本書はNPOについて調べ始めた私の前にすぐに現れた。いわゆる定番的な本なのだろう。とはいえ、本書の初版は1999年の発行となっている。16年前。それほど古いわけではない。ではなぜ、本書が定番となっているのか?

それは、前年の1998年に、特定非営利活動促進法が出来たためと思われる。この法律は、1995年の阪神・淡路大地震によってNPO活動に脚光が当たった後、立法されたという。おそらく本書は、特定非営利活動促進法の施行後すぐの時期に出版されたため、定番となっているのだろう。

本書はNPOの入門書だけあって、NPOを俯瞰的に紹介している。NPOの規模や構造から始まり、現状を紹介する。そして何故NPOが存在するか、といった社会に占めるNPOの存在意義を語る。さらには、各分野におけるNPOの設置状況から、NPOにとって避けては通れない寄付の問題にも触れる。そして、NPOのマネジメントについて説明する。資金や労務、評価など。さらには制度面からNPOをとらえ直す。

本書は、NPOについての入門編としての立場を崩さない。あくまで俯瞰的な記述に終始している。そのため、NPO経営の実態や極意、コツや実例は本書からは得られないかもしれない。そういった実践的な糧は、別の本から得るとよい。そして本書からは、基本的な内容を読み取るべきだろう。

また、本書のNPOに対する視線は楽観的ではない。NPOに対しての厳しい記述が目立つ。例えば序章では、NPOに対する誤解として以下の4つの項目が挙げられている。

1 期待と現実のギャップ
2 非営利=善ではない
3 NPO=ボランティアではない
4 精神論の落とし穴

ここで誤解の無いように言っておくと、本書はNPOを否定するのが目的ではない。そうではなく過度な期待や甘い見方を排し、客観的にNPOを評価し理解してもらうことをねらいとしているようだ。

巻末には付録として特定非営利活動促進法の全文が載っている。法律の全文は、NPO設立を目指すのであれば見ておく必要があるだろう。さらには、参考文献のリストも付されている。学問としてNPOをとらえる場合も、実践としてNPOを使う場合にも、本書は役に立つと思われる。

本書やその他の書籍を読んだ結果、私は法人化に当たってはまず合同会社を選んだ。しかしやがてはNPO設立も考える日が来るだろう。その際はまた、本書に目を通すことと思われる。

’2015/01/15-2015/01/16

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