著者の作品は、妻がはまってからというもの、読みやすさもあってほとんど読んでいる。シリーズ化を前提とした、キャラ立ちした登場人物が出てくる著作がほとんどだが、本書も新たなシリーズを作りだそうという試みの一つだと思う。

探偵といえば相棒。それは、ホームズとワトソンから連綿と受け継がれる不動のコンビ。本書でも岳人と友紀という男女がコンビを組み、漫才のボケと突っ込みのようなやりとりが繰り広げられる。

ただ残念なことに、そのコンビに、やりとりに、とても既視感を覚えてしまう。というのも、著者の名を高めた、八雲シリーズでの八雲と晴香のコンビに被ってしまうからであろう。男女の組み合わせもボケと突っ込みめいたやりとりも似ている。

八雲シリーズは、当初から場を盛り上げる多彩な脇役を配していたのだが、本書は、わずかに上司が出てくるだけで、他の「こちら側」の配役は出て来ない。そのため、岳人と友紀のやりとりに終始しているように思えてしまう。これはフィールドワークの無い主人公を設定した以上、回避できない点かもしれない。

あまりよい評価を与えていないように思うが、本書も著者の他の作品に比べ、読みやすい著作であり、確率という着目点は面白いと思う。引き続きシリーズ続編が出た際は、シリーズ化への道筋をどのように著者が作り上げていくかについて注目してみたい。

’12/04/20-12/04/21


カテゴリ: 読ん読く.
最終更新日: 7月 26, 2014

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