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チャイナ・レイク


スティーブン・キングをはじめとして、アメリカのエンターテインメント小説の書き手には優れた方が多数いるけれど、読む本全てがハリウッド映画のようなスピード感とスリルに満ち溢れた一品かというとそうでもなくがっかりさせられることもある。ところが、本書はがっかりどころか、一気に物語の結末にたどり着かせる、いわゆる寝不足本の類である。

カルト教団に対決するヒロインというとありきたりのプロットが想像されるかもしれないけれど、二重三重にも伏線が貼ってあり人物造形も豊かなので、著者に振り回されるままに物語世界に嵌っている間に、ラストまで引っ張られるという読後感である。

本書のヒロインがSF作家という設定なのだけれど、SF作家の機械的なイメージが、本書の大半で舞台となる荒涼とした砂漠のイメージとの落差を生み、読後も作品世界に妙な後味を覚える。シリーズの続きがあるとのことだが、また読んでみたいと思える作品。

’12/1/31-’12/2/3