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「わがまま」がチームを強くする。


本書はCybozu Days 2020の会場で購入した。
この会場において弊社は初めてCybozu Daysのスポンサーとしてブース出展を果たした。
その出展の興奮も醒めぬうちに、最終日のギリギリでサイボウズ商店に駆け込んで本書を手に取ったのを覚えている。

それまでkintoneエバンジェリストとして活動してきた私が法人を設立し、Cybozu Daysに出展も果たしたことで、ようやくサイボウズオフィシャルパートナーとしての一歩を踏み出せたことに感慨もひとしおだったことを覚えている。
ユーザーとしても技術者としても、そしてパートナーとしてもkintoneエコシステムの一員になれた記念が本書だ。

私がサイボウズ社やkintoneエコシステムに関わったいきさつは、さまざまなところで発信してきたのでここでは繰り返さない。

ただ、私がkintoneに自分のキャリアを賭けようと決め、それからずっとやってこられた理由はkintoneとそれを運営するサイボウズ社の理念に共感し続けられたからだ。
それまでにいた組織の中でやりにくかったことや窮屈と感じていたこと。それを打破しようとしてくれていたのがサイボウズ社であり、働き方改革の旗手としての魅力的な取り組みが私をkintoneへの道に駆り立てた。

組織に殉じて自分を殺すことが美徳とされた旧来の日本企業。
そうした企業の立場からすると、本書に取り上げられるようなわがままを社員に許すことなどあり得ない。わがままがまかり通るような状態は組織としての統率の根幹に関わる由々しき問題だ。
それが今までの日本社会の風潮だった。

そうして醸成されたわがままを許さない気風が進取の機運を阻み、柔軟な発想や多様性に溢れた社会への対応力を削いでいた。

ところがサイボウズ社は「わがまま」と言う誤解されやすい言葉を掲げることで、あえて世間の視点と半歩先の逆を行く。
そうした発想の延長で生まれたのがCybozu Days 2020のスローガンである『EGO & PEACE』なのだろう。
二つの矛盾する言葉を並べてテーマとしてしまうところがサイボウズ社のイメージ戦略の達者な点である。
そして、そのような攻める姿勢が私のような旧来の常識に飽き足らない者の共感を呼ぶ。

だが、ただそうした言葉を掲げるだけでは説得力は生まれない。
わがままを組織の構築に生かし、それを実践してきたサイボウズ社の積み重ねの上に『EGO & PEACE』がある。このスローガンは、実績に裏打ちされた言葉である。

本書は、わがままをどのようにチームビルディングに生かしてきたかについてのサイボウズ社による試行錯誤の跡がエッセンスとして描かれている。
結局、わがままとは一つの方針に従うことへの反発から生まれる。つまり画一性に対する多様性だ。わがままの数だけ多様性の種があると言っても良い。

だが、そのわがままも無秩序なわがままが乱発、乱立するような状態だと、チームはばらばらになってしまう。

まず軸となる企業理念。これを設ける。
わがままの最上位に企業理念というわがままをおく事で、それぞれのわがままの良し悪しが決められる。

この良し悪しを決められる組織こそがチームであり、ただ乱立しているわがままを放置するままにする集団がグループであるという一節は説得力に満ちている。

さらに、そのチームにはわがままを言うことが許されるような心理的安全性が確立されていることも重要だ。それがないと、そもそもわがまま自体が出されず、多様性へのタネも撒かれない

サイボウズ社の関係者から出されるブログや書籍の中でよく出てくるのが雑談の重要性だ。
雑談による自由な発想の会話。
そこから生まれるわがままを単にわがままとしてではなく、チームとして実現できる方向につなげる体制も必要だ。

同じようによく登場する言葉が説明責任と質問責任だ。
つまり、わがままとは質問責任である。今の組織の状態の矛盾を放置することも、自分の希望や欲求をわがままだからと言わずにおくことも、一種の質問責任の放棄である。
一人のわがままを次のアクションにどうつなげるか。そこからチームの多様性が生まれる。
そのアクションの設定までをやり遂げて、初めてチームは機能する。

それぞれのわがままの形は違う。が、それをうまく石垣のように組み合わせることで、頑丈な基盤を持った組織は出来上がる。
石垣は常に外にむき出しだ。つまり基盤の形やそこに組まられたわがままも外に常に公開されている。
その公明正大なありかた、つまり透明性を内外に示すことで、より組織は盤石になっていく。

本書を読んだとき、弊社はまだ一人親方の会社だった。
それから本稿をアップするまでに2年半が経過した。その間には複数のメンバーを増やし、企業理念も各種の規約も作り、企業としてはそれなりの形になってきた。

だが、弊社はまだ私の理想とする組織のあり方からは程遠い。
うまく動いていない理由は、弊社に盤石な商品・サービスが打ち出せていないことが原因なのだろうと分析した。
システム構築のゴールもプロセスもお客様によってまちまちだ。そして、今までの弊社はその対応を代表の私のスキルに依存していた。
弊社として全てのメンバーがお客様ごとに違うやり方を臨機応変に対応できるようにしようとしたが、それをメンバーに求めるのは酷な相談だったと反省している。
結局、疲弊してしまったのだろう。

上記の現状分析の上で、あらためて本稿をアップするにあたり、本書をざっと読み直した。

結果、私の目標とする組織のあり方は本書の内容からはいささかもずれていないと確信できた。
本書に書かれた形のチームビルディングはこれからも目標として有効だと思う。
また、弊社メンバーに本書を読んでもらうか、読み合わせ会を設けるなどして、少しでも理想となるチームに近づけていきたいと思う。

2020/12/16-2020/12/16


サクリファイス


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本書は、第5回本屋大賞で二位になったという。と同時に大薮晴彦賞を受賞したそうだ。
その帯の文句にもひかれ、本書を手に取った。

本書が取り上げるのは、自転車ロードレースの世界。
休日に旅先でよくロードレーサーを見かける。数人で列を作り、整然と走る姿は清々しい。

私自身、かつてマウンテンバイクで台湾を一周したことがある。
現地の百貨店で購入した自転車で一周するといういきあたりばったりの旅だったが、なんとか十日ほどで完走した。
もちろん、大学生五人による完全に素人の集まりだったので、この旅で自転車を極めたというつもりは毛頭ない。けれど、なんとなく自転車で長距離を旅する上で気をつけ、心を配るべき勘所はおぼろげに感じたつもりだ。

だが、本書で描かれる自転車ロードレースの世界は、私の理解をはるかに超えて深い。犠牲や駆け引きなど、想像を遥かに超えた複雑な競技のようだ。私はそのことを本書に教えてもらった。

ヨーロッパでは自転車ロードレースはとても人気のある競技である。それは以前から知っていた。本書の中でも言及されているツール・ド・フランスはテレビ中継を視聴したこともある。

だが、私は自転車レースをチーム戦だとあまり考えていなかった。もちろん、チームで参加する以上は団体競技の性格もあるのだろうと思っていたが、ここまでとは。せいぜい、F-1のように二人のチームドライバーがいて、ポイントによっては一方のドライバーがもう一人に勝ちを譲る程度でしか考えていなかった。そもそも、実業団レースと言う認識すら希薄だった。

そうした競技レースの世界に焦点を当てた本書は、一見すると個人競技にも思える自転車ロードレースの競技が、実はチームプレイの性格を強く持っていることを教えてくれる。

似たような競技として、公営ギャンブルである競輪がある。競輪の勝ち負けを決めるのは、単なる速さなどの身体能力だけではないと聞いたことがある。先輩と後輩の関係や、仲の良さ、出身地など、速さ以外の要素が勝敗を分けるため、競輪ファンはそこも含めて予想するそうだ。

ロードレースの世界も、それが当てはまるらしい。チームの中でエースやアシストの役割が設けられる。
各ステージごとの勝利と年間を通しての勝利を目指し、各地の各ステージを転戦する。各ステージは、それぞれ山岳コースや平地のスプリントコースなどの特色がある。選手は自らの得意なコースとそうでない場所を判断し、勝てるところでは全力で勝利を目指す。そうでないコースではポイントを積み上げて年間を通しての勝利のために走る。
だが、ロードレースはチームプレーが求められる。であるが故に、脱輪したエースのためにアシストの選手がその場でタイヤを差し出す事もある。レースを棄権することもあるし、勝てるレースであってもあえてエースに勝ちを譲らなければならないこともある。

自転車ロードレースが持つ密接なチームワークと駆け引き。その世界は、部外者にはわかりづらい。
本書はその人間関係に着目している。各地を連戦する過酷な戦いを描きながら、チームの中で起こる軋轢や葛藤と、そこから生じる人間ドラマを物語に仕立てている。

本書のタイトルのサクリファイスとは、犠牲を意味する。
チームのために犠牲となる選手は、内面にどういう重苦しい思いを宿しているのか。
チームや選手の過去に起こった悲劇。それは犠牲やチーム内の人間関係の葛藤が生んだのかもしれない。
チーム内の疑心とそこから生まれる微妙な人間関係のひだを盛り込みつつ、著者はミステリ仕立てで選手の内面や戦う姿を描ききった。そこに本書の面白さがある。

主人公は、チーム・オッジのチカだ。チカこと、ぼくの視点で本書は物語られる。
チカは、チーム・オッジには入ったばかりの若手だ。チーム・オッジには、同期の伊庭とチームのエースである石尾、それに他のメンバーもいる。各選手たちの互いの協力のもと、スタッフも含めて各地のレースを転々としている。
チカはもともと陸上の選手だったが、速さ故に受ける注目が重荷となった。そのため、チームプレイに徹することもできる自転車ロードレースの世界に飛び込んだ。
だから、もともとアシストの役目に徹することには何の屈託もない。だが、その心はなかなかチームメートには伝わらない。

同期の伊庭は選手としての野心を持ち、それを隠そうともしない。
そんな伊庭に比べ、チカはクライムヒルのコースに強さを発揮し、単なるアシストには終わらない存在感を大会で示し始める。
そんな若い二人の台頭に、エースの石尾はポーカーフェースを貫き、何を考えているのかわからない。
だが、石尾にはかつてレースの中で事故で衝突した仲間が、選手生命を断念した過去を背負っている。その事件については、石尾の地位を脅かそうとしたその選手を石尾が妨害したのではないかとの疑いがささやかれている。

チカは、そんな選手たちの間に漂う空気を感じつつも、選手としてやるべきことを行う。
そんなチカのアシストとしての献身は、海外のチームからも注目され、チームへの誘いもかかる。

日本人選手にとって、海外のチームに参戦する事は見果てぬ夢の一つだ。そこに惹かれるチカ。そうした、選手としての素直な夢とアスリートとしての矜持。そこにチームメートとの駆け引きがうまく絡む。微妙なバランスの上に立つ関係を著者は絶妙に書き分け、物語を進めていく。

かつての石尾が起こした事故の背後にはどういう事情があったのか。
その謎を物語の背後におきながら、本書に陰湿な読後感はない。むしろアスリートとしての気持ちの純粋さを感じさせる余韻。それこそが本書の評価を高めたのだろう。

私はチームプレイがあまり得意ではない。そうした駆け引きが苦手な方だ。だが、また機会があれば数人で近距離の自転車の旅はしてみたいと思う。

‘2020/08/28-2020/08/29


チームのことだけ、考えた。


令和二年五月の中旬に7日間ブックカバーチャレンジで本書を取り上げました。
あらためて書き直してもよいのですが、その時に書いた内容が私の言うべき事を言い尽くしているので、ほぼ流用してアップします。

これをアップした5/10の前日は、kintone Café Online Vol.1でした。
そのタイミングで本書をご紹介できることをうれしく思います。

7日間ブックカバーチャレンジのDay5では、私の技術者としてのキャリアのきっかけになった「Excel VBA」の入門書をご紹介しました。
その中で私が、ここ5年近くkintoneのエバンジェリストとして活動していると書きました。

kintoneも、私にとっては独学で学んだ思い出の深いサービスです。
もともと、個人事業に進む前までは某社にて雇われ、一人情シスとして試行錯誤しながら、システムの知識をモリモリコツコツとためていた私。
社内システム用にファイルサーバーやウェブサーバーを立て、phpやMySQL、SAMBA、Apacheといったサービスをスクラップ&ビルドしながら、試行錯誤の日々を送っていました。
その時、思っていたのが「こうした作業をもっと汎用化できたら」ということでした。

後年、某銀行の本店でSalesForceの試用を任されたとき、衝撃を受けました。
私がかつて願った世界はここに存在した、とまで思いました。
その体験が鮮烈だったため、kintoneのβテスターを募集しているとのツイートを見た時、私はすぐに申し込みました。

私とサイボウズさんの出会いはさらにさかのぼります。大塚商会さんが主催するセミナーでNo Emailのセッションを聞いたのがきっかけです。そこで登壇されていたのは青野社長。
セッションの最後にCybozu Liveを紹介されておられたので、セッション後に私がガラケーでも使えるんやろか、とつぶやいたところ、青野社長ご本人からメンションが来て度肝を抜かれたのがきっかけです。

そのスピード感はそれまでの開発現場や企業では経験したことがないものです。まさにkintoneが掲げるファストシステムの体現でした。

それをきっかけとして、サイボウズという会社に興味を持った私の目に映ったのが、βテスターのお誘いでした。
そこからkintoneに関わり、kintoneのユーザー会にも参加した私。
そこで触れたサイボウズさんの社風には驚かされることばかりでした。
それまで知っていたいくつもの会社の社風とは、明らかに違っています。一癖も二癖も。

私がkintoneをなぜ推し続けているのか。
それは運営者であるサイボウズ社の社風にあります。
ユーザー会に参加した外部の私の目の前で、社長自らが社員の方とスマホをフリフリしてlineで友達になるような社風。

ユーザー会では二度ほど青野社長の横でお酒をご一緒したこともあります。
そこでお話した経験から感じたのは、サイボウズ社の社風とは、取り繕ったものではないという確信でした。
それまで属していた日本の企業や開発現場に息苦しさを感じていた私は、サイボウズ社とのかかわりに活路を見いだしていきます。

当時のkintoneはSalesForceと違ってまだまだ機能が足りず、お客様への導入もためらわれました。
ところが、当時、折よくシステム構築のご相談をいただきましてリリースされたばかりのkintoneを提案したところ、無事に受注ができました。2011年の暮れです。そのシステムは2012年の4月から稼働し、今もまだ運用中です。

kintoneはそれ以来、今に至るまでに機能を拡充し、素晴らしいシステムとして存在感を増しています。
システムを知らない現場の方でもドラッグアンドドロップで簡単にシステムが構築できる。SQLもスキーマもスクリプトも知らなくても手軽にシステムが運用できる。
もちろん、それも私がひいきにしている理由です。

ですが、私はそれ以上にサイボウズ社の社風に惹かれました。
だからこそ、これだけの長きにわたって応援しているのだと思います。自信を持って。

この本には、サイボウズ社の歴史が語られています。
そしてその中では、無数の試行錯誤から生まれたチームのあり方のヒントが詰まっています。

この本には失敗の歴史も豊富に載っています。システム開発会社にありがちなブラックな勤務体系。離職率の増加に歯止めが利かない中、拙速に人事システムを導入したことによる人離れの加速。M&Aの連続による赤字への泥沼。
そうした自社の黒歴史をオープンに語れる社風こそ、まさに私の惹かれた部分です。

そして、7日間ブックカバーチャレンジのDay4の「ワーク・シフト」にも書いた通り、ゼネラリストからエキスパートへ、という気づきを得ました。そこでkintoneのエキスパートになろうとしたからこそ、今の私があります。

ところが、エキスパートとは私の人生から多様性を奪いかねない決断でした。
エキスパートであることは、視野を狭くし、多様性を軽視してしまう。
ですが、サイボウズ社が多様性を重視していることは、本書にも例がふんだんに記されています。
そうした多様性を重視する会社の提供するkitnoneであれば、エキスパートでありながら多様性も実践できる。そう私は確信しています。

実際のところ、私はまだエキスパートではありません。技術者としても経営者としても人間としても。
そしてチームプレイでも。
私は独立してからずっと、独力で独学でやってきました。だから、チームの力を活かす術を知りません。
それを学ばない限り、私がエキスパートになることは金輪際、ないかもしれません。
その都度、いらだったり、自分の無力に涙することでしょう。そして、なんとか自分の人生を活かそうと、これからもあがき続けることでしょう。
その度に、チームのことだけ考えられるように努力します。

‘2019/3/29-2019/3/30


七日間ブックカバーチャレンジ-チームのことだけ、考えた。


【7日間ブックカバーチャレンジ】

Day6 「チームのことだけ、考えた。」

Day6として取り上げるのはこちらの本です。

昨日はkintone Café Online Vol.1でした。
そのタイミングで本書をご紹介できることをうれしく思います。

Day5では、私の技術者としてのキャリアのきっかけになった「Excel VBA」の入門書をご紹介しました。
その中で私が、ここ5年近くkintoneのエバンジェリストとして活動していると書きました。

kintoneも、私にとっては独学の連続でした。
もともと、個人事業に進む前までは某社にて雇われ、一人情シスとして試行錯誤しながら、システムの知識をモリモリコツコツと貯めていた私。
社内システム用にファイルサーバーやウェブサーバーを立て、phpやMySQL、SAMBA、Apacheといったサービスをスクラップ&ビルドしながら、試行錯誤の日々を送っていました。
その時、思っていたのが「こうした作業をもっと汎用化できたら」ということでした。

後年、某銀行の本店でSalesForceの試用を任されたとき、衝撃を受けました。
私がかつて願った世界はここに存在した、とまで思いました。
その体験が鮮烈だったため、kintoneのβテスターを募集しているとのツイートを見た時、私はすぐに申し込みました。

私とサイボウズさんの出会いはさらにさかのぼります。大塚商会さんが主催するセミナーでNo Emailのセッションを聞いたのがきっかけです。そこで登壇されていたのは青野社長。
セッションの最後にCybozu Liveを紹介されておられたので、セッション後に私がガラケーでも使えるんやろか、とつぶやいたところ、青野社長ご本人からメンションが来て度肝を抜かれたのがきっかけです。

そのスピード感はそれまでの開発現場や企業では経験したことがないものです。まさにkintoneが掲げるファストシステムの体現でした。

それをきっかけとして、サイボウズという会社に興味を持った私の目に映ったのが、βテスターのお誘いでした。
そこからkintoneに関わり、kintoneのユーザー会にも参加した私。
そこで触れたサイボウズさんの社風には驚かされることばかりでした。
それまで知っていたいくつもの会社の社風とは、明らかに違っています。一癖も二癖も。

私がkintoneをなぜ推し続けているのか。
それは運営者であるサイボウズ社の社風にあります。
ユーザー会に参加した外部の私の目の前で、社長自らが社員の方とスマホをフリフリしてlineで友達になるような社風。

ユーザー会では二度ほど青野社長の横でお酒をご一緒したこともあります。
そこでお話した経験から感じたのは、サイボウズ社の社風とは、取り繕ったものではないという確信でした。
それまで属していた日本の企業や開発現場に息苦しさを感じていた私は、サイボウズ社とのかかわりに活路を見いだしていきます。

当時のkintoneはSalesForceと違ってまだまだ機能が足りず、お客様への導入もためらわれました。
ところが、当時、折よくシステム構築のご相談を頂きましてリリースされたばかりのkintoneを提案したところ、無事に受注ができました。2011年の暮れです。そのシステムは2012年の4月から稼働し、今もまだ運用中です。

kintoneはそれ以来、今に至るまでに機能を拡充し、素晴らしいシステムとして存在感を増しています。
システムを知らない現場の方でもドラッグアンドドロップで簡単にシステムが構築できる。SQLもスキーマもスクリプトも知らなくても手軽にシステムが運用できる。
もちろん、それも私がひいきにしている理由です。

ですが、私はそれ以上にサイボウズ社の社風に惹かれました。
だからこそ、これだけの長きにわたって応援しているのだと思います。自信を持って。

この本には、サイボウズ社の歴史が語られています。
そしてその中では、無数の試行錯誤から生まれたチームのあり方のヒントが詰まっています。

この本には失敗の歴史もたくさん載っています。システム開発会社にありがちなブラックな勤務体系。離職率の増加に歯止めが利かない中、拙速に人事システムを導入したことによる人離れの加速。M&Aの連続による赤字への泥沼。
そうした自社の黒歴史をオープンに語れる社風こそ、まさに私の惹かれた部分です。

そして、Day4の「ワーク・シフト」にも書いた通り、ゼネラリストからエキスパートへ、という気づきを得ました。そこでkintoneのエキスパートになろうとしたからこそ、今の私があります。

ところが、エキスパートとは私の人生から多様性を奪いかねない決断でした。
エキスパートであることは、視野を狭くし、多様性を軽視してしまう。
ですが、サイボウズ社が多様性を重視していることは、本書にも例がふんだんに記されています。
そうした多様性を重視する会社の提供するkitnoneであれば、エキスパートでありながら多様性も実践できる。そう私は確信しています。

実際のところ、私はまだエキスパートではありません。技術者としても経営者としても人間としても。
そしてチームプレイでも。
私は独立してからずっと、独力で独学でやってきました。だから、チームの力を活かす術を知らずにいます。
それを学ばない限り、私がエキスパートになることは一生ないかもしれません。
その都度、いらだったり、自分の無力に涙することでしょう。そして、なんとか自分の人生を活かそうと、これからもあがき続けることでしょう。
その度に、チームのことだけ考えられるように努力します。

ということで、四つ目のバトンを渡させていただきます。freee社のニックさんこと 長内 毅志 さんです。
kintoneのエバンジェリストの活動から、昨年からfreee社のイベントにも参加・運営するようになった私。
freee社もオープンプラットホームの理念を掲げ、開かれたシステムを目指している会社です。
私にとって応援したいと思わせてくれます。まだまだご一緒する機会が多くなりそうです。

それでは皆さんまた明日!
※毎日バトンを渡すこともあるようですが、私は適当に渡すつもりです。事前に了解を取ったうえで。
なお、私は今までこうしたチャレンジには距離を置いていました。ですが、このチャレンジは参加する意義があると感じたので、参加させていただいております。
もしご興味がある方はDMをもらえればバトンをお渡しします。

「チームのことだけ、考えた。」
単行本 ソフトカバー:254ページ
青野慶久(著)、ダイアモンド社(2015/12/17出版)
ISBN978-4-478-06841-0

Day1 「FACTFULLNESS」
Day2 「成吉思汗の秘密」
Day3 「占星術殺人事件」
Day4 「ワーク・シフト」
Day5 「かんたんプログラミング Excel VBA 基礎編」
Day6 「チームのことだけ、考えた。」
Day7 「?」

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
7日間ブックカバーチャレンジ
【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする
#7日間ブックカバーチャレンジ #チームのことだけ、考えた。