Articles tagged with: 令和7年

2025年の抱負


明けましておめでとうございます。

昨年末にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、本当にいろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

今年も抱負を書きます。
本稿の内容は年始にあらためて考えたものです。

一年の計は元旦にあり、とはよく言ったもので、急かされることのない正月に計画しないと熟慮できません。
昨年末にまとめをアップする際に反省した内容を生かし、今年一年、軸をぶれさせないための指針とします。

まずは反省です。
単価を上げたことで、メンバーを維持できるだけの経営基盤はできました。
ですが、雇用しているにもかかわらず、今の弊社はバラバラの個人事業主の集まりのようになっています。
肝心の開発の手順や規則の遵守がまったくできていません。また、開発に関するコードレビューもデプロイもコード管理も自己流のままです。
これでは弊社メンバーが他の会社に万が一行くことになっても通用しません。何より生産性が低いままです。

昨年の正月に作成した「アクアビット蒸留書」で定めた内容もまだ7割もできていません。その後のメンテナンスも滞っています。
まずこの反省点を正すことが元旦に当たって書く抱負の大筋です。

「教育」。それが私の中で今年のテーマとして挙がっています。
弊社メンバーに対してコーディング規則の遵守を求めること。
仕様書や設計書の執筆ができるようになること。
この二つが私に頼らずにできるようになるよう、教育する必要があると思っています。
ノーコードによるカスタマイズが主流になるこれからは、コーディングの機会は減ります。機会が減ったからこそ、コーディングはきっちりESLintに沿った内容で品質が求められます。それは大前提であり、その上で仕様書を弊社の標準で書くことが求めたいと思います。

これは弊社メンバーだけでなく、この先に雇用する予定のメンバーに対しても当てはまります。
また、外注先に対しても同等のレベルを求めます。

その教育のため、一月の中旬を目処に新事務所を設けます。
私が新事務所に常駐することはできないでしょう。ただ、週2日はいるようにします。その中で、今までリモートワークの制約や忙しさにかまけて指導しきれなかったコーディング規約や開発プロセスの標準化を進めます。

まずやるべき事を以下に書きます。

1.ガイドライン作成

一昨年の5月の連休に作り、昨年の正月にもメンテナンスしたガイドライン「アクアビット蒸留書」をこの正月に修正します。

修正するのは、開発ガイドラインのさらなる精緻化と、コード開発の一連のプロセスです。
これらは作るだけでなく、メンバーにも遵守してもらいます。
JavaScript開発、プラグイン開発、php開発が対象です。python開発もやがては必要になるはずですが、現時点ではpythonはまだ研究レベルにとどめます。
これらのチェックプロセスを生成AIの力を借りて自動化することが今年の目標です。

また、仕様書や設計書の執筆ルールについては全く手が付いてません。
これからはノーコードツールによるkintoneカスタマイズが主流になるはずです。つまり、コーディング量よりも仕様書の執筆の作業量が増えていくとみています。それを弊社として統一した品質で書き切ることが全メンバーに求められます。

あと、バックオフィス系の諸作業についても手が付いていません。
昨年末に総務人事経理のメンバーと1on1で話した際、全くスキルが追いついていないと反省の言葉を述べていました。であれば、共に作っていくべきです。

いうまでもなく、アクアビット蒸留書は読むためにあるのではありません。各自が作り上げていくためのものです。
つまり、アクアビット蒸留書は永遠に未完成です。常にドラフト版でありながら、全員でこれを磨き続け、少しでも正規版になるようにします。そしてその内容を全員が遵守します。
書いたら終わりでありません。

また、作業そのものをまねるためにやり方が逐一書かれたマニュアルは必要ありません。
それよりも、誰がなんのために、いつやらなければならないのか。なぜそれをするのか。そうした作業の目的を明確にし、個人に視点が固定されないためのガイドラインとして定める必要があります。

そのため、アクアビット蒸留書は月一度、定期的に更新していきます。個人のノウハウややり方がアクアビット蒸留書に書かれているよりも優れているのなら、個人のノウハウをアクアビット蒸留書のやり方に変えるのではなく、むしろ個人のノウハウをアクアビット蒸留書に取り込んで全員で共有します。
アクアビット蒸留書がその純度を増すごとに、余分な作業で時間を使うことが減るでしょう。そして、案件の実装が円滑にいき、納品までの速度が増えるはずです。

2.弊社の業務の六分割

昨年の抱負でも、弊社の業務を大きく五つに分割し、担当者と目的を整理しますと書きました。

その分割はある程度機能し、弊社の経営の安定に寄与しました。ただ、一部の案件では過去の失敗の負債が残り続け、メンバーの不満と負担の原因となっています。
そこでもう一度その方針を定めなおします。
そして、最後に一つ、六つ目の業務を付け加えたいと思います。

一つ目は、既存の大型継続kintone案件です。
大口でかつ継続のお客様は、昨春にも単価を上げていただきました。
ただ、その時に上げてもらったにもかかわらず、下に定める共遊開発の単価に比べると段違いに低い額にとどまっています。
この春からの単価の改定はすでにお願いしています。適正な単価のもと、弊社の経営基盤が安定できるように動きます。
その上で、上記のアクアビット蒸留書に沿った開発品質、仕様書や設計書に沿った作業の提供を行います。

おかげさまでご評価はいただいていて、今後の展望についても前向きなお話をいただいています。
ただ、拡大した場合も、私自身の関わりは共遊開発にとどめます。開発を担うことによって代表のリソースが減ってしまうことは避けなければなりません。

こうした継続かつ大口のお客様は、弊社の経営の安定に欠かせません。が、それ以上にお客様から信頼をいただき続けることが重要です。
今年もこうした案件は重視し、やがては全国に弊社の名前を轟かせるように力を尽くします。

二つ目は、既存のkintone開発案件です。
これらの案件は、共遊開発のやり方ができず、既存のJavaScriptカスタマイズによるやり方で追加スポット保守や追加開発を続けています。
その中には、以前の失敗が尾を引いたまま、無償でカスタマイズを行い続けている案件すら散在しています。それらは弊社メンバーの心理的な負担になっています。

まず、今年はこうした無償案件については、3月までに保守契約に移行するか、一旦終了とするようお客様にお伝えします。
また、今後発生するであろう開発案件は、ズルズルと時期が遅れることのないよう、開発内容をきっちりと定めます。

この後に定義する共遊開発の進捗によっては、JavaScript開発が必要になることもあるでしょう。それらは随時kintone開発案件としてお客様に提案し、見積もりを出します。その結果、必要になった場合は開発案件として加えます。
なお、原則としてカスタマイズはノーコードカスタマイツールを提案し、JavaScriptによるカスタマイズは極力避けます。

まず、弊社メンバーには上記の一つ目と二つ目に集中してもらいます。
メンバー一人当たり、多くても四つの案件に絞り、集中して担当してもらえるように体制を整えます。

三つ目は、共遊開発案件です。
これらは代表の私が主に携わります。
共遊開発案件の場合、アプリ構築やカスタマイズはお客様が行います。
カスタマイズを行う際はJavaScriptはなるべく使わず、既存のプラグインやサービスを積極的に提案します。
新たな案件が増えても、うちのメンバーには作業を振りません。一旦、代表の私の方で要件定義や共遊開発を行います。

昨年は共遊開発に舵を切ったことが、弊社の経営状況の向上に寄与しました。今年も積極的に共遊開発を提案していきます。
それには、共遊開発を担当するのが私一人では回らなくなります。そのため、弊社メンバーにもお客様のもとで一人で共遊開発が完結できることをスキルの到達点とします。もちろん、その中ではkintoneスペシャリスト資格が取れるようになるでしょう。

四つ目は地域活動やコミュニティーです。
代表の私は今年もまだkintoneエバンジェリストを続ける予定です。引き続きkintoneエコシステムの拡大に向けて貢献したいと思います。
ただ、代表のコミュニティ活動やkintoneエバンジェリスト活動は、会社の活動とは切り分けました。昨年の11月から、代表の個人的な趣味やkintoneエバンジェリストとしての活動、コミュニティ活動は全て別のサイトで記しています。

その分、弊社メンバーには昨年から取り組んでくれているコミュニティへの参加を励行してもらいます。
役員の妻は地域クラウド交流会の認定オーガナイザーとして3/22に予定されている甲府ちいクラに向けて動いてもらいます。
また、総務人事経理を担ってくれている娘は、kintone若手交流会やkintone Café TOKYOの運営スタッフとして頑張ってもらいます。
あとは、イラストレーターとしての自分の得意分野に加え、好きなことで何かのコミュニティ立ち上げも考えて欲しいと思います。

五つ目は新規サービスの開発です。
一昨年、3つの新規サービスをリリースしました。
また、昨年のCybozu Days 2024ではメディキンやチェアサイドレジを打ち出しました。
役員が現役の歯科医師で歯科診療所を経営していることは、依然として弊社ののアドバンテージであると考えています。

今年はそれらのサービスをより拡充していきます。そしてサービサーとしての認知度を上げていきます。

弊社の強みは、外部のSaaS/PaaSとの連携実績が多数あることです。そこに弊社の価値を打ち出し、アピールしていきます。

さらにその体制を強化すべく、昨年末に新たな開発パートナーとの機密保持契約を結びました。
そのパートナーと上のサービス開発を推進していくつもりです。

最後に六つ目として、今年度から追加したいことは教育です。
代表の私自身が教育者として振る舞う機会を作ります。

具体的には新事務所を活用して弊社メンバーへの教育を行います。
そして、共遊開発の一環としてお客様のリテラシー養成に携わります。
さらに、研修メニューだけの業務を作ろうと考えます。
研修メニューは有償とします。月一回、土曜日に実施します。場所は弊社の新事務所を使おうと思います。
研修コンテンツは、kintoneの仕組みとカスタマイズの方法、さらにコーディングのやり方やノーコードツールの活用方法など、私の今までの技術者経験を惜しみなく提供します。また、これからの技術者が生き残るために必要なコミュニケーションや考え方も伝える予定です。

ただし、弊社の新事務所は規模が小さいので、数人規模から始めます。

上記全てにおいて、生成AIの助けは欠かせません。
積極的に弊社でも活用を進めていきます。すでにAI Forward HubやOpenAIについては昨年から活用しています。さらにGeminiやClaudeをはじめ、生成AIサービスは特定のサービスに限定せず、LangChainも含めて自社でも研究を重ねます。

3.評価制度・賃金テーブル・人事計画

昨年、できなかったことの一つは評価制度の確立です。
そればかりか、アクアビット蒸留書の中に載せるべき評価制度についての記述はまだ未着手です。

弊社がまだ個々人でバラバラな理由の一つは、評価制度が未熟なためです。ここを整備しないと会社として成長できないと思っています。
弊社はそもそもKPI(重要業績評価指標)設定がまったくできていません。評価制度以前の問題です。そのため、何を目標とし、個々のメンバーは何をすれば達成感や成長を感じられるのかがあいまいになっていました。

そこで、昨年作成した人事計画と給与テーブルを元に、評価制度を考え直します。
すでに作成したビジョン・ミッション・バリューや人材育成や課題に加え、5年先の財務計画や人員構成計画や、評価制度・賃金テーブル・人事計画も全て見直します。

メンバーのモチベーションが持ちにくい状態になっていた状態を改善します。

今年からは人事評価について、アクアビット蒸留書に書かれた内容をベースに考えていきます。
アクアビット蒸留書の中では、KPIの設定とその基準について詳しく決めていきます。

もちろん、評価や人事制度については、引き続き外部の力が必要です。
外部業者の協力も募りたいと思います。

4.コミュニティ・出展

コミュニティへの関与やCybozu Daysをはじめとした展示会への出展は弊社にとって大きなアピールの機会です。

まずは今年のCybozu Days 2025への出展を予定しています。開催日は10月27-28に決まっていますので、やるべきことは明確です。
出展にあたっては昨年度と同じく、弊社の役員や経理人事担当が企画から当日まで積極的に関わります。また、代表の私もフルに参加してブースを盛り上げます。

出展にあたっては、上に書いた六つに分けた弊社業務のうち、新サービスをメインに打ち出します。

また、代表のネームバリューよりも弊社のサービスで勝負します。
そのためにも、既存の案件の事例を積み上げます。また、弊社としてのコミュニティ関与を弊社メンバー含めて増やします。
例えば、セミナー開催や展示会出展の機会があれば会社として積極的に関わります。この1月と2月にもすでに一件ずつ弊社としての出展の予定が立っています。
他にもノーコード推進協会の正会員加入や、埼玉DX、千葉DX、やまなしDXエンジンなどの会員であるメリットも活かしたいと思います。

また、昨年、役員の妻が地域クラウド交流会(ちいクラ)の認定オーガナイザーとして認定されました。今年の3/22には第二回の甲府ちいクラの開催を控えています。
各地で開催されるちいクラには役員だけでなく、なるべく代表の私も参加するようにします。
また、役員の妻は山梨で別会社を立てます。山梨で広げたご縁をもとに、弊社の認知度を広げてもらうことを期待しています。

5.ビジョン・ミッション・バリュー

昨年に再度修正した弊社の企業理念・経営理念・経営方針・目標は以下の通りです。

企業理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

経営理念
「最新技術をお客様、地域に提供し、メンバー、家族、パートナーと輪になって幸せになる」

経営方針
①システムを継続してもらえる品質と対応を行います
②技術に偏らず、お客様ビジネスの現場を尊重します
③経営を継続するための自社サービスを生み出します
④社員・協力社・技術者・家族の事を大切に考えます
⑤顧客とともに一期一会でない継続の関係を築きます
⑥技術の進化に先手を打ちながら、自社も進化します
⑦世の中の働き方改革に貢献する手本となり続けます
⑧地域の非営利組織・団体のために技術で貢献します

目標
「2027年3月までに
・正社員8名 外注パートナー10名に
・社員一人当たりの粗利を 150万円に
・サイボウズパートナーの賞を受賞
・他SaaS/PaaSでももう一つ今のkintone並みの知名度を得る」

また、サイボウズオフィシャルパートナーとしての星評価がもらえるよう、さらに努力します。
また、それらを念頭に置いたより具体的な経営計画をこの正月に作り込む予定です。

6.ワークライフバランス

代表の私の拡大・新規志向は、メンバーのワークライフバランスと乖離を招く可能性があります。
というのも、メンバーにとっては安定して同じような作業が定期的にあり、時々刺激が与えられれれば満足します。それは人間の本能です。
ですが、そうした安定志向は会社の持続性にとっては悪影響をもたらします。

そこで、ワークライフバランスへの考え方を整理します。

弊社に関わる全ての方が公私の充実を両立させてほしいとする私の価値観はいささかも揺らいでいません。
ただ、昨年は残念ながら私の日常は全て仕事に割かれてしまいました。それは誰の責任でもなく、私の招いた因果です。

その一方で、弊社のメンバーには無理な残業や休日の仕事はほぼさせていないつもりです。ただ、ストレスフリーの働き方だけではメンバーの成長になりません。成長しないと、この先に待ち受けているだろう激変する環境の変化に個々人がついていけない可能性が高いです。そのため、適切な負荷を与えながら、無理なく働ける環境を作ります。
しかもその時は率先して仕事がしたくなるような動機づけが欠かせません。新事務所を活かして、1on1を繰り返し、メンバーの個人的な思いと会社の期待が離れないようにします。

また、代表の私自身がプライベートを犠牲にしており、代表の私のワークとライフのバランスが崩れていました。
先ずは隗より始めよ。その言葉通り、私から率先してワークライフバランスを整えます。

私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。

7.事業継続のためのその他の施策

経営を継続させるため、BCP計画(事業継続計画)も定めます。

富士山噴火や首都圏直下型地震、東南海地震が起こる確率は高く、弊社の拠点はそれらが起こると甚大な被害を受ける事でしょう。つまり、災害が起こった時に備えて、業務の体制を整えておくべきです。
役員の妻が事業を継続するため、昨年山梨に拠点を設けました。BCP計画に山梨の拠点を組み込み、有事の際の行動手順を定めます。

8.個人的な抱負

代表の個人的な抱負は今年はこの記事からは割愛し、別に立ち上げた個人サイトに記します。
上にも書いた通り、弊社の経営が回るようになれば、代表の個人的な充実も実現できることでしょう。

上記、1ー8までが2025年の抱負です。
ガイドライン(アクアビット蒸留書)を修正し、そのためにも弊社の業務を六つに分割します。ビジョン・ミッション・バリューも定め、コミュニティや出展の目標も掲げます。
これらを実現させるために今年一年、懸命に努力します。

これらが実現した暁には、弊社の経営は好転するはずです。