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kintone Café メタバース Vol.1に参加しました。


先日、10/13に開催されたkintone Café メタバース Vol.1に参加しました。

開催要項はこちら。
https://kintonecafe-metaverse.connpass.com/event/258443/

主催の藤村さんによるブログ「kintone Café メタバース Vol.1 を開催しました。」はこちら。
https://gibbon-s.com/metaversevol1/

私が登壇して話したスライド「メタバースことはじめ」はこちら
https://slides.com/yoshikazunagai/kintone-cafe-metaverse-vol-1

翌日にアップしたnoteの記事「10月14日 メタバースの可能性を考える」はこちら
https://note.com/akvabit/n/nf0ce4c58a099

上の四つの記事にて、当日の模様はご理解していただけると思います。
本記事では、私が感じたメタバースの可能性をもう少し掘り下げてみたいと思います。

当日も私のスライド中で話した通り、メタバースの没入感や臨場感は既存のオンライン会議ツールに比べて大きなアドバンテージを持っています。が、それでもなお、メタバースの今の臨場感は残念ながらリアル出社には敵いません。

では、私や皆さんがメタバースを推す理由はなんでしょう。

まず、リアル出社の利点を挙げてみます。
・スキル伝達が楽
・案件伝達が楽
・統制が楽
・自社文化の浸透が楽
・メンタルケアが楽

お気づきの通り、これらは全て経営者側にとっての利点です。

対する従業員側の利点も挙げてみます。
・技術が速く習得できる
・先輩や上司に相談できる
・案件や要件の理解が早く済む
・出社を口実に自宅から外出できる
・人と会えるので孤独感がない
これくらいでしょうか。

続いて、リアル出社の欠点を挙げてみます。
・通勤時間が無駄、ラッシュの苦痛
・家事が手伝えず、家族と疎遠になる
・個人の時間の枯渇
・同じ日々の繰り返しになりがち
・対人関係の面倒
・災害リスク。
これくらいでしょうか。
ここで書いた欠点とは、実は全て従業員側にとっての苦痛です。災害リスクを除けば、経営者側はその苦痛を感じることはあまりありません。

経営者側と従業員側の認識のギャップはまさにここにあります。Caféの中で毛海さんがセッションで語ったとおり、テレワークがうまくいっているかどうかを聞いた時の反応、経営者側12%、従業員側87%の数字がまさにそれを表しています。

メタバースが普及するには、リアル出社の欠点を埋め、なおかつ、リアル出社の利点を凌駕するだけのメリットを提示する必要があると考えています。

メタバースを使えば、リアル出社の欠点は確実に埋めてくれるでしょう。ただし、メタバースはリアル出社の利点を凌駕するほどの成熟にはまだ至れていません。そもそも、リアル出社の利点を凌駕する事はメタバースに限らず不可能だと思います。

ですが、メタバースには別の可能性があります。この可能性こそが、メタバースの普及を推進してくれるのではないかと感じています。
今までのリアル出社ではできなかった事。それは、Caféの中で渋屋さんが話してくださった、アウトプットのやり方が根本的に変わる可能性にあります。

メタバースの秘める可能性によって、今まで縦横奥行きの三次元でしか伝えられなかった情報に新たな価値が加わります。
・時間の次元
・私たちの五感で受けとった認識
この二つが加わることで、今まで人間が未体験だった情報の入力チャネルが増えます。それは、脳の神経回路に違う作用を及ぼす可能性があります。
聴覚と視覚だけでなく、味覚・嗅覚・触覚。今のOculus Quest 2は、味覚・嗅覚・触覚を受け取ることはできません。
ですが今後の技術の進展によっては、それらの情報が得られる可能性は高いと見ます。その時、私たちの情報回路に画期的な変化が訪れるような気がするのです。

VR/ARはやがて次のステップに進んでいくはずです。
その時、今までの概念に留まっていると、決定的に乗り遅れる気がします。新たな情報チャネルから得られる情報やノウハウはビジネスのあり方を変えていくはずです。
つまり、上に書いた経営者側にとってもメタバースは利点であり、知っておくべきなのです。

その時、プラットフォームの覇権を握るのが、Meta社が推し進めるメタバースの世界なのかどうかは私にはわかりません。
ですが、メタバースは安価なデバイスも提供しています。マーケットシェア理論に基づき、今のうちにシェアを握っておく戦略なのでしょう。このままいけば市場を占有できるように思います。Meta社が社名を変えてまでメタバースに賭けているのも理解できます。

まだまだ慣れない点もあるでしょうが、kintone Café メタバースはメタバースを理解するための取っ掛かりになるように思います。特にビジネスとメタバースの親和性を考える上で。メタバース活用の新たな気づきを与えてくれるのではないかと期待しています。
また、次の開催も予定されているそうなので、参加してみてはいかがでしょうか。
なお、その時はなるべくゴーグルをご用意いただいた方が良いと思います。
というのも、私はZoomからもメタバースの中に参加してみた経験もあるのですが、没入感や臨場感はゴーグルから参加した時に比べて明確に劣りますので。

最後になりましたが、スタッフの皆様、ご参加の皆様、ありがとうございました。


kintone Café 神奈川 Vol.12を開催しました


2022/6/21に今年に入ってから二回目のkintone Café 神奈川を実施しました。

会場は東戸塚駅そばの横浜市東戸塚地区センター会議室です。

kintone Café 神奈川は、神奈川のあちこちで開催することを目指しています。今までに関内、新横浜、上永谷、鷺沼、横浜、オンライン限定×3、武蔵小杉/オンライン、向ケ丘遊園/オンライン、茅ケ崎/オンラインと開催してきました。今回は東戸塚/オンラインということで、リアルでは14名の、オンラインでは最大で22名の方に参加していただきました。

告知

昨年の初めに三カ月おきに開催すると宣言してから、今のところ6回目の開催で、何とかペースを保てています。これもスタッフの皆さんのおかげです。

今回のテーマは「あなたの会社のkintone活用事例」としました。
kintoneもすっかりお茶の間に浸透し始めています。さまざまな活用例が多くの記事やブログで紹介されています。
それでは、実際にkintoneを使ってシステムを提供する会社は、自社でどのようにkintoneを使っているのか。それを掘り下げるテーマとしました。正直にいうとこのテーマはすでに何度か、取り上げられています。ですが、私にとってなかなか語ったことのないテーマだったこともあり、やってみようと思いました。

今回も山田さんが司会を買って出てくれました。ありがとうございます。
さらに、渋屋さんが会場を確保してくださいました。他にも当日の配信用PCやスピーカーなどを御用意と、懇親会の会場の手配まで。合間にはカメラマンとして写真撮影も。末尾の集合写真は渋屋さんが写してくださったものです。ありがとうございます。

そしていつもの通り、私が最初にkintone Café 神奈川の理念を。
実は今回もYouTube Liveの配信に失敗してしまいました。YouTubeで事前に配信予約を設定していたはずなのに、なぜかZoomからYouTube Live配信の設
定ができず。これは反省点として次回までに改善しておきます。

まず初めにエミック社の松尾さんより「kintoneと連動したWebフォームの作成」というタイトルで話していただきました。
Form Data to kintoneを使った連携のデモを実施していただきました。
システムに関する問い合わせなど、ウェブフォームで受け付ける会社も多いと思います。が、問い合わせ管理についてはなるべく省力化して、kintoneで管理してしまいたいですよね。
そうした事例を公開してくださった松尾さん、ありがとうございました。


続いてはキンスキ松井さんこと、サイボウズ社の松井さんから「kintone コミュニティ案内板の裏側で使うkintone×Zapierの紹介」というタイトルで語っていただきました。
キンコミはkintone界隈にあまたあるコミュニティのポータルを支えたいとの思いで立ち上げられています。その中には今回のkintone Café 神奈川の開催告知をはじめ、秀逸なブログ、発信などを紹介するページもあります。それらの記事の追っかけと取込の作業は大変です。
そうした作業を松井さんはZapierを使って省力化されています。その実例を紹介してくださいました。その事例は、ノンコーディングでもここまでできてしまう素晴らしいモデルケースだと思います。
私も今のZapier契約プランを上位に切り替えようと思いました。松井さん、ありがとうございました。

続いては休憩をはさみ、私です。

今回は、テーマに沿って「うちの会社のkintoneは三世帯同居・別荘もあり」というタイトルにしました。何を意味しているのか、わからん、という突っ込みもいただきつつ。

スライド

内容については上記のUrlに書いている通りです。アーリーユーザーゆえの失敗といいますか。それがいまだに三世代同居として使い続けている原因になってしまっています。
それでも、あまり使われていないアプリグループの活用事例としては、お役立てていただけるのではないかかと。
あとは松井さんの内容に続いてとなりましたが、Zapierを使った連携事例などもお話しました。

質疑の際に松井さんからは、今のkintoneはアプリの所属スペース間を移動できる機能が実装されたが、当時にその機能があってもアプリグループを使ったか、という質問が。さすがの切り口ですね。

多分、私はこの事例に関してはアプリグループを使ったように思います。機能の更新や外部連携もそれほど頻繁ではないお客様なので、テナントとしてはアプリグループで十分だからです。ただ、今となってはお客様にはスペースを使ってもらっていますけどね。


続いてはオンラインから参加の大竹さんによる「kintoneによるWordPressの表示コンテンツとログ管理」というタイトルです。
kintoneからWordPressの表示コンテンツを呼び出すにあたり、複数カテゴリーが重なった場合の制御を行うことで、kintoneのレコード上に設定したカテゴリーを基にWordPressのページとして呼び出す事例を語ってくれました。
表示ページのデータはkintoneで管理し、それを制御してWordPressのページを入れ替えたいニーズはありそうです。特に自社サイトやオウンドメディアを運営している企業さんには良い事例になりそうですね。大竹さん、ありがとうございました。

さて、最後のトリを飾るのは藤村さんによる「kintone caféでこんなタクラミ始めます」というタイトルのLTです。まさにLightning Takuramiにふさわしい、意表を突いた内容でした。kintone Café メタバース支部の立ち上げ!なんという斬新な。
その一方で、kintone界隈の人にとっては二年前のkintone Hack本選でWillさんが披露された、VR上の振る舞いをkintoneに反映させるセッションでもおなじみです。そのため、kintoneとVR/ARは全く無縁ではないのです。その親和性の高さを知っている私にとって、興味が尽きないテーマでした。
しかも今のVRゴーグルはあまり酔わないそうです。かつて酔っぱらってしまい、苦手意識を感じた私にとっては再び初めて見る良いきっかけとなるかもしれません。藤村さん、ありがとうございました。

最後にオンラインの皆さんとリアルの皆さんとで写真を撮影。うーん、充実!

ちなみに私のセッションの中で、次回の9月のkintone Café 神奈川 Vol.13はSORACOM UGさんと共催する旨も発表しました。これから日程や場所やテーマは決めていきます。

夜の懇親会も10名の方に参加してもらい、とても楽しく飲めました。リアルでやるっていいですよね!

ちなみにその場で次回の開催は鎌倉か逗子、その次は小田原と今年のスケジュールが決まりました。こういう事が決まってしまうスピードもリアルで会える良さですよね。

今回、集まっていただいた皆様と登壇の皆様。ありがとうございました!また3カ月後にお会いしましょう!


ダークゾーン


著者の大分前の作品にクリムゾンの迷宮という作品がある。いきなりどこへと知れぬ場所へ連れ去られた男女達が、命をかけた生き残りゲームを強いられる話だ。私が読んだのは記録によると2001年。14年前だ。本書を読み終えて思い出したのはクリムゾンの迷宮。作風が実に良く似かよっている。

違うのは、登場人物達が自らの戦う場所を認識していること。本書の舞台は長崎にある端島(軍艦島)だ。さらにもう一つ違うのは、登場人物達の姿形が人ならぬものに化けること。化けただけではなく、化けた姿の属性に応じた能力が付与されていることだ。

異形の姿に成り果てた男女は、赤と青の二勢力に分けられる。そしてその異形の能力を操り、敵を殺す。殺された敵は敵方の勢力として命を吹き込まれ、大将によって任意の場所に打ち込まれる。それはまるで将棋でいう持ち駒のようだ。そう、このゲームはまるで将棋。そうはいっても異形の者達の動きはチェスや将棋のような単純な動きではない。しかし一定のルールに従っている。

本書は青の大将(キング)である塚田の視点で進む。塚田は将棋差しが腕を磨きプロを目指す奨励会に所属していることになっている。青の駒は姿形こそ異形になっているが、人間だった時の記憶を持っている。そしてそれらは皆、塚田が人間だった頃の知己という設定になっている。

なので、塚田が人間だった時にその駒とどういう関係だったか。それが各駒への指示や勝負の行方にも影響を与える。とくに塚田の恋人理沙や大学での恩師は塚田にとって近しい関係だったため、塚田の判断や戦略に大きく影響を与える。

また、千里眼のように周囲の状況を把握できる一つ眼の赤ん坊の外見を持つ存在もいる。今はいつで、なぜここにいるのか、この勝負の胴元はだれか、負ければどうなるか、などの情報。それは話が進むにつれ、一つ眼が小出しに開示する。

対する赤の軍勢の正体も徐々に明らかにされてゆく。赤の大将は塚田の親友であり、奨励会で互いに切磋琢磨する奥本。実力も伯仲した二人が赤と青に分かれ、死の七番勝負を戦うことを余儀なくされる。一度負けたら持ち駒や配置はすべてリセット。前試合の殺された痛みや戦跡の記憶を保持したまま、先にどちらかが4勝するまで勝負は続く。

冒頭にも書いたように、本書は明らかにクリムゾンの迷宮を下敷きとし、それを発展させたものだ。そこにはここ十数年のオンラインゲームの発展も取り込まれている。偶然にも本書を読む少し前に、ターン制を廃した画期的なチェスが発表されたばかり。

本書はそのような新たなゲーム世界の創造を意図して書かれたと思われる。その意図は著者の意図であるが、読者はそれとは別にこの異形のゲームの創造者は誰かという著者から提示された作中の謎も忘れてはならない。各章の合間には断章が挿入される。そこでは人間の塚田の日々が描かれる。奨励会での日々や大学での日々。本書の種明かしとなるのでこれ以上は述べないが、これらの断章がやがて本編の異形のゲーム世界の生成の謎へとつながる。

我々も遠からず本書で描かれたような異形のゲーム世界に迷い込むのかもしれない。あまり歓迎したくない本書のようなゲーム世界の実在。それを現実のものとして考えざるをえないような、そんな未来が遠からず待っているように思えなくもない。Virtual Realityが当たり前のようになり、ゲームにも取り入れられつつある今の延長の近未来では、人はどのようにしてゲーム世界と現実世界を区別していくのだろうか。ゲームの世界から現実の世界に戻ったときの感覚が、本書の結末で書かれたようなものでない誰が言えるだろう。本書は著者なりのゲーム論、仮想現実論として捉えることも出来るかもしれない。

その意味で、本書はクリムゾンの迷宮で提示した世界観をはるかに凌駕したといえる。

‘2015/9/29-2015/10/2