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kintone hive government 2026 に参加しました



7月24日に大阪で開催されたkintone hive government 2026に参加しました。
イベントサイト

全国六箇所で開催されているkintone hiveですが、このkintone hive governmentとは別です。kintone hiveの登壇者が民間と自治体双方なのに比べ、こちらは自治体のみの登壇です。また、観客として参加可能なのも、自治体にご支援しているパートナーのみです。
そのため、kintone hiveよりは少し規模が小さいです。

ただ、登壇者と参加者に条件があるだけで、あとはほぼkintone hiveと変わりません。同じフォーマットと進行で進みます。

今回は、パートナーとして参加資格があったので参加したいと考えており、当初の連絡があって、すぐ、日付を押さえました。
また、関西での開催だったため、今回は私=旧代表1人で参加してきました。

うちの会社は、研修講師や伴走支援で複数の自治体への支援実績があります。今年も複数の自治体に関わっています。

kintoneは、チームワーク溢れる社会を作るためのチームの業務改善を行うためのツールです。つまり対象は組織です。その組織が民間であろうが自治体であろうが、本質に変わりはありません。

その証拠に先日のkintone hive tokyoでは茅ヶ崎市役所の方がみなさんからの支持を集め、関東・甲信越代表として選出されました。

ですが、自治体ならではの細かい導入のハードルがあるのも事実です。例えばLG-WAN対応とか。年次予算獲得のためのスケジュール感の違いとか。そういった部分を学ぶためにも参加すべきだと思いました。


まずはサイボウズの藤原さんから、開催の宣言とkintone hiveを楽しむための各種説明がありました。
各地のkintone hiveでは、その地の営業を担当するサイボウズの拠点の方が司会進行の大役を任されます。
藤原さんはサイボウズの自治体担当ではありますし、同じく自治体担当としてよく知られている蒲原さんは、先日のkintone hive tokyoのMCを担当されていました。なので今回は藤原さんがご担当されたのでしょう。


さて、ここからは七組の登壇者が発表します。


・滋賀県 中村 周輔さん
「kintoneを『導入』から『活用』にするための
たった1つの冴えたやり方」

滋賀県の皆さんがkintoneを利用されているとは知りませんでした。そんな私の無知がどうでもよく思えるほど、滋賀県のノウハウの積み上げとノウハウを共有する姿勢に感銘を受けました。

中村さんは数々の失敗事例を敢然と挙げ、それを皆さんに対して惜しげもなく共有してくださいました。




・委託業者に支援を任せきり。DX推進課に現場のDX推進のノウハウがない。
・改善に焦点が当たりすぎ、事例の周知が庁内になされず、ノウハウが共有されない。
・DX推進課自らが支援に乗り出すも、相談入り口の多さに処理しきれなくなった。
・ノウハウ共有に乗り出すも、コミュニティは盛り上がらず、ノウハウをアップするための基準が高すぎて更新頻度が少なく、活用されない。

その失敗事例は、どれも民間でも見かけるものばかりです。
それらを率直にお話しするあたり、滋賀県のオープンな組織を感じました。



そして、オープンな組織だったからこそ、滋賀県の出した改善案が絶妙だったのでしょう。
人の心理の弱点を見据えた改善案を紹介してくださいました。

もちろん、自治体ならではの問題もあるのかもしれません。その問題とは、予算が執行されているかについて、住民からの監視がある前提があるため、失敗ができないことです。そのため、多くの業務に高い達成基準が設けられています。

ところが、そうした基準の高さは、ゆるい枠組み、低いハードルでアプリが作れるkintoneとは相性が良くないのかもしれません。中村さんが挙げてくださった失敗事例は統制を強くした民間企業でも十分に起こり得ることだと思いました。


だからこそ、中村さんの発表した事例はとても有益だと感じました。
「失敗しても成功するまで、試行錯誤をして、地道に続けること。」。この結論も王道であり、すがすがしいほどです。
最初からとても素晴らしい登壇でした。


中村さんが紹介された「きんキントーン会議」もとても楽しみです。
自治体同士がノウハウをオープンにシェアしていく動きが、もっと広がっていくことに期待します。うちも、まずはご支援している山梨県から、その動きを後押ししていきたいと思います。



兵庫県 島浦 佳樹さん
「3K(紙、慣習、抱え込み)の壁を乗り越えよう!
kintoneを活用した運転日誌、工事等契約手続き〜」

続いての登壇は兵庫県の島浦さんです。
元兵庫県民の私としては、興味を惹かれました。大学の先輩も卒業後に兵庫県庁に就職したなあ、と思い出しながら、お話を伺っていました。
タイトルも秀逸です。「3K」をきつい・汚い・危険ではなく、紙・慣習・抱え込みに例えるあたりが新鮮でした。行政の業務効率化を阻害する原因を、誰もが知る3Kに置き換えるセンスに引き込まれました。



運転日誌の運用は、変えるべき業務の見本です。うちの会社でもそうしたご支援事例があります。
運転者がメモを書き、それを毎月電卓で集計し、書き損じたら一から書き直し、ひたすらハンコかサイン。しかも取りに来させ、持参させる2往復のルーチン。
私が担当者なら、真っ先に何とかしたいと思う業務です。ただ、昔からそうだからと続いている業務は、民間にもまだ残っています。私もお客様先でそうした光景を見かけます。人ごとではありません。


FormBridgeを用いて紙決裁をやめ、PrintCreatorでそのまま電子決裁まで持っていく。
それによって年5,600件の運転日誌がデジタルに変わり、契約手続きは電子契約が7割を超えたそうです。数字としても十分な成果でしょう。



私が瞠目したのは、むしろその先です。島浦さんは、デジタル化だけでは解決の糸口にならないとして、ナッジ理論やイノベーター理論まで持ち出してきました。Easy・Timely・動作指示といったナッジ理論の要素です。さらにイノベーター理論は、イノベーター→アーリーアダプター→キャズム→アーリーマジョリティ→レイトマジョリティ→ラガードというおなじみの普及曲線です。
これ、民間でもなかなか出てこない理論武装です。ただツールを入れるだけでなく、人がどう動くかという行動科学まで踏まえて設計している点に、島浦さんの凄さを感じました。元兵庫県民として、喝采をささげたくなりました。



面白かったのは、兵庫県独自の「HYOGO kin-tech」というkintone技術認定制度です。業務フロー図からアプリ作成までを学ぶハンズオンのブートキャンプがあり、ルビークラス・サファイアクラスといった段階が用意されているそうです。
人材育成を”認定”という形で見える化する発想は、属人化を防ぐためにも有効です。また、兵庫県庁にkintoneの担い手を計画的に増やしていく仕組みとして素晴らしいと感じました。ここまで進んでいれば、これからも業務効率は加速していくことでしょう。

そうした島浦さんの活動が評価され、「デジcallコンテスト2025」のGrand Final最終選考会に進んだ経緯も紹介されていました。それも納得です。
ツール導入の話にとどまらず、人の心理や組織の変化曲線まで扱った発表は、私にとっても印象に残りました。
また、他の自治体の方にとっても良い示唆となったはずですし、私も研修で使わせてもらいたいと思いました。



青森県 小栗 弥知幸さん/鹿内 葉月さん
「20→900ライセンスまでの道のり
〜模索の中で気付いたこと〜」

青森県のお二人の発表は、タイトルの数字だけでもインパクトがありました。20ライセンスから900ライセンスまで、実に45倍です。
これ、民間でもアカウントを増やすのが大変です。ましてや予算折衝が必要な自治体なら尚更でしょう。お二人の苦労と達成感がこのタイトルからも感じられました。




自治体の話で出てくる難関といえば、LG-WAN環境です。kintoneを用いてビジネスを行った経験を持っていても、民間しか経験していないとLG-WANという自治体特有の壁への対処を考えなければなりません。私も昨年から学びの必要に直面しました。
マイナンバー接続系、LG-WAN接続系、インターネット接続系という三層分離のネットワークの中で、LG-WAN接続系では動かないプラグインやサービスが複数あります。
それをmoconavi(クラウドゲートウェイサービス)を導入し、kintoneだけをインターネット接続可能にすることで突破したという話は、参考になりました。うちの会社ではかつてmoconaviを運営する会社との取引がありましたが、うちのお客様の中で、現時点でmoconaviをご利用している自治体がおらず、学びになりました。

自治体のkintone活用というと、どうしても運用や研修の工夫に目が行きがちです。が、根本にあるネットワーク構成の課題を正面から解決している点も学びになりました。

私も自治体独自のネットワーク構造については、空でも図面を描けるくらいに真剣に学ばなければと強く思っています。他の自治体の情報システム担当の方にもぜひ知ってもらうべき事例だと思いました。



庁内への広め方も参考になりました。
相談窓口はとにかく間口を広くし、電話でもメールでもチャットでも受け付ける。
1人の職員がアプリを作り、それを1人に教えることで利用者が99人増え、気づけば100人が使っている横展開。このモデルは私も民間では何度もお客様にお伝えしています。
私がkintone Caféやdevkin Meetupなどのコミュニティに関与し、その価値を感じて広めているのも、この口コミ効果です。
行政の分野でも、この考えを実践している自治体があることが実感できました。



また、重要なのはアプリが完成しなかったから失敗ではない、という考え方です。
これはkintoneを扱う上で必ず出てくる考え方です。しかし、7割の完成度でもリリースしてしまう考えは、民間ではある程度通用するようになってきたとはいえ、失敗を許されない行政では通用しないと思っていました。この考えを実践している自治体があることを知ったのは大きかったです。

時間が取れなかったのなら再挑戦すればいい。やりたいことがkintoneに合わなかったなら、合わないと受け入れる。ハードルを下げまくる。それらの姿勢は、kintoneの懐の広さと相性がいいはずです。

具体的な活用事例として紹介されていた、防疫計画情報管理アプリも印象的でした。高病原性鳥インフルエンザが発生した際、今までは農場ごとにパワーポイントで対応計画を作っていたそうです。そのため、更新漏れや共有不足が起きていたとか。
これを複数のアプリに分けて構成し、共有が簡単にできるようにしたそうです。1つのアプリを更新すれば、関連アプリに自動反映され、ボタン一つで地図も作れる。うちもよくやる構成であり、王道だと思います。

研修についても操作研修の必然性について問いを立て、何十本にも及ぶワンポイント動画や、ICT体験会、成果報告会といった形に発展させている点も参考になりました。

・kintone導入≠業務効率化
・業務の見直しを当たり前のマインドに
この二つの締めの言葉は、うちの会社でも提案の際に重要な点として強調したいと思います。



茨城県下妻市 小林 正幸さん
「0×0×0=?
人口4万人でもここまでできる!トリプルゼロからの全庁DX」

下妻市さんは、ノーコード宣言シティを既に宣言しておられます。うちの会社は、ノーコード宣言シティを認定するノーコード推進協会の正会員でもあります。
そのため、下妻市さんや小林さんの存在は知っていました。すごい方だと。オンラインの打ち合わせでも、小林さんの姿はお見かけしたことがあり、その先進性には尊敬の念を持っていました。
小林さんの発表は、元SEではなく、一般の行政職員という自己紹介からして印象的でした。
特別なITスキルがなくても自治体DXの旗振り役はできる、という一言は説得力に満ちています。
技術者でなくても組織は変えられることは、私自身がkintoneを組織の中に広める際に、研修の中でも伝えています。重要な観点です。



タイトルにもある3つの0は、予算・人材、効率化、マインドを指しています。
予算と人材はゼロで、効率化も紙とExcelからのゼロスタート、マインドも紙で十分と言う後ろ向きの発想で、これもやる気がゼロ。
何もなく、誰も望んでいない、という状態だったそうです。これは私でも相当厳しいと立ちすくむほどのスタートです。


そこからのきっかけが「全国の自治体まるごとDX キントーン1年間0円無料キャンペーン」。
サイボウズ社からのDMがきっかけとなり、一気にDXを進めた事は、全国に誇るべき好事例だと思います。
うちの会社も上のキャンペーンの後継である「自治体まるごとDXボックス」の導入支援事業者になっています。この施策がどれほど自治体にとって助けになるのか、私も腹落ちしました。




下妻市さんが導入時に立てた3つのプランも成功例として参考になります。
・100%アカウント配布
・明確な運用ルール
・独自の職員研修サポート
どれも王道でありながら、実行に至れるまでの調整も大変だったはず。この徹底ぶりがすごいですが、実はそこまで持って行った小林さんの実行力にも注目したいと思います。
なにしろ、導入決定から利用開始までわずか3か月で全職員一斉スタートしたのですから。このスピード感には驚かされます。
また、外注せずにDX推進課の職員自身が講師となって25回以上研修を開催したという事実は、冒頭のSEでない一般職員という小林さんの経歴を考えると驚愕します。
しかも、研修は少人数制・短時間・全員がアプリ完成、という3つの鉄則付きで実施したそうです。ここまで型にしてしまえば、属人化せず継続的に人材を増やせるでしょうね。お見事。

最も導入に積極的だったのが保健師さんで、赤ちゃん出戻り相談アプリを作ったそうです。保健業務は私も自治体にお伺いした時、担当者からの反応が最も積極的です。
現場の切実なニーズがあるところに、kintoneはちゃんと刺さります。

それらに加えて、非公開スペースと公開スペースの使い分けや、年2回の「アプリの断捨離」で棚卸を仕組み化している点も見逃せません。
アプリが増えすぎて収拾がつかなくなるのは、民間でも自治体でも変わりません。
作ることと同じレベルで減らす仕組みを最初から持っておくことの大切さを教えられました。


400を超えるアプリを職員が自ら作り、95%の職員が利用し、さらに、445万円の予算だというから強烈です。アプリあたり単価1万円強って、めちゃ圧倒的なコストパフォーマンスです。kintoneは高いという方はいますが、アプリを作れば作るほど安くなるんですよね。あり得ないほどに。
下妻市という、人口4万人の自治体でここまでできる事実は、規模の大小を言い訳にできないことの何よりの証明だと思います。



兵庫県宝塚市 高木 あい さん
「kintoneでゼロから作る
保護者・施設・行政をつなぐ申請プラットフォーム」

続いては宝塚市です。
西宮で育った私にとって、宝塚市はお隣の街です。それだけでなく、東京に住んでからもタカラヅカは常に私の周りについて回っていました。複雑な思いを抱かせる対象です。

さて、宝塚市の高木さんの発表は、保育所の利用申請という、住民にとって非常に身近で精神的な負担も大きい業務がテーマでした。


「絶対変えたるねんと思った出来事ランキング」という関西弁を交えてくるあたり、私の心を震わせます。ええやん。
選考にあたって表に書くペンの色が「青」だったことで怒られる。窓口に来た人の台帳が見つからない。施設との間で提出した・受領していないの水掛け論。どれも光景が思い浮かぶ切実な現場でのストレスです。高木さんはそれらも笑いに変えておられましたが。



保護者にとっても保育施設にとっても職員にとっても、紙の管理はそれぞれ大変です。
上にも書きましたが、自治体さんからは、保育系はかなりの確率でご相談が来ます。


高木さんはkintoneで電子台帳を作り、FormBridgeとkViewerを組み合わせて、保護者がスマートフォンで申請し、施設で承認する流れを作ったそうです。
二次元コードを配布して保護者をkViewerへ誘導する導線設計は、行政サービスに必要です。行政サイトにありがちな使いにくさ。それを改善しようと、担当者が丁寧に作ったらこうなるという良い見本です。



私が特に良いと思ったのは、電子申請への一斉切り替えにあたって、事前アンケートやデモンストレーション、電話・対面対応まで積み重ねて関係者の理解を得ようとした姿勢です。
ツールを入れて終わりではなく、そこに至るまでの合意形成にきちんと時間をかけていたのは見習うべきですね。
関係者は肯定的が2割、どちらでもないが6割、否定的が2割にだいたいは分かれるという、働きアリの法則に近い認識を基にして、肯定的な人を仲間にし、どちらでもない人には当たり前に使える状態を用意し、否定的な人には先にある「夢」を体験してもらう三段構えの対処法は、そのまま他社や社内でも使える実践的なハックだと思います。


また、私には勝てないと思ったのは、アプリの見やすさの追求です。「みどりのひつじ」「むらさきのぶた」といった動物の名前で新しいアプリの入口を作ること。とにかくポップに、ライトに、敷居を下げるためのデザインの工夫はすごいと思いました。
子ども関係の事業は明るくわくわくするものであるべきだ、というテーマ設定は、行政サービスのUXとして非常に学びになりました。高木さんのような方が行政の仕組みを作り、住民とのやりとりを改善するとこうなる、というのが皆さんからのグランプリの評価になったのでしょう。
「完璧を目指すと進めない
今より1mmでも良ければ〇」なんてかっこよすぎです。私の中で宝塚市への印象がかなり好転しました。



大阪府 佐藤 裕一郎さん
「広がったからこそ困った
kintone利用を支える3つの仕組み」


大阪府の佐藤さんは、面白い経緯を経て今の立場におられるそうです。新卒で箕面市役所に入庁し、市民部での勤務を経て、DX部門への異動を希望したら大阪府、それもDX部門への出向が決まったというから面白い。
若手職員が自ら手を挙げ、DXの現場に飛び込んでいくキャリアパスは、これから庁内でDXを担う人を増やしたい多くの自治体にとってモデルケースですし、志のある職員にとっても羨ましいキャリアだと思います。こうした意欲のある方を少しでも増やし、業務を改革していくことが多くの自治体の望みだと思います。






タイトルにもある「広がったからこそ困った」は嬉しい悲鳴です。
kintoneの利用が広がった大阪府では、利用を縛るのではなく、支える仕組みが必要になったといいます。
1つ目は本稼働申請の仕組みです。試作は自由にやってもらいながら、テスト・本稼働申請・審査・運用開始という段階を踏むことで、現場の自由度を残しながらDX部門が的確にサポートできる体制を作ったそうです。
2つ目はヘルプデスクです。DX部門だけでは支えきれない相談を、委託事業者と組んで受け止める仕組みを構築したそうです。
3つ目がアプリの棚卸です。半年ごとに全アプリの利用実績や更新状況を確認しているそうです。


拝見したスライドの数字によると、本稼働アプリの数が300以上。各部署からの相談が年間350件以上。それに対して、未利用アプリの削除は1,000個以上にのぼるといいます。作られたアプリの数より削除された数の方が多いというのはすごいです。あまり見たことがないかも。
それだけ大阪府がアプリの新陳代謝に本気で取り組んでいる証しでしょう。
今回のkintone hive governmentの登壇で、滋賀県の中村さんや下妻市の小林さんの発表にもあったアプリ乱立の課題に対し、大阪府はかなり仕組み化しているとの印象を受けました。
利用を広げるフェーズの次には、利用を支え、整えるフェーズが必要となる。そのことを、佐藤さんは数字とともに示してくれました。



鹿児島市 松元 健人さん/黒木 豊さん
「若手からはじめるBPR
「紙が一番!」との戦いの記録」



登壇者のトリを飾って下さったのは、鹿児島市の水道局のお二人です。
給水装置や排水設備の工事申請という、申請受付から設計審査、業務端末への入力・納付書発行、書類のファイリング、検査予約、竣工検査までの業務の改善事例です。
紙の申請書一式がファイルとバインダーの中に綴じられていき、関係者から問い合わせが来るたびにファイルを探し回り、工事事業者は手続のために何度も水道局に足を運ぶ。
これは全国どの自治体でも、似たような状態のような気がします。先に登壇した兵庫県でもそういう感じだったそうですし。


興味を抱いたのは、電子申請システムの検討過程です。
全庁的な汎用の電子申請システムは、共同の事務組合のような機構が負担するのでしょう、費用負担こそゼロです。ただ、書類印刷が必要なため、効率化が見込めない。そして、業務特化型のベンダーシステムは効率化はできそうでも、構築費が数千万円かかる。
どちらもメリット/デメリットのある状況の中、出会ったのがkintoneだそうです。


「うちは検査予約にkintone使ってます」という他自治体の言葉に対して「筋斗雲??」という返すボケには、思わず笑ってしまいました。
私たちkintoneに慣れた人間からすると、当たり前の存在でも、初めて聞く方にとっては未知の何かに聞こえるのか、と新鮮でした。
利用料の安さと自分たちでシステムを作れそうな手応え、そしてプラグインでの電子申請対応や他業務への転用可能性、ロゴのかっこよさまで、率直な感想を話しておられたのも好感が持てます。


設計思想としてもっとも学びが多かったのは、「1手続きにつき1アプリ」ではなく、「1アプリでいろんな手続きを扱う」選択です。
進捗管理アプリ「工事申請」を中心に、FormBridgeやkViewerを連携させることで、手続きの数だけアプリが増えていく事態を避けています。
これはまさに、この日の他の登壇でも繰り返し話題になっていたアプリ乱立問題への一つの回答だと思いました。


成果も明確です。
スライドによると、1件の工事あたりの来局回数は6回から2回に。窓口での待ち時間は最大30分から10分に減ったそうです。運用開始から3か月で電子申請率は72.0%に達したとのこと。
設計審査にかかる時間も1件あたり20分から10分に半減し、kViewerでの情報共有によって電話対応の時間も減ったそうです。
「窓口対応が減って業務の中断も減りました」「kintoneを使ったらあんなことまでできるかも」という職員の声は、ツールが定着した組織でよく聞くフレーズです。
何より、この改革を主導したのが若手職員だったことが、鹿児島市の組織の懐の深さだと感じました。


若手が声をあげ、業務フローそのものを見直す。さらに、誰でも使いやすいアプリに仕上げ、丁寧な説明で周囲の理解を得る。
この4つのポイントは、BPRの手本として、紹介させてもらおうと思います。


さて、七組の発表が終わりました。
全て自治体のkintone活用事例です。


導入フェーズから、定着、そして拡大へ。さらにその先の統制や持続フェーズへと、各自治体が着実な歩みを進めておられました。
滋賀県や大阪府のように広がった後の仕組みづくりに悩む自治体もあれば、青森県や下妻市のようにゼロから広げていく途中の自治体もあります。宝塚市や鹿児島市のように現場発の切実な課題からアプリを育てている自治体もあります。
フェーズはそれぞれ違いますが、根っこにあるのは、業務の主役は職員自身であるという、共通の姿勢だったように思います。


普通のkintone hiveと違い、登壇者も参加者も自治体関係者とパートナーに限られていた今回。その分、焦点が絞れたように思いました。
うちの会社もいくつかの自治体の研修講師や伴走支援に関わらせていただいていますが、今日聞いた事例の数々は、参考にさせて頂こうと思います。

発表された自治体の皆様、サイボウズの皆様、会場でご挨拶させていただいた皆様、ありがとうございました。


kintone hive Tokyo 2026に参加しました



7月9日に東京で開催されたkintone hive 2026 Tokyoに参加しました。
公式サイト

全国6箇所で開催されているkintone hiveですが、今年度はこのkintone hive Tokyoが最後のトリとなります(別枠でkintone hive government 2026も開催されましたが)。

そしてこの3年、毎年kintone hive Tokyoには、うちの会社からメンバーを募って複数名で参加しています。
今年は4名で参加しました。

なぜメンバーに参加してもらいたいのか。それは個人のnoteにも書いています。
note
kintoneを主に扱う会社として、裏側で、もくもくと作業しているだけでは、技術者としてのキャリアが行き詰まること。それはもうnoteに何度も書いています。
さらに言うと、ある特定の顧客だけの仕事をしていることも避けるべきです。例えばSESの末端などで。
すでにコーディング技術などがAIによって代替されていることは誰でも知っています。脳内のコーディング技術だけでは技術者がだんだんと世の中に貢献できなくなりつつあるのです。でも、お客様のビジネスへの理解を深め、そこと技術の橋渡しする役割であれば、今後も価値を提供できるはず。
逆に言うと技術者にはお客様のビジネスや組織への知見と、人の心理への理解が必要になりつつあります。

私は、うちのメンバーに今後のリスクヘッジも踏まえたキャリア構築を考えて欲しいと願っています。今後の技術者としての需要に対応するためにも、視野を広げる必要があります。そのため、kintone hiveへの参加を推奨しています。

今回、一緒に行ったメンバーの一人は、昨年10月に参画してくれました。その時点で、kintoneは未経験でした。kintoneアソシエイトは参画後すぐに合格してくれました。ただ、開発を行うメンバーです。JavaScriptやREST APIには馴染んでくれましたが、組織改革や業務改善の観点からkintoneにはそこまで関わっていません。
ましてやkintoneのツールとしての可能性はまだ知らないこともあるでしょう。今回もいろいろなことを学んでくれたのではないかと思います。

もう一名のメンバーはこの春から関わってくれました。
もともとkintoneのコミュニティが好きで、そのきっかけでうちの会社に加わってくれました。そのため、各地のkintone hiveにも積極的に参加してくれています。
うちの会社の状況を把握する中、各地のkintone hiveの登壇で得た今後の方向性と、うちの業務の状況の違い。またうちが目指すべき将来像を理解してくれたのではないかと願っています。


まずはサイボウズの蒲原さんから、開催の宣言と各種のkintone hiveを楽しむための説明がありました。
各地のkintone hiveでは、その地の営業を担当するサイボウズの拠点の方が司会進行の大役を任されます。
蒲原さんはサイボウズの自治体担当の方と認識していた私にとって、少し意外でした。が、堅実で安定した司会は安心できました。


さて、ここからは7組の登壇者が発表します。


・株式会社セラヴィ アンベリール 宮本 陽子さん
「ダンボールを開けたり閉めたりしているだけのパートがハマったkintoneの沼が最高に心地よかった話」

まず、キャッチーなタイトルに惹かれました。
パートという立場の方にもkintone hiveは門戸を開いています。そしてセラヴィ・アンベリールさんもパートの宮本さんを会社の代表として送り出し、会社の宣伝を委ねている。そのことが素晴らしい。kintone界隈の可能性と多様性と包容力を感じました。
これこそが、kintoneなんです。
肩書にとらわれず、意欲とやる気があれば、kintone hiveに会社を代表して登場できる器の広さ。kintone界隈には年功序列や肩書や役職にこだわらない方が多いように感じています。宮本さんの登壇はその自由さの現れです。私も誇りを持って事例として紹介できます。
そもそも私自身、まだまだ社会通念に縛られているのかもしれません。上に書いたような驚きを書いている、つまり、私自身がパートという立場を無意識に下にみている表れなのかもしれません。もしそうなら、猛省して正さなければ。


宮本さんの経歴は今はたまたまパートです。が、ものすごい経験値を持っていそうです。保育園・バーテンダー・葬儀屋・派遣事務というスライドに書かれていた経歴だけでなく、「あんべちゃん」を演じる声優としても食っていけるのではないか、と思わされました。
そして、プレゼンもとてもうまく、そして見やすいと感じました。私が作るスライドよりも数段レベルが上です。

そして、宮本さんのkintoneへの向かい合い方も参考になりました。王道の原点を教えてくれたといいますか。
宮本さんは以前税理士さんが作ってくれたアプリの使いにくさを、導線を整え、フォーマットも整えることで、皆さんが使いやすくなるように改善したのです。

私の弱点が見栄えを整えることにあるのは、自他ともに認めるところです。
私自身、お客様にレイアウトや導線の整理は委ねてしまっています。私の至らなさに反省しました。


宮本さんには、改めて基本を教えてもらった気持ちです。
宮本さんの登壇からは、kintoneの可能性が感じられました。やり甲斐を育て、パートであろうが関係なく、組織の中で能力が発揮できるツール。それがkintone。
冒頭から、私もkintoneの可能性に教わりました。素晴らしい登壇でした。



キーコーヒー株式会社 白坂 勇樹さん
「ERPで標準化。その先にあった業務のスキマをkintoneが埋めた」
白坂さんとは、このkintone hive Tokyoのちょうど一か月前、サイボウズ社で行われたkintone Café Tokyo Petitでお会いしました。しかも、同じテーブルでグループワークを共にしました。
その時に白坂さんがkintone hive Tokyoに登壇することは聞いていました。

キーコーヒーといえば、白坂さんのスライドの中でも触れられていましたが、喫茶店の入り口に置かれた特徴的なアイコンでお馴染みです。ところが、コロナ禍の中で喫茶店の多くが閉店を余儀なくされ、キーコーヒーさんの業務もそれまでのやり方から改善を迫られたそうです。
そこで見積処理から始まる白坂さんの試行錯誤。


ところが、カスタマイズを行うにあたり、無料プラグインやJavaScriptを生成AIを援用して作ったものの、プラグインの数が膨大になってしまい、失敗。
そこで、「kintoneらしくない」状態から、gusuku Customineの導入によって達成感を得られるまでのストーリーが語られます。これぞ成功体験ですね。

さらに、基幹システムのリプレイスのタイミングで、基幹システムとkintoneの連携もkrewDataやCustomineを使うことで解決した軌跡が語られます。

かつて私もkintoneのカスタマイズをJavaScriptとphpだけでやり切ろうとしていました。
ずいぶん遠回りをしたなぁと思っています。
白坂さんの発表内容をきいていて、自分のことのように共感できました。


うちはすでに積極的にkintoneプラグインや連携サービスを活用する方向に舵を切っています。そして適材適所でJavaScriptとプラグインと連携サービスを組み合わせる方向を考えています。
白坂さんの登壇内容は、うちの社内に展開し、もしJavaScriptだけに頼る弊害が理解できない方、集約と拡散の使いどころが理解できない方には、伝えるべきかと思いました。

白坂さんは、コミュニティーにも積極的に出始めておられます。今後もいろんなところでお会いできるのではないかと期待しています。



株式会社新日本ニーズ 佐藤 良介さん/管原 百世さん
「小さな会社が大きく変わっていくチームワークのはなし」
というわけで、こちらのお二人もすでに存じ上げていました。
それもお会いしたのは東京だけでなく、糸魚川やら神奈川やらあちこちで。
佐藤さんの場合、家がご近所と言うこともあり、町田でお酒を酌み交わしたこともあります。私のkintone界隈で親しくしている方々はたいていhiveに登壇した後で知り合った方です。登壇した時点で最も私に近しい方だったのが、このお二人です。

また、kintoneを用いたシステム開発などを行っている点でも、新日本ニーズさんはうちの会社に近く、私の中では注目度の高い登壇でした。


SESの末端技術者をやっていた私にとって、新日本ニーズさんの社内コミュニティの問題はなんとなく想像がつきました。
現場がきちんと動いていればよく、社内の技術者同士のコミュニケーションはまったく考慮されない。私もその末端の技術者だったからよくわかります。そうしたところから始まる改善の流れは、私にとって自分のかつての不満が解消されていくようで、とても共感できました。
LINE WORKSではじまった業務改善が次々とつながっていく姿を二人で話される姿も、とてもゆるい感じがして好印象を受けました。管原さん(たけかんむりさん)の描いたと思しきイラストのゆるさも、話し方も、ゆるくて良し。こうした登壇からも社風の風通しのよさが感じられます。

また、随時に持ち帰りポイントや写真撮影ポイントを挟むスタイルも良い感じです。
持ち帰りポイントも役に立つ内容でした。
うちの会社も新日本ニーズさんと同じくTrustLoginを使っています。が、顔認証がロック解除以外でも使えることは知らなかったです。ロック解除しか使っておらず。また、kintoneのAIのtipsもぜひ広めていきたいと感じました(私は別の場所で佐藤さんから教わってましたが)。


特に私が参考にしたいと思ったのは、「定例から社長を外す暴挙に出る管原」です。
お二人の登壇が終わってすぐ、一緒にいたうちのメンバーに言いました「長井を外す定例してよ〜」と。
あるあるなんですよね。社長の話がやたら長くなるの。私も自分でそれがわかっています。が、それでも話が長くなってしまう。なぜなら伝えたいことが多すぎて。
で、自分を外したかったのですよ、私は。私の場合、社長を譲ることでその一部を実現したわけですが。

kintoneというよりも組織として目指す方向や社風の作り方として、とても参考になりました。



茅ヶ崎市役所 松原 大さん
「TERMiNATE THE DiGiVATORS ~デジベイターズを解散せよ!!~」
というタイトルのショッキングピンクを基調としたスライドは、偏見を交えて言うと「公務員らしくない」スライドです。

茅ヶ崎市がkintoneに力を入れていることは、以前からさまざまな湘南でのご縁から聞いていました。ですが、松原さんの取り組みは、私の想像の上を行っていました。そしてストーリーテリングの手腕も。
今回、松原さんがkintone hive Tokyoの関東・甲信越地区に選ばれたのもうなづけます。


トヨクモ製品とkintoneを組み合わせて、夜中に保育コンシェルジュの予約を受け付けたその瞬間の感動。私も今までに無数のシステムカットオーバーに立ち会ってきたのでよく分かります。平日の日中にしか受け付けられない制限を市役所自らが打ち破った瞬間の興奮が感じられました。それは市民にとって素晴らしい成果です。また、行政としてのお約束事を行政自身が乗り越えた瞬間です。そうしたストーリーの流れが素晴らしかった。
この瞬間を私は数限りなくやってきて、忘れてしまいつつあるのかもしれません。

そうした流れから松原さんは、タイトルにもあるデジベイターズを庁内で結成し、いわゆる研修や外部業者の招聘ではなく、自ら動いて庁内に赴き、職員の悩み事に向き合う活動を行います。
「周知」で終わらせず、自ら「伝えに行く」という姿勢がまたいいです。受け身という役所職員のステレオタイプな偏見を打ち破り、能動的で積極的な市役所というイメージを打ち出せたのも大きいと思いました。


また、その活動のポリシーも受動的でなく、職員の能動性を高めるように工夫されていたり、そもそもデジベイターズを解散することを目標とするなど、全てが前向きで素晴らしかったのも皆さんの票を集めた理由だと思います。

今度のkintone Café 神奈川のイベントに松原さんが来てくださると言う話もあります。私としてはとても楽しみにしています。



東急株式会社 蕪木 文香さん
「非IT人材の私が、デジタル部門に配属!?〜自分の武器を生かした市民開発推進〜」

東急さんとkintoneの組み合わせは何度か事例記事で見かけたことがあります。
冒頭に蕪木さんから「東急 × IT・デジタル=?」という謎かけが出されたとき、私はビル入退室を連想しました。この記事を書くにあたり、その記事を見てみたら、2017年の記事でした。サテライトシェアオフィスで使われていたみたいですね。
そして、私はここ数年の東急さんのkintone事例を見逃していました。


蕪木さんは入社して半年ほどで市民開発事務局という部署に配属されたそうです。
その時もすでに市民開発事務局ではグループ全体に市民開発を推し進めるため、親しみやすいトラのキャラクターや、ポジティブシャワーなどの伴走対象に誉め言葉を掛けるといった活動をしていたそうです。また、eラーニングという言葉ではなくつまみ食いアプリなども用意し、デジタルフレンドリーな活動を心掛けていました。
ところが蕪木さん以外はSE経験者。その立場から事務局と社員の間の断絶に気づいた蕪木さん。この辺りから断然面白くなってきます。東急さんの本気度が垣間見えます。


kintone独自の専門用語が壁になってると思ったら、かみ砕いてみたり。
また、eラーニングのつまみ食いアプリを積極的に伝えたり。
さらにすごいのは同期というコネクションを積極的に使うことです。同期が参加している案件に入り込む積極性が素晴らしい。また、デジタルなんでも相談会という企画も面白い。

・相手の目線に立つ
・身近な人から広げる
・行動すること!!
の三つが蕪木さんの秘訣です。これ、とても学びとなりました。
私自身、この三つは常に普段から励行しているつもりです。しかしそれだけではなく、私が取り組むべきはお客様の組織を変えるきっかけをお客様に実践してもらうことです。
お客様が組織内で活動するためのヒントを、どうやって伝えていくか。自分が無意識にやっているようなことでなく。蕪木さんの三つの指針はお客様にお伝えしたいと思いました。



株式会社ベーカリーシステム研究所 渡邊 拓也さん
「営業マンが作った手作りSFAセールスエンジンプロジェクト」
熱いです。思いが熱く、言葉より先走っている。そんな印象を渡邊さんの登壇からは受けました。一生懸命やっていて、その思いを何とか皆さんに共有したい。その思いが伝わってきました。好印象です。
それでいて仕事ファーストではなく、業務改善によって定時にあがれるようになり、その時間をご家族との団欒の時間に充てる。業務改善とはかくあるべき。素晴らしいです。

私にとって、参考になる部分が多かったです。何よりも、会議にkintoneのデータそのものを使う発想がよかったです。

うちの会社でも定例会議は行っています。が、どうしても状況の報告の性格が強く、何度もこれを是正したいと思って改善を加えていますが、是正されません。今は、各メンバーから各数案件の報告があり、それに対して私が質問し、方向性を指示しています。多少はその場でNEXTアクションが出せてはいますが、個別の場当たり対応の感はぬぐえません。「そうじゃない」と私が思っていても、そうなってしまっているもどかしさがあります。


渡邊さんの登壇によると、kintoneで報告資料を掲示することで、転記が不要ばかりか、kintoneのビジュアルも生かしつつ、営業マンは自己の業績が誇れるとともに、その内容に対する質疑ではなく、NEXTアクションの宣言の場になっています。前向きです。
私はうちの会社の定例会議を、こういう風にしたいのですよ。


まさに入力内容(うちも日々の日報や活動はkintoneに入力してもらっています)が「次の”売上”に繋がる入力項目」になっていて、「暗黙知が入力項目」として活用されています。
ほかにも、「過去の報告から未来の宣言へ。」
これも素晴らしいと思いました。うちも真似しようと思いました。kintoneがAI時代の中でどう生き残るか。それは私達も常に考えていますし、サイボウズ社からも指針として出てきています。それはデータをどう貯め、どう活用するか、に尽きます。その活用方法をわかりやすく伝えてくれました。

一方で、システム開発とは、見栄えのよい報告がしにくい稼業である限界も感じました。
パンの場合、商品の見た目や売り場ポップなど、そもそも対象の見栄えが整えやすいです。システム開発において、業務そのものが見栄えしづらく、これまでの冴えない報告会議の温床になっていたのかもしれません。AIによって業務がどう変わるのか。それを考えなければ、と思いました。



株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル 山本 宗慎さん/飯島 希実さん
「kintone市民開発365日の軌跡 ~不夜城オフィスからの脱出~」


トリを務めて下さるお二人の登壇内容も参考になる点が多かったです。
インバウンド観光客への旅行手配や運営を行っておられるJTBさんは、コロナ禍によって数百億あった売り上げが一気にほぼ0円まで下落してしまったそうです。その後、コロナ禍が明けた後、円安など影響もあって、爆発的に業務が多忙になってしまったそうです。1日で千通の請求書処理は恐るべきです。
それらの請求処理をFormBridgeやkViewerを用いて劇的に改善したそうです。業務量も減らせ、内製開発による開発コストも不要となったのは大きいですね。

その成功体験をもとに市民開発に舵を切ったそうです。ここからの取り組みやその中で成長痛として表現されていた課題は、イラストもわかりやすく、参考となりました。

個人的に、「へえ」と思ったのが、kViewerの画面にスペイン語が書かれていたことです。見たことがなかったので印象に残りました。うちはデータがタイ語のみの案件には関わったことがありますが、案件のほとんどがメニューは日本語で済みます。国際的なネットワークが必要なJTBさんには役立ったと思います。

あと、特に参考になったのは、市民開発メンバーの間でも温度差が生じたときの対応策です。DX担当が総じて底上げをしようとするのではなく、まずkintone Bootcampなどの実施を通じて、一部の方から少しずつ成功体験を増やしてもらい、自然とその成功体験によって周りを導いていく。JTBさんが用いた手法は、まさにお手本です。


成功体験の大切さは、頭の中ではよくわかっています。お客様にもそう伝えています。
しかし、本能的に底上げをしようとするのが人間の性かもしれません。モチベーションアップや組織としての総合力強化といった美名のもと、DX担当が組織全体を無理やり持ち上げようとしていないか。私も本当にそれが分かっているのか、同じ轍を踏んでいないか。自省する機会となりました。

お二人のお話からも、成功体験を作る大切さを感じました。こちらの動画もお客様にも見ていただければと思います。そして、お客様の組織にその手法で底上げしていこうと思います。

また、忘れ物対応も、旅行業界あるあるなのかもしれません。これもどれだけ大変か、旅行好きでしかも忘れ物対応で宿にご迷惑をかけたことのある私には、他人事とは思えません。それらもすべてFormBridgeとkViewerで解決できたとか。
実はこの手の伝言ゲームはどの組織でも課題としてあるはず。私もより意識して提案していかなければ、と思いました。


さて、七組の登壇者の皆さんの登壇は終わり、投票タイムです。
そして、その集計の間、会場のさまざまな方にうちのメンバーを紹介しました。また、休憩時間にはうちのメンバーが取得したkintone資格のバッジをもらいに行くのにも付き添いました。
上に書いた通り、kintone界隈の盛り上がりや可能性を感じてもらえるなら、何よりです。


さて、関東・甲信越代表は茅ヶ崎市役所の松原さんに選ばれました。が、そのほかの方々も素晴らしかった。やはり、kintone hiveから学べることは多い。そう思いました。

動画でも松原さんを除いた6組の方々の内容は見られるので、うちのメンバーにも見てもらうようにしたいと思います。



終わった後、メンバーと大谷イビサさんと写真を撮ってもらったり、うちのメンバーだけで飲み会をしたり。kintone界隈の可能性を感じてくれれば。

登壇した皆さん、当日お会いした皆さん、本当にありがとうございました。


kintone hive matsuyama Vol.5に参加しました


6月11日に愛媛県松山市で開催されたkintone hive matsuyama Vol.5に参加しました。
公式サイト

全国六箇所で開催されているkintone hiveですが、今年度は他の地域で行われたkintone hiveには参加できていませんでした。kintone hive matsuyamaが初参加となります。

個人的にも30数年ぶりの松山だったので、朝から気分も高揚していました。松山のあちこちを伊予鉄に乗って巡り、kintone hive matsuyamaの会場であるアイテムえひめまでは、三津浜駅から数キロの道を歩いて向かいました。

会場の入り口では、早速いろいろな知己の方にお会いできました。こうした出会いの場になるのもkintone hiveの良いところです。
特に私の場合、愛媛には知り合いがそう多くいません。が、kintone hive matsuyamaであれば、全国から近い志を持った方が集います。他の地域から来た方も含め、さまざまな方にお会いできました。おかげでさらに新たな知り合いが増えました。素晴らしい機会だと思います。


会場は広々としており、私が着席した席は壇上からすぐでした。各登壇者による盛り上がりも期待できます。


まずはサイボウズの村上さんから、開催の宣言と各種のkintone hiveを楽しむための説明がありました。
各地のkintone hiveでは、その地の営業を担当するサイボウズの拠点の方が司会進行の大役を任されます。愛媛にも村上さんのような方がいるのは心強い限りですね。
余談ですが、このkintone hiveの時は村上さんにご挨拶する機会がありませんでした。大役で大変でしょうし。しかもこの翌々日のkintone Café 高知 Vol.24に村上さんが当初は来られる予定でした。ところが、kintone hiveのMCの大役の後で来られなかったのでしょう。結局、お会いできたのは、さらにその翌週でした。東京で行われたサイボウズパートナーミーティングにおいてです。松山から東京へ、と言う流れでようやくお会いできたので印象深く、記憶に残っています。

さて、ここからは六名の登壇者が発表します。


・株式会社日本エイジェント 中川 楓香さん
「kintoneと一緒に現場と事務所を繋ぐ!」
中川さんの属する日本エイジェントさんは、不動産売買や賃貸仲介や賃貸管理、リフォームなどを行っておられます。そして、賃貸管理業の一環で、えひめレスQセンターという、暮らしのサービスのお困り事を対応する仕事をされておられます。
サービス内容は、水回り、電気、建具、鍵、ガス、ゴミ、建物、そして暮らし全般。なんでもできる分に経験が必要で、平均年齢が60歳で中川さんだけがZ世代だったそうです。
そして現場の数がたくさんあり、管理すべき設備ややるべき業務が多岐にわたる中、現場からひっきりなしに電話による調べ物の依頼が来ていたそうです。
それらが大きい負担になっていたため、物件設備マスターをkintoneで構築しスマホで現場で確認できるようにしたそうです。また、設備点検報告書も従来はExcel/Wordで一つ一つ作っていたのが、現場で入力し、写真を撮ればそれが帳票として出力できるようにしたそうです。


年配の方も含めて、皆さんにkintoneを定着させるために、中川さんは以下の3つの方法で、現場に到着させたようです。
①リーダーとの協力
②環境整備
③マニュアルの共有を徹底


年配の方に丁寧に説明し、味方につける取り組みは、まさに組織内にkintoneを導入する王道のやり方です。年間921時間の短縮を実現されたとか。
皆さんからの抵抗や消極的な意見が、感謝に変わったのは本当にkintoneの良さですね。中川さん自身にも仕事への向き合い方に劇的な変化があったとか。

最初から、素晴らしい登壇者が発表され、私の中でも気分が上がります。


株式会社ランネット 栢野 雅行さん
「”あの人しか分からない”を終わらせたかった ~小さな改善を止めない、私たちの業務改善~」
栢野さんの属するランネットさんは、システム会社だそうです。私にとって、それだけで親近感の元となりました。
またVRChatが趣味で、前職が自衛官として通信インフラ保守をされていた経歴も面白い。


そして、ランネットさんは、案件が多数で皆さんが多忙な故に、案件の情報や経験がチームとして共有されず、属人化されていたそうです。

ん?なんかどこかで聞いたことあるなぁ。え?これ、うちの会社と一緒やん。
うちも正直なところ、社内の情報共有がまだまだです。kintoneの企業番号は2桁なくせに、案件対応に追われて、社内のkintoneがお留守状態でした。ようやく昨年ぐらいから本腰を入れて整備し始めているのがうちです。


さて、栢野さんは、そうした過去の情報ナレッジをkintoneを用いて整えた後、皆さんが毎日入力する日報の粒度がバラバラであることに気づきます。ある上司は「見積依頼」の4文字しか書かれていなかったとか。

ある人は初見や振り返りまで含めて日報を書いているが、別の人は4文字しか書かない。そこでkintoneのレコード一覧分析AIを用いて、追加質問判定機能を追加し、簡単な日報では保存できないようにしたというのが面白いです。

ランネットさんの取り組みは、kintone AIの使い方としても優れています。同じシステム会社として、とても大きな参考になりました。


株式会社五星 小野 奈緒美さん
「「入れた後」の話をしよう kintone導入の向こう側」
一部の業務ではkintone導入に成功したけれど、その次のステップは?というアプローチが良かったです。


具体的には、Cybozu Officeのオンプレミス版をどうするか、という話しです。
Cybozu Officeからkintoneへの移管は私も経験があります。Cybozu Officeのカスタムアプリはkintoneに近い機能が実現できるため、その使用感を生かしたままkintoneに移行したいニーズもわかります。

小野さんの発表で感心したのは、粘り強さです。
粘り強いと思ったのは、1年かけてCybozu Officeのカスタムアプリが使用されてるかどうかを調べたところです。
これ、普通はどこかで妥協します。1年も調べる手間をかける位なら、変えてしまった後に現場から不具合の報告があれば、すぐに直す体制を取ります。
小野さんは現場に負担をかけない確固たるポリシーで全て影響範囲を調べ上げた上で、万全の体制をとった上で移したと言うことです。これはすごいことです。
過去に退職された方の作成した、引き継ぎを忘れたカスタムアプリ。そうしたカスタムアプリが残っていた場合、その影響範囲を調べる事は容易ではありません。


さらにには念を入れてCybozu Officeと同じユーザインターフェース、つまり画面のデザインに近づけるため、こだわりkintone Pluginを入れ、現場の方が戸惑わないように。なるべくインターフェースも合わせた上で移行する。
Cybozu OfficeとKOYOMIのUIの類似性はこの場で小野さんから教わりました。確かに。

むしろ、全くkintoneが入っていない状態で、0から1に作り上げる方がよほど簡単です。既に使われている100のCybozu Officeを100のkintoneにそのまま載せかえる方が、はるかに難しいはず。
そうした現場に徹底して寄り添う姿勢が、会場の皆さんの票を集めたのかもしれません。
中四国代表としてkintone AWARDの場でも頑張って欲しいです。


株式会社きらら 筒井 洸気さん
「人手不足を、人手以外で、解消する。 究極の生産性向上DXを突き詰める物語」
今回のkintone hive matsuyamaにおいて、私が唯一事前に存じ上げていたのがこの筒井さんです。

今回の登壇の中でも筒井さんは、kintone hiveに出ようとしたきっかけが、昨年のkintone Café 山口だったとおっしゃっていました。私はまさにその場にいました。
それどころか、筒井さんに出場をけしかけた一味の中に私も連なっているかもしれません。


ですが、本当にkintone Caféでの筒井さんの発表には驚かされたのです。ノーコードツールとAIの可能性を一つのストーリーとして見せてもらいました。
そして、この先の未来には、筒井さんのような人が少しずつ増えていくのだろうと思いました。

つまり、筒井さんのような全くの非技術者が、AIの力だけでアプリを作り、自社の基幹システムを構築できてしまう世界がすぐそこまで来ていることです。

今回もそのテーマでお話をされていましたが、kintone Café 山口の登壇とは、少し内容を変えておられました。

Caféでは、AIをどう実際に活用しているかについても、実は参考になったのです。しかし、今回のkintone hiveにおいては、そこは割愛されておられました。


そのかわり筒井さんが今回のkintone hiveで訴えたメッセージがとても素晴らしく、私のような開発者の立場にとても刺さるメッセージでした。

それはAIが来ても開発者とはバッティングせず、むしろ共存すべきとの提言です。

開発者側の立場ではこう考えがちです。AIによって開発の仕事がなくなる、と。
筒井さんは違います。AIを巻き込んだ新たなエコシステムを作るべきと言う提言です。

kintone hiveの場においてそこまで踏み込んだ提言をしてくださるのは、本当にありがたいです。票の受けは悪くなるでしょうが、それよりもまず、エコシステム全体を考えてくださる姿勢に、私は大いに感銘を受けました。

まさにこの姿勢こそ、私がkintone Café 山口で感銘を受けた筒井さんの真骨頂だと思いました。


株式会社ISS 山崎機械 恒光 一輝さん
「『現場DX』 kintoneで現場を本気で変えた話」
恒光さんの登壇内容は、現場の視点ならではでした。

ISS 山崎機械社は、鍛造と機械加工が主な業務だそうです。そして、一つの鍛造品ができるまでには主に4つのステップがあるそうです。その中の切断工程の中で起こっていた問題を、kintoneを用いて改善し、そこから作業員の皆さんが改善しようと言う気運が高まった事例です。
山崎さんはそのいきさつを発表してくださいました。

鍛造前の鋼材がメーカーから送られてきます。その際に品質保証書が鋼材と共に送られてきます。
この中のチャージ番号と言うものを鋼材にシールで貼るのですが、ここで見間違いが起こっていたそうです。
現場に置かれている鋼材の番号と鍛造すべき鋼材が間違えてしまうと大変なことになります。つまり、もうその鋼材は使い物になりません。破棄するしかないそうです。


これをkintoneを使って間違わないようにしたことで、3年以上ミスが起きなくなったそうです。ただそれまでも順風満帆ではなく、せっかく作ったkintoneが使われない問題があったそうです。その原因として、滋賀の本社と室戸工場の間で、意思の疎通がうまくいかなかったからだと。
それを解決するため、山崎さんが橋渡しの役となり、改善を行ったということです。


山崎さんの登壇内容で重要なのは、データのみにこだわらなかったことです。紙の運用は紙の運用で引き続き生かし、ただkintoneのデータを生かすところから改善を始め、現場の作業員の皆さんにとってわかりやすいレイアウトを守ったことでしょう。
ここで現場の方にタブレットを持たせ、紙の廃止にこだわると上手くいきません。システムやデータ至上主義だとうまくいかない。
この発想の柔軟性は、私も常々意識しなければと思っています。人の慣れの問題は、きちんと現場の方と話し合って、どちらにするかを決めるべきでしょう。


四国電力株式会社 岡添 圭哉さん、藤原 海杜さん
「みなさんの組織に「夢」はありますか? ~kintoneで「組織風土」が変わった法人営業部の2年間~」
kintoneですごいアプリを作ったとか改善をしたではなく、組織風土を変えたと言う話です。とても私にとって興味深いテーマであり、すぐに引き込まれました。

岡添さんは、自社のことを前例踏襲やExcelなら大得意なお堅い会社、と自虐風に語り、笑いをとります。

岡添さんが4つのアプリを作ったのに、それが全く使われない。
困っていたところに、藤原さんが現場の法人営業部の事なら分かる、ということで、藤原さんを巻き込み、2人で協力して社内に広げていきます。


結局、kintoneをただ作っただけでは、現場の負担になってしまい、活用されないまま沈んでしまう。よくあるパターンです。

「仕組みを作ること」に意識が向き、
「現場に腹落ちしてもらうこと」が足りていなかった。これは、本当によくあることです。
私たちのようなシステム開発会社は、余計にこのことを意識しなくてはなりません。


ところが、そこで藤原さんが一生懸命作っていたデータが、今後の自分たちを楽にするかもしれないと言うことに気づいて、話がガラッと変わってきます。


「kintoneは、営業データを育てる畑だった」
「負担だと思っていた入力が、未来の営業を助ける資産になる」

今回の kintone hive matsuyamaは、この言葉が私の中で最も印象に残りました。自分が普段、考えていたことを、このような巧みな表現で伝えてくれたことによって。

今の負担は、将来の自分を楽にする。大企業は、こうした諦めと恐れが蔓延しているのでしょう。これが変化を阻んでいるのではないか。

それからは、全てを自分たちで変えていく風土が生まれていきます。この流れは本当に素晴らしいと思いました。心を動かされました。

さて、六組の登壇者の皆さんの登壇は終わり、投票タイムです。
そして、その集計の間、壇上には、5名の方が。そのうちの数名は私の知る方。
「kintoneのAI、まず何から使う?現場の実感トーク」と題してのパネルセッションです。

サイボウズの佐藤さんがファシリテーターで、カミノバのじゅんちゃん、アールスリーインスティテュートの沖さん、さくら税理士法人の蒲原 さん、株式会社カワニシの岩木さん。


とにかく、kintoneは堅牢にデータが貯まっていて、AIは信用して使って欲しいということに尽きます。


さて、中四国代表は小野さんになった訳ですが、私、その瞬間の写真を撮り忘れてしまったらしく。

しかも、その後の行動もかなりバタバタでした。
山西駅まで徳島の本橋さんと帰り、駅ホームではカミノバの竹内さんとばったりお会いして、三人で松山市駅へ。ところが、私はそのあと高知に移動する必要があるのに、トランクをホテルに預けていたことに気づき、JR松山駅北のホテルまで電車で戻り、さらに松山から高知のバスを取ろうとしたら、すでにチケットが売ってさえなく、やばいと早足で松山市駅まで戻り、そこでもバスがなく、途方に暮れながら頭をフル回転し、またJRの松山に戻り、最終の高松行きの特急に乗って丸亀で急遽とったホテルに泊まったのでした。Hafh、キャンセル効かなかったので、高知の宿はそのまま。
そんなバタバタはありましたが、楽しく学びました。

会場でお会いした皆さん、ありがとうございました。


kintone hive 2024 Tokyoに参加してきました


7月9日に大阪のZepp DiverCityで行われたkintone hive 2024 Osakaに参加してきました。
https://kintone.cybozu.co.jp/jp/event/hive/

昨年も弊社はこのイベントにメンバーを連れて参加しました。
昨年と今年に比べ、私がメンバーをkintone hiveに呼んだ目的は同じです。
・今のkintone界隈の開発のあり方が従来のシステム開発のセオリーとは違っていることを感じて欲しい。
・kintone界隈のプレイヤーや開発者の知己を増やしてほしい。
・登壇される方々の成功事例を聞き、どういう方法であれば弊社としてkintoneを使ったシステム構築で価値が届けられるかを考えて欲しい。

特に最初に挙げたことは、kintone hiveに頻繁に参加されている方にとっては理解されていることと思います。
確かにkintone開発において、サービスやプラグインを使わずにカスタマイズして納品することは可能です。ただしそのやり方は、複数の案件が並行するにつれ、だんだん厳しくなってきます。私個人の感覚では、一人で並行できるのはせいぜい30案件が限界かと思います。
JavaScriptカスタマイズだけで、じっくり取り組めるような長期の開発案件は、弊社にはまだそれほど多くありません。もちろん、弊社でもいくつか安定的な継続案件は請けており、それらはJavaScriptでカスタマイズしています。
そうした案件は、弊社の経営の安定に寄与していますが、引き合いを頂くkintoneの案件の大半は、短納期でスポットの案件、つまり、金額的にも少なめな案件が多いです。
という事は、短いスパンで次々と実装を繰り返していく必要があります。複数の案件を同時並行でこなさねばなりません。その都度、JavaScriptでコーディングしていてはとてもこなしきれません。
そのトレンドを考えると、プラグインや各種のサービスを使いこなさないと経営の維持は難しいという結論に至ったのです。kintone開発をやっていくならば、ですが。
従来のシステム構築のやり方でキャリアを積み、実績を上げてきた方にとって、短納期で開発期間が短い案件を同時並行で複数行うことは考えにくいはずです。
ところがkintone開発ではそれが可能です。まさに価値観を変えるほどの違いです。

昨年にも増して、ローコード/ノーコードツールの定着が進んでいる昨今、技術者は複数の案件を同時にこなすことが求められるはずです。
今後もこの傾向は変わらないでしょう。もう後戻りはできません。一人がじっくりと開発に集中できる案件はそうそうありません。
であれば、新しいシステム構築のあり方を学ぶ機会は今しかありません。そうでないと、5年後には技術者としての生計が厳しくなっていきます。

そもそも、AIがコーディングのあり方を根本的に変革している今、技術者がいつまでコーディングしていられるのか。それすら心もとなくなりつつあります。

こうした技術者界隈の流れ、特にkintoneなどのノーコードツールに顕著なこの流れを、技術者ではない弊社役員の妻と総務・経理・人事を担当している長女にも理解してもらう必要があります。そこで、昨年から長女に、今年からは妻にもkintone hiveに参加してもらいました。
妻は、オーガナイザーとして甲府地域クラウド交流会(ちいクラ)を無事に成功させました。私が妻を地域クラウド交流会のオーガナイザーに推挙した理由は、kintoneエコシステムに本気で関わって欲しいという狙いがあったことは、先日のブログでも書きました。
そんな妻にとって、今回が初体験のkintone hiveがどのような効果を及ぼすのか。kintone Caféに初めて参加したのが昨年の春、Cybozu Daysも昨年秋が初めてだった妻は、そもそも技術者文化も知らず、kintone界隈の文化にも慣れていません。kintone hiveの雰囲気を体験したことを、今後の弊社の経営や活動にうまく生かしてほしいと考えました。
その成果を、どのように弊社メンバーのモチベーションの向上につなげていくか。

今年も弊社は集合時に全員が揃うことに失敗しました。
一名が集合時間に遅れたため、4名で会場に入りました。終わり間際に遅れてきたメンバーとは合流できましたが、途中で1人が家庭の事情で帰ったため、今年は5人揃っての写真撮影はできませんでした。その代わりに、4名が揃った飲み会の写真を後で掲示します。

さて、kintone hive 2024 Tokyoが始まります。
先日のkintone hive 2024 Osakaにも参加した私ですが、東京ではどのような方が事例を共有してくれるのか楽しみでした。


今は多様性の時代です。サイボウズ社もまた多様性を前面に打ち出しています。
つまり、東京であろうと地方であろうと差はありません。
全国各地の予選のkintone hiveはレベルが高く、東京が情報優位だった時代は昭和で終わった象徴のようです。
どの地域の代表者がCybozu Days 2024のkintone AWARDで勝つか、全く予想ができません。


今年、進行を担当されるのはサイボウズの沖さんです。
各地のkintone hiveでは、サイボウズのそれぞれの地域の方が見事に司会進行を務めてくださっています。
今回もありがとうございました。

そして、沖さんからのご説明の後、いよいよ登壇者が続きます。


株式会社アクタス 青松さん、小鎚さん


アクタスさんは、ヨーロッパを中心とした家具、テキスタイル、インテリア小物全般の輸入販売を行っており、中古家具の取引もされているそうです。
https://www.actus-interior.com/


案件ごとに15の工程が必要という複雑なフローをどうするか。
kintone兄弟と社内で並び称され、社内にkintoneを広めたお二人がタッグを組み、活躍するまでのお話です。


社内で孤独なkintoneのアーリーアダプターとして活動していると、仲間が欲しくなる瞬間があります。そんな一人で頑張る方を見て、周りの賛同者が次々増えていく。私たちはこんな光景をこれまでにもkintone hiveやkintone AWARDでたくさん見てきました。

まさにこのお二人もそうです。
孤独に戦っていた頃から、社内の業務システムの担当者が必要性を感じてkintoneに賭ける。そして二人の先駆者がタッグを組んで社内に新たなムーブメントを巻き起こす。まさにkintoneやサイボウズ社が掲げるチームワーク溢れる社会とは、こういう最強のつながりから広がっていくはずです。

冒頭の登壇なので、少々緊張していた様子が見えましたが、私たち観客には二人のチームワークの思いがしっかり伝わりました。


インデックス株式会社 牧さん


続いては面白い案件です。建設業のプロジェクトマネジメントを専業とする会社がkintoneを導入する事例です。
https://index-group.co.jp


建設現場では、工期が順調に進んでいるか。予算や工程管理が予定と実績で乖離していないか。プロジェクトマネジメントを行う上で、さまざまなツールがあります。一方で、そうした作業が定型化できるようでできないところが、プロジェクトマネージャーの悩みだと思います。
そんな悩みを自分たちでkintoneを用いて工夫することで、チームワークを社内に根付かせた事例です。
プロジェクトマネジメントの会社は、自社に知見がある分、さまざまなDXのためのシステムを導入します。
そのDXのためのシステムが投資した費用に比例する効果が出ていないと知るや、牧さんは現場が使いにくいという不満を汲み取り、社長に熱を込めて直談判し、社長からkintone導入の決済を勝ち取るのです。まさに熱意こそが会社を変える良い事例です。

私もお客様との商談の際、ここぞというときに熱を込めます。すると相手にも伝わるんですよね。牧さんの熱意も同じだと思います。社長にその熱意が伝わり、見事kintoneによって社内が変わったという好事例でした。


ケアパートナー株式会社 橋本さん


3番目は、はっしーさんです。

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私ははっしーさんから事前に登壇する旨の連絡をいただいていました。
あちこちのkintone Caféでは、はっしーさんとは遭遇しています。こういうkintone仲間が、一念発起して晴れの舞台に立つのは本当に嬉しいことです。
ましてや、はっしーさんはこの10日ほど前に弊社が主催した甲府地域クラウド交流会にも神奈川から名古屋経由で足を運んでいただいたありがたさがあります。当然、私の応援にも熱が入ります。

今回は自己紹介からスイーツ食べ歩きの趣味をあえて外し、勝負モードで来ていました。


壇上ではっしーさんがお話しされたのは、データを蓄積し、それを活用するkintoneの本質に立ち帰った内容です。
私たち開発側にとっては、まずどこにkintone導入の価値を置くべきかが重要です。
言うまでもなく、kintoneを導入すれば終わりではありません。むしろそこからどう社内に浸透させていくかが重要です。
kintoneのシステム導入に終わりはありません。


その意味でも、はっしーさんの登壇内容は私たちに伝わりました。社内でもマイスターという制度を作り、はっしーさんに続いて社内でアプリ開発者を育てていく取り組み。その取り組みを推進するためにも、はっしーさんがまずこの場に立ち、皆さんに取り組みをアピールする。その姿勢こそが、社内のkintone浸透において重要なのだということですね。胸を打たれました。

さて、はっしーさんの登壇を終えて、一旦休憩です。
私もその場でお客様とお会いするなど、休み時間を有効に使いました。
今回のkintone hive 2024 Tokyoでは、弊社のお客様が4社計6名の方が参戦してくださいました。

noteにも書きました(7月11日 kintone hiveにお客様を呼んだ理由)が、お客様に弊社がkintoneエコシステムの中できちんと情報収集をし続ける会社であると示すことに加え、最も大事なのは、お客様自身がkintone hiveの場において成功イメージを自分のものにしてほしいことです。
今回、私の思いはおそらく伝わったのではないかと思います。


株式会社小善本店 小林さん、松川さん



さて、休憩が明けて登壇は続きます。のり。海苔です。海苔で世界に勝負する小善本店さんです。
https://kozen.co.jp/
海苔をコアビジネスとする会社さんがkintoneを使った事例です。しかも、基幹システムからすべてkintoneに乗せ換えたというから見逃せません。


基幹システムがあり、その周辺のシステムでkintoneを使う事例はすぐに想像がつきます。しかし、基幹システム自体をkintoneで構築する方が難易度が高いのは当たり前です。
販売、仕入、顧客管理、商品管理、売上請求、入金消込など。しかも今回の事例では生産管理までkintoneを使っておられるとか。大したものです。私も生産管理までkintoneを使うという事例は手掛けたことがありません。


スライドにはクリーンルームと思しき場所で壁に設置されたディスプレイを見ながら、皆さんがkintoneの画面で生産管理を行っている様子が見えます。
生産管理にkintoneを使うのは、なかなかの難易度の高さだと思います。
その取り組みを見事に成し遂げ、しかも新入社員が入社後間もなくデータ入力の仕事に投入され、それにもかかわらずその方がkintoneに可能性を感じ、このような場に登壇してくださること自体が、まさにkintone導入が成功した証でしょう。

弊社のお客様もこちらの小善さんをよくご存じだとか。私も一度訪問してみようと思いました。


株式会社成田デンタル 吉原さん


続いては吉原さんです。
https://www.narita-d.co.jp/

吉原さんも私には知己の方です。ただし、私にとって吉原さんはサイボウズ Office推しの方として認知されていました。
あれ?吉原さんがサイボウズ Officeではなくkintone推しで登壇しているとは、結構意外でした。


ですが、吉原さんの登壇内容を聞いていると、なぜサイボウズ Officeからkintoneに乗り換えたのか得心しました。サイボウズ Officeパッケージ版が終了するとのアナウンスは私も知っていました。実際、お客様のサイボウズ Officeをパッケージ版からクラウドに移行する作業を手掛けたこともあります。
ところが、クラウド版のサイボウズ Officeは300アカウントしか使用できません。つまり、社内でシステムを利用するにはアカウント数が足りないのです。だからkintoneに変えるしかありません。
そこからの巻き返しの流れが素晴らしかったし、おそらく吉原さんが会社の中で苦労し、kintoneを理解しようと努力した信念の強さを感じました。


個人的には、吉原さんがトヨクモNightで語られたフォームブリッジの見事な活用事例に感銘を受けていましたが、今回は敢えてそれを封印し、それ以外の導入において説得力を持った社内の風土作りや、社内カルチャーの変革を成し遂げたことが、皆さんに支持されて見事にkintone AWARDへの選出につながったのでしょう。
本当に誇らしいと思います。


司法書士法人NCP 山下さん、酒井さん


続いては「kintoneで全国行脚の旅」というパワーワードで登場したお二人です。
https://www.ncp-law.com/shihoushoshi/index.html

この言葉を聞いて、俺のこと?と思わずXでポストしてしまったら、また別の方がそれに反応するという反響が巻き起こりました。

山下さんのテンポのよいトークと酒井さんの掛け合いは、それだけで社内の導入のノリが感じられました。
やはり印象に残ったのが、全国の事業所にkintoneを導入するにあたり、zoomやマニュアル配布でやろうとせず、全国の事業所に直接伺って、説明するやり方をとったところです。


私たちもkintone導入に当たって、お客様への説明は必須ですが、私は可能な限りお伺いするようにしています。
今、そういう案件が増えたため、私から余裕がなくなっていることも事実です。が、お伺いしてkintoneを説明することの大切さは今も感じています。今回のNCPさんの事例を聞いて、そのことをあらためて感じました。

ちなみにNCPさんのkintoneポータルの画面が出ていました。こちらのアイコンを見て、長女がお客様のkintoneポータルを見やすくし、好評をいただいているようです。


東京電力エナジーパートナー株式会社 久保さん、櫻井さん

続いてラストを飾っていただくのは、東京電力さん。いわゆる大手ユーザーの事例です。
https://www.tepco.co.jp/ep/index-j.html

大手ユーザーだからこそ、考えなければならないことが多々あるはずです。
東京電力エナジーパートナーさんでも、2人から500人までアプリ作成者を増やすにあたって、多くの工夫ポイントが紹介されました。
まず、皆さんに丁寧にアプリの作り方を説明することで、アプリ開発へのハードルを下げたことです。さらにポータルの使い方を工夫することで、皆さんがさらに使いやすくなるような工夫が印象に残りました。


kintone導入にあたって、管理やガバナンスの問題は必須です。
例えば削減時間算出アプリといった工夫で、kintone導入へのモチベーションを下げないような工夫があり、これは取り入れてみたいと思いました。


年間で30000時間もの作業時間を削減するのは並大抵のことではできません。
また、ガバナンスについては導入支援社として、今後は提案にあたって必須のスキルとなっていくことでしょう。
私も勉強し続けなければならないと感じています。

さて、皆さんの登壇が終わったところで、休憩時間です。

私はこの時間も生かし、お客様と弊社のメンバーを繋いだりといった活動をしていました。


休憩明けには、壇上にサイボウズのかんちゃんと石井さん、筋さんが上がっています。キンコミについてです。

先日のkintone hive 2024 Osakaの場においても、キンコミについての同じようなセッションがありました。その時は私もキンコミにログインをしなければと思ったのですが、それ以降、一度だけアクセスした程度で、全然ログインができていません。活用もできていません。まずいなぁと思いました。
ただ、今回はうちのメンバーがその登壇を見てくれています。うちのメンバーがキンコミを使ってくれるのではないかと思いました。


そしてその後は投票タイム。吉原さんが関東地区代表として選出されました。改めて、おめでとうございます。
もちろん帰る前に東京会場限定のプリクラシールで写真を撮る事は忘れません。今回もたくさんの方と一緒に写真を撮りました。


そして夜は、うちのメンバー4名に加えて、たくさんの外部からの仲間が加わってくれて、総勢9名ほどで韓国料理のお店で飲み食いしてました。そのお店にはkintone hiveで参加されていた皆さんも集まっていたので、そういった方々とも交流を取りながらです。

うちのメンバーには、kintone界隈やkintoneエコシステムの交流の実態が理解してもらえたのではないかと思っています。

これも同じくnoteに書きました(7月10日 kintone hiveに弊社メンバーを呼んだ理由
 https://note.com/akvabit/n/n7e5242a699d9)が、うちのメンバーにもそういう交流をもっと行って欲しかったので、まずは狙いは成功だったのかなと思います。

今回お会いしたすべての皆様に感謝です。