商談でお客様と話す際、身内の名前を呼び捨てにする。
メールでも身内のことを呼び捨てにする。
昔から私は、こうした慣習に違和感を持っていました。

商談の場において身内同士で話す際はお互いがさん付け、または役職で呼び合いますよね。ところが同じ商談の場で、お客様に対して話す時は打って変わって身内を呼び捨てにする。

なんかこれって一貫してなくね?と思っていたのです。

お客様に対して身内を呼び捨てにするのであれば、同じ場で身内に話しかける際にも呼び捨てにしなければ一貫性が保てません。

なんのためにそうした使い分けが必要なのか。私はずっとその意味が分からずにいました。
それでありながら、今までの私は慣習に従って身内を呼び捨てにしていました。違和感を抱えながら。

今年から弊社でも新たに二人の仲間に参加してもらい、身内の概念ができました。
この機会に弊社は、身内に対する呼び捨ての習慣をやめることにしました。

商談の場でも、身内を呼ぶ際は呼び捨てにしない。メールやチャットの中でも。
それを貫くことが普段からの身内への敬意につながると思っています。

そもそもなぜ身内を呼び捨てにする習慣が生まれたのでしょう。
おそらく、身内をおとしめることによってお客様を持ち上げることが狙いなのでしょう。謙譲語の考えと同じですね。

確かに、リアルな商談が商いを左右していた時代ならそれも理解できます。
というのも、リアルな商談は応接室で話します。応接室は上座と下座を意識したレイアウトになっていて、お客様と身内が向かい合って座る配置になっています。つまり、机を挟んで身内とお客様が相対します。
前を向いて話す際は、お客様に対して敬語を使い、視線を向けない左右の身内は呼び捨てにする。左右を向いて話す際は、身内であっても向き合って話すからさん付けで呼ぶ。いちおう、つじつまは合います。
リアルな場における商談では、身内を呼び捨てにする習慣が根付いたのもわかる気がします。

ですが、今や打ち合わせのほとんどがオンラインです。
数あるオンラインの会議ツールには、上座も下座もありません。スピーカー以外は同じパネルの中で並びます。
場の構成がフラットである以上、身内を呼び捨てにする意味は薄れている。そう思いませんか?

もっとも、マナー講師によってはオンライン会議の場にまで、妙なルールやマナーを持ち込もうとしているようです。ですが、もうナンセンスでしょう。

もう一つ、呼び捨てを無意味だと思う理由は、今や身内といっても同じ会社に所属していないことです。
これは弊社が活動する情報処理業界に特有なのかもしれませんが、身内といっても複数の企業や個人事業主などで連携して商談に臨むことがよくあります。
つまり、身内でありながら実態は属する組織がバラバラ、というケースが増えているのです。その場合、身内というよりも同じ目的に向けて集まった仲間です。ということは、たとえ商談の場であっても呼び捨てにできる関係ではないですよね。
同じ目的を目指す意味では、お客様も身内も同じ仲間と考えてもよいと思うのです。であれば、お客様も身内も等しくさん付けで呼んでよいのではないでしょうか。敬意を表す意味でも。

そういう訳で、弊社は身内であっても商談の場では○○さん、と呼ぶことにします。
メールでも同じ。
まずは代表の私からそれを徹底したいと思います。

もちろん、反論もあるでしょう。
今、思いつく反論は二つです。
一つ目は、身内もさん付けで呼ぶことで商談の場における主客が分かりにくくなること。
二つ目は、先に書いた通り身内をおとしめることでお客様を持ち上げる効果があること。

前者については、商談の流れの中で主語と述語を意識して使い分けるようにすれば、主客は簡単に判別できるはずです。むしろ、曖昧な言葉を改めることで商談の効率も上がるはず。
後者については、普段からお客様に対して敬意を払うのは当たり前であり、身内を卑下してまでお客様への敬意を表すのではなく、ストレートにお客様に敬意を表すのが当然と考えます。

ただ、お客様への敬意を持ち続けるには、コツがいります。
たとえば、内輪だけの会話であってもお客様を呼び捨てにしない習慣を保ち続けること。普段からこの慣習ができていれば、商談の場でわざわざ身内を呼び捨てにする必要もありません。自然とお客様への敬意が伝わるはずですので。お客様への敬意を持つのは当然、という前提がありますが。
もちろん、敬意を持ちにくいクレーマーのお客様や合わないお客様もいるでしょう。その時はすぐに取引をやめるようにすればよいだけ。

また、身内への呼び捨てをやめるようにすることは、別の利点もあります。それは、お客様にもお互いを尊重する社内の関係性を伝えられることです。
お客様にしても、社内がギクシャクしている会社には仕事は任せにくいですよね。
社内の関係が円滑であることを分かっていただくことで、お客様にも安心してお仕事をお任せいただけるのではないでしょうか。

ということで、今後弊社からお送りするメールや商談の際は呼び捨てをしない、を励行していきます。
なお、これは弊社の外に強制するつもりもありませんし、呼び捨ての習慣を続けるからといってたしなめるつもりもありません。

今後ともよろしくお願い申し上げます。


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