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2024年3月のまとめ(法人)


令和六年三月。

年度末を迎えました。今年度も苦しみました。
まだ苦しい状況が続いています。

が、光が見え始めているのも確かです。

今までの個人事業のやり方を続けるのは難しくなっています。単価も体制もやり方も。
今までの経営の反省を真摯に考えるにつけ、やり方を抜本的に変えようとしました。そしてこの下半期は変革に取り組んできました。

むしろ、昨秋からの試練と苦しみは、来年以降の弊社や私にとってよかったと思います。

結果的に、年度としては過去最高額の売り上げを達成しています。
今後の受注も続きました。

達成度6割。達成感5割。満足感6割。それが今月の代表自身の自己採点です。

弊社と関わりを持っていただいたすべての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。

●弊社の業績

§ 総括 三月度の売上は目標をぎりぎり達成しました。

さらに、年間を通じては過去最高の売上を達成することができました。
ですが、利益の面ではぎりぎりもいいところだと思います。これから決算に向けて準備を始めるため、まだ未定ですが。

昨年の秋ごろ、このままでは会社が持続できないと予測しました。実際、ギリギリの綱渡り状態が数ヶ月続きました。

そこで痛感したのは、もう今までのやり方では難しいことです。単なる業務改善ではなく、抜本的に弊社の業務を切り替えなければ、人を雇う形での経営は続けられない。

対象とするお客様の規模を大きくすると同時に、単価も大幅に上げました。さらに、従来の請負型開発から伴走開発に全面的に舵を切りました。

今月から伴走開発が一段落した案件や、新たに始まる案件など、この切り替えは今のところ効果をあげています。

単価を上げたことで、失注も起こり得るかと思いましたが、単価そのものが高い事による失注はまだなく、ここは一安心です。

ただ伴走開発は私個人が引き受けてやらなければなりません。その場合、私のリソースがどこまで確保できるかと言う問題が付いて回ります。実際、四月からの私の予定はかなり逼迫しています。

ただ、引き合いや受注が途切れないことは、本当にありがたいことです。

実際、kintoneの伴走案件をこなしていると、お客様からのご要望に対してすらすら解法が答えられる私がいて、そういう私の価値が求められていることを感じます。
しかし、その作業を続けている限り、私一人の会社からの脱却は難しいのも事実です。
そうではなく、私以外のメンバーにも主役になってもらえる会社にしないと。

そのためにもメンバーには、成長し、視野を広げてもらう必要があります。

今期の反省を生かし、来期はより効率的なやり方を目指します。

今月、弊社にとって以下のようなトピックがありました。
・弊社代表が「山梨ワーケーションツアー」に参加しました(2/28-3/1)。
・弊社代表が「よっちゃばれっ kintone 無尽 Vol.3」に参加しました(3/1)。
・弊社代表が「こどもの居場所大会 in 東京」に参加し、皆さんの前で挨拶しました(3/2)。
・弊社代表が「WAGRI ユーザー会」に参加し、皆さんの前でスピーチしました(3/5)。
・弊社代表が「餃子投資の会」に参加しました(3/13)。
・弊社代表が「NO-CODE SYMPOSIUM 2024」に参加しました(3/15)。
・弊社代表が「kintone × RPA 飲み会」に参加しました(3/17)。
・弊社代表が「リアル Cy-Musubi 2024」に参加・登壇しました(3/19)。
・弊社代表が「devkin meetup Vol.3」に参加しました(3/19)。
・弊社代表が「トヨクモNIGHT~プリントクリエイターNIGHT」に参加・登壇しました(3/22)。
・弊社代表が「スナックジョイゾー」に参加しました(3/22)。
・弊社代表が「kintone Café 栃木 Vol.1」に運営・参加・登壇しました(3/23)。
・弊社代表が「kintone Café METAVERSE Vol.7」に参加しました(3/26)。

実績を出しつつ、日常も充実させる。ワークライフバランスの軸は堅持しつつ、成長もさせていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

§ 業務パートナー 今月もまた、複数の企業様との間でさまざまなご縁が結ばれました。

そのご縁は既存の案件を通じて得たご縁であり、たくさんのイベント参加によって得たご縁でもあります。
そうしたイベントで得たご縁から新たな取り組みがいくつも始まっています。
お互いがお互いに依存するのではなく、互いに高め合うための良い関係を構築し、次につなげたいと願っています。

開発案件の受注を減らし、その割合を下げることを決めた以上は、伴走開発からこぼれ落ちた開発をうちのメンバーが担う運営に変えます。
そうなると、パートナーに対してお願いすることもぐっと減ってしまいます。このあたりは今月も対面での打ち合わせをし、今後の方針を伝えています。


§ 開発案件 今月は九割五分の開発案件がkintoneがらみでした。
今までにいただいた多数の案件の実装作業が続いています。いくつかの案件では検収に至ることができました。本当に感謝します。

昨年の師走から、今までの開発のやり方について、抜本的に変える決断を下しました。

・代表が伴走担当としてお客様に入る。代表が行う作業は、お客様にアプリ構築の実装作業を行ってもらうためのアドバイス。手は動かさない。
・その作業を通じて要件についての理解を双方で深め合うことができる。お客様自身にとってもkintoneの手法を習得することで、よりシステムへの主体性が持て、かつ、要件の揺れが最小限に収められる。
・お客様がアプリを構築する作業と並行して、kintoneの標準機能では難しい機能を可能な限りプラグインや連携サービスを推奨し、カスタマイズ作業が最低限で済むように導く。
・お客様によるアプリ構築が終わった時点で、どうしてもカスタマイズが必要な場合のみ、弊社メンバーにカスタマイズを割り振る。弊社メンバーのカスタマイズ難易度は少し高くなるが、複数の案件を同時にこなす必要が減る。
・同時に他のSaaS/PaaSとの連携作業は、弊社メンバーが専任して実装を行う。
・上記作業により、代表は様々な場所を訪れて商談をこなし、手は動かさずに済む。営業力も維持できる。メンバーは要件が絞られた状態でのカスタマイズに集中できる、メンバーのスキル上達と同時に、複数の業務を円滑にこなすことが可能となる。

今まで安すぎた単価設定も大幅に上げました。
上げた単価をベースに受注も取れるようになり、それが自信にもつながっています。
引き合いも途切れていません。

伴走開発による案件の獲得や実装も手ごたえを感じています。
既に今年に入ってから要件定義フェーズの形で伴走を行っています。
また、今月から複数の案件で伴走開発が始まりました。

ただし、伴走開発はかなりの集中力と労力が求められます。
私自身の切磋琢磨もさらに求められます。切磋琢磨が欠かせません。
同じ努力をメンバーにも求めていきたいと思います。

昨年に出したGO! DO! with-Uとアビットリンク、さらにk-Report帳票統合サービスも併せて、弊社の価値をより世間に訴えていく必要があると思っています。

代表のトーク力も連日の伴走案件や商談の中で磨きつつ、私自身がまず手本を見せます。
年齢が上がっても成長し続ける気概と手本を示したいと思います。

弊社に期待してくださる方が多いようです。
皆さんのご期待に応えるためにも、弊社としての体制をきちんと整えていきます。

そういえば、私がホームページ案件を受け始めた当時からお付き合いのあるバレエスタジオさんが看板を下ろすことになり、
ホームページ案件が一つ終わったのが今月です。約18年ほどやらせてもらいました。今までありがとうございます。
これでホームページ保守案件は残り一つだけとなりました。


§ 財務基盤の堅牢化 財務をきっちりすること。前からの課題です。
弊社としては問題ないのに、家計が絡むととたんに脆弱になる。
この点は弊社の長年の課題でした。

先々月、大きな荒療治を行い、リセットしました。
おそらく来月あたりから、ようやく歪な状態が解消されるはずです。

まだまだ、経営者としての未熟を痛感させられることも多いです。財務改善には単価アップから。
まずはそこがうまくいきそうなので、その後にコストカットや生産性向上に舵を切ります。
弊社への期待の高さを感じ、耳にするにつけ、頑張らなければと思っています。


§ 社内体制 三年前の師走に、社是、企業理念、経営理念やスローガンを見直しました。その直前に弊社のメンバーが一人、弊社を離れた理由に、肝心な部分の価値観のずれがあったためです。
そこで2022年の年始にあたり、その時に属していた三人でもう一度忌憚のない意見を交わしながら、各種理念を練り直しました。
この正月にあらためて内容を見直し、細部を作り込みました。

企業理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

経営理念
「最新技術をお客様、地域に提供し、メンバー、家族、パートナーと輪になって幸せになる」

経営方針
①システムを継続してもらえる品質と対応を行います
②技術に偏らず、お客様ビジネスの現場を尊重します
③経営を継続するための自社サービスを生み出します
④社員・協力社・技術者・家族の事を大切に考えます
⑤顧客とともに一期一会でない継続の関係を築きます
⑥技術の進化に先手を打ちながら、自社も進化します
⑦世の中の働き方改革に貢献する手本となり続けます
⑧地域の非営利組織・団体のために技術で貢献します

2020年の暮れにメンバーの募集を出した時から、代表の考え方の軸はぶれていません。たた、顧客のためにと思い単価が安すぎただけで。

地域活動やNPOやkintoneエコシステムへの関与と営業活動の両立を組み込みつつ、メンバーに過度な負担をかけないように作り替えています。

昨年の4月より弊社に正式に加わってもらった代表の長女に人事・総務・経理の作業を任せ、法人設立時から名のみの役員だった代表の妻にも来月からチーム作りの担当として本格的に加わってもらう予定です。
妻が関わってくれたら、続いては弊社のビジョン・ミッション・バリューの浸透や、弊社の事務所開設などにも携わってもらうつもりです。

今後とも、なにとぞ弊社をよろしくお願いいたします。


§ 人脈の構築 今月は外出や打ち合わせを何度も行い、リアル商談を数多く行いました。
お客様とのリアル商談は約15回です。オンライン商談はざっと数えたところ約31回ほどです。
今月、頂戴した名刺は約83枚です。


先月末から今月頭にかけてのやまなしワーケーションへの参加によって、山梨に拠点を結ぼうとする弊社の企てに大きな弾みがつきました。


また、今月は今までの人脈にない新たな集まりにも多数顔を出しました。
こども居場所大会 in 東京では、社会課題の解決に向けて努力する方々とのご縁ができました。
WAGRIユーザー会では、国際標準を決める人々やアグリテックの先進にいる人々とのご縁ができました。
餃子投資の会では、投資分野に強い人々とのご縁を再びあたためることができました。
NO-CODE SYMPOSIUM 2024では、kintone界隈だけでない他のNO-CODEツールの人々とのご縁を拡げることができました。
kintone × RPA飲み会では、RPA界隈の人々との知己を得ることができました。
そして、kintone Café 栃木やその翌日の栃木市での旅でも、栃木の方々との新たなご縁をつなぐことができました。






皆さんとの熱いつながりが次の案件につながり、お互いが望むビジネスと人生が広がる。それこそ、まさに弊社が望むあり方です。

弊社が経営で苦戦していても次々と案件を頂けているのはこうした出会いがあるからです。

引き続きよろしくお願いいたします。


§  対外活動 今月はこちらのイベントに参加しました。「山梨ワーケーションツアー」(2/28-3/1)。「よっちゃばれっ kintone 無尽 Vol.3」(3/1)。「こどもの居場所大会 in 東京」(3/2)。「WAGRI ユーザー会」(3/5)。「餃子投資の会」(3/13)。「NO-CODE SYMPOSIUM 2024」(3/15)。「kintone × RPA 飲み会」(3/17)。「リアル Cy-Musubi 2024」(3/19)。「devkin meetup Vol.3」(3/19)。「フミダセTV」(3/21)。「トヨクモNIGHT~プリントクリエイターNIGHT」(3/22)。「スナックジョイゾー お花見ナイト」(3/22)。「kintone Café 栃木 Vol.1」(3/23)。「kintone Café METAVERSE Vol.7」(3/26)


こうした対外活動こそは経営者としてやるべきことであると同時に、弊社メンバーにこの方向性を理解してもらう必要があります。
今年の年始の抱負として、登壇回数を36回と定めました。3月の時点で13回の登壇が果たせています。
今月は、WAGRIユーザー会の場で、自己紹介を希望する場があり、そこで意を決して手を挙げ、全く知らない人だらけの前で、大臣官房にいらっしゃるような方々の前で話しました。かつての自分では考えられない振る舞いに出られたことで、私自身のステージが少し上がれたのかもしれない、と自信になりました。

もくもくと開発するだけの会社では、今後の展開が見込めません。さらには私自身のやりたい方向と違ってしまいます。
そのための対外活動であることを弊社内部にも理解してもらうようにつとめなければ。

外の皆様と交流を深めたいと思っています。
今月に行った活動からそのことを強く感じました。

まずは今月の弊社と関わっていただいた皆様、誠にありがとうございました。


§ 執筆活動 以前に連載していたCarry Meさんが運用する本音採用サイトの「アクアビット 航海記」の続きを弊社サイトにアップする作業ですが、今月はアップできませんでした。

今月、書いた本のレビューは0本()。
今月、書いた観劇のレビューは0本()。
今月、書いた映画のレビューは0本()。
今月、書いた抱負は0本() 。
今月、書いた旅日記は0本() 。
今月、書いた「物申す」は0本() 。
今月、書いた弊社の活動ブログは6本(
やまなしワーケーションに参加しました
よっちゃばれっ kintone 無尽 vol.3に参加しました
こどもの居場所大会 in 東京に参加しました
雲の上Talking〜プリントクリエイターNight〜に参加・登壇しました
kintone Café 栃木 Vol.1に運営・参加・登壇しました
kintone Café METAVERSE Vol.7に参加しました
)。
今月、書いた弊社の技術ブログは0本()。

なお、一昨年のはじめから毎営業日にnoteに書き始めた記事ですが、今月は以下の内容をアップしました。

2月28日 2月28日 なぜコメントや仕様書が必要か。チーム内にも自分自身のためにも
2月29日 2月29日 山梨の可能性を感じるワーケーション
3月1日 3月1日 地方に行くとニーズが見える
3月4日 3月4日 品質追求の醸造所でもできるところはIT化。
3月5日 3月5日 社会課題に向き合って行きたい
3月6日 3月6日 WAGRIユーザー会で学ぶ標準化
3月7日 3月7日 株価に踊らされず、既存のやり方に頼らない地道な変革を
3月8日 3月8日 物流博物館で自分のシステムエンジニアとしての原点を知る
3月11日 3月11日 地震確率に右往左往せず、つねに備えておく。
3月12日 3月12日 漫画はもっと評価も立場も上げられるべき
3月13日 3月13日 生成AIの著作権問題は注視したい
3月14日 3月14日 管理体制の強化か、スピードの重視か。
3月15日 3月15日 売り上げは上がっても、利益体質はこれから。
3月18日 3月18日 NO-CODEツールの意義
3月19日 3月19日 ダイヤ改正の鉄道減便からの次。
3月20日 3月20日 kintoneエコシステムはビジネスもコミュニティも含めて
3月21日 3月21日 スキル伝達が不要になり、より抽象的な伝達に
3月22日 3月22日 都市開発の現場から感じたこと
3月25日 3月25日 オフィスを持つとコミュニティが開ける
3月26日 3月26日 コミュニティに積極的な理由。
3月27日 3月27日 メタバースにいることがAIエージェント時代が来ることの証し

§ 年表

 ・三月お仕事

小菅村中央公民館、anyplace.work 富士、焼き鳥 びんど、金蔵、サイボウズ 本社×2、日比谷国際ビルヂングでWAGRIユーザー会、二俣川で商談・作業×6、品川で商談×3、ドトールコーヒーショップ 神田中央通り店、神田で商談、ラムゴロー神田南口店、CEN CAFE、なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。、北綾瀬で商談、中国家庭料理 大連、Café PRONTO 品川シーズンテラス店、ベルサール六本木でNO-CODE SYMPOSIUM 2024、土佐しらす食堂二万匹、アクアビット サテライトオフィス、ココデンタルクリニックで作業、府中で打ち合わせ×2、Starbucks、関内で商談、ケンタッキーフライドチキン、雲の上Talking~プリントクリエイターNight(トヨクモ社)、スナックジョイゾー、HOTTAN、庄助、寧々家 宇都宮駅前店、モスバーガー、府中市立 中央図書館
§ ツイートまとめ
・三月ツイート
https://togetter.com/li/2340963


やまなしワーケーションに参加しました


2月28日から3月1日にかけて「やまなしワーケーション」に参加してきました。


この事業主催は山梨県二拠点居住推進センター。事業運営は株式会社パソナ JOB HUBです。

今回、このイベントのご縁をいただいたのは、合同会社エムシースクエアの山口さん。
山口さんは普段から山梨でも活発に活動されておられます。
昨夏のITコミュニティのイベントを真鶴町で開催した際にワークショップのファシリテーターをお願いしたのが山口さんとのご縁の始まりです。その後、山梨にもご縁をお持ちということを知り、年末に弊社が主催した「ビルド山梨」でも山梨について話してもらいました。

私は普段からワーケーションをよく行っています。ですが、今回のように主催を自治体で行い、運営の方の引率を伴ったワーケーションツアーへの参加は久しぶりです。私が前回、こうしたツアーに参加するのはコロナが始まる直前でした。

今回は、場所が山梨ということもあり、話をいただいてすぐに参加を即決しました。
ただし、初日はお客さんに訪問しての定例会議や作業予定があり、日中の行程は参加せず、夜の懇親会から合流しました。

・初日の夜

甲府駅を降り立った私が向かったのは「Phil」です。創作フレンチ・ダイニングバーのお店です。
この界隈のお店は私も数回利用したことがあります。ですが「Phil」はまだ来たことがありませんでした。


私が入った時はまた前菜が来ただけだったので、遅れてきた私も通常通りのメニューをお願いしました。
こちらの飲み放題のメニューがとても豊富で、カルバドスやブランデーなども飲み放題。飲み放題にカルバドスがある店はあまり見かけないので、嬉しくなって何杯も飲んでしまいました。

今回の参加者は全員が初対面でした。事前にオンラインで打ち合わせたパソナ Job Hubの方や山梨県のお二方を除いて。
もっとも、私は全員が初対面のイベントにしばしば参加します。そういう時、私はテーブルを周遊して名刺を交換して回ることはしません。
まず、自分のテーブルを離れないこと。そして、そこで聞き役に徹します。こういう時、とにかく聞く姿勢に徹することです。そうすれば、すんなり場に入っていけます。

おかげで、同じテーブルだった皆さんのパーソナリティーやどういう目的で参加しているか、といった情報を知ることができました。また、今回のワーケーションに山梨県としてどういう効果を期待しているかについてもより深く理解できました。
結果として、中途参加であってもあまり違和感なくツアーに合流できたのではないかと思います。

お店の閉店時間が来たので、皆さんは二次会に繰り出しておられました。が、私は今日の宿である「城のホテル」へ向かいました。
明日は月末です。明日も移動が続くので、いわゆる月末処理が何もできなくなることが予想されました。そのため、私はホテルに帰って作業に集中する必要がありました。

こちらの「城のホテル」は、今までも甲府城のすぐ横で目立つ姿が気になっていました。今回の機会で初めて泊まる機会を得ました
ロビーにはワークスペースが設えられており、無料のドリンクバーや有償のワインサーバーが用意されていて、甲府気分を盛り上げてくれます。しかも歴史関係の本が多く並べられ、漫画もいろいろなものが置かれています。
私も「宝石商のメイド」「美味しんぼ80巻 日本全県味巡り 山梨編」を借りて部屋に持ち込み、作業の合間に読みました。もちろん、山梨への理解を深めるためです。
作業の時間をとった甲斐もあって、翌日の移動にあたって事前にしておくべきことは終わりました。3時半に寝ました。

・2日目「勝沼ぶどうの丘」

さて、翌朝。
前夜の「Phil」でのお話の中で、モスバーガーの話が出ました。それに則り、私の朝食はモスバーガー。
山梨は全国でもっともモスバーガーの店舗数が多い都道府県だそうです。以前、妻からも聞いていました。

モスで腹ごしらえをし、皆さんと合流してバスに乗りました。ここからが私にとってのツアー開始です。
とはいえ、バスの中で交流を深めたわけではありません。私もバスの中でパソコンを拡げて作業しました。私だけでなく、皆さんもそれぞれの仕事をバスの中でされていました。
今回のツアーの参加者の皆さんはほぼ経営者です。バスの中で仕事がこなせる方が多く、交流タイムのようなものがなかったのはかえってありがたかったです。


バスが向かった先は「勝沼ぶどうの丘」。
ここには家族で5、6回は来ています。ですが、前回来てからもう8年半も経っていました。
前回来た時は、将来の自分が山梨でイベントを行ったり、拠点や住居を探し始めるなど毛頭も考えていません。ですが、今の私は立場を変え、山梨へのコミットを深めています。その視点から眺めた甲府盆地は、私に違う印象と決意を与えてくれました。

テラス席で仕事をしていると、何人かがテラスに集まってきました。その機会を生かして昨晩話せなかった方と、じっくりとお互いのビジネスや取り組み、そして山梨への関わり方について話しました。
勝沼ぶどうの丘に着いてから、昼の食事前までの時間をたっぷりとってもらえたのはよかったです。この時間の中で、ほとんどの方とコミュニケーションを取り終えることができました。

上の「ぶどうの丘 展望ワインレストラン」では、美味しいカレーに舌鼓を打ちました。
ここからの甲府盆地の景色は、これからの私や弊社や参加者の山梨での可能性を感じさせてくれます。


久々に訪れた地下のワインカーヴも相変わらずの壮観です。ワインどころ甲州のワインが一堂に集う景観はすばらしい。
ただ、ツアーの道中のどこかで聞いた話ですが、ここのワインカーヴに甲州市の全てのワイナリーが集まっているわけではないそうです。甲州ワインは全国区になりましたが、産地呼称の問題や各地域のワイナリーさんの思惑などが入り乱れ、なかなか難しいようです。

・2日目「MGVsワイナリー」

そんなワイナリー運営ですが、可能性はあります。そう思わせてくれたのは、私たちが次に訪れた「MGVsワイナリー」です。


私は「MGVsワイナリー」には初訪問です。敷地に建てられているのは、できて間もないと思われる清潔そうな建物です。

それもそのはずで、こちらはもともと半導体の工場だったそうです。
2階の会議室で、私たちは「MGVsワイナリー」を運営する塩山製作所の松坂社長より直にお話を伺う機会を得ました。
もともと、物流エンジニアだったという松坂社長。奥様のご実家が塩山製作所だったそうです。
今もまだ塩山製作所は半導体事業を営んでおられますが、国内の半導体産業が海外勢に押され、需要が減ってきたこともあって、ワイナリーへの進出を決意されたそうです。

半導体は市場を読むのが難しく、それに伴い売り上げに応じた在庫調整も難しい。それも半導体が負けた理由の一つだそうです。
今は需給の波に影響を受けづらい携帯基地局の機器に特化した業務を展開されているそうです。

松坂社長からは、ワイナリーへの転換を後押しした理由として山梨の可能性も踏まえて以下の点を挙げてくださいました。
・景観を生かした事業が展開できる。
・物流量の増加は見込めないかわりに、インターチェンジが近いので物流拠点がある。
・もともと、ご実家が葡萄農家であり、ワインを醸造する権利を持っていた。そしてワインが好きだった。

さらに、半導体事業を営みながらワイナリーを営むメリットとして、以下のように挙げて下さいました。
・ワイナリーはマーケティングが大切。それは、商品開発と販売からなる。
・半導体事業は下請けなので一極集中できる利点があり、しかも市場の動きを読むことが求められる。そこで培ったスキルがワイナリーを営む上で役に立った。
・ワイナリーは半導体事業で培った技術優位性を活かせる。
・さらにマーケットへの販売力もワイナリーを営む上で活かせた。

お話を伺っていると、松坂社長のお言葉から届く波長は完全に技術者としてのもの。私は技術者とはいえ、半導体分野には明るくないのですが、同じ技術者として通じるものを感じました。
先日のCLS道東でお会いした方も技術者からワイン醸造家に転身を果たされておられました。技術とワイン作りは相性が良いのかもしれません。

質問タイムでは、私を含めた三人から質問が出ました。真空を用いた鮮度保持技術や、ガラスビーズを会社の主力商品として取り扱われている方がいて、みなさん熱心です。
松坂社長曰く、すでに真空技術は試されたそうです。また、ガラスビーズは半導体を高品質にする上で欠かせないらしく、すでに宇宙に飛び立って活躍しているそうです。

私も何か質問したいなと思いました。
そこで私が質問したのは、山梨で雇用を考えているが、山梨の人がどういうマインド持っているか。技術を扱う会社として、雇用にあたってのアドバイスがあれば、という趣旨の内容でした。
それに対して松坂社長よりいただいたのは、やはり山梨には少し閉鎖的なところがある。そのため、却ってオープンに運営した方が良いと言うアドバイスでした。
他にアドバイスいただいたのは、教育はシステム化した方が良いという点です。
ここの点については、まさに今取り組んでいることです。我が意を得た想いです。山梨で雇用する際には見せられる研修資料を作り上げなければ、と決意を新たにしました。

あと、雇用する際に気を付けた方が良いこととして、「やっちょし」という甲州弁の言葉は、「やれ」の意味ではなく、「やっちゃだめ」ということです。「やれし」は「やれ」を意味するそうです。つまり語感が逆になってしまうことがコミュニケーションの妨げになるから気をつけた方が良いということでした。

松坂社長、ありがとうございました。


階下に降りて、醸造ルームも見学させてもらいました。
半導体製造には、塵が禁物です。そのため、クリーンルームが欠かせません。そのクリーンルームがそのまま醸造施設に生まれ変わっています。つまり、品質管理にはこれ以上ない環境です。ガラス越しに見るタンクには、半導体を扱う会社ならではの技術を流用したセンサーも稼働しています。そのタンクも松坂社長のこだわりでイタリアから取り寄せたというステンレスのもの。作業の効率性を考えたサイズにされているそうです。至る所に松坂社長のこだわりが感じられる醸造施設でした。
赤、白、スパークリングのタンクには、それぞれチェスの駒やスカルをモチーフにしたマークが印字されていて、それがまた醸造ルームに彩りを与えていました。

敷地内にある畑にもご案内いただきました。この畑もまた面白い。例えば、葡萄の樹の上にあるはずの棚がありません。

私は勝沼でぶどう狩りを何度も体験したことがあります。その時は、頭上の棚から垂れ下がるブドウの房を切り取りました。
ところが、こちらのワイナリーではその棚がありません。「棚づくり」に対して「垣根づくり」と呼ぶそうです。その二つでは葡萄の味に変化があるそうです。そうしたあらゆる可能性を考えた葡萄栽培にチャレンジしておられるのが「MGVsワイナリー」です。
しかもSDG’sの一環として、剪定したぶどうの枝をきちんと乾燥させ、野焼きして得られた炭を施肥しておられるとか。
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2021/03/210305-49850.php
こちらのリンク先にもその取り組みが書かれていました。


さて、いよいよ試飲です。今回は3種類(白×2、赤×1)を飲ませてもらいました。私の感想では赤がとても美味しく、圧倒的な香味と樽由来と思われる味わいが気に入りました。
ただ、荷物の問題や、妻があまりお酒を飲めなくなっている今の状況を考え、購入は一旦見送りました。とはいえ、また妻と家族と来た時に買って帰ろうと思います。


環境に配慮し、品質にもこだわりをもっておられる「MVGsワイナリー」。とても感銘を受けました。技術と醸造の融合が大手資本でなくてもできることを知りました。また来ます。ありがとうございました。

・2日目「より道の湯」

さて、バスに乗った私たち。バスが向かうのは都留市。「より道の湯」が目的地です。

「より道の湯」で宿泊や館内の説明を受け、各々の部屋に入ったのが15時過ぎ。そして夕食は19時。
その間の4時間は自由です。
今回のワーケーションプランは全般的に行程に余裕がありました。それがとても助かりました。
今までに参加した企業運営のワーケーションは移動の合間が続き、すぐにイベントが入って作業が集中できないこともありました。私の働き方が洗練されてきて、効率よく動けるようになったのでそのように思ったのかもしれませんが。

部屋で打ち合わせやら作業をこなしました。その後、まだ外は明るく、夕食までの時間もあります。そこで、散歩しに外に出ました。
都留市は何回か通過したことがあります。が、リニア見学センターをだいぶ前に訪問したくらいで街を歩いたことはほぼありません。
今回、せっかくの機会なので都留市の街中をちょっと歩いてみたいと思いました。


少し調べてみると、都留市は実は谷村城址を中心に城下町としての歴史があるらしいのです。
そこで、都留市役所への方へと歩いてみました。
目指す谷村城址は、小学校のグラウンドの端に石碑が建てられていました。城跡の雰囲気は感じられませんでしたが、塀が黒塗りの板塀仕立てになっていました。
それだけでなく、街を歩いてみると、随所にかつての城下町としての面影を感じます。鍵状になった道や水路などに。

少し雨が降ってきたし、作業の続きもあったので、宿に戻りました。そして、作業を行い、せっかくなのでお風呂を浸かりに行きました。
風呂に浸かっていると夕食の時間が迫ってきたので館内着のまま、ふらりと宴会場に現れました。すると、館内着を着ているのが私ともう一人だけでした。

この飲み会、とても楽しく飲めました。宴会場に大きく二つの島が分かれ、お互いが、とても楽しく和気あいあいとしていました。ツアーも2日目の夜を迎え、皆さんがお互いの人となりを知りつつあったからだと思います。
飲み会には都留市の方々も参加されていました。私も先ほど都留市役所を訪れたばかり。街についての関心もあります。
そこで都留市のアピールポイントを伺いました。それによって、さらに都留市への理解が深まりました。都留市の名産の一つが布団だったこともここで初めて知りました。豊富な名水を使って布団を洗う!


こういう宿での飲み会はいいですね。皆さんお酒を召し上がっても乱れず、私もおいしいお酒が飲めました。
盛り上がったあまり、お店の営業時間が終わって何度も催促を受けるまで皆さんと名残惜しげに会話をしていました。

・3日目「FAR YEAST BREWING」



翌日。最終日です。
都留市は一面の雪景色でした。部屋の窓から見た光景が美しい。私は朝食までの時間を使ってすぐそばの都留市駅を訪問しました。昨日の夕方にも通りがかった際、特徴のある門構えのピンク色の駅舎は風情すら感じます。かつての都留市の玄関口の面影を残しています。
もちろん、今も都留市の玄関口です。雪に覆われた駅で写真を撮っていると、たくさんの高校生たちがホームに向かっていきます。ホームに向かうと、やってきた河口湖行きと大月の電車が行き違いをし、たくさんの高校生たちはどちらかの車両に乗って通学していきます。
こういう光景を見ると、鉄道は地方の学生にとって、なくてはならない生活の足であることを感じます。
山梨県で唯一の私鉄として、富士急行さんには頑張って欲しいなと思いました。

部屋に戻って朝食をいただき、ロビーへ集まりました。
そこでパソナさんに酔い止めを勧められました。
小菅村への道中で乗り物酔いする方がいるからだそうです。

最終日の今日、向かうのは小菅村。 「FAR YEAST BREWING」への訪問が目的です。

私は、山梨はほとんどの場所を訪れています。が、早川町と丹波山村と小菅村だけはまだ足を踏み入れたことがありません。今回、ついに小菅村に訪問できることが楽しみでした。しかも訪問先が「FAR YEAST BREWING」であるからなおさらです。
道中は快晴で、しかも前夜の雪がまだ山肌を彩り、とても美しい景色が車窓の向こうに広がっています。乗り物酔いなどする余裕もなく、ひたすら外の景色に見惚れていました。


小菅村につき、早速「FAR YEAST BREWING」へ。
山田社長がみずからお出迎えしてくださいました。


以前はカーナビの部品を作る工場だったこの建物。その建物を利用して山梨小菅・源流醸造所は運営されています。
入ってすぐ、壁に掲げられた膨大な数の賞状にまず圧倒されます。これらの膨大な賞状もほんの一部であり、古いものは掲げていないとのこと。それもそのはずで、昨年一年間だけでも23もの賞を獲得したそうです。
さらに面白いことに、「FAR YEAST BREWING」の瓶に貼られるラベルが置いてあります。自由に持っていってくださいとのことです。私も今までにさまざまなブルワリーを訪れましたが、ラベルが取り放題のブルワリーは初めてだと思います。
そこに置いてあるラベルは本当にさまざまです。カラフルなもの、お洒落なもの、洗練されたもの。
それだけ豊富なラベルの数、つまり、ビールの種類を擁しているからこそ、こうしたことができるのでしょう。
後日、五反田の直営店にも伺いましたが、そこでもラベルの取り放題はより種類を増やして用意されていました。このサービス、とてもよいです。
ラベルの祭典は、さらにドアを開けて醸造施設に入ってすぐの壁でクライマックスを迎えました。今まで発売されたすべての銘柄のラベルなのでしょう。壮観です。

私たちは、山田社長にご案内いただき、工場の中をあちこち見学させていただきました。
この見学ツアーがとても貴重かつ、学びにあふれる内容でした。
ご案内いただいた場所の中には、おそらく普段はご案内いただけないような場所も含まれていたはずです。
例えば大麦の原料置き場。こちらの置き場には、実際に大麦の原材料が入っている袋がそのまま置かれています。
そこで麦芽を実際に食べさせてもらいました。麦芽を食べた経験は、他のブルワリーさんでもあります。が、今回は山田社長がそこらへんの袋を開け、そこから手で受け取ったことに意味があります。まさに原材料そのもの。そこに作為や飾りは一切ありません。
もう、完全に手の内を見せてくださっています。

手の内を見せてくださるのはそれだけではありません。
元は、食品工場ではない建物を改築・改修していることで、少しずつビール工場として理想の姿を作る途中であることも教えてくださいました。
例えば、入れてもらった粉砕室の床には虫を捕獲するトラップがありました。そこに入ってきた虫の数をきちんと計数管理し、衛生管理に生かしておられるそうです。
普通、こうした虫はブルワリーにとってほもっとも都合が悪く、隠すべき対象です。そうしたところも堂々と見せてくださる山田社長の器の広さを感じるとともに、それだけFAR YEAST BREWINGは人間がやれる最大級の衛生管理に向けて努力されていることを意味します。
人間のやることに100%はありません。ですが、限りなく100%に近づく努力ができるのも人間。そんな姿勢を見せてもらいました。
私が普段扱うサイボウズさんのkintoneも、人間のやることに100%は無いと言う前提のもと、セキュリティー対策をとられています。お互いの姿勢に通ずるところを感じました。

「FAR YEAST BREWING」の取り組みはそれだけではありません。ITの力もきちんと使っています。
人の手は絶対に必要ですが、人の手間をより効率化できる仕組みは取り入れるべきでしょう。
例えば、酵母の生育状況を示す状況を計数管理するための機械を見せてもらいました。この機会でやっていることも、顕微鏡で人が見ても、機械を通してみても、見る対象に変わりはありません。しかも人が目で見て数える事と、機械に計上を任せることは、何の品質上の違いもないはずです。だからこそ、数を数える仕事は機械に任せてしまうのです。
それはまさに、作業の本質を見極めておられるからできる判断です。作業の本質を見極めた上で、必要なところに必要なIT化を導入しているということが感じられました。
そうした工夫はタンクの清浄でも見られました。ビールのみならず、食品を扱う上で清浄は必須のはずです。タンクの清浄状況をチェックするための指標となるのが、ATP(アデノシン三リン酸)の検出量です。生物残さに含まれるこの成分が検出されるということは、清浄が不完全であることの証しです。ATPを可能な限り少なくする。実際、山田社長のお話によると、他社に比べてかなり低い数値を維持されているそうです。ATP残存量のチェックにあたっては機械の力を使っておられるそうで、キッコーマンのロゴが入ったセンサー機器をみせていただきました。

他にもブルワリーとしての工夫点を教わりました。それは二次発酵です。通常のビール醸造プロセスでは、発酵タンクで発酵させた後、加熱して発酵を止めてしまいます。ところが「FAR YEAST BREWING」では、発酵後に瓶に詰めた後、瓶の中でも発酵プロセスを継続させます。その効果として、発酵の際に酸素を使うため、瓶内の残存酸素量が0になります。酸素の残存量がなくなるということは、ビールの品質を悪化させる酸化のリスクがなくなることです。残存酸素量が0というのは通常はあり得ないそうですが、それを達成していることは誇るべきでしょう。

今回の見学ツアーの一連の流れは、全て山田社長が説明してくださいました。
その口調はとても丁寧で、私たちのような醸造の素人にも真摯に対応してくださいました。
私は山田社長のご説明から、上に書いたようなさまざまな品質上の配慮や努力、そして本質を見極める目を合わせて謙虚な人柄に惹かれました。
そしてその中にはただの謙虚だけでなく、自社製品についての絶対的な自信も感じました。

ここまでで、私はすでに「FAR YEAST BREWING」のファンになっていたと言っても過言ではありません。
今までにも「FAR YEAST BREWING」の製品は「馨和 KAGUA」や「東京BLONDE」を飲んだことがあります。が、私にとっては数多あるクラフトビールの一社としてしか認識していませんでした。
今回の訪問によって、「FAR YEAST BREWING」は本物のブルワリーであるとの認識を持ちました。さらには、山梨から世界に発信できるブルワリーではないかと。

2階の会議室に場を移し、そこであらためてスライドをベースにして、山田社長より設立までの経緯や設立にあたって大切にすることなど、さまざまなお話を伺いました。

世界から原材料を集めて作るビールも良いが、なるべく地元の原材料を使ったビール作りがしたいと言う姿勢や、その取り組みにも惹かれました。
下の見学ツアーの中でも、ペレット状にして真空パックにしたヤキマチーフ社のホップを見せてもらいました。大麦も海外製のものがほとんどでした。
ですが、それに飽き足らない山田社長は、地元産、つまり山梨の農産物を原材料にしたビールが作れないか、という取り組みをされているそうです。北杜市の小林ホップ農園さんのホップを使ったり、桃やぶどうを使ったビール、さらに米を使ったビールなどとても面白い取り組みをされているようです。
これからの農業は大量生産・収穫と高品質の少量生産の二極に分かれる。その後者に着目したことで、山梨の可能性を世界に問う。まさに素晴らしい。

印象に残ったのは、最初は地域活性のことは考えずに小菅村に移住したという点です。それが、小菅に移住して生産を行ううちに、山梨や小菅村のコミュニティにコミットするようになったそうです。そうなった理由は、地元のコミュニティに参加する中で、小菅村に愛着を持つようになったということもあるでしょうし、主要マーケットを東京や海外に向けて考えていたら、得意先売上の二位と三位に山梨県の企業が入っていて、実は地元こそが大きなマーケットだと気づいた、といういきさつもありそうです。
結局、真っ当にビール作りを突き詰めていたら、今の状態になったということでしょう。
山田社長からは、
『地方の「地」は地味・地道の「地」』という言葉もいただきました。まさに「FAR YEAST BREWING」の姿勢が今の形に繋がっていることを感じました。

一つ、山田社長の言葉で考えさせられたことがあります。それは、リモートワークを廃止するというご決断です。
「FAR YEAST BREWING」は国内と海外に直営店を持ち、モノを作る業種です。そのため、弊社とはそもそも業種も業務プロセスも違います。一概に比較はできません。私としては、どうこういう話ではないことは理解しています。

ですが、山田社長がその理由として挙げた「リモート中心の業務設計になると、生産性が低下する。現場力が弱くなる。」という点はどの業界でも一緒です。そして、私にも思い当たる節があります。それだけに考えさせられました。
「FAR YEAST BREWING」はすでに東京から小菅村に本社を移されたということですから、リモートワークの廃止は東京一極集中を促進させるご決断ではありません。なおさら、リモートワーク廃止のご決断に異議を唱えるつもりは毛頭ありません。
ただ、これがもし東京で会社を経営する方のお言葉であれば、私はさらに深刻に考えていたかもしれません。

リモートワークをどう考えるかについては、山梨だけでなく地方が維持されるかどうかを考える上で欠かせない視点だと思います。
山梨で地産地消の仕事が生み出せればよいのですが、今はそうではありません。山梨から人が出ていく一方の現状が山梨県知事による「人口減少危機突破宣言」につながったはずです。
それを打開する一つのやり方こそ、都会の人手不足を山梨で担いながら、山梨から都会への人口流出を食い止めることです。つまり、山梨に住みながら、都会の仕事をこなすリモートワークではないかと思います。
それは、昨晩、都留市の皆さんと話した内容にも通じます。

まずは、私として「FAR YEAST BREWING」が今後とも小菅村で経営できるよう、応援したいと思います。

山梨小菅・源流醸造所を出た後、近くの廣瀬屋旅館さんの直営する酒販店を訪問し、そこで私たちは思い思いに「FAR YEAST BREWING」のビールを購入しました。
こちらのお店にはかなりの種類の「FAR YEAST BREWING」の製品が常備されています。これだけで心が騒ぎます。私も四本を買いました。


そして四本のお酒を持ち、廣瀬屋旅館の広間へ移動しました。そこで山田社長や広報の若月さんも交えて懇親のランチ会です。地元の川魚を使ったと思われる料理がおいしかった。
ここでは、上記のリモートワークの話など突っ込んでお伺いしたかったです。が、横一列の配置だったので、なかなかお話ができにくかったです。これはまた、次の機会を待ちたいと思います。

山田社長、若月さん、ありがとうございました。

・3日目「まとめのワークショップ」


さて、私たち一行は、そこから歩いてすぐの小菅村公民館へ移動しました。そこで、山梨県庁のお二方を交え、ワーケーション全体を振り返るワークショップを行いました。
印象深いキーワードや、山梨に対してこの先できることは何か。そうしたそれぞれの思いを付せんに記し、発表とともに模造紙に貼っていく内容です。

皆さん、それぞれ3日間で感じたことを発表しておられました。
私は以下のようなことを書き、発表しました。
・一日目の日中に参加していないため、内容が薄いこと。
・都留市には布団があること。
・山梨は実力があるにもかかわらず、下請けに甘んじてアピールの機会を失っていたこと。
・その分、品質へのこだわりは高く、今すぐ世界で勝負できる可能性を秘めていること。
・山梨はキャラクタービジネスの発祥でもあり、今後そうした方向でも可能性があること。
・実は山梨のあちこちの都市には、志と発信力のある有力プレーヤーがいらっしゃること。
・都会に人を流出させず、リモートワークを活用した地元に定住した働き方ができること。
・私が山梨でITコミュニティをすでに七回運営しており、今後はその中に地元の企業にも入ってもらい、紹介の場を設ければ、技術者に地元の産業を知ってもらえること。
・山梨に拠点を移したあかつきには、このようなイベントの開催頻度をより上げたいこと。

山梨の可能性はこの三日間で存分に感じました。
私として忸怩たる思いなのは、初日の日中に参加できなかったことでした。ヴィジョナリーパワーの戸田社長やアトリエいろは(アメリカヤ)の千葉社長にもお会いできていません。
これは今後、訪問してキャッチアップしたいと思います(CROSS-BEは昨秋に作業で使わせていただきました)。

さて、バスはここで大月に向かって戻ります。そして大月駅前で皆さんとはお別れしました。ここで電車に乗り換えて東京に帰る方もいれば、そのままバスに乗って東京に帰る方も。
私だけは皆さんと別方向、すなわち富士吉田に向かいました。

私が富士吉田で参加した「よっちゃばれっ kintone 無尽」や西裏での懇親会、さらに翌朝は日本橋のサイボウズさんで「みんなの居場所大会 in 東京」に参加したことは本稿からは割愛します。

なお、参加の中でもnoteの記事は別に挙げています。
・「2月29日 山梨の可能性を感じるワーケーション https://note.com/akvabit/n/n4b9a4b8e458d
・「3月1日 地方に行くとニーズが見える https://note.com/akvabit/n/ne68e09202afa
・「3月4日 品質追求の醸造所でもできるところはIT化。 https://note.com/akvabit/n/n4066aea608cc

まずは今回のやまなしワーケーションでご縁のあったすべての皆さん、本当にありがとうございました。