サラリーマン作家の芥川賞受賞として話題になったこの本。

読後の印象は、その前に読んだ「ガラパゴス化する日本」の余韻が残っていたためか、非常に寒々としたものだった。

有能で真面目なサラリーマンが、外見では華やかに昇進していく一方、内側では怪異現象に遭遇したり、妻と11年も話をしなかったりと、波乱に満ちているにも関わらず、それは公的な場での彼の評価にはまったく影響を与えない。

アメリカへ乗り込んで重要な商談を片付けた後に残っていたのは、ろくろく登場しなかった娘の親離れ。そして待っているのは心が通ったとはとてもいえない妻との今後の生活。

日本という国家の戦後史が一人の男性に凝縮されたように感じたのは私だけだろうか。そしてこれからの日本は・・・・?活気をなくした老人だちだけが旧来のものを守りつつ余生を過すものになってしまうのか?

この本ではそのような問題提起がなされているように読んでしまった。

’11/11/10-’11/11/11


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