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2025年の抱負


明けましておめでとうございます。

昨年末にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、本当にいろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。

今年も抱負を書きます。
本稿の内容は年始にあらためて考えたものです。

一年の計は元旦にあり、とはよく言ったもので、急かされることのない正月に計画しないと熟慮できません。
昨年末にまとめをアップする際に反省した内容を生かし、今年一年、軸をぶれさせないための指針とします。

まずは反省です。
単価を上げたことで、メンバーを維持できるだけの経営基盤はできました。
ですが、雇用しているにもかかわらず、今の弊社はバラバラの個人事業主の集まりのようになっています。
肝心の開発の手順や規則の遵守がまったくできていません。また、開発に関するコードレビューもデプロイもコード管理も自己流のままです。
これでは弊社メンバーが他の会社に万が一行くことになっても通用しません。何より生産性が低いままです。

昨年の正月に作成した「アクアビット蒸留書」で定めた内容もまだ7割もできていません。その後のメンテナンスも滞っています。
まずこの反省点を正すことが元旦に当たって書く抱負の大筋です。

「教育」。それが私の中で今年のテーマとして挙がっています。
弊社メンバーに対してコーディング規則の遵守を求めること。
仕様書や設計書の執筆ができるようになること。
この二つが私に頼らずにできるようになるよう、教育する必要があると思っています。
ノーコードによるカスタマイズが主流になるこれからは、コーディングの機会は減ります。機会が減ったからこそ、コーディングはきっちりESLintに沿った内容で品質が求められます。それは大前提であり、その上で仕様書を弊社の標準で書くことが求めたいと思います。

これは弊社メンバーだけでなく、この先に雇用する予定のメンバーに対しても当てはまります。
また、外注先に対しても同等のレベルを求めます。

その教育のため、一月の中旬を目処に新事務所を設けます。
私が新事務所に常駐することはできないでしょう。ただ、週2日はいるようにします。その中で、今までリモートワークの制約や忙しさにかまけて指導しきれなかったコーディング規約や開発プロセスの標準化を進めます。

まずやるべき事を以下に書きます。

1.ガイドライン作成

一昨年の5月の連休に作り、昨年の正月にもメンテナンスしたガイドライン「アクアビット蒸留書」をこの正月に修正します。

修正するのは、開発ガイドラインのさらなる精緻化と、コード開発の一連のプロセスです。
これらは作るだけでなく、メンバーにも遵守してもらいます。
JavaScript開発、プラグイン開発、php開発が対象です。python開発もやがては必要になるはずですが、現時点ではpythonはまだ研究レベルにとどめます。
これらのチェックプロセスを生成AIの力を借りて自動化することが今年の目標です。

また、仕様書や設計書の執筆ルールについては全く手が付いてません。
これからはノーコードツールによるkintoneカスタマイズが主流になるはずです。つまり、コーディング量よりも仕様書の執筆の作業量が増えていくとみています。それを弊社として統一した品質で書き切ることが全メンバーに求められます。

あと、バックオフィス系の諸作業についても手が付いていません。
昨年末に総務人事経理のメンバーと1on1で話した際、全くスキルが追いついていないと反省の言葉を述べていました。であれば、共に作っていくべきです。

いうまでもなく、アクアビット蒸留書は読むためにあるのではありません。各自が作り上げていくためのものです。
つまり、アクアビット蒸留書は永遠に未完成です。常にドラフト版でありながら、全員でこれを磨き続け、少しでも正規版になるようにします。そしてその内容を全員が遵守します。
書いたら終わりでありません。

また、作業そのものをまねるためにやり方が逐一書かれたマニュアルは必要ありません。
それよりも、誰がなんのために、いつやらなければならないのか。なぜそれをするのか。そうした作業の目的を明確にし、個人に視点が固定されないためのガイドラインとして定める必要があります。

そのため、アクアビット蒸留書は月一度、定期的に更新していきます。個人のノウハウややり方がアクアビット蒸留書に書かれているよりも優れているのなら、個人のノウハウをアクアビット蒸留書のやり方に変えるのではなく、むしろ個人のノウハウをアクアビット蒸留書に取り込んで全員で共有します。
アクアビット蒸留書がその純度を増すごとに、余分な作業で時間を使うことが減るでしょう。そして、案件の実装が円滑にいき、納品までの速度が増えるはずです。

2.弊社の業務の六分割

昨年の抱負でも、弊社の業務を大きく五つに分割し、担当者と目的を整理しますと書きました。

その分割はある程度機能し、弊社の経営の安定に寄与しました。ただ、一部の案件では過去の失敗の負債が残り続け、メンバーの不満と負担の原因となっています。
そこでもう一度その方針を定めなおします。
そして、最後に一つ、六つ目の業務を付け加えたいと思います。

一つ目は、既存の大型継続kintone案件です。
大口でかつ継続のお客様は、昨春にも単価を上げていただきました。
ただ、その時に上げてもらったにもかかわらず、下に定める共遊開発の単価に比べると段違いに低い額にとどまっています。
この春からの単価の改定はすでにお願いしています。適正な単価のもと、弊社の経営基盤が安定できるように動きます。
その上で、上記のアクアビット蒸留書に沿った開発品質、仕様書や設計書に沿った作業の提供を行います。

おかげさまでご評価はいただいていて、今後の展望についても前向きなお話をいただいています。
ただ、拡大した場合も、私自身の関わりは共遊開発にとどめます。開発を担うことによって代表のリソースが減ってしまうことは避けなければなりません。

こうした継続かつ大口のお客様は、弊社の経営の安定に欠かせません。が、それ以上にお客様から信頼をいただき続けることが重要です。
今年もこうした案件は重視し、やがては全国に弊社の名前を轟かせるように力を尽くします。

二つ目は、既存のkintone開発案件です。
これらの案件は、共遊開発のやり方ができず、既存のJavaScriptカスタマイズによるやり方で追加スポット保守や追加開発を続けています。
その中には、以前の失敗が尾を引いたまま、無償でカスタマイズを行い続けている案件すら散在しています。それらは弊社メンバーの心理的な負担になっています。

まず、今年はこうした無償案件については、3月までに保守契約に移行するか、一旦終了とするようお客様にお伝えします。
また、今後発生するであろう開発案件は、ズルズルと時期が遅れることのないよう、開発内容をきっちりと定めます。

この後に定義する共遊開発の進捗によっては、JavaScript開発が必要になることもあるでしょう。それらは随時kintone開発案件としてお客様に提案し、見積もりを出します。その結果、必要になった場合は開発案件として加えます。
なお、原則としてカスタマイズはノーコードカスタマイツールを提案し、JavaScriptによるカスタマイズは極力避けます。

まず、弊社メンバーには上記の一つ目と二つ目に集中してもらいます。
メンバー一人当たり、多くても四つの案件に絞り、集中して担当してもらえるように体制を整えます。

三つ目は、共遊開発案件です。
これらは代表の私が主に携わります。
共遊開発案件の場合、アプリ構築やカスタマイズはお客様が行います。
カスタマイズを行う際はJavaScriptはなるべく使わず、既存のプラグインやサービスを積極的に提案します。
新たな案件が増えても、うちのメンバーには作業を振りません。一旦、代表の私の方で要件定義や共遊開発を行います。

昨年は共遊開発に舵を切ったことが、弊社の経営状況の向上に寄与しました。今年も積極的に共遊開発を提案していきます。
それには、共遊開発を担当するのが私一人では回らなくなります。そのため、弊社メンバーにもお客様のもとで一人で共遊開発が完結できることをスキルの到達点とします。もちろん、その中ではkintoneスペシャリスト資格が取れるようになるでしょう。

四つ目は地域活動やコミュニティーです。
代表の私は今年もまだkintoneエバンジェリストを続ける予定です。引き続きkintoneエコシステムの拡大に向けて貢献したいと思います。
ただ、代表のコミュニティ活動やkintoneエバンジェリスト活動は、会社の活動とは切り分けました。昨年の11月から、代表の個人的な趣味やkintoneエバンジェリストとしての活動、コミュニティ活動は全て別のサイトで記しています。

その分、弊社メンバーには昨年から取り組んでくれているコミュニティへの参加を励行してもらいます。
役員の妻は地域クラウド交流会の認定オーガナイザーとして3/22に予定されている甲府ちいクラに向けて動いてもらいます。
また、総務人事経理を担ってくれている娘は、kintone若手交流会やkintone Café TOKYOの運営スタッフとして頑張ってもらいます。
あとは、イラストレーターとしての自分の得意分野に加え、好きなことで何かのコミュニティ立ち上げも考えて欲しいと思います。

五つ目は新規サービスの開発です。
一昨年、3つの新規サービスをリリースしました。
また、昨年のCybozu Days 2024ではメディキンやチェアサイドレジを打ち出しました。
役員が現役の歯科医師で歯科診療所を経営していることは、依然として弊社ののアドバンテージであると考えています。

今年はそれらのサービスをより拡充していきます。そしてサービサーとしての認知度を上げていきます。

弊社の強みは、外部のSaaS/PaaSとの連携実績が多数あることです。そこに弊社の価値を打ち出し、アピールしていきます。

さらにその体制を強化すべく、昨年末に新たな開発パートナーとの機密保持契約を結びました。
そのパートナーと上のサービス開発を推進していくつもりです。

最後に六つ目として、今年度から追加したいことは教育です。
代表の私自身が教育者として振る舞う機会を作ります。

具体的には新事務所を活用して弊社メンバーへの教育を行います。
そして、共遊開発の一環としてお客様のリテラシー養成に携わります。
さらに、研修メニューだけの業務を作ろうと考えます。
研修メニューは有償とします。月一回、土曜日に実施します。場所は弊社の新事務所を使おうと思います。
研修コンテンツは、kintoneの仕組みとカスタマイズの方法、さらにコーディングのやり方やノーコードツールの活用方法など、私の今までの技術者経験を惜しみなく提供します。また、これからの技術者が生き残るために必要なコミュニケーションや考え方も伝える予定です。

ただし、弊社の新事務所は規模が小さいので、数人規模から始めます。

上記全てにおいて、生成AIの助けは欠かせません。
積極的に弊社でも活用を進めていきます。すでにAI Forward HubやOpenAIについては昨年から活用しています。さらにGeminiやClaudeをはじめ、生成AIサービスは特定のサービスに限定せず、LangChainも含めて自社でも研究を重ねます。

3.評価制度・賃金テーブル・人事計画

昨年、できなかったことの一つは評価制度の確立です。
そればかりか、アクアビット蒸留書の中に載せるべき評価制度についての記述はまだ未着手です。

弊社がまだ個々人でバラバラな理由の一つは、評価制度が未熟なためです。ここを整備しないと会社として成長できないと思っています。
弊社はそもそもKPI(重要業績評価指標)設定がまったくできていません。評価制度以前の問題です。そのため、何を目標とし、個々のメンバーは何をすれば達成感や成長を感じられるのかがあいまいになっていました。

そこで、昨年作成した人事計画と給与テーブルを元に、評価制度を考え直します。
すでに作成したビジョン・ミッション・バリューや人材育成や課題に加え、5年先の財務計画や人員構成計画や、評価制度・賃金テーブル・人事計画も全て見直します。

メンバーのモチベーションが持ちにくい状態になっていた状態を改善します。

今年からは人事評価について、アクアビット蒸留書に書かれた内容をベースに考えていきます。
アクアビット蒸留書の中では、KPIの設定とその基準について詳しく決めていきます。

もちろん、評価や人事制度については、引き続き外部の力が必要です。
外部業者の協力も募りたいと思います。

4.コミュニティ・出展

コミュニティへの関与やCybozu Daysをはじめとした展示会への出展は弊社にとって大きなアピールの機会です。

まずは今年のCybozu Days 2025への出展を予定しています。開催日は10月27-28に決まっていますので、やるべきことは明確です。
出展にあたっては昨年度と同じく、弊社の役員や経理人事担当が企画から当日まで積極的に関わります。また、代表の私もフルに参加してブースを盛り上げます。

出展にあたっては、上に書いた六つに分けた弊社業務のうち、新サービスをメインに打ち出します。

また、代表のネームバリューよりも弊社のサービスで勝負します。
そのためにも、既存の案件の事例を積み上げます。また、弊社としてのコミュニティ関与を弊社メンバー含めて増やします。
例えば、セミナー開催や展示会出展の機会があれば会社として積極的に関わります。この1月と2月にもすでに一件ずつ弊社としての出展の予定が立っています。
他にもノーコード推進協会の正会員加入や、埼玉DX、千葉DX、やまなしDXエンジンなどの会員であるメリットも活かしたいと思います。

また、昨年、役員の妻が地域クラウド交流会(ちいクラ)の認定オーガナイザーとして認定されました。今年の3/22には第二回の甲府ちいクラの開催を控えています。
各地で開催されるちいクラには役員だけでなく、なるべく代表の私も参加するようにします。
また、役員の妻は山梨で別会社を立てます。山梨で広げたご縁をもとに、弊社の認知度を広げてもらうことを期待しています。

5.ビジョン・ミッション・バリュー

昨年に再度修正した弊社の企業理念・経営理念・経営方針・目標は以下の通りです。

企業理念
「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを」

経営理念
「最新技術をお客様、地域に提供し、メンバー、家族、パートナーと輪になって幸せになる」

経営方針
①システムを継続してもらえる品質と対応を行います
②技術に偏らず、お客様ビジネスの現場を尊重します
③経営を継続するための自社サービスを生み出します
④社員・協力社・技術者・家族の事を大切に考えます
⑤顧客とともに一期一会でない継続の関係を築きます
⑥技術の進化に先手を打ちながら、自社も進化します
⑦世の中の働き方改革に貢献する手本となり続けます
⑧地域の非営利組織・団体のために技術で貢献します

目標
「2027年3月までに
・正社員8名 外注パートナー10名に
・社員一人当たりの粗利を 150万円に
・サイボウズパートナーの賞を受賞
・他SaaS/PaaSでももう一つ今のkintone並みの知名度を得る」

また、サイボウズオフィシャルパートナーとしての星評価がもらえるよう、さらに努力します。
また、それらを念頭に置いたより具体的な経営計画をこの正月に作り込む予定です。

6.ワークライフバランス

代表の私の拡大・新規志向は、メンバーのワークライフバランスと乖離を招く可能性があります。
というのも、メンバーにとっては安定して同じような作業が定期的にあり、時々刺激が与えられれれば満足します。それは人間の本能です。
ですが、そうした安定志向は会社の持続性にとっては悪影響をもたらします。

そこで、ワークライフバランスへの考え方を整理します。

弊社に関わる全ての方が公私の充実を両立させてほしいとする私の価値観はいささかも揺らいでいません。
ただ、昨年は残念ながら私の日常は全て仕事に割かれてしまいました。それは誰の責任でもなく、私の招いた因果です。

その一方で、弊社のメンバーには無理な残業や休日の仕事はほぼさせていないつもりです。ただ、ストレスフリーの働き方だけではメンバーの成長になりません。成長しないと、この先に待ち受けているだろう激変する環境の変化に個々人がついていけない可能性が高いです。そのため、適切な負荷を与えながら、無理なく働ける環境を作ります。
しかもその時は率先して仕事がしたくなるような動機づけが欠かせません。新事務所を活かして、1on1を繰り返し、メンバーの個人的な思いと会社の期待が離れないようにします。

また、代表の私自身がプライベートを犠牲にしており、代表の私のワークとライフのバランスが崩れていました。
先ずは隗より始めよ。その言葉通り、私から率先してワークライフバランスを整えます。

私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。

7.事業継続のためのその他の施策

経営を継続させるため、BCP計画(事業継続計画)も定めます。

富士山噴火や首都圏直下型地震、東南海地震が起こる確率は高く、弊社の拠点はそれらが起こると甚大な被害を受ける事でしょう。つまり、災害が起こった時に備えて、業務の体制を整えておくべきです。
役員の妻が事業を継続するため、昨年山梨に拠点を設けました。BCP計画に山梨の拠点を組み込み、有事の際の行動手順を定めます。

8.個人的な抱負

代表の個人的な抱負は今年はこの記事からは割愛し、別に立ち上げた個人サイトに記します。
上にも書いた通り、弊社の経営が回るようになれば、代表の個人的な充実も実現できることでしょう。

上記、1ー8までが2025年の抱負です。
ガイドライン(アクアビット蒸留書)を修正し、そのためにも弊社の業務を六つに分割します。ビジョン・ミッション・バリューも定め、コミュニティや出展の目標も掲げます。
これらを実現させるために今年一年、懸命に努力します。

これらが実現した暁には、弊社の経営は好転するはずです。


kintone hive 2024 Tokyoに参加してきました


7月9日に大阪のZepp DiverCityで行われたkintone hive 2024 Osakaに参加してきました。
https://kintone.cybozu.co.jp/jp/event/hive/

昨年も弊社はこのイベントにメンバーを連れて参加しました。
昨年と今年に比べ、私がメンバーをkintone hiveに呼んだ目的は同じです。
・今のkintone界隈の開発のあり方が従来のシステム開発のセオリーとは違っていることを感じて欲しい。
・kintone界隈のプレイヤーや開発者の知己を増やしてほしい。
・登壇される方々の成功事例を聞き、どういう方法であれば弊社としてkintoneを使ったシステム構築で価値が届けられるかを考えて欲しい。

特に最初に挙げたことは、kintone hiveに頻繁に参加されている方にとっては理解されていることと思います。
確かにkintone開発において、サービスやプラグインを使わずにカスタマイズして納品することは可能です。ただしそのやり方は、複数の案件が並行するにつれ、だんだん厳しくなってきます。私個人の感覚では、一人で並行できるのはせいぜい30案件が限界かと思います。
JavaScriptカスタマイズだけで、じっくり取り組めるような長期の開発案件は、弊社にはまだそれほど多くありません。もちろん、弊社でもいくつか安定的な継続案件は請けており、それらはJavaScriptでカスタマイズしています。
そうした案件は、弊社の経営の安定に寄与していますが、引き合いを頂くkintoneの案件の大半は、短納期でスポットの案件、つまり、金額的にも少なめな案件が多いです。
という事は、短いスパンで次々と実装を繰り返していく必要があります。複数の案件を同時並行でこなさねばなりません。その都度、JavaScriptでコーディングしていてはとてもこなしきれません。
そのトレンドを考えると、プラグインや各種のサービスを使いこなさないと経営の維持は難しいという結論に至ったのです。kintone開発をやっていくならば、ですが。
従来のシステム構築のやり方でキャリアを積み、実績を上げてきた方にとって、短納期で開発期間が短い案件を同時並行で複数行うことは考えにくいはずです。
ところがkintone開発ではそれが可能です。まさに価値観を変えるほどの違いです。

昨年にも増して、ローコード/ノーコードツールの定着が進んでいる昨今、技術者は複数の案件を同時にこなすことが求められるはずです。
今後もこの傾向は変わらないでしょう。もう後戻りはできません。一人がじっくりと開発に集中できる案件はそうそうありません。
であれば、新しいシステム構築のあり方を学ぶ機会は今しかありません。そうでないと、5年後には技術者としての生計が厳しくなっていきます。

そもそも、AIがコーディングのあり方を根本的に変革している今、技術者がいつまでコーディングしていられるのか。それすら心もとなくなりつつあります。

こうした技術者界隈の流れ、特にkintoneなどのノーコードツールに顕著なこの流れを、技術者ではない弊社役員の妻と総務・経理・人事を担当している長女にも理解してもらう必要があります。そこで、昨年から長女に、今年からは妻にもkintone hiveに参加してもらいました。
妻は、オーガナイザーとして甲府地域クラウド交流会(ちいクラ)を無事に成功させました。私が妻を地域クラウド交流会のオーガナイザーに推挙した理由は、kintoneエコシステムに本気で関わって欲しいという狙いがあったことは、先日のブログでも書きました。
そんな妻にとって、今回が初体験のkintone hiveがどのような効果を及ぼすのか。kintone Caféに初めて参加したのが昨年の春、Cybozu Daysも昨年秋が初めてだった妻は、そもそも技術者文化も知らず、kintone界隈の文化にも慣れていません。kintone hiveの雰囲気を体験したことを、今後の弊社の経営や活動にうまく生かしてほしいと考えました。
その成果を、どのように弊社メンバーのモチベーションの向上につなげていくか。

今年も弊社は集合時に全員が揃うことに失敗しました。
一名が集合時間に遅れたため、4名で会場に入りました。終わり間際に遅れてきたメンバーとは合流できましたが、途中で1人が家庭の事情で帰ったため、今年は5人揃っての写真撮影はできませんでした。その代わりに、4名が揃った飲み会の写真を後で掲示します。

さて、kintone hive 2024 Tokyoが始まります。
先日のkintone hive 2024 Osakaにも参加した私ですが、東京ではどのような方が事例を共有してくれるのか楽しみでした。


今は多様性の時代です。サイボウズ社もまた多様性を前面に打ち出しています。
つまり、東京であろうと地方であろうと差はありません。
全国各地の予選のkintone hiveはレベルが高く、東京が情報優位だった時代は昭和で終わった象徴のようです。
どの地域の代表者がCybozu Days 2024のkintone AWARDで勝つか、全く予想ができません。


今年、進行を担当されるのはサイボウズの沖さんです。
各地のkintone hiveでは、サイボウズのそれぞれの地域の方が見事に司会進行を務めてくださっています。
今回もありがとうございました。

そして、沖さんからのご説明の後、いよいよ登壇者が続きます。


株式会社アクタス 青松さん、小鎚さん


アクタスさんは、ヨーロッパを中心とした家具、テキスタイル、インテリア小物全般の輸入販売を行っており、中古家具の取引もされているそうです。
https://www.actus-interior.com/


案件ごとに15の工程が必要という複雑なフローをどうするか。
kintone兄弟と社内で並び称され、社内にkintoneを広めたお二人がタッグを組み、活躍するまでのお話です。


社内で孤独なkintoneのアーリーアダプターとして活動していると、仲間が欲しくなる瞬間があります。そんな一人で頑張る方を見て、周りの賛同者が次々増えていく。私たちはこんな光景をこれまでにもkintone hiveやkintone AWARDでたくさん見てきました。

まさにこのお二人もそうです。
孤独に戦っていた頃から、社内の業務システムの担当者が必要性を感じてkintoneに賭ける。そして二人の先駆者がタッグを組んで社内に新たなムーブメントを巻き起こす。まさにkintoneやサイボウズ社が掲げるチームワーク溢れる社会とは、こういう最強のつながりから広がっていくはずです。

冒頭の登壇なので、少々緊張していた様子が見えましたが、私たち観客には二人のチームワークの思いがしっかり伝わりました。


インデックス株式会社 牧さん


続いては面白い案件です。建設業のプロジェクトマネジメントを専業とする会社がkintoneを導入する事例です。
https://index-group.co.jp


建設現場では、工期が順調に進んでいるか。予算や工程管理が予定と実績で乖離していないか。プロジェクトマネジメントを行う上で、さまざまなツールがあります。一方で、そうした作業が定型化できるようでできないところが、プロジェクトマネージャーの悩みだと思います。
そんな悩みを自分たちでkintoneを用いて工夫することで、チームワークを社内に根付かせた事例です。
プロジェクトマネジメントの会社は、自社に知見がある分、さまざまなDXのためのシステムを導入します。
そのDXのためのシステムが投資した費用に比例する効果が出ていないと知るや、牧さんは現場が使いにくいという不満を汲み取り、社長に熱を込めて直談判し、社長からkintone導入の決済を勝ち取るのです。まさに熱意こそが会社を変える良い事例です。

私もお客様との商談の際、ここぞというときに熱を込めます。すると相手にも伝わるんですよね。牧さんの熱意も同じだと思います。社長にその熱意が伝わり、見事kintoneによって社内が変わったという好事例でした。


ケアパートナー株式会社 橋本さん


3番目は、はっしーさんです。

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私ははっしーさんから事前に登壇する旨の連絡をいただいていました。
あちこちのkintone Caféでは、はっしーさんとは遭遇しています。こういうkintone仲間が、一念発起して晴れの舞台に立つのは本当に嬉しいことです。
ましてや、はっしーさんはこの10日ほど前に弊社が主催した甲府地域クラウド交流会にも神奈川から名古屋経由で足を運んでいただいたありがたさがあります。当然、私の応援にも熱が入ります。

今回は自己紹介からスイーツ食べ歩きの趣味をあえて外し、勝負モードで来ていました。


壇上ではっしーさんがお話しされたのは、データを蓄積し、それを活用するkintoneの本質に立ち帰った内容です。
私たち開発側にとっては、まずどこにkintone導入の価値を置くべきかが重要です。
言うまでもなく、kintoneを導入すれば終わりではありません。むしろそこからどう社内に浸透させていくかが重要です。
kintoneのシステム導入に終わりはありません。


その意味でも、はっしーさんの登壇内容は私たちに伝わりました。社内でもマイスターという制度を作り、はっしーさんに続いて社内でアプリ開発者を育てていく取り組み。その取り組みを推進するためにも、はっしーさんがまずこの場に立ち、皆さんに取り組みをアピールする。その姿勢こそが、社内のkintone浸透において重要なのだということですね。胸を打たれました。

さて、はっしーさんの登壇を終えて、一旦休憩です。
私もその場でお客様とお会いするなど、休み時間を有効に使いました。
今回のkintone hive 2024 Tokyoでは、弊社のお客様が4社計6名の方が参戦してくださいました。

noteにも書きました(7月11日 kintone hiveにお客様を呼んだ理由)が、お客様に弊社がkintoneエコシステムの中できちんと情報収集をし続ける会社であると示すことに加え、最も大事なのは、お客様自身がkintone hiveの場において成功イメージを自分のものにしてほしいことです。
今回、私の思いはおそらく伝わったのではないかと思います。


株式会社小善本店 小林さん、松川さん



さて、休憩が明けて登壇は続きます。のり。海苔です。海苔で世界に勝負する小善本店さんです。
https://kozen.co.jp/
海苔をコアビジネスとする会社さんがkintoneを使った事例です。しかも、基幹システムからすべてkintoneに乗せ換えたというから見逃せません。


基幹システムがあり、その周辺のシステムでkintoneを使う事例はすぐに想像がつきます。しかし、基幹システム自体をkintoneで構築する方が難易度が高いのは当たり前です。
販売、仕入、顧客管理、商品管理、売上請求、入金消込など。しかも今回の事例では生産管理までkintoneを使っておられるとか。大したものです。私も生産管理までkintoneを使うという事例は手掛けたことがありません。


スライドにはクリーンルームと思しき場所で壁に設置されたディスプレイを見ながら、皆さんがkintoneの画面で生産管理を行っている様子が見えます。
生産管理にkintoneを使うのは、なかなかの難易度の高さだと思います。
その取り組みを見事に成し遂げ、しかも新入社員が入社後間もなくデータ入力の仕事に投入され、それにもかかわらずその方がkintoneに可能性を感じ、このような場に登壇してくださること自体が、まさにkintone導入が成功した証でしょう。

弊社のお客様もこちらの小善さんをよくご存じだとか。私も一度訪問してみようと思いました。


株式会社成田デンタル 吉原さん


続いては吉原さんです。
https://www.narita-d.co.jp/

吉原さんも私には知己の方です。ただし、私にとって吉原さんはサイボウズ Office推しの方として認知されていました。
あれ?吉原さんがサイボウズ Officeではなくkintone推しで登壇しているとは、結構意外でした。


ですが、吉原さんの登壇内容を聞いていると、なぜサイボウズ Officeからkintoneに乗り換えたのか得心しました。サイボウズ Officeパッケージ版が終了するとのアナウンスは私も知っていました。実際、お客様のサイボウズ Officeをパッケージ版からクラウドに移行する作業を手掛けたこともあります。
ところが、クラウド版のサイボウズ Officeは300アカウントしか使用できません。つまり、社内でシステムを利用するにはアカウント数が足りないのです。だからkintoneに変えるしかありません。
そこからの巻き返しの流れが素晴らしかったし、おそらく吉原さんが会社の中で苦労し、kintoneを理解しようと努力した信念の強さを感じました。


個人的には、吉原さんがトヨクモNightで語られたフォームブリッジの見事な活用事例に感銘を受けていましたが、今回は敢えてそれを封印し、それ以外の導入において説得力を持った社内の風土作りや、社内カルチャーの変革を成し遂げたことが、皆さんに支持されて見事にkintone AWARDへの選出につながったのでしょう。
本当に誇らしいと思います。


司法書士法人NCP 山下さん、酒井さん


続いては「kintoneで全国行脚の旅」というパワーワードで登場したお二人です。
https://www.ncp-law.com/shihoushoshi/index.html

この言葉を聞いて、俺のこと?と思わずXでポストしてしまったら、また別の方がそれに反応するという反響が巻き起こりました。

山下さんのテンポのよいトークと酒井さんの掛け合いは、それだけで社内の導入のノリが感じられました。
やはり印象に残ったのが、全国の事業所にkintoneを導入するにあたり、zoomやマニュアル配布でやろうとせず、全国の事業所に直接伺って、説明するやり方をとったところです。


私たちもkintone導入に当たって、お客様への説明は必須ですが、私は可能な限りお伺いするようにしています。
今、そういう案件が増えたため、私から余裕がなくなっていることも事実です。が、お伺いしてkintoneを説明することの大切さは今も感じています。今回のNCPさんの事例を聞いて、そのことをあらためて感じました。

ちなみにNCPさんのkintoneポータルの画面が出ていました。こちらのアイコンを見て、長女がお客様のkintoneポータルを見やすくし、好評をいただいているようです。


東京電力エナジーパートナー株式会社 久保さん、櫻井さん

続いてラストを飾っていただくのは、東京電力さん。いわゆる大手ユーザーの事例です。
https://www.tepco.co.jp/ep/index-j.html

大手ユーザーだからこそ、考えなければならないことが多々あるはずです。
東京電力エナジーパートナーさんでも、2人から500人までアプリ作成者を増やすにあたって、多くの工夫ポイントが紹介されました。
まず、皆さんに丁寧にアプリの作り方を説明することで、アプリ開発へのハードルを下げたことです。さらにポータルの使い方を工夫することで、皆さんがさらに使いやすくなるような工夫が印象に残りました。


kintone導入にあたって、管理やガバナンスの問題は必須です。
例えば削減時間算出アプリといった工夫で、kintone導入へのモチベーションを下げないような工夫があり、これは取り入れてみたいと思いました。


年間で30000時間もの作業時間を削減するのは並大抵のことではできません。
また、ガバナンスについては導入支援社として、今後は提案にあたって必須のスキルとなっていくことでしょう。
私も勉強し続けなければならないと感じています。

さて、皆さんの登壇が終わったところで、休憩時間です。

私はこの時間も生かし、お客様と弊社のメンバーを繋いだりといった活動をしていました。


休憩明けには、壇上にサイボウズのかんちゃんと石井さん、筋さんが上がっています。キンコミについてです。

先日のkintone hive 2024 Osakaの場においても、キンコミについての同じようなセッションがありました。その時は私もキンコミにログインをしなければと思ったのですが、それ以降、一度だけアクセスした程度で、全然ログインができていません。活用もできていません。まずいなぁと思いました。
ただ、今回はうちのメンバーがその登壇を見てくれています。うちのメンバーがキンコミを使ってくれるのではないかと思いました。


そしてその後は投票タイム。吉原さんが関東地区代表として選出されました。改めて、おめでとうございます。
もちろん帰る前に東京会場限定のプリクラシールで写真を撮る事は忘れません。今回もたくさんの方と一緒に写真を撮りました。


そして夜は、うちのメンバー4名に加えて、たくさんの外部からの仲間が加わってくれて、総勢9名ほどで韓国料理のお店で飲み食いしてました。そのお店にはkintone hiveで参加されていた皆さんも集まっていたので、そういった方々とも交流を取りながらです。

うちのメンバーには、kintone界隈やkintoneエコシステムの交流の実態が理解してもらえたのではないかと思っています。

これも同じくnoteに書きました(7月10日 kintone hiveに弊社メンバーを呼んだ理由
 https://note.com/akvabit/n/n7e5242a699d9)が、うちのメンバーにもそういう交流をもっと行って欲しかったので、まずは狙いは成功だったのかなと思います。

今回お会いしたすべての皆様に感謝です。


2024年の抱負


明けましておめでとうございます。

昨年末にアップした投稿にも書きましたが、昨年度は皆さま、本当にいろいろと有難うございました。
今年も引き続き、よろしくお願いいたします。

今年も抱負を書きます。
本稿の内容は年末にある程度まで考え、元旦に熟慮しました。

一年の計は元旦にあり、とはよく言ったもので、忙しくなってくるとこの言葉の意味がよくわかります。もう正月ぐらいしか計画をゆっくり考える時間がありませんから。
この抱負を仕上げた後は、詳細の内容についてより考えを深めます。そして、昨年末にアップした投稿にも書いた反省を生かし、改善する一年にします。

昨年は案件の増加に備えて3月に1人、4月に3人のメンバーを増やしました。また、既存の外注メンバーの二人には正社員になってもらいました。
ところが、増える一方の案件をこなす速度が釣り合わずにメンバーは疲弊し、増やしたメンバーのうち3人が去ってしまいました。研修計画や教育体制やその他の基盤が未整備なまま採用を急いだ焦りが招いた失敗です。

そうした経験を通して痛感したのは、弊社の企業としての基盤が未整備であることです。各自が個々に動いてしまいがちの弊社で、チームとしてのまとまりがとうとう持てませんでした。

その理由がフルリモートワークの弊害であることは確かです。また、フルリモートワークを遂行するにあたり、統一した事務手続きや研修資料、そして開発にあたっての各種のガイドラインがないことも致命的でした。

あと、もう一つ、うまく行かない理由として挙げられるのは、私の目指す会社の方向とメンバーのそれがずれていたことです。方向だけでなく、そこにいくための手段についても。

まず抱負として挙げるべき当面の目標。
それは、この正月にガイドライン(アクアビット蒸留書)のドラフト版を作り上げることです。
それと同時に、経営理念や企業理念を考え直し、業務計画を作り直すことです。

まずやるべき事を以下に書きます。

1.ガイドライン作成

昨年5月の連休に集中して作ったガイドラインを仕上げます。少なくともドラフト版として内部に出せるレベルには仕上げるつもりです。

昨年作った版は、案件の引き合いから商談、そして契約に至るまでは現状の運用の七割程度は盛り込めたはずです。ところが、開発ガイドラインに着手したところで連休が終わってしまい、そのあとは業務の多忙にかまけて全く進められずにいました。

そのあと、経営が苦しくなると、ますますガイドラインの整備に時間を使う余裕はなくなりました。
また、経営のやり方を変えなければと思うとともに通常の開発のやり方の限界を悟り、伴走開発やサービス提供に舵を切りました。それによって開発のやり方自体に変更が生じ、ガイドラインの必要性がはますます増しています。

今の弊社に足りないのは生産性です。
各自の作業を細かく見ていると、既存のロジックを再度作り直すか、既に作成したコードを構築しなおしているケースが散見されます。
各個人単位ではそうしたことはないはずです。が、別のメンバーが既に作っているコードを再発明したり、すでにある調査結果を再度読み直したり、といったことが起こっているようです。
そうした無駄や重複の部分を弊社内できちんと整理し、業務手順として作り上げる必要があります。それがガイドラインの目的です。

いうまでもなく、マニュアルは読むためにあるのではありません。各自が作り上げていくためのマニュアルです。その点については、昨年の師走に参加した「CHALLenGERS」の中で紹介されていた『無印良品は、仕組みが9割』の中に書かれていました。
作業そのものをまねるためにやり方が逐一書かれたマニュアルは必要ありません。
それよりも、誰がなんのために、いつやらなければならないのか。何故それをするのか。そうした作業の目的を明確にし、個人に視点が固定されないためのガイドラインが必要なのです。

そのガイドラインを(アクアビット蒸留書)と名付けます。

アクアビット蒸留書に盛り込むべき内容は、弊社のありとあらゆる作業です。引き合いから商談、契約に至る作業。経理の上で重要な記帳に関する作業。また、人事・労務に関する手続きや総務に属する作業。
そして、アクアビット蒸留書は永遠に未完成です。常にドラフト版でありながら、全員でこれを研修計画や教育体制が整っていない間に磨き続け、少しでも正規版に近づけるよう努力します。そして全員が遵守します。

そのため、アクアビット蒸留書は月一度、定期的に更新していきます。個人のノウハウややり方がアクアビット蒸留書に書かれているよりも優れているのなら、それを無理にやめさせるのではなく、むしろアクアビット蒸留書に取り込んで全員で共有します。
アクアビット蒸留書がその純度を増すごとに、余分な作業で時間を使うことが減り、案件の実装が円滑にいき、納品までの速度が増えるはずです。

2.弊社の業務の五分割

弊社の業務を大きく五つに分割し、担当者と目的を整理します。

昨年の反省として、代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋められなかったことが挙げられます。
メンバーの立場からすると、既存の案件がまだ終わっていないのに、次々に新しい案件が飛び込んでくることで既存案件が積み残され、心理的にストレスになっていました。
また、あちこちを飛び回って新たな案件や考えや技術を持ち込んでくる代表についていけない事もストレスになっていたはずです。
新たな案件もいいけど、それよりも既存案件を単価を上げてしっかり維持する。そして案件の数は少なめにし、メンバーのフォローをしっかりすべき。そんなメンバーの不満を感じました。

それももっともで、一番ひどい時にはあるメンバーが十個強の案件を抱えていました。これは改善しなければ。

ただし、まず前提として考えておかなければならないのは、固定の案件ややり方を墨守していては会社の成長が見込めないことです。このAI時代にそんなやり方で会社が続くはずがありません。ましてや弊社のような零細企業が。
また、代表の性格的にも同じ案件ややり方を続けることはできません。そんな苦痛さえ感じるやり方では経営意欲にすら影響を与えます。

その相反する矛盾を解消するため、弊社の業務を五つに分けます。

一つ目は、既存の大型継続kintone案件です。
大口でかつ継続のお客様は単価を上げてもらいます。その上で、既存のカスタマイズ手法を踏襲したまま、引き続き開発にあたります。案件によっては伴走に近い形でやっているものもありますし、半常駐でがっつりやっている案件もあります。
これらのお客様は、弊社の経営の安定に欠かせません。が、それ以上にお客様から信頼をいただいていることが一番重要です。今年はこれらの案件を優先し、引き続きお客様のために力を尽くします。別紙に書いた案件が該当します。

二つ目は、既存のkintone開発案件です。
これらの案件は、伴走開発のやり方も取れないまま、既存のJavaScriptカスタマイズによるやり方で追加スポット保守や追加開発を続けています。別紙に書いた案件が該当します。
これらの案件は徐々にJavaScriptカスタマイズからプラグインやサービスを利用する形に変えていきますが、当面はJavaSctiptカスタマイズが必要になるでしょう。
また、この後に述べる三つ目の伴走開発の中で開発が必要になった作業も、随時この既存のkintone開発案件に加えていきます。

まず弊社メンバーにはこの一つ目と二つ目に集中してもらいます。
多くても一人当たり四つの案件に絞り、集中して当たってもらいます。

三つ目は、新規の伴走開発案件です。
これらは代表の私が主に携わります。
伴走案件の場合、アプリ構築やカスタマイズはお客様が行います。
カスタマイズを行う際はJavaScriptはなるべく使わず、既存のプラグインやサービスを積極的に活用します。
新たな案件が増えても、うちのメンバーには作業を振りません。一旦、代表の私の方で要件定義や伴走開発を行います。別紙に書いた案件が該当します。

四ッ目は地域活動やコミュニティーです。
代表の私は今年もまだkintoneエバンジェリストを続ける予定です。また、今年は弊社役員の妻が地域クラウド交流会のオーガナイザーとして本格的に活動を始めます。

代表はkintoneエバンジェリストとして、引き続きkintone Caféや各種のセミナーに積極的に登壇します。昨年の登壇回数は18回でした。そこで今年は登壇の回数を増やし、25回を目標にします。
そうした活動からは、地域活性化など、いくつかの案件の種も芽生えつつあります。今年も引き続きそうした活動に関わっていきます。
別紙に書いた案件が該当します。

また、オーガナイザーの妻も6/29に予定されている山梨での地域クラウド交流会を必ず成功させ、山梨県で弊社の基盤を構築します。

三つ目と四つ目に代表の私が当たることにより、私の持つ拡大・新規志向を満たすとともに、新規案件の創出も実現させます。

五つ目は新規サービスの開発です。
昨年、3つの新規サービスをリリースしました。
今年はそのサービスをより拡充していきます。そしてサービサーとしての認知度を上げていきます。

弊社の強みは、外部のSaaS/PaaSとの連携実績が多数あることです。そこに弊社の価値を打ち出し、アピールしていきます。

今年11月にはCybozu Daysが開催されることが発表されています。
そこに焦点を当て、当日は新規サービスをベースにブースを出展する事を目指します。
別紙に書いた案件が該当します。

3.評価制度・賃金テーブル・人事計画

弊社の業務を再構築した結果を基準にし、もう一度弊社の経営計画を作り直します。そこには評価制度・賃金テーブル・人事計画のそれぞれを改定し、盛り込みます。

すでに作成したビジョン・ミッション・バリューや人材育成や課題に加え、5年先の財務計画や人員構成計画や、評価制度・賃金テーブル・人事計画も全て作り直します。

弊社は、そもそもKPI(重要業績評価指標)設定が全くできていませんでした。評価制度以前の問題です。そのため、何を目標とし、個々のメンバーは何をすれば達成感や成長を感じられるのかがあいまいになっていました。
メンバーのモチベーションが極めて持ちにくい状態になっていた状態を改善します。

今年からは人事評価について、アクアビット蒸留書に書かれた内容をベースに考えていきます。
アクアビット蒸留書の中では、KPIの設定とその基準について詳しく決めていきます。

もちろん、決めていくにあたっては引き続き外部の力が必要です。ただし、自社で決めていくしかない事も分かっています。

4.コミュニティ・出展

コミュニティへの関与やCybozu Daysをはじめとした展示会への出展は弊社にとって大きなアピールの機会です。

今年のCybozu Daysの開催日は11月7-8に決まっています。今年も弊社は出展する予定です。
出展にあたっては、弊社の役員や経理人事担当が企画から当日まで積極的に関わります。また、代表の私も企画や出展までの準備を任せきりにせず、社運を賭けて準備にあたるつもりです。そのため、ここ数年のやり方を変え、自社のみで出展する事を念頭に準備にあたります。

出展にあたっては、上に書いた五つに分けた弊社業務のうち、新サービスをメインに打ち出します。また、代表の私のネームバリューは最大限に利用する予定です。

代表の私のネームバリューを有効に活かすためにも、代表のコミュニティへの関与の頻度を上げていきます。登壇回数は25回を目標にしますし、それも5分程度のLTではなく、より長尺(20-60分)の登壇についての回数で25回を目指します。
そのためにも、自ら積極的に登壇の機会を増やします。今までのように頼まれたり、依頼を受けたりした後に動き出す受け身の登壇ではなく、積極的に登壇機会を作ります。
また、地方でのセミナーや勉強会出席も引き続けます。

昨年の師走に弊社は山梨で独自イベント二つの創出に関わりました。そのうちの一つは弊社主催です。今年もすでに栃木でのkintone Café開設に関わっています。それだけにとどまらず、コミュニティの創出にさらに関わっていきます。

また、役員の妻が地域クラウド交流会(ちいクラ)のオーガナイザーとして山梨での開催を準備しています。
各地で開催されるちいクラにもなるべく代表の私も参加するようにします。それによってkintoneエコシステムの一員として貢献し、認知度も上げます。

また、各地の地域創生や活性化にも関わる予定です。
今までは単なる参加者でしたが、今年からは違う関わり方を模索します。

まずは一月の城崎と糸魚川から。
そして、一月の戸田市での新年会での展示から始めていきます。

5.ビジョン・ミッション・バリュー

代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋めるため、もう一度弊社の目指す方向性を定めます。

企業理念

「一期一会の儲けよりお互いが継続して協業できる幸せを
最新技術をお客様、地域に提供し、メンバー、家族、パートナーと輪になって幸せになる」

・うそはつかず、でも失敗は認める会社であるべきです。

目標

「2027年3月までに
・正社員8名 外注パートナー10名に
・社員一人当たりの粗利を 150万円に
・サイボウズパートナーの賞を受賞
・他SaaS/PaaSでももう一つ今のkintone並みの知名度を得る」

価値

①システムを継続してもらえる品質と対応を行います
②技術に偏らず、お客様ビジネスの現場を尊重します
③経営を継続するための自社サービスを生み出します
④社員・協力社・技術者・家族の事を大切に考えます
⑤顧客とともに一期一会でない継続の関係を築きます
⑥技術の進化に先手を打ちながら、自社も進化します
⑦世の中の働き方改革に貢献する手本となり続けます
⑧地域の非営利組織・団体のために技術で貢献します

上記に書いた内容のうち、目標と価値はあまりいじりません。ただ、企業理念と経営理念はもう少し練り直します。
また、それらを基にしたより具体的な経営計画をこの正月に作り込む予定です。

6.ワークライフバランス

代表の私の拡大・新規志向と、メンバーの会社や仕事に対するモチベーションの違いを埋めるためにもう一つ必要なのはワークライフバランスへの考え方を整理することです。

公私の充実を両立させたいとする私の価値観はいささかも揺らぎません。
ただ、昨年は残念ながら私の日常は全て仕事にとられてしまいました。それは誰の責任でもなく、私の招いた因果です。

弊社のメンバーには無理な残業や休日の仕事はさせずに済んだはずです。ただ、それでもストレスを感じさせてしまったとすれば、それが今の働き方の標準なのでしょう。
昭和どころか、平成に若手だった私の働き方すら、今の若い人から見ると異次元であることを認めます。

ただ、私自身が仕事の苦しさや経営の辛さに負け、会社の統制を強化したり、ブラックな働き方をメンバーに強いたりすることは厳に慎まねばと自戒しています。
案件をどれだけ受けてもこなせるだけの仕組み作り。これが今までの弊社に欠けていました。仕組み作りをきちんと整備し、代表の私も含めてワークとライフのバランスがとれるようにします。
先ず隗より始めよ。その言葉通り、私から率先してワークライフバランスを整えます。

私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。

7.事業継続のためのその他の施策

経営を継続させるため、BCP計画(事業継続計画)も定めます。
ちょうど本稿を書いている最中、元旦に能登で震度七の地震が発生しました。
弊社も富士山噴火や首都圏直下型地震が起こった時に備えておかなければなりません。

事業を継続するための山梨に拠点を設ける計画も今年中にはめどがつくはずです。

もう一つ必要な施策は、発信を継続的に行うのが代表のみであることです。それは弊社の弱点だと認識しています。
個人商店ではなく、会社としてのアクアビットのためには、代表以外にも定期的に発信を行う必要があります。
弊社メンバーも思い立った時はイベントの時には発信をしてくれます。ですが、それをもっと自発的かつ随時やってもらうように働きかけます。

8.個人的な抱負

ここからは6.で触れたとおり、個人的な抱負を書きます。
私は遠方に出張することによって、旅への欲求を満たしてしまうきらいがあります。そして、ワークライフバランス目標への飢餓感が薄れてしまう可能性があります。そのため、プライベートの目標をこの場できちんと書こうと思います。
2023年は個人的な目標をどこにも書かなかったことが失敗の原因の一つでした。

以下に書くのは代表の私の個人的な抱負です。
・家族で宮崎と鹿児島に旅行します。これをもって全47都道府県を制覇します。
・今年は結婚25周年ですので、家族でハワイに行きます。
・次女の彼氏のご両親に挨拶するため、韓国にも行く予定です。
・私自身の個人としてのアピールポイントをkintoneエバンジェリスト以外にも打ち出します。
 ・ウイスキー検定二級合格です。三級に受かってから数年間、ほったらかしになっているので酒知識を貯めます。
 ・もう一つ、新たな趣味も作ります。そのためには苦手意識のある習い事に通って師匠に付くことも厭いません。
・共同著者でもよいので、今年は本の出版のための具体的な一歩を踏み出します。
・訪れる場所や読んだ本や観た映画の数は、昨年と同程度をめざします。

ただ、そのワークライフバランスの実現は、アクアビットの経営が継続できるための基盤を確立してこそです。
私のワークライフバランスが整うときは、弊社の経営も軌道に乗った証しです。
そのバロメーターとして個人的な抱負の達成を目指します。

上記、1ー8までが2024年の抱負です。
ガイドライン(アクアビット蒸留書)を整理し、そのためにも弊社の業務を五つに分割します。ビジョン・ミッション・バリューも定め、コミュニティや出展の目標も掲げました。これらを実現させるために今年一年、懸命に努力します。

これらが実現した暁には、弊社の経営は好転するはずです。

ただし、それまでにも決めるべき事、やるべきことはたくさんあります。

ですが、今はAIがあります。
弊社でも使っていますし、サービス運営者やAIの開発者とも密につながっています。
AI元年に遅れをとらないよう、抜かりなく準備を進めていきます。


kintoneで詰まった時の問題解決



kintone Advent Calendar 2023
の21日目の記事です。

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皆さん、kintone使ってますか!?

このページをご覧になっていると言う事は使っているはずですよね。

ユーザーとして利用する方、業務改善の道具として使う方、開発者として沼っている方、メシの種にしている方。それぞれだと思います。

システム開発に共通ですが、kintoneを使っていると、なんでや?と言うはまりポイントがあります。そのはまり方と、そこからの抜け出し方について、先日二つほど良い事例に出会いしました。
なお、本稿の内容は技術者として豊富な経験を積んでいらっしゃる方にはたわいもないものかもしれません。
が、システム開発に携わるのがkintoneが初めて、という方もいらっしゃるはず。そういう方向けに本稿を書いてみました。

2.cli-kintoneではまる問題

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一つ目の事例はcli-kintoneです。
皆さん、cli-kintoneは使ってますか?
コマンドラインからkintoneのデータを任意の場所に出力できます。添付ファイルも。
また、任意の場所のcsvファイルをkintoneにインポートもできます。もちろん更新も。
バッチ処理もできるのでとても重宝します。
cli-kintoneサイト

普通の環境であれば、cli-kintoneはすぐに使えるはずです。

が、とあるお客様の環境では、これが全くつながらなかったんです。
このようなエラーに弾かれていました。


[2023-12-01T09:00:00.000Z] ERROR: error: Client network socket disconnected before secure TLS connection was established


[2023-12-01T09:00:00.000Z] ERROR: AxiosError: maxContentLength size of Infinity exceeded


[2023-12-01T09:00:00.000Z] ERROR: error: 403: Forbidden


[2023-12-01T09:00:00.000Z] ERROR: error: unable to verify the first certificate

そのお客様の環境は、ビルから外に出る通信はまず設置されたファイアウォールによって制限されます。さらにインターネットを経由する通信は離れた場所にある情報センターを必ず通ります。そこではProxyサーバーが設置されています。
kintoneにはBasic認証、id/pw認証に加え、ipアドレス認証またはセキュアアクセスも使っています。要するに厳重な防備が敷かれているのです。

これらのパラメーターの値を変更することで、上記のエラーは変わります。

こういう場合、通常ならば情報センターに問い合わせをします。エラーになった時間帯のパケットの調査を依頼し、何の設定値がおかしいのか、何がパケットの通信を阻害しているのか。
端末からkintoneサーバーまでとその逆の通信経路を追っかけます。

ところが、膨大なパケットを日々扱っている情報センターに対し、ログを取って欲しいと安易に調査依頼をすることはできません。
かといってこちら側のエラーメッセージも原因を追求するにはあまりにも不十分なものです。コマンドプロンプトからpingコマンドやtracertコマンドやnslookupコマンドを打っても根本的な解決にはなりません。
そのため、解消にかなりの時間をかけました。五里霧中を歩むがごとき。

3.問題解決のケース1

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この時に私が採った問題解決手法は総当たりです。
問題解決の手法では山登り法と呼ばれるものに近いかもしれません。

cli-kintoneにはたくさんのオプションが設定できます。ユーザー認証情報、basic認証情報、proxy設定情報、証明書情報。
それらを全パターンの組み合わせで調べ、どの組み合わせパターンだとうまくいがないかを一つ一つ潰しました。
もちろん、そもそもの設定値が間違っているとつながらないので、それらは可能な限り知見を持つ方に事前に聞きました。

その甲斐あって、無事にcli-kintoneで接続に成功しました。

ただ、ここで言っておくべきは無闇矢鱈に試したわけではないことです。
上に書いた通り、cli-kintoneの公式サイトには接続にあたってのオプションが全て載っています。(–helpオプションに出てくるコマンドのうち先頭の二つはサイトには載っていませんが)

つまり、最初から試すべきパターンの上限枠は用意されているのです。後はこれらに基づいて組み合わせを試すだけ。

こうした総当たりを試すしかないパターンは、システム開発ではたまに起きます。
もし、五里霧中でどうしようもなくなった時も、ありうる組み合わせを全て試せば、必ず答えがあります。

総当たりを試す場合の判断基準は以下のとおりです。
・有識者から正しい設定情報を入手できること。
・パターンの上限を見定め、実行可能であること。
・自らのリソースで実行可能であること。
・システムに負荷がかからないこと。
・失敗によるデータ破損紛失の恐れがないこと。

それらが満たせれば、あとは根気よくパターンを試すのみです。

kintoneはプラットフォームです。幸いなことによほどのことがない限り壊れません。安心して試してください。
そして、kintoneもcli-kintoneもきちんとテストされた上でリリースされています。
設定値さえ正しければ、必ず何かのオプションで状況が打開できるはずです。
ぜひ頑張ってください。

ここでの問題解決の方法は、
・有識者から正しい設定情報を入手する。 ・・・正しい情報
・パターンの上限を見定める。 ・・・解決手段の見積
・システム負荷、データ破損を防ぐ。 ・・・影響範囲の確定

4.kMailerではまる問題

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続いて二つ目の事例は上の件と同じ日に問題解決しました。kMailerについてです。

トヨクモさんのkMailerはkintoneからメールを送ることのできるサービスです。
メールテンプレートアプリを設置し、メール履歴アプリを設置し、アドレス帳アプリを設置します。

メールテンプレートアプリや送信履歴アプリ、ログアプリはトヨクモさんがテンプレートを用意してくださっています。
テンプレートアプリについて

あとはそれらをkmailer専用の管理画面から設定し、生成されたJavaScriptをkintoneのアドレス帳アプリに組み込むだけ。

メールテンプレートアプリは、各レコードにメールのテンプレートを保存できます。
メール送信画面で、設定したメールテンプレートを呼び出し、必要に応じて手を加えれば、アドレス帳のレコードに応じた送信先にメールが送信されます。アドレス帳アプリの任意の項目の値をにタイトルや文面に差し込むこともできます。
とても便利なサービスです。

製品サイト

お客様が送りたいメールはビジュアルを整えた形。クリスマスメールが送りたいの!
当然、メール内には季節感あふれる画像も添付します。つまり、HTMLメールです。

メールテンプレートを設定する際も、HTMLメールを前提にビジュアルを整えたい。それは当然ですよね!

ところが、トヨクモさんにご用意いただいたメールテンプレートアプリの中にある本文を格納するフィールドは<文字列複数行>フィールドです。
<文字列複数行>フィールドだと、見栄えが整えられません。そこで私はフィールドコードを変更した上で本文を<リッチテキスト>フィールドに格納するように変更しました。

これにより、お客様がメールテンプレートアプリで見栄えを整えられるようにしました。あとはメール送信画面からテンプレートを呼び出し、必要に応じて微調整を行ってもらえます。
お客様のご要望を満たせてばっちり!

・・・とは、いきませんでした。

まず、一つ目の問題。

お客様のご要望は、ビジュアルのメール本文に画像を含める事でした。
ところが、kintone上の画面上では画像が添付できるのに、保存すると画像が消えてしまいます。<リッチテキスト>フィールドを普段使っていない私の無知がばれてしまいました。
ということは、お客様は毎回メール送信画面上で画像を添付し直さなければなりません。これは大変。

しかもテストメールを送ってみたところ、添付されている画像の代わりにエンコードされた文字列が延々と連なっています。
いやぁぁぁぁぁぁぁ!!もはやホラーです。

ホラー以前にそもそもメールとしての根本からあり得ない状態です。それでいながら、宛先によってはきちんと画像付きのメールが送信できているのが謎。

二つ目の問題は、項目の差し込み機能がうまく動かないことが発覚したことです。
メール送信画面ではアドレス帳アプリの任意の項目を画面から差し込めます。
項目を差し込むことによって同じ文面のメールを送っても、差し込み項目の値に応じてメールの文面は変わります。名前とか。
差し込み機能は多くのお客様にメールを送信するお客様にとっては欠かせない機能。ところが、この差し込み機能がうまく動かなかったのです。

メール送信画面上で差し込み設定するときちんとレコードの値が差し込まれるのに、メールテンプレートアプリから持ってきた本文の差し込み設定が効かず、メールのプレビューにはカッコつきのまま表示されてしまうのです。
{{姓}} {{名}} 様
のような感じで。

これだと、メールテンプレートアプリが活用できません。そして、お客様は毎回メール送信画面から差し込み設定と画像添付設定をし直さなければならない。これは問題です。

5.問題解決のケース2

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この疑問をXにポストしてみたところ、トヨクモのとある方が拾ってくださいました(感謝!!)。そしてしばらくやりとりさせてもらいました。すると、理由が解決しました。
要するに、私がメールテンプレートアプリ上で本文を格納するフィールドを<文字列複数行>から<リッチテキスト>に変えたことが一連の不具合の理由のようです。

私の失敗としては、以下の文章を読み逃していたことです。
「メールテンプレートアプリは、アプリテンプレートの構成のまま利用することを想定しており、変更を加えた場合の挙動は保証しておりません」
ちゃんと書かれてる! 私がここを見逃していたことが全ての敗因でした。

なお、一連の不具合については、メールテンプレートアプリの本文を格納するフィールドを<文字列複数行>にもどしたことで解消しました。

ただし、まだ問題が残りました。
それは、メールテンプレートアプリにビジュアルのメールを設定できなければ、お客様の効率が著しく落ちる点です。

お客様はHTMLタグが分かりません。そのため、お客様によるメールテンプレートの設定は不可能です。
また、kMailerの「ホーム > メールテンプレート一覧」からはHTMLプレビューも可能です。が、お客様にはできる限りkintone内で完結していただきたいと思うのは人のサガ。
送信予約を見るときはkMailerを使わざるを得ないとしても、kintone側でメールテンプレート作成から送信先のレコード抽出、メール送信までを一気通貫でやり切りたい!

そこで、今回は、私の方でメールテンプレートアプリのレコードを保存したタイミングで、
<リッチテキスト>フィールドの内容を<文字列複数行>フィールドにHTMLタグ付で転記するJavaScriptを作りました。

それによって、お客様がビジュアルのメールをご自身で構築できるようになりました。

また、画像についてはレイアウトがだいたい決まっていました。そのため、オンラインストレージ上に該当する画像を格納してもらい、メールテンプレートアプリの本文の <img src=””> タグにそのurlを設定することで解決しました。
このファイル名は常に同じにしてもらうか、または、下図のようにメールテンプレートアプリのリンク項目を入力してもらうようお客様に依頼しました。ストレージから得られた共有urlはそのままでは使えないため、変更してもらうための注記を加えた上で。

まずは無事にクリスマスメールが送れそうです。よかったよかった。

さて、反省しなければ。
私の反省は、
・kMailerのサイトを熟読していなかった。
・予断に基づいた構築に走っていた。
・kintoneの柔軟性を過信していた。
でしょうか。

ここでの問題解決の方法は、
・基礎となる情報ソースを読み返す。  ・・・基礎情報の重視
・自らの予断を見直す。  ・・・認知バイアスの修正
・有識者からの助言を得る。 ・・・多面的な視野

この3点です。

6.kintoneで一度開発してみてください

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他にも、kintoneでトラブるケースはたくさんあります。
・ユーザーの要望をまとめないままに実装に走ってしまい、ヒアリング不足で変更・追加要望が土壇場で相次ぐ。
・kintoneの性能を甘く見積もっていて、特定の端末でしか限界値テストをせず、本番でトラブる。
・ユーザーの要望に対して過度なカスタマイズをしてしまい、あとで自分の首が絞まる。

どれもが、かつてやってしまったことのある失敗です。
全て、ひいひい泣きむせびながらリカバリーしました。汗顔のいたりです。

ですが、これからkintone開発に入っていただく方は、安心してください。
kintoneはプラットフォーム上で動きます。自分でハードウエアや基盤を用意する必要がないのがkintoneの良さ。簡単には壊れません。いろいろと試して、経験値をためていける環境がすでに用意されているのです。
ただし、ドキュメントはきちんと読んでくださいね。

さらには、システム構築の思考フレームワークというべき「kintone SIGNPOST」もあります。
kintone SIGNPOSTページ
この考えはkintoneだけでなく、既存のシステム開発でも活かせます。システムが無縁でも業務改善に役立ちます。

また、なんといってもkintoneには多くの開発者やユーザーがいます。そうした方々が豊富な知見を日々あちこちでアップしてくださっています。つぶやきで動画でブログでセミナーでユーザー会で。
たまに、この記事のようにしくじり先生よろしく失敗談を書いてくれる人もいます。

ぜひ、kintoneを使って業務改善の当事者として、システム開発の当事者として楽しさを味わってください!


事例:三宝興隆会様


会員管理の基盤をkintone中心とした構成に変更

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三宝興隆会様は、宗教法人・三宝禅に関わる、または三宝禅に直接管理される全ての活動を支援運営する任意団体です。
宗教法人三宝禅は70年以上前から活動を開始しており、禅の精神を世界に伝えるためにさまざまな活動を行っておられます。

日本を発祥とした団体であり、昨今の世界中への禅の広まりによって、世界各国に会員を抱えておられます。その広がりはアジアだけでなくヨーロッパ諸国にも。
今の人類の悩める状況を禅の精神をあまねく広め、人々の悩みに寄り添う。その意思に賛同した世界各国の会員に向け、会報や書籍などによる活動を展開されておられます。

三宝興隆会様は、三宝禅の会員との会費徴収や連絡などを主な業務としていますが、世界各国に散在する会員との会費徴収に課題を抱えていました。
年会費が原則の会費ですが、途中で入会された方や、退会された方に対する月割りの会費徴収業務の煩雑さ。それが改善を要する課題でした。
会員管理にはMicrosoft Accessで作成したデータベースをお使いでしたが、メンテナンス担当の方が年配になっていたことやクラウド連携の必要性など、今後の保守に不安が生じていました。そこでkintoneの導入を判断されました。

正直にいうと、構築までに難航し、予定よりも時間がかかってしまい、ご迷惑をかけてしまいました。
その反省も踏まえて弊社の事例として投稿したいと思います。

kintoneを中心とした構成

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最初にご連絡をいただいたのは2020年の12月です。代表がちょうどCybozu Days 2020 Osakaに登壇するため大阪に出張に行っていた時期だったので記憶に鮮やかです。

ご連絡いただいた時点で、御担当の山田様の脳裏には全体の構成についてのある程度明確な方針が定まっていました。
・kintoneで全世界の会員名簿を管理する。
・WordPressで会員向けページおよび、入金用のページを実装する。
・入金用のページにはStripeを使った決済処理を表示させ、Stripeに処理を任せることで堅固な決済処理を実現する。

あとは会計処理です。それについては弊社より会計freeeをご提案しました。
会員より会費の入金があった場合の仕訳はfreee側に自動的に登録するように実装すれば、会計処理も運用が回るはず。

freeeとStripeはSaaSです。PaaSのkintoneとはRest APIで手軽に連携できるはず。
特にkintoneと親和性の高いfreeeは弊社代表がオンラインハンズオンの講師も務めたことがあり、連携も簡単に実現できるはず。
そこまでできればあとはWordPress内にkintoneから値を表示させ、Stripeの入金画面を表示させるだけで実装は可能。
そう判断して着手しました。

MemberPressとStripeの仕様理解に苦しむ

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ところが、これがとても難航しました。

2020年の12月。初めにご連絡をいただいた際、弊社は翌年の1月に初めてのメンバー二人の雇用を控えていました。
二人のメンバーのうち一人がWordPressに明るいとのことだったので、実装を任せることにしました。

まず、つまずいたのはMemberPressの理解です。
WordPressはCMS(Contents Management System)です。
その拡張機能は多岐にわたりますが、MemberPressはその一つです。
会員管理や会費納入状況によるコンテンツの表示制御ができるため、海外では比較的導入実績があるようです。

ところが、MemberPressはあまり国内で使われていなかったのか、日本語のドキュメントが少なく、有用な情報が見つけられません。
そこでまず、そもそもの機能の理解に手間取ってしまいました。機能の説明を一生懸命理解しようと努めましたが、言葉の微妙なニュアンスがくみ取れず、この機能や処理の制御がどのようになっているのかあいまいなままでした。
機能の理解がおぼつかない上に、APIのレファレンスやサンプルもすべて英語です。その微妙な機能の制御の理解がまったく進まず、ただ時間だけが過ぎていきました。

Stripeも弊社にとっては初挑戦です。
Stripeもドキュメントの多くが英語です。レファレンスはまだわかりやすかったのですが、テスト用の環境と本番用の環境が別だったため、環境構築やテストの実施などに紆余曲折がありました。

初めに任せていたメンバーは、頑張って実装に向けた作業を行ってくれました。
WordPressのログイン制御など、MemberPressだけで実現できない部分も実装してくれました。

が、時間はあっという間に過ぎていきます。
そうこうしているうちに、そのメンバーはCybozu Days出展を巡る価値観の違いもあって退職してしまいました。

初めて雇用に踏み切った代表にとっても挫折に苦しんだ時期でした。

メンバー交代で実装が前進する

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メンバーの退職の少し前から、開発の遅れは顕著になっていました。
ところが当初の山田様のご要望では、2021年の年末にはリリースしたいとのことでした。その理由は、会費徴収の切り替わりのタイミングです。年末だと切りがよいので、この時までに実装したいとのことでした。

ところが、この時点で実装は間に合わないことが明らかでした。
そこで、弊社に専任で関わってもらっている技術顧問に実装に入ってもらいました。

そして、11月末でメンバーが退職してからは、弊社の技術顧問がバリバリと実装を進めてくれました。

引き継いだ時点で退職したメンバーががんばって仕様の理解を進めてくれていました。それもあって、MemberPressやStripeの仕様の理解も進み、実装のめどがみえました。

さらにはWordPressに表示する文字列もシステムによって切り替える部分を簡単に切り替えられるような仕組みも実装できました。

ただし、年末には間に合わず、運用は後回しをお願いしました。
ご迷惑をお掛けしてしまいました。

なお、kintoneについては早い時期に実装は終えており、
こちらについてはあまり修正の必要がありませんでした。
この時、WordPressのデータベースを使わずにkintoneを使う実装にしていたことが、
データベースを整備する手間を省いてくれました。

会費のほかにも寄付金の入金もできるように

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連携のほとんどはphpを使っています。
kintoneで処理が行われればWebhookでMemberPress(=WordPress)にユーザーを作成すると同時に、Stripeにもアカウントを作成し、さらにfreeeの取引先にもデータを追加します。
WordPress内で入金処理が行われれば、StripeのWebhookを通してfreeeに仕訳登録の処理を行い、kintoneにもその旨の情報を更新します。

それらの仕組みのほとんどは2021年の年末までに実装にめどをつけ、年明けからテストに入りました。
その結果、2月頭には本番環境にプログラムをリリースできました。
なお、山田様と弊社のやりとりは全てオンラインで完結しました。一度もお会いしていません。コロナの中だからこそ、このような複雑な実装がオンラインだけで実現できたことでも
印象に残っています。

結果、今回の一連の仕組みについては、
このような連携となっています。

その後、追加で機能の拡充のご要望もいただきました。
会費だけでなく、任意の金額の寄付金も入金できるようにする機能です。
そちらも無事に納品ができました。

とはいえ、反省点は無数にあります。
今回の遅れについてはメンバーのアサインや指導方法など、ありとあらゆるところで代表である私に非があります。
任せるべきところとフォローすべきところのツボがずれていたこと、英語のドキュメントを通した仕様理解についての見通しが甘かったことです。

あらためて、遅れてしまったことについては三宝興隆会様にはおわびします。
そして、それにもかかわらず事例記事のアップのご快諾をいただいたことに感謝を申しあげます。ありがとうございました。

今後の展開

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これからも会費徴収や税処理、経理処理にあたっての国の制度変更もあり、
改修は発生するとみています。

まずは、現時点で運用に乗っていることに油断せずに行きたいと思います。

そして、弊社にとっても貴重な経験値が得られた結果を無駄にせぬよう、
StripeやMemberPressとkintoneやfreeeとの連携に向けたご要望に対応できるようにしたいと思います。

まとめ

弊社にとって三宝興隆会様はkintoneとStripeやMemberPressの連携など、英語ドキュメントとの戦いでした。これはとても貴重な経験値となりました。それもあってとても印象に残っています。

まずは今後の運用も油断せずにいきたいと考えています。ありがとうございました。

三宝興隆会様のご紹介

名前 三宝興隆会
ウェブサイト http://www.sanbo-zen.org/

スマレジアプリコンテストで佳作をいただきました


弊社の応募した「チェアサイドレジ」が第二回スマレジアプリコンテストで佳作をいただきました。
まずはこのような機会を作っていただいた上に、受賞の栄誉までくださったスマレジ社の皆様と審査員の先生方に御礼を申し上げます。

今回、応募したきっかけ。それは、昨年11/26に行われた「スマレジDevelopers Day」への参加でした。コロナでオンラインイベントが続く中、Cybozu Daysを除けば久しぶりのリアルイベントがこの「スマレジDevelopers Day」でした。(サイト)
会場では、第一回のスマレジアプリコンテストのグランプリ受賞者である大幸パートナーズさんが登壇されました。アプリ受賞にあたっての苦労など、スマレジアプリの作成にあたってのノウハウが聞けました。また、主催のスマレジ社からは、スマレジアプリストアの目的や意義についてのお話がありました。その中には、技術者にとってオープンな場を作りたいとの思いがこもっていました。


この中で、第二回スマレジアプリコンテストの募集要項も発表されました。
大幸パートナーズさんの受賞アプリであるcleeeanで実現した機能に感心し、スマレジアプリの仕組みにうなずく私。
その時、私の中にひらめきが降りてきました。
「これ、うちのココデンでも入れられるんちゃう?」と。
矯正歯科にスマレジを導入し、それをkintoneとつなぐ。その場でアプリの連携や構成が頭の中であらかた組み上げられてしまいました。

この頃、私の精神状態は結構参っていました。
それはCybozu Days 2021の出展によって弊社のメンバーと私の価値にずれが発覚したためでした。
人を雇うことの難しさ、経営の奥深さ。
Cybozu Daysではあえて私は経営者として裏方に徹しました。出展するコンテンツの開発も弊社メンバーか協力会社の技術者に委ねました。皆さんの頑張りもあって、Cybozu Daysでは並み居るブースの中で一定の存在感は出せました。成果はあったと思います。

その一方で、Cybozu Daysでは自分の技術者としての証しを封印してまで経営者に徹しようとしたのに、経営者としての能力に自信をなくしてしまった自分がいました。
このまま技術者として衰えていってもよいのか。自己研鑽はしなくても良いのか。技術者としてコンテンツを作る気概は残っていないのか。そんな葛藤と向き合う日々でした。

悩む日々の中で、自分の技術者・経営者としての長所や短所を見直しました。
見直す中で長所に挙がったこと。それは、私の妻が10年前から矯正歯科医院、ココデンこと、ココデンタルクリニックを経営していることです。
世の中には多くの技術者がいます。ですが、妻が歯科医で診療所を経営している技術者はあまりいないはず。その点、私は他の技術者に比べて恵まれているのかもしれません。

ココデンの開業や経営にあたっては、かなりの苦しみと苦労と試練がありました。私は妻の苦労をすぐそばで見ていました。また、歯科経営が家計に与える苦しみを共有しました。
ところが私がココデンの開院にあたって担った作業は、LINE/Facebookページの開設や初代のホームページ作成のみです。診療所のシステムに関する領域には一切関わりませんでした。
なぜ関わらなかったのか。それは、当初の開院時から電子カルテのシステムが業者によって導入されていたからです。それはスタンドアローンのサーバーで動いていました。ですが、アナログな妻はシステムを患者さんの口内写真の保存のみにしか使っていませんでした。
受付も雇っていないため、全ての業務は、妻がワンオペかつアナログ作業で回していました。
患者さんの診断カルテは手書き。支払い授受も現金による手渡し、またはCAFIS端末を利用したクレジットカード決済。
つまり、ココデンにはシステムを導入する余地がなく、私が関わる余地もなかったのです。

開院以来10年、経営で十分に苦しみ、試行錯誤を重ねてきたおかげか、ここに来て患者さんがコンスタントに来るようになりました。少しずつ経営も好転する兆しが見えてきました。
それとともに、妻も年齢を重ねてきました。ワンオペをいつまでも続けるのはしんどい。今回の機会に思い切ってシステムを取り入れるよう、妻を説き伏せられるかもしれない。
また、経営者として反省する中で、自社サービスの開発が必要ではないか、と課題を感じていました。

「スマレジDevelopers Day」の会場で私の脳裏に湧いた着想とは、こんな感じでした。
自分一人で開発し、その成果をスマレジアプリコンテストに応募してみよう!

今年の正月の三日間は、休みを取らずにシカレジ(仮称)の企画や構想に充てました。
正月が明けても、わたしの中からスマレジアプリコンテストへの思いは去りません。
政府の統計情報が蓄積されているサイトを何度も訪問して統計情報を分析しました。図書館では分厚い統計情報の本のページを繰りました。本屋に行くたびに歯科経営の専門書コーナーで長い間立ち読みして知識を蓄えました。
そうした作業の甲斐があって、少しずつシカレジに必要な項目や連携すべき点、オペレーションで改善すべき点について学ぶことができました。
もちろん妻にはどういう項目が必要かを聞きました。受付の運用なども見聞しました。また、妻の弟が埼玉県で歯科医院を経営しているので、訪問して電子カルテシステムの内容を見せてもらいました。

こうした作業から感じたのは、今まで私が有利な立場を活かしていなかったことです。目の前に歯科経営の教材があり、それを技術者・経営者としての糧にできたはずなのに、何の成果も得ていなかったこと。私はとてももったいない日々を過ごしていました。

1月はそんな風に過ぎていきました。開発にも取り掛かっていて、kintone内部やスマレジとの連携はうまく行きそう。
そんな中、1月の半ばにスマレジ社のご担当者様からいただいたのは、患者さん向けの情報ページをLINE ミニアプリで実装してみないかというお話です。
さらに、妻からはシカレジはダサいから、名前をチェアサイドレジに変えたほうがいいんじゃない?という提案まで。

ここでシカレジ、あらためチェアサイドレジについて概要を説明します。

チェアサイドレジの中で、患者さんが診療情報を確認する手段として私が考えていたのは、ウェブサーバーに認証付のページをおくことでした。
CMSでページを構築し、それをkintoneやスマレジと連動する。それらを連携する開発は経験済みなので可能。それが私の当初の目論見でした。
ところが、ここでLINEミニアプリという提案が登場します。私は、この時にご提案をいただくまでLINEミニアプリのことを全く知りませんでした。そもそもLINEと連動させるシステムすら全くご縁がなく、未経験でした。
でも、LINEのユーザー認証を取り入れられれば、セキュリティはさらに強化できそうです。セキュリティだけが弱いと感じていたので。残り時間は少ないけれど、チャレンジしてみよう、と決断しました。

ところが間の悪いことに、1月の末頃から本業の方で案件の引き合いを連日のようにいただくようになりました。
案件が来ると私が対応しなければなりません。要件定義やヒアリング、さらには上流工程などの調整。一方では既存の案件のコーディングの指導や指示を弊社メンバーに行います。案件の難易度によっては私が手を動かす必要が生じます。その合間には機密保持契約や基本契約の締結を行い、見積書や請求書の提示などの作業もこなします。もちろん経理業務や雑務も頻繁に発生します。それらが怒涛のように一気に押し寄せてきました。
私からチェアサイドレジに携わる時間が顕著に奪われていきます。

そのような案件の活況は、第二回スマレジアプリコンテストの締め切りの3月末どころか4月半ばまで続きました。
そのような状況に追われる中、私は正直、3月初旬の時点ではもう応募すらできまい、と半ばあきらめかけていました。
でも、気力を出し、わずかな合間に資料やアプリをまとめて応募にこぎつけられました。妻がロゴの原案を考え、イラストレーターの長女がそれをロゴデータにしてくれました。

受賞した時の思いは、この記事の中にも書いています。

率直に打ち明けると、「スマレジDevelopers Day」の時点で、私はヤマっ気を持っていました。
雇用やコロナ感染によって悪化してしまった財務状況を、スマレジアプリコンテストでグランプリをとることによって解消しようという欲。
ところが、案件の引き合いが増える中で、なんとか財務を持ち直すことに成功しつつありました。
そのため、4月の末にスマレジアプリコンテストで佳作を受賞したご連絡をもらった時、グランプリの1000万円を逃した悔しさはありませんでした。純粋にアプリが評価されたことへの感謝だけがありました。

5/26には第二回スマレジアプリコンテストの授賞式がありました。
最初のユーザーはココデンタルクリニック、つまり妻を予定しています。そのため、妻にはきちんとスマレジの仕組みを知ってもらう必要があります。そこで一緒に授賞式に来てもらいました。



授賞式は動画配信の予定があったのですが、機材のトラブルによって、私が登場するのは講評の部分からです。
ただし、妻が動画を撮影してくれていました。

なお、この時のスピーチで私は大したことを話していません。
むしろ、この後の座談会で話したことのほうが重要です。ただし、残念なことに動画は残っていません。
座談会では、各社さんの応募したアプリの工夫や思いも伺えました。また、店舗に訴求するスマレジの可能性を感じました。店舗オペレーションに特化したスマレジをkintoneが補完できる可能性も含めて。
弊社の価値は、kintoneの中だけに閉じていては発揮できません。kintoneをベースにした、他のPaaS/SaaSと連携するところにあると確信しています。

まだまだチェアサイドレジには直すべきところが残っています。それはこの記事でも書いた通りです。
これは私が引き続き開発していきます。自分でやるべきタスクだと思っています。
上に書いた通り、私自身に技術者としての可能性が尽きていないことの証し。それがこのチェアサイドレジだと信じているからです。

そして、弊社の将来のことを考えると、自社サービスの展開にチャレンジし経験を積んでおくことは、将来への布石としてやらなければいけないことももちろんです。

それらも含めて弊社にとってはとても重要な受賞だったと思います。
あらためて授賞式に来てくださった方、皆様、スマレジ社、審査員の皆様、ありがとうございました。


kintoneのPromiseを説明できるスキル


以前よりお付き合いさせていただいている株式会社アディエム様(https://adiem.jp/)より、
先日ご依頼を受けたたkintone開発案件は、何重にも入れ子になった多重Promise処理が必要でした。

弊社にてコーディングと単体テストを行い、無事納品にこぎつけられたのですが、
アディエム社の技術者様にもコードの説明を行う必要が生じました。

弊社の代表もPromiseの習得にはかなり手を焼いたのですが、そのスキルを習得できたかの判断基準は、その内容を人に説明できるかどうかです。つまり今回、うまく説明できたかどうかは、弊社代表がPromiseを理解できているかのベンチマークにもなりました。

説明を行った結果、アディエム社の技術者様にPromise処理をご理解していただけたようです。追加の処理を実装し、さらにテストまでも行えるまでになったとか。その結果を以下のようなメッセージでいただきましたのでご紹介します。

先日はコードのレクチャーをありがとうござました。
本日、検索部分のエラーハンドリングを追加し、本番環境にリリース致しました。
負荷テストとして4001件のデータを使用して、正常に更新されることも確認しました。

kintone APIのノーマル呼び出しパターン、kintone promise を使ったパターン、promiseでも thenにresolve, rejectを引き渡すパターン、thenとcatchを書くパターンと、かなりケースの整理が できました。また返値の扱いもデバックすることで理解が進みました。
まだうまく関数化して可読性の良いソースを書く自信はありませんが、長井さんソースを参考にさせて 頂きたいと思います。

以上、ご報告まで。

弊社代表は以前より、kintoneのエバンジェリストとしてサイボウズ社より任命されております。
最近はこうしたマンツーマンに近い形で、技術をお伝えする案件も増えつつあります。
その中でこうしたご評価を頂戴したことは、弊社代表にとっても自信になりました。もちろん、スキルの習得に終わりはありません。新たな技術も次々と世の中に生まれています。まだまだ切磋琢磨していかねば。精進します。

今後もアディエム社とはkintone案件のご提案からコーディング・テストまでを協業できる関係を築いていければと思います。
kintoneでのシステム開発のご相談、アディエム社、および弊社にお気軽にお寄せ下さいませ。

また、もし御社の技術者に対し、こうしたマンツーマン形式でのレクチャーをご要望の際は、
ご連絡をください! ご相談に乗らせていただきます。