多摩境店寄居PA駅前児童公園道の駅 くらぶち小栗の里、織田氏七代の墓、雄川堰、こんにゃくパークハイウェイオアシス ららん藤岡 (道の駅 ららん藤岡)寄居PA (上り・寄居 星の王子さまPA)みはらし広場クリスタルサウンドみつや水晶宝石博物館仙娥滝昇仙峡森カフェ山梨ワイン王国大滝仙娥滝初狩PA (上り)峠の茶屋

 ・5月お出かけ
  

玉ちゃん亭、BAR CROW、赤坂区民ホール天馬 カレー&カレーパン 青山店府中の森芸術劇場シズラー 府中店、等々力陸上競技場、生田緑地、枡形山、枡形城、戸隠不動跡、尾崎咢堂記念館、エビラ沢の滝、薄野 中村屋、江戸城大手門、薬師池公園 蓮園、ららぽーと横浜琴平神社本殿、Craft Beer Moon Light 本店、多摩川五本松、新橋演舞場(舞台:蘭 緒方洪庵 浪華の事件帳)やさいの王様、沼久保駅、富士山本宮浅間大社、湧玉池、神田川、富士高砂酒造、白糸の滝、音止の滝、富士宮やきそば 平石屋、朝霧高原、本栖湖、道の駅 しもべ、甲斐常葉駅、身延駅、横網町公園、第1ターミナル 展望デッキ、大佐倉駅、将門口ノ宮神社、東光寺ビョウ、本佐倉城跡、明治記念館、フレッシュネスバーガー 曙橋店、長女学校見学、新宿御苑、世界堂 新宿本店、富士フォトギャラリー銀座、三省堂書店 有楽町店、KITTE

 ・6月お出かけ
  

東京国際フォーラム(コンサート:The Show Stopper)、上毛高原駅、鳩待峠行バス連絡所、鳩待峠、尾瀬国立公園、つり橋、尾瀬山荘、尾瀬沼、三平峠、ヌル沢奥の滝、上毛高原駅、啓文堂書店 渋谷店、めし屋 奈良間、ブックファースト 新宿店、赤坂 紫月、MARUZEN & ジュンク堂書店 渋谷店、次女の中学校運動会町田東急ツインズ、沢谷戸自然公園、油そばの店 蜻蛉、ここ滋賀、日本橋 長崎館、沖縄物産店 銀座 わしたショップ、小樽食堂 町田広袴店、亜細亜食堂 リバーサイゴン (SAIGON)、成田山 新勝寺成田山 大本堂成田山 咤枳尼天堂 (出世稲荷)成田山 三重塔、二宮尊徳翁開眼の地、成田山 咤枳尼天堂 (出世稲荷)成田山 釈迦堂成田山 額堂成田山 光明堂成田山公園、雄飛の滝、成田山 総門、長命泉、成田参道 房の駅川豊酒々井PA (上り)、多摩川決壊の碑、麺屋 大申、甘酒横丁、薬師池公園、荏原町駅、旗岡八幡神社、shango、麺匠なべすけ 本店、地ビール厨房 COPA 町田店、BACKPACKER’S CAFE 旅人食堂 町田屋台店、まちの駅 ぽっぽ町田、薬師池公園

 ・7月お出かけ
  

イオンシネマ新百合ヶ丘(映画:ハン・ソロ ストーリー)、スエヒロ館 新百合ヶ丘店、薬師池公園、MARUZEN & ジュンク堂書店 渋谷店、とんかつはせ川、薬師池公園 蓮園、雑司ヶ谷 鬼子母神 (鬼子母神堂)、Pasar幕張 幕張PA (下り)、酒々井PA (下り)、大栄PA (下り)、佐原PA (下り)、鹿島神宮大鳥居、鹿島神宮 楼門、カシマサッカースタジアム、ちゃあしゅう屋 鹿嶋店、鹿島神宮駅、剣聖 塚原卜伝生誕之地 プレート、鉾田駅、新鉾田駅、北浦湖畔駅、鹿島灘駅、鹿島大野駅、長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅、大野潮騒はまなす公園、荒野台駅、塚原卜伝の墓、塚原卜伝像、鹿島神宮大鳥居、鹿島神宮 楼門、鹿島神宮 拝殿・本殿・御神木、鹿島神宮奥参道、鹿島神宮 境内鹿園、鹿島神宮 奥宮、鹿島神宮 要石、鎌足神社、根本寺、鹿島城山公園、鹿島アントラーズ クラブハウス、カシマサッカーミュージアム、カシマサッカースタジアム、鹿嶋サッカースタジアム駅、鹿嶋灯台、延方駅、ばんどう太郎 神栖店、大栄PA (上り)、帝国ホテル 東京、谷際屋製麺工場、玉川学園ゴスペルカフェ、まちの駅 ぽっぽ町田、イングリッシュパブ トラファルガー、本間橋、小林商店、鳥居原園地、早戸大滝アタック、東京ミッドタウン日比谷日比谷シャンテラ ブティック ゲラン銀座 三徳堂boulangerie Bonheur、町田市民文学館ことばらんど(展覧会:舘野鴻原画展)、町田市立陸上競技場 ホーム側ゴール裏、NTTドコモ歴史展示スクエア、両国 江戸NOREN、びっくりドンキー 光が丘店、矢まと、雲林坊 秋葉原店、明治記念館、山高神代ザクラ、北精進ヶ滝、一の滝、二の滝、道の駅 はくしゅうサントリー白州蒸溜所BAR白州八ヶ岳PA (上り)石川PA (上り)、北海道らーめん 楓 横浜西口店

 ・8月お出かけ
  

横濱家系ラーメン 大岡家、鯛塩そば 灯花、かのん、府中の森芸術劇場 どりーむホールシズラー府中店武蔵府中郵便局、阪神甲子園球場、甲子園歴史館、六人部PA (下り)、由良川PA、宮村駅、金引の滝、天橋立駅、松和物産、天橋立駅前郵便局、天橋立ビューランド リフト・モノレール、飛龍観回廊、KITTE、伊織 / シン・エヒメ、大阪百貨店、KITTE、豚骨らーめん ぼっけもん、幸楽苑 町田木曽店ゆめみ処 おふろの王様 町田店、古書 高原書店、町田市民ホール、ステーキ宮 町田木曽店、spice bistro、海旬処 魚華青銅の鳥居江の島瑞心門江の島エスカー 2区KUA`AINA 片瀬江ノ島店横浜・八景島シーパラダイスシーフードとカレー料理 パーマーストン Palmestonアメリアショッピングセンターららぽーと横浜TOHOシネマズららぽーと横浜(映画:ミッション・インポッシブル Fall Out)富士屋ホテルピコット ロビー店箱根ガラスの森美術館ラ・カンツォーネ、千条の滝、ららぽーと海老名、有隣堂、ハングリータイガー、鎮魂の碑、京橋エドグラン、麺屋 みちしるべ、EXPASA足柄 下り三島スカイウォークスカイウォークコーヒースカイウォークコーヒー山中城跡伊豆フルーツパーク御殿場プレミアム・アウトレットbodum (ボダム) 御殿場プレミアムアウトレット店、和田倉噴水公園、皇居前広場、二重橋、安具楽、東京ドーム、野球殿堂博物館、オークスブックセンター、スエヒロ館 新百合ヶ丘店、玉川学園ゴスペルカフェ、HUB 外苑前店、東部湯の丸SA (下り)、祢津小学校、袮津城山、草笛 上田店、砥石・米山城址櫓門口登山道、砥石城跡、桝形城跡、米山城跡、千古温泉、千古の滝、ハイウェイオアシス ららん藤岡 (道の駅 ららん藤岡)、高坂SA (上り) レストラン、道なか食堂 げんき、CINAGRO、俺流塩らーめん 神楽坂店、安全寺

 ・9月お出かけ
  

東京ステーションギャラリー東京ステーションホテルカメリアKITTE東京国際フォーラムShake Shack蕎麦 AKEBONOYA東京ミッドタウン日比谷boulangerie Bonheur、上等カレー 飯田橋店、筑土八幡神社、神楽坂、板橋天祖神社、ときわ台駅、ジュンク堂書店 池袋本店、小樽食堂 町田広袴店ヨドバシカメラ マルチメディア町田、中華ダイニング貫 (KAN)、町田パリオ(まさるや2018仲秋 日本酒呑んでる会 in 町田)、BOOKOFF SUPER BAZAAR 町田中央通り (本・ソフト館)、創作和食 あおき、福富町パラダイス、草月、syarumu、Hot Spoon 西新宿店、東京都旅券課 (新宿パスポートセンター)、イオンシネマ新百合ヶ丘(映画:ボルグ&マッケンロー)、らーめん 立川や、立川市子ども未来センター、立川まんがぱーく、東京都パスポートセンター 立川分室、オリオン書房、立川市中央図書館、丸善 多摩センター店、蕎肆 穂乃香、隅田川テラス、蔵前橋、駒形橋、株式会社バンダイ 本社、駒形堂、まるごと北海道 雷門物産本舗、雷門、小樽食堂 町田広袴店、片倉つどいの森公園、長女の高校文化祭、赤城高原SA (下り)、道の駅 白沢、十二坐神社、吹割渓谷遊歩道、吹割の滝 第三観瀑台、吹割の滝 第一観瀑台、浮島橋、浮島観世音、日本の滝百選 25『吹割の滝』、鱒飛の滝、滝の駅、沼田市観光案内所、沼田城天守跡、沼田城、利根英霊殿、真田信之.小松姫像、沼田公園 鐘楼、沼田公園の御殿桜、道の駅 みなかみ水紀行館、土合駅、赤城高原SA (上り)、駒寄PA (上り)、石川PA (上り)、四条富小路 麺屋虎杖、丘のまち美瑛、帝国ホテル 東京、珈琲茶館 集 有楽町アネックス店、東京大神宮、Hop-Scotch Craft Beer & Whiskey、ビッグボーイ 黒川店、Tokyo Rice Wine 新百合ヶ丘店、アリオ橋本、水の苑地(県立津久井湖城山公園)、津久井湖記念館、伏馬田城趾、花の苑地(県立津久井湖城山公園)、道の駅 どうし、三島由紀夫文学館、山中湖 文学の森公園、徳富蘇峰記念館、郷土料理 和十郎、忍野村観光案内所、菖蒲池、湧池、銚子池、お釜池、河口湖駅、金鳥居市民公園、道の駅 富士吉田、鐘山の滝、リカーズハセガワ 北口店、晴海郵便局、晴海埠頭、味噌一 三軒茶屋店、上野恩賜公園、西郷隆盛像、誹風柳多留発祥の地、不忍池、東京ディズニーランド

 ・10月お出かけ
  

ずんどう屋 目黒店、大横川親水公園、世界のビール博物館、KUA`AINA、薬師池、久里浜駅、桂寿味、次女の進路先の見学会The Tokyo Dining 東京ライスニッカ ブレンダーズ・バーラウンジ春秋館東京タワー国際ファッションセンターアゼリア 第一ホテル両国両国江戸NORENの土俵、上河内SA (下り)、道の駅 猪苗代、denen cafe、農業体験、富士の湯、空き家てらす 隠れ家、酒家 盃爛処、空山neo、太郎焼総本舗、鶴ヶ城、道の駅 ばんだい 徳一の里きらり、友部SA (上り)、表参道駅、シャングリ・ラ ホテル東京、昭島市役所、エピソードカフェ東京交通会館いしかわ百万石物語 江戸本店Yellow Korner Photography – Art – Limited editionQ CAFE by Royal Garden Cafe湘南平霧降りの滝アリオ橋本Honolulu Coffee、ACADEMIA くまざわ書店、Bull Pulu、世田谷文学館、蘆花恒春園 (蘆花公園)、祖師谷商店街 (ウルトラマン商店街)、駒寄PA (下り)、津久田駅、棚下不動滝、長井坂城跡、永井箱根神社、奥利根うどん本舗、名胡桃城址、ささ郭、後閑駅、道の駅 よしおか温泉、かもすや酒店、ジュンク堂書店 池袋本店、清龍 南池袋店、くさやバー、Craft Beer Market 神田店、広島ブランドショップ TAU、パルテノン多摩SUBWAY 多摩センター店丸善 多摩センター店、Coeur & Heart、コーチャンフォー 若葉台店、羽田空港国際線ターミナル成田空港 第2ターミナルバニラエア チェックインカウンター台湾桃園国際空港 (TPE) (臺灣桃園國際機場)Immigration (護照?驗)National Theater (國家戲劇院)、凱達大飯店 Caesar Metro Taipei、MRT 龍山寺駅 (捷運龍山寺站)、MRT Taipei Main Station (捷運台北車站)、TRA 台北駅 (臺鐵台北車站)、Keelung City (基隆市 Keelung City)、TRA Keelung Station (臺鐵基隆車站 TRA Keelung Station)、基隆西岸旅客碼頭、基隆海洋廣場 Keelung Maritime Plaza、TRA Keelung Station (臺鐵基隆車站 TRA Keelung Station)、台北市 (臺北市)、THSR 台北駅 (高鐵台北站)Q Square (京站時尚廣場)饗食天堂Eslite Bookstore (誠品書店 台北捷運店)MRT Taipei Main Station (捷運台北車站)MRT 龍山寺駅 (捷運龍山寺站)凱達大飯店 Caesar Metro Taipei龍山寺スターバックス (STARBUCKS)臺北市立大學校本部 University of Taipei Main CampusMRT 中正紀念堂駅 (捷運中正紀念堂站)Liberty Square (自由廣場)National Theater (國家戲劇院)中正紀念堂National Concert Hall (國家音樂廳)TRA Wanhua Station (臺鐵萬華車站)TRA 台北駅 (臺鐵台北車站)Taoyuan Metro Taipei Main Station (A1) (桃園機場捷運台北車站)Taoyuan Airport MRT (A12) Airport Terminal 1 Station (桃園機場捷運 A12 機場第一航廈站)Terminal 1 (臺灣桃園國際機場第一航廈)台湾桃園国際空港 (TPE) (臺灣桃園國際機場)Gate B2成田国際空港 (NRT)成田空港 第3ターミナルCafe&Dining N’s court

 ・11月お出かけ
  

麺の坊 砦、駒場公園、旧前田家本邸、籠屋(秋元酒店)、薬師池公園、リカーポート 蔵家、町田市 大賀藕絲館、町田リサイクル文化センター、小山田神社、舎鈴 飯田橋駅前店、ハタフラワー、梅の花 町田店、せんや、新宿みやざき館 KONNE、餃子会館 磐梯山 両国店、とり家 ゑび寿 両国店、駒八 目黒さんまセンター、六本木ヒルズアリーナ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(映画:ボヘミアン・ラプソディ)、鎌倉パスタ、鶴ヶ峰駅 (SO09)、鎧橋跡、鎧の渡し緑道、首塚 (畠山重忠公)、畠山重忠古戦場跡、畠山重忠古戦場跡、六ツ塚、すずり石水跡、鶴ヶ峰神社、駕籠塚、得得 横浜鶴ヶ峰店、驚神社、和菓子紀文堂、四季芸術センター、麺屋 一寸星、你好 ニイハオ 渋谷店、オールドヒッコリー 町田境川、やきとり居酒屋 山家 本店、次女の進路先、ベルサール高田馬場、はつ花そば 本店、酒岳堂 井島商店、はこね 和菓子 菜の花酒岳堂 井島商店、箱根観光物産館、鈴廣のかまぼこみつき DELI&CAFé TERRACEベーカリー&デリカテッセン 箱根カフェ箱根の市、麺屋すみす、神宮外苑いちょう並木、多摩丘陵パノラマの丘、防人見返りの峠 展望台、コーチャンフォー 若葉台店、東京都庁 第一本庁舎、ブックファースト 新宿店、技術者友人宅

 ・12月お出かけ
  

自然食バイキング はーべすとヨドバシカメラ マルチメディア町田町田マルイ、薬師池、Cut Let Me、築地本願寺、マルイアネックス イベントスペース、讃岐うどん かいと、野津田神社、民権の森、七国山 鎌倉街道の碑、七国山、野津田薬師堂、よみうりランド、スエヒロ館 新百合ヶ丘店、極鶏Bar 下北沢店、エリックサウス、麺 TOKITA、警察博物館、香川・愛媛せとうち旬彩館、春水堂ラフォーレ原宿FURFUR東郷神社コロンバン原宿本店、麺屋三男坊、中澤酒造株式会社、麺屋 海神、慶華飯店、横浜赤レンガ倉庫、JICA横浜国際センター、信濃屋 目黒店、酒舗 まさるや、すし屋 銀蔵 鶴川店まちの駅 ぽっぽ町田ぐりーんうぉーく多摩、きさらぎ、Classy’s Bar、暖暮 川崎仲見世通店、麺や維新、自転車文化センター、JR 東北新幹線 大宮駅山形新幹線 かみのやま温泉駅かみのやま温泉観光案内所上山十日町郵便局上山城菓子司 十五屋本店上山市役所葉山館、わくわくコマレオ 上山店、春雨庵、葉山館かみのやま温泉観光案内所山形新幹線 かみのやま温泉駅楢下宿 丹野こんにゃく番所HATAKE CafeHATAKE Cafe トマト上山店ファーマーズマーケットトマト 上山店、愛染神社、齋藤茂吉記念館、上山旭町郵便局、ぐっと山形 (山形県観光物産会館)、上山城、菓子司 十五屋本店かみのやま温泉駅JR 東北新幹線 大宮駅、鴨川、六道珍皇寺、京都霊山護國神社、パール博士顕彰碑、桂小五郎・幾松墓所、坂本龍馬の墓、幕末維新ミュージアム霊山歴史館、御陵衛士屯所跡、八坂神社、知恩院 三門、青蓮院門跡、岡崎・市電コンシェルジュ、岡崎別院(親鸞聖人岡崎草庵跡)、光雲寺、哲学の道、法然院、慈照寺 (銀閣寺)、まつばや、哲学の道、京都大学

§ 家族のお出かけ 目次 家族で出かけたのは、上の年表で黄地に太字にしているイベントです。「浅草(1月)」や「沖縄(3月)」「相模原麻溝公園(4月)」「こんにゃくパーク(4月)」「赤坂(5月)」「八景島(8月)」「箱根(8月)」「三島(8月)」「東京ディズニーランド(9月)」「山形(12月)」。満足できる一年になったと思います。来年もどこかに出かけようと考えています。

§ 妻とのお出かけ 目次 妻と出かけたのは、上の年表で桃地に太字にしているイベントです。なんかかんだといって、結構節目節目には二人で過ごせているようです。今年は臺灣を一緒に訪れたのが思い出深いです。いくつかBarにも訪れたり、八景島シーパラダイスにも二人で行きました。あとは音楽と舞台と映画でしょうか。一緒にいくつも観て体験していますね。夫婦ともにこれだけ忙しくても、時間をやりくりしてこれだけ出来ていれば、来年もやれそうな気がします。

§ 娘たちとのお出かけ 目次 娘たちと3人で出かけたのは、上の年表で緑字に太字にしているイベントです。一緒にご飯を食いに行くぐらいしかいけませんでした。娘たちもそれぞれ友達と出かけたり家にこもったり。特に次女は明らかについてこなくなりました。彼氏や友達との時間を優先する年ごろになった。そういうことです。私としてはワンパターンなお出かけよりも、経験でめずらしい経験をさせてやりたい、と思うのですが、私の時間もなくなっており、近所であればもはやそういう経験はさせてあげられません。ですが、来年も断られることを覚悟で、誘ってみようと思います。

§ 妻とどちらか娘とのお出かけ 目次 妻とどちらかの娘の3人で出かけたのは、上の年表で水色地に太字にしているイベントです。長女は比較的よくついてきました。が、逆に次女だけが付いてくることはほとんどありませんでした。

§ 長女とのお出かけ 目次 僅かではありましたが、いくつか訪れています。そのうち一つは長女の高校の文化祭に私一人で出かけることになり、しばらく長女と行動を共にしました。年ごろのためか潔癖感が増していますが、私に対しての棘は峠を越した気がします。私がそう思っているだけかもしれませんが。

§ 次女とのお出かけ 目次 部活に忙しく、なかなか一緒にはいかれませんでしたが、それでもいくつかの場所を父娘二人で訪れています。そのうち一つは二人で回転すしを訪れて大いに語りました。次女は親あしらいがうまいので、時間さえあえば来年もついて来てくれそうです。

●私自身の一年(交友関係)
§ 関西の交流関係 目次 今年は、3月にまとまった日程をとって帰りました。四泊五日の日程でしたが、高校の友人たちと、大学の友人たちと飲み遊び、一昨年からご縁を結んだ方々とも飲み、打ち合わせも挟み。私が苦しんでいた時期に知り合った師匠と梅田のバーで呑み、今までFacebookだけのつながりだった方ともお会いし。かなり濃密な時間を過ごしました。ありがとうございました。
7月には中学の頃からの友人が上京し、共に呑みました。その場でイカ釣りに誘われ、8/6にはそのために帰りました。が、高波でイカ釣りが中止となり、再計画した日も友人が仕事で断念しました。これはぜひ来年やりたいと思っています。年末になって年賀状を書きながら、SNSをやっていない友人たちとのご縁をまた復活させたいと思いました。

§ YKGの交流 目次 今年もまた、鉄道や城巡りといった旅を愛する友人二人と、砥石城を中心に武田氏に関する城巡りを行いました。さらに畠山重忠に関する史跡めぐりも行いました。来年、またともに旅ができればうれしいです。

§ 一年の交流 目次 今年は、前半は3月の関西以外は低調でした。が、ゴールデンウィークのサッカー観戦から、関西大学での知ル活など、徐々に交流を活発にしました。一つ目のピークは6月に10数人のパーティーで訪れた一泊の尾瀬旅行です。仕事でもほうぼうに一人で飛び込んで行き、徐々に外交的な自分を取り戻していきました。下に書く酒関係のイベントでは様々な方と楽しい時間を過ごしました。パクチー三昧の時間を過ごしたこともうれしい。魂友とは三回会い、そのうち一度はご自宅でお母さまともお会いしました。どれもが今年の特筆すべきイベントです。また、会津への旅は今年の5本の指に入る素晴らしい旅でした。見ず知らずの方々と民泊で出会い、話に花を咲かせる。その素晴らしい経験は、人生万歳と言いたくなるほど。また、年末にはいのしし鍋のイベントにもお誘いをいただき、絶品の鍋を囲んで楽しい時間を過ごしました。他にも書いていませんが色々なイベントにお誘い頂きました。ありがとうございました。

§ 地元の交流 目次 一方、今住んでいる地元の友人との時間はほとんどとれませんでした。ですが、昨年末から参加しているゆるいランチの会には二度参加しています。仕事を抜きにした語らいの場としてとても重宝しています。下半期は私が忙しくて伺えなかったのですが、代わりに妻が何度も参加させてもらっています。私も来年は参加したい。あと、自治会には仕事でかなり携わりました。来年もそうしたご縁を活かしていきたいです。最後に、年の瀬になって娘たちが学童でお世話になっていた指導員の先生の訃報が入ってきました。まだ若いのに残念でなりません。いい人ほど早く世を去っていく。

●私自身の一年(文化活動)
§ 読書・観劇レビュー 目次 読んだ本のレビューを記す読ん読ブログの執筆は、主に2017年に読んだ104冊分となりました。レビュー執筆は、私の中では大切なライフワークとして位置付けています。ただ、仕事を優先する関係上、どうしてもアップは後回しになっています。それでも読んでからアップするまでの日数を10カ月に縮めました。この期間を質を落とさずにさらに早めるのが去年に引き続いての課題です。舞台観劇と映画鑑賞のレビューについては、遅れずに書けているのですが。書くという行為への熱意は衰えていませんので、引き続き続けていくつもりです。

§ 今年の読書 目次 読書については、今年は94冊読みました。また、ジャンルを問わずの乱読傾向は相変わらずです。94冊についてそれぞれに思い入れは深く、その中のベストを選ぶといったおこがましいことはしません。ですが、今年は年末になってようやく坂の上の雲全巻を読み通せました。また、今年は三人の文人の展示会を訪問しました。「三島由紀夫博物館」「徳富蘇峰記念館」「世田谷文学館(筒井康隆展)」どれもがとても刺激になりました。

§ 今年の映画 目次 映画鑑賞については、今年は8本観劇しました。
DESTINY 鎌倉ものがたり」「スター・ウォーズ/最後のジェダイ 」「The Greatest Showman」「The Greatest Showman」「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」「ミッション:インポッシブル フォールアウト」「ボルグ / マッケンロー 氷の男と炎の男」「ボヘミアン・ラプソディー」。
観たかったのに見れなかった映画もたくさんあります。ですが、私の持ち時間の少なさからみて、よく見たほうだと思います。今年は大河ドラマの「西郷どん」を妻が観たいというので一緒に観ていましたが、やはりというか、ほとんどの回を見逃してしまっています。

§ 今年の舞台 目次 舞台については、今年度は3本の鑑賞でした。詳細は当ページの「目下の舞台鑑賞」を観てもらえればと思います。3本いずれも素晴らしい内容でした。ただ、私の中で宝塚歌劇の運営方針に重大な不満があり、妻には「見たくない」と言ったことを実践。下半期は観劇していません。その一方で、劇団四季を創立した浅利慶太氏が亡くなられました。かつて劇団四季に勤めていた友人の山下さんにお誘いいただき、浅利慶太お別れの会に参列しました(9/18)。そこで配布された故人の演劇論や略歴が書かれたパンフレットを読み、改めて浅利慶太氏と劇団四季に興味を持ち、その後すぐに「劇団四季と浅利慶太」も読みました。そして四季と宝塚との運営方針の違いを感じました。私は四季の方を支持したい。とはいえ、来年は観劇や寄席も観たいと思っています。

§ 今年の音楽 目次 昨年は何回もコンサートに行きましたが、今年は6月に東京国際フォーラムで観た「The Show Stopper」だけ。次女が中学で吹奏楽部を全うし、三年間で賞は一度も取れなかったけれど、何かをまっとうしてくれたのは良い思い出です。次女の発表会や演奏会、合唱コンクールは何度か訪れたので音楽体験は得られたと思います。長女が入っている高校の吹奏楽部は全国屈指の実力を持っていることから、長女と次女を連れて府中の芸術の森に定期演奏会を聴きに行きました。カラオケは二回。3月に友人たちと三宮で、11月には秘密基地で大いに歌いました。また、初夏の一日だけ、ウクレレを引っ張り出して爪弾いたりもしました、が続かず。

§ 今年の美術 目次 美術については、昨年と同じく今年もさっぱりでした。でも、長女の学外展や文化祭などデザインや美術には触れる機会が多数ありました。また、娘の進学先が美術デザイン系の専門学校に決まり、その学校見学にも訪れました(5月)。またその学校の校長先生のスコットランドの写真展にも訪れ、旅の乾きを潤しました(10月)。また富士フォトギャラリー銀座での写真展にもお招きされ、山の写真に見ほれました(5月)。舘野鴻の原画展(7月)では昆虫の精密画にも惹かれました。また、2月に妻と訪れた根津美術館の「墨と金展」は良かった。最近書の世界に関心を持っており、新宿の世界堂で水で書道ができるセット一式を買い(5月)、弊社の毎月のまとめの画像を書いた暦で表していました。筆がダメになったので霜月、師走が書けませんでしたが。

§ 今年のスポーツ 目次 スポーツについては、正直なところ全く低調でした。スキーもソフトボールもテニスもマラソンもやらず。それは2月ごろから腰痛に悩まされていたからです。ただ、アウトドアが皆無だったかというとそうでもなく。特に六月に訪れた一泊二日の尾瀬の旅は今年のハイライトの一つです。十数人のパーティーの一員としてみた至仏山と燧ケ岳、尾瀬沼の朝から夜までの景色は素晴らしかった。アウトドアを満喫しました。ただ、見るだけで日本百名山登頂ができなかったのは無念です。妻子と町田市最高峰の草戸山は登頂しました。また、滝はたくさん巡りました。それらはスポーツといえそうです。早戸大滝に行こうとしてあわや遭難しかけたり。
ただ、今年はソチオリンピックがあり、ロシアW杯があり、卓球選手たちの活躍やテニスの大坂、錦織両選手の活躍など、観戦しているだけで満足の一年でした。大リーグの大谷選手の大活躍も忘れられません。イチロー選手がついに選手登録から外れたという残念な出来事もありました。スポーツ観戦は今年は三度。五月に等々力スタジアムで多摩川ダービー「川崎フロンターレ VS 東京FC」を数人で観戦し、八月に町田陸上競技場でFC町田ゼルビアvs京都パープルサンガの試合を観戦しました。三月には甲子園球場で阪神vsDeNaのオープン戦を父と。夏の甲子園も初日の第四試合を場外で聞きました。なお、弊社が町田FCゼルビアのサポーターになったのも今年です。あと、次女がたまに習いにいっているカポエイラのレッスンに一度ついていき、赤坂でのCapoeira Batieque Japaoの興奮を目撃。長女が立派にバレエの発表会を勤め上げたのも良い思い出です。最後に忘れてはならないのは伊勢ヶ濱部屋とのご縁です。後援会会長とご縁があり、ちゃんこ会や初場所打ち上げ式に御呼ばれしました。相撲観戦はしていませんが、これも立派な相撲文化の吸収でしょう。

§ 今年の滝 目次 今年は日本の滝百選の滝を8カ所訪れる目標を立てていました。結果、再訪を含めると7か所を訪れる事ができました。「轟九十九滝」「仙娥滝」「白糸の滝」「北精進ヶ滝」「金引の滝」「吹割の滝」「棚下不動滝」。どれもが百選にふさわしい名瀑です。もちろん、それ以外の滝でも印象に残る滝はたくさんありました。以下は今年訪れた滝です。「塩川滝(2/18)」「轟九十九滝(3/4)」「轟本滝(3/4)」「二重の滝(3/4)」「横見の滝(3/4)」「舟形滝(3/4)」「丸渕滝(3/4)」「鳥返しの滝(3/4)」「鍋割りの滝(3/4)」「仙娥滝(4/30)」「大滝(4/30)」「仙娥滝(4/30)」「エビラ沢の滝(5/6)」「白糸の滝(5/20)」「音止の滝(5/20)」「ヌル沢奥の滝(6/3)」「雄飛の滝(6/17)」「一の滝(魚止めの滝)(7/29)」「二の滝(初見の滝)(7/29)」「北精進ヶ滝(7/29)」「金引の滝(8/6)」「臥龍の滝(8/6)」「白滝(8/6)」「千条の滝(8/15)」「千古の滝(8/25)」「吹割の滝 第一観瀑台(9/16)」「鱒飛の滝(9/16)」「鐘山の滝(9/24)」「霧降りの滝(10/14)」「棚下不動滝(10/21)」。また、今年の滝巡りで忘れてはならないのが、早戸大滝にアタックした時の経験です。路肩の土盛りに車を乗り上げ、横に停まっていた車の方々に里まで送ってもらい、数時間JAFを待ち、JAFの方に復旧していただいた後、夕方近くになってから一人でアタックしたところ、滝を目前にして腰痛でダウンし、帰り道は夕立に遭い、増水した川で帰り路を見失いかけ、あわや遭難するところでした。

§ 今年の旅行 目次 今年は、今までの人生でも納得できる旅行ができました。家族で沖縄(3月)、山形上山(12月)に訪れ、海のきれいさと雪の美しさを味わいました。夫婦で臺灣(10月)に訪れたのは、私にとって十数年ぶりの海外、23年ぶりの臺灣ということがあって思い出も深いです。昨年一人で訪れた沖縄では16,7ぶりにお会いした方と、今回は双方の家族総出でお会いしました。奥様とは17,8年ぶりの再会。また、10数人のパーティーで訪れた尾瀬(6月)は景色が素晴らしく、朝昼夜で多彩な景色を見せてくれる自然のすばらしさに感動しました。あと四人で訪れた会津旅行も会津の方々にたくさん出会え、会津の方々の郷土愛に感動しました。無農薬栽培のお手伝いを通して、どれだけ無農薬が大変で、どれだけ産物が美味しいかについても知見をいただきました。この旅行では島根の方とも知り合えたのが、旅人同士の縁の嬉しさを感じた人時でした。一人でも鹿嶋に車中泊で向かい、鹿嶋神宮やアントラーズ、塚原卜伝関連の地を訪れ、旅を満喫しました。皆様ありがとうございました。

§ 今年の駅鉄 目次 趣味の駅巡りは36駅。昨年の倍以上に行きました。「香櫨園駅(1/1)」「相武台下駅(2/18)」「芦原町駅(3/3)」「木津川駅(3/3)」「辺川駅(3/4)」「海部駅(3/4)」「宍喰駅(3/4)」「甲浦駅(3/4)」「公津の杜駅(3/20)」「県庁前駅(3/28)」「中川駅(4/10)」「沼久保駅(5/20)」「甲斐常葉駅(5/20)」「身延駅(5/20)」「大佐倉駅(5/24)」「荏原町駅(6/27)」「鬼子母神前停留場(7/13)」「鉾田駅(7/15)」「北浦湖畔駅(7/15)」「鹿島灘駅(7/15)」「鹿島大野駅(7/15)」「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅(7/15)」「荒野台駅(7/15)」「鹿嶋サッカースタジアム駅(7/15)」「延方駅(7/15)」「宮村駅(8/6)」「天橋立駅(8/6)」「ときわ台駅(9/6)」「土合駅(9/16)」「河口湖駅(9/24)」「久里浜駅(10/5)」「津久田駅(10/21)」「後閑駅(10/21)」「基隆駅(10/28)」「新松田駅(12/18)」「かみのやま温泉駅(12/27)」。それぞれに周囲の光景と共に興味深い駅たちでした。ただ、これらの駅で撮った写真をまとめてブログにアップするにはまだ時間がかかりそうです。

§ 今年の酒楽 目次 今年は私の酒履歴に欠かせない一年となりました。
まずは日本酒。今年は日本酒の魅力の深さを知った一年です。それは六月に尾瀬を一緒に旅した小宮さんとのご縁からつながりました。小宮さんのお陰で日本酒の奥深い世界を教えていただきました。「まさるや2018仲秋 日本酒呑んでる会in町田(9月)」「Tokyo Rice Wine 日本酒の会(9月)」「酒家 盃爛処(10月)」「かもすや酒店(10月)新政呑みくらべ」「中澤酒造株式会社(12月)」。感謝です。あとパートナー企業の社長様が日本酒に詳しく、今年は5回ほどご一緒に盃を傾けました。私がちょくちょく日本酒を買って帰るものだから、妻が年末の山形旅行でお酒を買ってくれました。なかなかの美酒のようで楽しみです。今年訪れた酒蔵は二カ所。「富士高砂酒造(5/20)」「中澤酒造(12/18)」。来年もほうぼうを訪れる予感がします。
続いてウイスキー。妻がウイスキー好きになってくれたので、今年は二人+αでいくつかお店を巡りました。「Tokyo Whisky Library(2月)」「ニッカ ブレンダーズ バー(10月)」「スコットランド写真展(10月)」。真ん中のは別のご夫婦とも一緒に伺い、交流を深めました。最後のは娘が来年からお世話になる学校の校長先生が開いた写真展。ここではHighland Parkが40年も含めた3種類、樽でご用意されており、ウイスキー好きには楽園。相当飲みました。また、今年はWhisky Festival in Tokyoに初参戦したことも書かせません。3人で訪れたのですが、何種類呑んだのか覚えていないくらい美酒を飲みまくりました。至福の時でした。Whiskyについては「Bar Harbour Inn(3月)」も欠かせません。ここで飲ませてもらった11年もののBowmoreの美味さ!私にとってこのお店はずっと通う店であり続けるでしょう。また何人かで訪れたお店として「Bar 羽月(4月)」で飲んだ燻酒の美味さはその前の花見でMiltonduffを相当呑んだ後ですが印象に残っています。「Corn Valley澁谷店(5月)」もそう。魂友とふらっと訪れた「草月(9月)」もまた訪れたいバーです。また、一人で訪れた六本木ヒルズアリーナのGlenMorangeイベント(11月)はオレンジに統一された色調や味と共に今でも思い出すとほろ酔いできます。「籠屋(秋元酒店)(2月)」で飲んだイチローズモルトの秩父のIPAカスクには衝撃を受けました。今年訪れた蒸留所は「白州蒸留所(7/29)」。来年こそはクラフトウイスキーや宮城峡を訪れたいものです。できればKAVALANも。
続いて焼酎。沖縄旅行の時に妻と訪れた「ぱいかじ 国際通り店(3月)」では、泡盛を心置きなく飲めました。泡盛はまだまだ深く、極めたいと思っています。魂友と訪れた「玉ちゃん亭(5月)」でも泡盛をたくさんいただきました。池袋の「くさやばー(10月)」で飲んだ情ヶ嶋は麦と芋ともに衝撃の味わいでした。青酎も。情ヶ島の麦はその後ボトルで購入したぐらい惚れ込みました。
続いてビール。今年も各地のクラフトビールを呑み歩きました。CarftBeerを扱うお店が増えてきたのでうれしい限りです。ビールについてはほとんどが一人のみ。私にとっては短時間でさっと飲むときに重宝する酒になりました。
続いてハイボール。これは「極鶏Bar下北沢(8月)(12月)」以外ありません。12月に訪れた際は絶品のイノシシ鍋をつつかせてもらいました。これがハイボールによく合っていて完璧でした。
続いてワイン。今年は「ワイン&グルメ ジャパン2018(4月)」につきます。四名で会場を巡りました。去年からワインのおいしさにも目覚めており、ここで飲んだワインが絶品でした。日本のワインもすごいのです。また、先にも書いた「 Tokyo Rice Wine 日本酒の会(9月) 」では日本酒酵母で醸したワインをいただきました。さらに一人のみですが「富士の国 やまなし館」でも山梨産のワインに喉を潤しました。
最後にカクテル。私がカクテルをBarで頼むことはほとんどないのですが、どれも妻と訪れたバーで飲みました。「Stella Lounge(1月)」「カメリア(9月)」。後者は東京駅内にあるバーで、旅情を思わせるカクテルが印象的です。あと、忘れてはいけないのが「アジアンフード バー バグース(4月)」で飲んだパクチーモヒートです。4名で訪れてパクチーを食べまくりましたが、モヒートも美味しかった。
今年もほうぼうに商談に赴いたこともあって、毎月の独りのみは出来たと思っています。「籠屋(秋元酒店)(2月・狛江)」「BrewDog Roppongi(4月・六本木)」「富士の国 やまなし館(4月・日本橋)」「Craft Beer Moon Light 本店(5月・川崎登戸)」「地ビール厨房 COPA 町田店(6月・町田)」「イングリッシュパブ トラファルガー(7月・町田)」「京橋エドグラン(8月・東京京橋)」「Hop-Scotch Craft Beer & Whiskey(9月・飯田橋)」「世界のビール博物館(10月・押上)」「六本木ヒルズアリーナ(11月・六本木)」「Classy’s Bar(12月・川崎)」。
結局呑みの回数は年間で70回でした。大体5日に1度。呑みは週一度に抑えたいと思っていたので結果的に実現できて良かったです。

§ 今年のその他活動 目次 人生も半分を過ぎ、まだ焦りが募っています。少しでも日々に変化をつけようとする気持ちに衰えは見えません。
・一昨年に二枚、昨年に五枚ゲットしたマンホールカードの収集。今年は九枚入手しました。兵庫県西宮市(3/2)、大阪府大阪市(3/5)、神奈川県川崎市(4/20)、群馬県藤岡市(4/29)、茨城県鹿嶋市(7/15)、東京都立川市(9/12)、群馬県沼田市(9/16)、東京都昭島市(10/11)、山形県上山市(12/27)。来年も折を見て各地でゲットしようと思っています。
・ダムカードも一枚いただきました。城山ダム(9/23)です。
・風景印も三つ。「天橋立駅前郵便局(8/6)」「上山十日町郵便局(12/27)」「上山旭町郵便局(12/28)」。
・灯台も二カ所回っています。「伊計島灯台(3/28)」「鹿嶋灯台(7/15)」。来年は灯台巡りもしたいと思っています。
・旅先で訪れた資料館・博物館・美術館では勉強しました。「根津美術館(2/11)」「大阪人権博物館(リバティおおさか)(3/3)」「尾崎咢堂記念館(5/6)」「NTTドコモ歴史展示スクエア(7/26)」「甲子園歴史館(8/5)」「野球殿堂博物館(8/21)」「三島由紀夫文学館(9/24)」「徳富蘇峰記念館(9/24)」「世田谷文学館(10/16)」「旧前田家本邸(11/2)」「幕末維新ミュージアム霊山歴史館(12/30)」。
・城もあちこち訪れました。「勝連城跡(3/28)」「枡形城(5/5)」「大手門(5/11)」「本佐倉城跡(5/24)」「鹿島城山公園(7/15)」「山中城跡(8/19)」「祢津城山(8/25)」「砥石城跡(8/25)」「桝形城跡(8/25)」「米山城跡(8/25)」「沼田城(9/16)」「伏馬田城趾(9/23)」「鶴ヶ城(10/9)」「長井坂城跡(10/21)」「名胡桃城址(10/21)」「上山城(12/27)」。こうしたデータは上にも書いたkintone Advent Calendarの中で再集計してみました。
・訪れた神社は以下の通り。「白山姫神社(1/1)」「西宮神社(1/2) 」「毘沙門天堂(2/10) 」「塩川神社(2/18) 」「浪速神社(3/3) 」「相州春日神社(3/22) 」「稲毛神社(4/20) 」「野津田神社(4/22) 」「琴平神社(5/14) 」「富士山本宮浅間大社(5/20) 」「将門口ノ宮神社(5/24) 」「成田山 咤枳尼天堂 (出世稲荷)(6/17) 」「旗岡八幡神社(6/27) 」「雑司ヶ谷 鬼子母神 (鬼子母神堂)(7/13) 」「鹿島神宮(7/14)(7/15) 」「鎌足神社(7/15) 」「江の島弁天(8/11) 」「筑土八幡神社(9/5) 」「板橋天祖神社(9/6) 」「十二坐神社(9/16) 」「東京大神宮(9/19) 」「永井箱根神社(10/21) 」「 鶴ヶ峰神社(11/18) 」「驚神社(11/18) 」「野津田神社(12/9) 」「東郷神社(12/16) 」「京都霊山護國神社(12/30) 」「八坂神社(12/30) 」。今年から神社でお参りする度、口で願いを述べ、「努力します」を三回繰り返しています。ただ漠然と願うだけでは自分の思い描く未来は送れないからです。
・訪れた寺は以下の通り。「神呪寺(1/1)」「成田山 新勝寺(6/17)」「根本寺(7/15)」「東陽寺(7/22)」「安全寺(8/31)」「龍山寺(10/29)」「野津田薬師堂(12/9)」「青蓮院門跡(12/30)」「岡崎別院(12/30)」「法然院(12/30)」。お寺も実は本堂の中に入ると面白い。地元の野津田薬師堂には初めて中に入らせてもらいました。臺灣で訪れた龍山寺も地元に密着した様子がたまりませんでした。また、年末に訪れた京都の諸寺では、深く学ばせてもらいました。
・登った山は四つ。「草戸山(4/8)」「桝形山(5/5)」「祢津城山(8/25)」「七国山(12/9)」どれもが低い山です。砥石城も山ですがそちらのほうが急でした。来年は腰を直して百名山に登りたい。
・名木は二カ所。「鬼子母神の公孫樹(7/13)」「山高神代ザクラ(7/29)」。さくらは日本各地に観に行きたいです。
・名水は二カ所。「神田川(5/20)」「益栄の水(12/28)」。前者は平成の名水百選に選ばれています。こうした場所にも訪れていきたい。
・ビーチは二カ所。「エメラルドビーチ(3/27)」「大泊ビーチ(3/28)」。ともに沖縄で訪れた美しすぎる場所。心が洗われるとはこのことです。
私がまだ訪れていない場所の多さにめまいがします。他の活動もまだまだやりたいことがいっぱいあったのですがとても時間がありませんでした。
それぞれの場所で俳句も読みました。数年前から興が乗るたびに読んでいましたが、振り返ってみると今年も結構な数を詠んでいます。そうした訪問記が私にとって何なのかの考察は、年末に「SNSとはライフログツール」として表しました。
ライフログについては上記ブログにも書きましたが、年初から6月ごろまで盛んにGoogle Mapでロケーション情報や口コミを投稿していました。それが評価されたのかランクが次々とあがり、10月にサンフランシスコで行われる世界規模のGoogle Mapイベントに招待されました。英語の動画PRができずに断念したのが心残りです。英語も勉強しなければ。

あらためて「公」「私」を振り返ってみました。今年は冒頭に書いた通り、満足度は高いです。良い一年だったと思います。あとはムラを生じさせる原因を来年どう防いでいくかですね。特にムラ、が重要になりそうです。後1日、今年を無事に締めくくり、来年へと繋げようと思います。


平成30年10月のまとめ


この5月から毎月のまとめを弊社ホームページ上でアップしています。

この10月を一言で言うなら、小休止といったところでしょうか。作業の体制を切り替えるにあたっての過渡期といいかえてもよいです。常駐先での作業が主だったころと変わらぬ額の売り上げは確保しましたが、大きなSES案件が一つ、9月で終わったこともあって10月は少し売上が落ちています。

ただ、唯一のSES案件が終わろうとも、粗利率の向上を目指す施策に変わりありません。私自身が携わり、開発に手を染める案件を増やす―粗利率を上げる―方向に変わりありません。 また、10月に手掛けた案件の多くはkintone案件を中心とした、集中した作業によって実を結べる類の案件でした。そのため、SES案件を除いた売上額では、従来の売上額からの落ち込みはありません。まずは一安心しています。

一方で、11月はいろいろな案件が始まります。今まで種々の集いに顔を出したことが実を結んだ案件もあります。また、既存のお客様のフォローに動いたことから別のお話をいただいた案件も数個あります。kintone案件の外にもいろいろと受注をいただいています。イノベーションプラス様とはパートナー契約を締結させていただきました。11月はさらに忙しくなりそうです。下半期の開始としては上々のスタートかもしれません。

あとはたくさんいただいた案件を粗利率を下げずにどうやってこなしていくかです。11月に始まる案件の一つにSES案件があります。これを完全に技術者さんに任せてしまうと、弊社の粗利率が減ってしまいます。5~9月に粗利率を悪化させた同じ轍を踏むことは避けなければ。なのでこの案件については週一、二ペースで私も携わろうと思っています。また、以前の反省点として色々な案件に手を出したことで、工数が想定を超えてしまった反省がありました。ですが、今回はその時に手を染めたことにより、ノウハウを得ている話が来ました。これでかつての苦労も投資として振り返れるかもしれません。

大きなお客様が増え、弊社にとって安定度が増してきました。ただ、今月は一つだけ弊社の歴史にとって記憶しておくべき出来事もあります。それは10年に渡ってホームぺージ製作や保守を担当していたお客様との契約が今月で終わってしまうことです。個人事業主になった私がSESを除いて請け負った二件目のお客様でした。それから10年。弊社の歴史とともに歩んで頂いたので、少し感傷的にもなります。ですが、弊社としては、ホームページ製作の割合を減らしていくつもりでした。無料で簡単に作れるホームぺージ製作ツールも多数ある中、今やホームページの製作で粗利をあげる難しさをつくづく感じていましたので。円満に新たな業者様に引き継いでいるので、これからもご縁は続くと信じています。

10月は、弊社の発信の仕方を、Twitterを中心にして少し変えてみました。DevRelJp Meetup in Tokyoというイベントにも参加し、有益な情報もいただきました。それをいかしつつ、引き続き試行錯誤してみたいと思います。あとニコニコ動画で伝統工芸の世界を発信するハロー職1にも参加し、新たな情報発信のあり方を学んだ月でもあります。また、会津では地元の魅力を伝える取り組みに触れることができました。臺灣では日本と変わらずに仕事や作業を行える方法を会得してきました。あと、今月はAWS Loft Tokyoのオープニングイベントにも参加し、AWS Loft TokyoやDeNAのShibuya Studioといった作業場も使わせていただけるようになりました。それらも含めて、10月はインプットという意味でも有益な月となったように思います。

慢心することなかれ、安住することなかれ、変化を恐れることなかれ、今に満足することなかれ。


平成30年9月のまとめ


この5月から毎月のまとめを弊社ホームページ上でアップしています。

粗利率の向上がここ二、三カ月のテーマでしたが、今月は改善ができたように思います。

それは、私自身が携わり、開発に手を染める案件を増やしたからです。また、それが売り上げとして結実したからです。
しかも、その多くはkintone案件を中心とした、作業を集中することで実を結ぶことができる案件でした。実はもう一つkintone案件がありましたが、それは9月中に売り上げを立てられるまでに至りませんでした。でも、ほぼめどがついたので来月に結果を出せそうです。

他にも今月は上半期のまとめとして、下半期につなげられるような動きに心を配りました。
それも結実しそうな予感がします。売上を確保しつつ、粗利率を挙げられるような方向で。

たとえばAWS社に訪問し、クラウド上に作成するデータベースの開発・保守についてお話を伺えたことも大きい話です。

あと、大きなお客様が増えてきたことで、弊社にとって安定度が増してきました。
もう一つ、書くことを中心にした発信の仕方を、Twitterを中心にして少し変えてみました。
その成果が今後どう出るか。引き続き試行錯誤してみたいと思います。

慢心することなかれ、安住することなかれ、変化を恐れることなかれ、今に満足することなかれ。


平成30年8月のまとめ


先々々月から毎月のまとめを弊社ホームページ上でアップしています。

粗利率の向上がテーマのここ二、三カ月のテーマです。粗利率をどうやって向上させるか。

先月、税理士の先生の下で財務計画を検討したときにいただいたアドバイスは二つ。売上を増やすか外注率を下げるかのどちらかです。実は売上については今年の上半期の状況が続けば、最終的には前年度をかなり上回れそうな見込みです。今月も水準は超えています。ところがそこには外注率の高い案件が含まれています。粗利率を向上させるには、外注率を下げるしかありません。ということは、外注率の低い案件を増やすしかありません。そして、外注率を下げれば、現時点の弊社の体制では自動的に私に負担がかかることを意味します。

今までの私の反省。それは、あれこれの技術に面白がって手を出してしまったことです。そのため、スキル取得のコストが生産性の足かせになっていました。生産性を上げれば、外注費を掛けずに私一人でこなせる案件も増やせます。では、私一人でいくつも案件をこなすためには何をすればよいか。私にとっての得意分野をやっていくしかありません。新規スキル習得を後回しにしても、既存のスキルで回せる案件を増やしていく。私にとって既存のスキルで回せる案件とは、デザインスキルがさほど要らず、基盤構築が不要なクラウド上での開発案件です。特にkintone。

7月のまとめでいくつかkintone案件で受注が採れたと書きました。実は今月も新たなkintone案件の受注をいただきました。しかも名の通った会社様からのkintone案件が増えています。おかげで営業をせずに次の案件を請けられるようになりつつあります。これはとても嬉しいことです。今まで、弊社が口コミ以外で新規に受注できた案件の多くは、マッチングサイトからのものでした。ところがマッチングサイト経由だとクラウド案件はあまりなかったのです。それどころか、新たたスキルを求められる案件が多く、それが新規スキルの習得コストに跳ね返っていたのです。それがkintoneだけを極めていけば、次々と案件が来るような兆しができたのは大きい。ようやく弊社にとって望ましい状況が見えてきたのが今月だといえます。

8月はkintoneの多重Promise処理が求められる案件もこなし、だいぶスキルがあがりました。でも、まだまだです。そのためにも勉強は欠かせません。そのため、kintone dev camp 2018にも参加しました。その時のご縁でTwilioビジネスセミナーにもお呼ばれし、kintone Café 東京にも参加しました。kintone連携のサービスの営業パートナーにもなり、今もお客様のもとでkintoneソリューションを組み合わせた案件の仕様策定に関わっています。ようやくkintoneエバンジェリストとしてお役が立てそうな気がしています。これを機にTwitterの弊社アカウント(@akvabit_llc)でもkintoneネタをつぶやいていきますので、フォローをお願いします。

ただ、まだまだ弊社の売上の中でkintone案件の割合は3割ぐらい。これをもっともっと上げていかねば。弊社も願わくはkintone専業をうたってみたいもの。そのためにもやるべきことはまだまだ多い。

九月は新たなkintone案件に注力しつつ、売上よりも粗利率を考慮しながら経営したいと思います。少しでもkintone率をあげられるように。もちろん、プライベートの生活も大切にしながら、体も大切にしつつ。読書ブログもたくさん書いて。

慢心することなかれ、安住することなかれ、変化を恐れることなかれ、今に満足することなかれ。


仕事が9割うまくいく雑談の技術-人見知りでも上手になれる会話のルール


本書には雑談のスキルアップのためのノウハウが記されている。雑談のスキルは私のように営業をこなすものには欠かせない。

私がサラリーマンだったのは2006年の1月まで。それから10年以上が過ぎた。その間、おおかたの期間は個人でシステムエンジニアリングを営む事業主として生計を立てていた。私には事業主としての特定の師匠はいない。個人で独立するきっかけを作ってくださった方や、その時々の現場でお世話になった方は何人もいる。そういった方々には今もなお感謝の念を忘れない。でも、個人で事業主として生きていくための具体的な世過ぎ身過ぎを教えてくれた人はいない。私のほぼ全ては独学だ。自己流ではあるが、何とかやってこれた。なぜなら情報系の個人事業者には開発現場の常駐をこなす道が開けているからだ。常駐先への参画は仲介となるエージェント会社を通すのが情報処理業界の慣習だ。そして、常駐先への営業はエージェント会社が行ってくれる。つまり、個人の事業主に求められるのは現場のシステム要件に合う設計・開発スキルと、最低限のコミュニケーション能力。そして営業スキルは不要なのだ。ということは、雑談スキルを意識する必要もない。

とは言いながら、私は事業主になって早い時期から営業をエージェントに頼り切ることのリスクを感じていた。なので個人的にお客様を探し、じか請で案件を取る努力をしていた。それに加えて私にリスクをより強く感じさせた出来事がある。それはリーマン・ショック。私には知り合いの年配技術者がいる。その方と知り合ったのは、エージェント経由で入った初めての常駐現場だ。その方が現場を抜けてしばらくしてからお会いした時、年齢を理由に次の現場が決まらず困っていたので営業代行を買って出たことがある。当時は、リーマン・ショックの影響で技術者需要が極端に冷え込んだ時期。スキルもコミュニケーション能力もある技術者が、年齢だけで書類選考ではねられてしまう現実。それは私に営業スキルを備えねばと危機感を抱かせるには充分だった。

それ以前にも雑談の重要性について全く知らなかったわけではない。私が事業主に成り立ての頃、某案件でお世話になった方から雑談のスキルを身につけるように、とアドバイスをいただいたことがある。その時は、具体的な雑談のノウハウを伺うことはなかった。少なくとも本書に記されているようには。

そしてその時点でも私は雑談スキルを意識して学ぼうとしていなかった。上にも書いたように、一つ目の常駐現場にいた頃からホームページ作成を何件か頼まれていた。なので個人としてお客様のもとに伺わせていただく機会は増えた。私なりにお話を伺い、そのあとにちょっとした会話を交わす。その中には雑談もあったことだろう。だが、雑談を体系立てたスキルとして意識することはなかったように思う。

そして今や経営者だ。個人事業主を9年勤め上げた後、法人化に踏み切った。法人化して経営者になったとはいえ、個人事業主とやっていることに変わりはない。経営をしながら、お金の出入りを管理し、開発をこなし、そして営業を兼ねる。だが、そろそろ私のリソースには限界が来始めている。後々を考えると技術者としての実装作業を減らし、営業へのシフトを考えねばなるまい。そう思い、本書を読む一年ほど前から後継となる技術者の育成も含めた道を模索している。

営業へのシフトに当たり、長らくうっちゃっておいた雑談スキルもあらためて意識せねば。それが本書を手に取った理由だ。

基本的には聞き役に徹すれば、雑談はうまくいく。それは私の経験から実感している。問題は相手も聞き役に徹している場合だ。その場合、どうやって話の接ぎ穂を作るか。話のタネをまき、話を盛り上げていかなければ話は尻すぼみになる。お互いにとって気詰まりな時間は、双方に良い印象を与えない。年上ばかりと付き合うことの多かった私のビジネスキャリアだが、そろそろ年下との付き合いを意識しなければならない。というより、いまや年下の方と話すことの方が多い。すでに平均寿命から逆算すると、私も半分を折り返したのだから。ましてや経営者としては、配下についてもらう人のためにも身につけなければならない。

まずは話し相手の心持ちを慮ること。それが雑談の肝要ということだ。雑談のスキルとはそれに尽きる。それが、本書から学んだことだ。それは雑談にとどまらず、世を渡るに必要なことだと思う。

相手の事を考える。それは相手にどう思われるかを意識する事ではない。それは相手の事を考えているようで、実は相手から見た自分のことしか考えていないのに等しい。そうではなく、相手にとって話しやすい話の空間を作ること。それが雑談で大切なことなのだ。逆に仕事の話は簡単だ。相手も当然、聞く姿勢で身構えるから。そこには冷静な打算も入るし、批判も入る。論点が明確なだけに、話の方向性も見えるし、話は滞りにくい。だが案外、ビジネスの成否とは、それ以外の部分も無視できないと思う。なぜなら、この人と組もうと思わせる要因とは、スキル以外に人間性の相性もあるからだ。

ビジネスに人間性の相性を生かすため、私が自分なりに工夫したことがある。それはFacebookに個人的な事を書くことだ。必ずしも読まれる必要はない。私という人間を知ろうと思ったお客様が、私のFacebookの書き込みを流し読んで私の人となりを理解していただければ、という意図で始めた。これを読んだお客様が私の人となりを理解する助けになれば本望だと思って。実際、商談の場でも私の書き込みが話題に上がった例は枚挙にいとまがない。これは、私から話題を提供するという意味では無駄ではなかったと思う。

とはいえ、そこには問題もある。先に書いたように「相手の事を考えるとは、相手にどう思われるかを意識することではない」に従えば、私の書き込みが「相手にどう思われるか」という意図だと誤解されている可能性がある。もしそう受け取られたとすれば、私のFacebook上の書き込みとは私の土俵に相手を誘っている過ぎない。そして、本書の説く雑談の流儀からは外れている。本書を読み終えてからしばらくてい、私はSNSの付き合い方を試行錯誤しはじめた。そこには私の中で、SNS上でなされる雑談が面を合わせての雑談に勝ることはあるのか、という問題意識がある。

もともと私のSNS上の付き合い方は、相手の土俵にあまり立ち入らないもの。そうしているうちに私の仕事が忙しくなってしまい、仕事や勉強の時間を確保する必要に迫られた。そのための苦肉の策として、SNS上で他の人の書き込みを読む時間を減らすしかない、と決断した。SNS上で雑談しないかわりに、顔を合わせる場で雑談や交流を充実させようと思ったのだ。今もなお、私の中で確保すべき時間をどこからねん出するべきか、オンライン上での雑談はどうあるべきなのか、についての結論は出ていない。もちろん、本書の中にもそこまでは指南されていない。

元来の私は、相手の土俵に飛び込み、相手の興味分野の中に入り込んで行う雑談が好きだ。本当にすごい人の話を聞くことは好きだから。それはもともと好奇心が強い私の性格にも合っている。

そういう意味でも、本書を読んで学んだ内容は私の方法論の補強になった。そして、どういう場合にでも相手の気持ちを考えること。それはオンラインでもオフラインでも関係ない。それは忘れないようにしなければ、と思った。ビジネスの場であればなおさら。

‘2017/02/16-2017/02/17


黄金の奴隷たるなかれ 出光佐三


『海賊と呼ばれた男』は、この国に出光佐三という快男児がいたことを高らかにうたいあげた一作だった。その中で舞台となる國岡商店は、出光商会をモデルとした百田氏の創作だ。その創業者國岡鐵造も同じく。

だが『海賊と呼ばれた男』はあくまで小説だ。作中の國岡鐵造は出光佐三をモデルにしているとはいえ、どこまで出光佐三の実像を捉えているか判断するには私の知識はいささか心もとない。そこであらためて実像の出光佐三を知りたくなった。そんなわけで二十年ぶりに出光佐三の伝記を読むことにした。

ところが本書を出光佐三の伝記として読むと少し座りの悪い気になる。本書はむしろ、出光商会の社史として読んだほうがしっくりくる。

あとがきで著者は書いている。本書は、社史を一般向けに書き直したものだ、と。本書の内容からは情念が感じられない。それは社史のように事実を丹念に追うスタイルを採っているからだ。さらに本書には、かなりの頻度で社史の記述が引用されている。

出光商会の沿革を並べることで、本書は客観的な視点を保ち続けていると言える。ただ間違えてはならないのは、客観的なのは文体であり筆致に限られていることだ。内容も客観的かと問われれば、それは違うと受け取るしかない。なぜなら社史とは往々にして手前味噌になってしまうものだから。そしてそもそも主観的なものだ。その傾向は本書からも感じられる。あちこちに引用される自画自賛とも取れる社史の記述から。

そもそも本書はタイトルからして出光佐三の伝記である。出光商会または出光興産の社史ではない。それなのに、出光佐三を語るのに出光商会の社史がふんだんに引用されるということは、それだけ出光佐三が会社経営に一生をささげた証だとも解釈できる。

ただ、誤解されがちなことがある。その誤解とは、出光佐三がビジネス一辺倒の人間味のない人物だということ。ところが私はそうではないと思っている。これはあくまでも私個人の想いだが、私が尊敬できる人物とはビジネスも遊びも一生懸命な人だ。もし出光佐三が私的な時間を顧みない仕事の鬼のような人物であれば尊敬はできない。ところが、出光佐三には、美術品収集の趣味があった。出光美術館の収蔵品が出光佐三の収集品をもとに開かれていることは有名だ。本書にもその辺りの経緯は出てくる。出光佐三にとって美術品の収集が遊びであるならば、彼は遊びにも全力を尽くした人物だったのだろう。そして、収集に情熱を捧げた出光佐三の人間味をより強く知りたいと思うのは私だけだろうか。本書に引用される出光佐三の口から出された名言は、あくまでビジネスの場での発言。彼の360度の人物像を知るには少し弱い。

もちろん、こういった編集方針は著者や編集者の意図であり、私がとやかく言うことではない。他方で『海賊と呼ばれた男』のように、国を思う熱い男として描かれた出光佐三もあるのだから。それと同じように、一人の男が成し遂げた成果として事実を羅列する本書の記述もあってよい。

ただ、出光佐三は人間を尊重する経営哲学で名高い。終戦直後、出光商会の海外事業の全てが失われた際、一人の社員も首にしなかったエピソードはよく知られている。『海賊と呼ばれた男』でもラジオ修理や海軍オイルタンク廃油くみ上げ事業が印象的に描かれていた。それに加えて本書には『海賊と呼ばれた男』で描かれなかった苦難の時期の業務が紹介される。それは例えば鳥取での農場経営や和歌山での漁業などだ。こういった事業が紹介されていることで、より出光商会が終戦後に追い込まれ、なりふり構わぬ状態だったことがわかる。それがよかった。それほどまでになりふり構わぬ状況でありながら、一人も解雇せずに乗り切ったのだから。その経営の信念の凄みが余計にわかるというものだ。

また、日田重太郎は出光商会創業資金やその後の数度にわたる出資で出光商会と佐三を助けた人物。『海賊と呼ばれた男』にも実名で登場する。彼もまた、出光商会の歴史には欠かせない。だが、本書には創業時の融資エピソードでしか登場しない。失敗したら「乞食になったらええやないか」と言い放ったエピソードも出てこない。そのかわりに、本書には銀行からの融資のエピソードが多く書かれている。二十三銀行からの融資で事業清算の瀬戸際から脱したエピソード。これは『海賊と呼ばれた男』の小説版でも少し扱われていた。そして、実際の経営の観点から見ると銀行から融資された金額こそが会社の危機を救ったのだろう。ただ、日田重太郎の挿話が劇的な分、そちらを小説や映画が重く取り上げるのもよくわかる。

日田重太郎の挿話だけではない。神出鬼没に海上給油を敢行し、出光商会を発展に導くきっかけとなった糸口も、日章丸事件の一連の経過も本書からは省かれている。ようするに本書は劇的な要素を一切取り除いているのだ。それは演出や感動など経営には必要ないと宣言するかのようだ。それによって本書は『海賊と呼ばれた男』で描かれた出光佐三の違う一面を彫りだしている。彼は海賊などでは決してなく、経営者として冷俐で優秀な人物だったのだろう。

ただ、本書には不満もある。『海賊と呼ばれた男』では徳山製油所の海上バース接続の苦労が描かれていた。本書にはそれが取り上げられていない。また、第一宗像丸の遭難事故についても本書では触れていない。社史をベースにしているとはいえ、良い面も悪い面も等しく取り上げるべきと思うのだが。それらの出来事は出光佐三の失策ではないし、彼の経歴に傷はつかない。それなのにいいことばかりを取り上げてしまうと、出光佐三を神格化することになりかねない。

さらに言うなら、出光興産では出光佐三の死の前年から不祥事がいくつか発生している。もちろんそれらも本書では触れていない。出光興産の悪口をはばかる気持ちはわかる、だが、それを書くことで、逆に出光佐三の存在がいかに出光商会にとって偉大だったかが一層際立つと思うのだが。

不世出の経営者として、近代日本に出光佐三がいたこと。それを知るためにも『海賊と呼ばれた男』と併せて本書を読むのは良いと思う。

‘2017/02/13-2017/02/14