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Cybozu Days 2022を終えて[出展までの準備]


本稿ではCybozu Days 2022を終えて[ブースで交流]に続き、今回の出展内容について書きます。

上の記事で書いたとおり、Cybozu Days 2022の出展準備に本腰を入れ始めたのは、開催の二ヶ月前でした。時間がありません。
そのため、今年は展示物のほとんどをSEEDPLUS社の前嶋さんとシンボ技研の山崎さんに委ねました。さらに、ブースの飾り付けの一環としてkintoneを用いたデジタルサイネージの仕組みも藤村さんに構築・提供していただきました。

今回、自社ブースの展示物に対して弊社が関わったことは、あまり多くありません。せいぜい、kintoneへの接続部分のアドバイスとkintone側のデータ加工(座標データをもとにGoogle MapのURLを構築し、kintone上に表示するなど)ぐらいです。
というのも、私を含めた弊社のメンバーは、押し寄せる案件の実装作業で手一杯だったからです。(弊社代表は多くの案件対応に加え、kintone hackの予選にまで出ることに。さらに9月の末にはコロナ陽性判定を受けてしまいました)
Cybozu Days 2022の準備もたけなわの時期の弊社からは、Cybozu Daysにかけるための時間も工数も失われていました。

それにも関わらず、今回は前嶋さんに無理をお願いし、展示物を増やしました。しかも、なるべく会場で目立つものという難題付きで。

最終的に弊社ブースの出展物は以下の六つに落ち着きました。
・熱中症対策
・GPSマルチユニット × LINE
・二酸化炭素濃度チェック
・雨量計エクストラ
・動画管理(ソラカメ)
・kintoneでデジタルサイネージ

昨年の展示物が三つだったのに比べ、今年は倍の六つです。
とはいえ、展示物が決定するまでには、何度も紆余曲折がありました。

ここに挙げたリストのうち、最初の四つは前嶋さんにお願いした出展物です。これらの展示物は前嶋さんが実際に構築したことのある実装がほとんどでした。とはいえ、既存の実装をそのまま展示するわけにはいきません。
例えば、幕張メッセの会場の通信状況を考慮しなくてはなりません。他にも出力される最終的な結果表示をkintoneに表示させる必要もありました。それらは、追加の開発作業が求められました。
今回は他にも実装上の難易度から断念した展示もありました。
その辺りの技術的な工夫については、前嶋さんの以下の記事をご覧ください。
kintone+ソラコム=新しい体験
~サイボウズデイズ2022のメカメカしいブースで農家さんのコスプレをした話。

山崎さんの実装についても、苦労がありました。
動画管理(ソラカメ)はすでに7/6-7に開催されたSORACOM DISCOVERYにおいて、展示物の候補に含めていました。
7/28に東京の大崎で開催されたIoT Solution Dayに山崎さんと二人で訪れ、そこで販売されて間もないソラカメを購入し、kintoneとの接続に挑戦したのです。
ところが、構築してみると実際に動作されるまでは円滑に進みますが、kintoneの画面にどう表示させるかにおいては多くの工夫が必要となりました。
その技術的な部分は、この後、別のブログで発表する予定です。

藤村さんにお願いしたデジタルサイネージのコンテンツをkintoneを使って表示する展示は、藤村さんがkintone Café 神奈川で実際に展示しており、技術的には困難はなかったと思います。
ですが、そもそも表示すべきコンテンツの選定がぎりぎりまで決まりませんでした。その結果、サイネージに表示する写真などの準備はギリギリまでかかりました。
藤村さんには、コンテンツ(ランディングページ)の実装もお願いしました。弊社ブースで配ったにんじん(ポン菓子)に貼ったQRコードを読むと表示されるページです。
藤村さんの記事はこちらをご覧ください。貴重な体験(CybozuDays2022)

これらの作業のほとんどを一気に10月に行ったのが今回のCybozu Days 2022の弊社の内幕でした。
Slackのチャンネルに前嶋さん、藤村さん、かのってぃさんをお呼びしたのは9/27。さまざまなやりとりが活発に始まったのはそれからです。実質的にCybozu Daysの準備は6週間で終わらせたようなものです。
あらためて、皆さんには感謝します。ありがとうございました。

昨年に続いて、弊社ブースの展示パネルは代表の娘にお願いしました。
ところが、9月の頭に決まっていたテーマや方向性を詰めるための展示物の確定が遅れてしまいました。
デジタルサイネージやランディングページはギリギリまで調整が利きます。が、パネルは事前に発注しなければなりません。その納期に間に合わせるように、色合いや配置などで最後まで頭を絞ってもらいました。そして、10月末に何とか間に合わせてくれました。
娘とアイデアを出してくれた妻にも感謝です。



11月に入ってからもランディングページやデジタルサイネージの調整、出展物の最終的な展示に向けての調整は続きました。
それらが整ったのは11月の10日と11日の本の数日前でした。皆さんにがんばってもらったので、何とか間に合うことができました。

そのあたりのかのってぃさんの一連の記事は
かのってぃ的CybozuDays2022 その1《ブース編》
かのってぃ的CybozuDays2022 その3《DAY1編》
かのってぃ的CybozuDays2022 その4《DAY2編》
をご覧くださいませ。

本当に皆さんには感謝です。

本稿の中で何度か触れてきたランディングページはこちらです。

ランディングページの中に今回出展をお手伝いして下さった皆さんの個人の紹介リンクや会社の紹介リンクが記されています。個人名や会社名の部分をクリックしていただければ、ページに遷移するはずです。

今回、他にも弊社ブースに来て手づだって下さった藤村さんの奥様や、去年はカーナビ+kintoneで実装してくれた大竹さんも今年はブースのスタッフとして対応してくれました。あわせて、この2日間のご対応、誠にありがとうございました。

会場の弊社ブースにはさまざまなお客様に来ていただきました。商談もCybozu Days の会場で発生しました。これは過去二回の出展にはなかった成果です。


今回ご協力いただいた皆さんは、来年も出展をお手伝いしてくださるとのことです。感謝!
ぜひ来年も弊社ブースにご期待くださいませ!


Cybozu Days 2022を終えて[ブースで交流]


今年のCybozu Days 2022も無事に終わりました。


弊社もスポンサーブースを出展することができました。三年連続です。
今年も沢山の来訪者様に恵まれ、弊社ブースにも多くの方に来ていただいた事、まずは感謝いたします。ありがとうございました。

本稿では弊社の出展内容や技術に関する内容には触れず、ブースの成り立ちについて書きます。kintone界隈のコミュニティの広がりとそれがもたらす相乗効果を示すことが本稿の狙いです。

弊社のkintone案件率はほぼ九割です。ですが、kintoneを使った公開プラグインやサービスは提供していません。そのため、kintoneを主としたシステム構築を営む会社でありながら、ブースに出すべき特定のコンテンツを持っていません。それは弊社の弱みであり、強みでもあると考えています。
自在に展示内容を変えられる小回りの良さを生かし、去年は出展内容をIoTに特化しました。IoTとkintoneを打ち出す他社様ブースはないに違いないと。その目論見はあたりました。
おかげさまで昨年の弊社ブースは、皆さんから異彩を放っているとか、尖っているとかのご評価をいただけました。

ただ、今年も同じ出展内容の踏襲では意味がありません。来た人にとって、新しい発見を提供しなければ。小回りの利く弊社の良さも活かせませんし、何より私が面白くありません。さらに進化した姿を見せなければ。
また、昨年の弊社ブースの盛況をみて、kintoneと IoTの合わせ技でブースを作る会社様が現れるのではないかと。そうなった時に数多のブースの中に埋没する事だけは避けたい。


そこで今年は、IoTに加えて農業をテーマとして打ち出すことに決めました。

kintoneはプラットフォームです。その適用範囲は広く、業種や業態、職種を問いません。
つまり、Cybozu Daysにブースを出すのなら、業種を限らず、業際的な出展内容にすべきです。要するにkintoneの汎用性を打ち出す。それがセオリーのはずです。
ならば、あえて逆張りで業種を絞れば存在感が出せるのでは。それが今年の狙いでした。

とは言え、その結論に落ち着くまでには紆余曲折がありました。
実は今年の出展はもっと違う形で検討していたのです。ところが打診した相手様の反応がいまいち薄い様子。そこで、9月の初旬ごろから、並行して別の形での出展も検討を始めました。
もう一案が無理だと決定したのが9/15のこと。
その時点でCybozu Daysまで残り二ヶ月を切っていました。今までの出展準備の進捗と比べても遅れは歴然。
そこで新たな体制で振り切るべく、出展体制を急遽変えました。農業をテーマに加えたのもこの時です。

農業にテーマを振ったのは、弊社のお客様に農業に関わる会社様が増えた事によります。
弊社をめぐる環境やつながりを農業にテーマを絞ってみなおしたところ、実は弊社はかなり多種多様なご縁に恵まれていたことにも気づきました。

9/5に株式会社SEED PLUSの前嶋さんにお声がけし、出展内容はめどがつきました。
昨年も出展を手伝ってもらったシンボ技研さんと大竹さんには、今年もだいぶ早い時期から出展を依頼していました。
今回、デジタルサイネージをお願いした藤村さんには7月の中旬ぐらいにはスタッフのお声掛けをしており、藤村さんの当日の予定は流動的ながらサイネージは弊社ブースを変えてくれる予感がしていました。

あとは最後の一味をどう加えるか。昨年にもまして会場で存在感を出すにはどうすれば?
そこで現れたのがかのってぃさんてす。実はかのってぃさんと初めてお会いしたのは9/16です。場所はジョイゾーさんのオフィス。スナックジョイゾーてす。
その帰り、ご一緒に帰る中でお話ししたところ、私の普段の書き込みに共感を感じてくださっているとのこと。さらに、農業についても知見をお持ちとのこと。
これは誘うしかない、という訳でその二日後にスタッフとしてお誘いしてみました。

そのいきさつとその後のかのってぃさんのご活躍については、
こちらのブログをご覧ください。ご提案や飾り付けなど、とても良い感じのブースに仕上げてくださいました。

弊社の飾り付けを担当してくださったかのってぃさんの貢献度も大きかったのですが、今年は藤村さんに手配していただいた縦横それぞれのデジタルサイネージは、弊社ブースを会場内のランドマークに生まれ変わらせてくれました。弊社ブースに来てくださった方の多くは、異彩を放つ弊社ブースに印象を受けたようです。

実は私、かのってぃさんのコミュニティ界隈での強者ぶりをあまりよく知ってませんでした。ここまですごい方とはつゆ知らず。
おかげでCybozu Daysの開催期間中、弊社のブース前のスペースはあたかもコミュニティの縁繋ぎの場と化していました。オンラインでしかお互いを知らなかった方々が、弊社ブースの前でリアルなご縁を繋ぐ。私ももちろんその恩恵にあやかったひとりです。


私も他のSaaSのお客様や弊社のお客様の待ち合わせ場所にうちのブースを使ってもらいました。うちのブースの前で待ち合わせたり、あいさつしたり。その様子は梅田のBIGMANを思わせます。
そうしたご縁繋ぎの役割を担うことで、弊社のブースがやたらと賑わっているように見えるのです。それが人を呼び、さらには案件へとつながってゆく。
まさにこれこそコミュニティの力。ご縁を繋ぐってよいですね。


コミュニティとは、無私と無償の集まりです。
そして、Cybozu Daysに集う方に共通するのは、サイボウズさんの展開するサービス群です。皆さん、困っています。あるいは悩んでいます。または、困っていたことがkintoneやOfficeやGaroonやメールワイズで解決した、救われた人たちです。または、これから救われたい!と願う人たちの集まりです。
コミュニティとは同じ興味持つ方だけでも成り立ちますが、切実な課題を持った方の方がより結びつきが強まります。

それはビジネスの機会を創出してくれます。

もちろん、コミュニティをビジネスの草刈り場としてみてはなりません。
また、勧誘行為はコミュニティの場ではタブーです。
さらにコミュニティの化けの皮をかぶってブースを出すのももってのほかです。

もし私が来年そんな不埒な思惑を持ってCybozu Daysに臨んだら、総スカンをを喰らうことでしょう。むしろ食らわしてやってください。
そこはバランスです。ビジネスとコミュニティの両輪がうまく回っているから、サイボウズさんの展開するエコシステムはこれほどまでの支持を受けていると私は考えています。

私も三回目の出展にて、ようやくコミュニティとビジネスのバランスが掴めたように思います。
来年も、より進化した弊社ブースをお見せしたいと思っております。

末尾になりましたが、来場者の皆様、出展社・登壇者の皆様、サイボウズの皆様、そして弊社ブースのスタッフの皆様、ありがとうございました。


Cybozu Days 2021を終えて(ブース出展編)


先日のCybozu Days 2021。弊社は昨年に続いてブースを出展しました。
弊社の出展テーマは「機械とkintoneの連携」にしました。

なぜそのテーマを選んだのか。それは昨年初めて出展した際、同様のテーマで出展されているブースがほぼ見当たらず、これなら弊社でも存在感を出せると思ったからです。
ほとんどの会社は、連携や自社のサービスを出展していました。
それは当たり前のことです。サービスメーカーにとっての展示会とは自社のサービスを皆さんに知ってもらい、売り上げにつなげるためにあるのですから。Cybozu Daysも例外ではありません。

一方、弊社は自社のサービスと呼べるようなものを持っていません。昨年も今年も。
自社でサービスを持たずに展示会に出展することは徒手空拳で試合するようなもの。普通はなかなか踏み出せません。
私も昨年、内心ではそのことに引け目を感じていました。自社のサービスを持っていない弊社が出展しても良いのだろうかと。ですが、思ったよりブースに反響がありました。その結果、引け目は私の中から消えました。
自社のサービスを持たないこと。それは実は、Cybozu Daysに出展する上では弱みではなく、むしろチャンスなのかもしれません。自社のサービスがないことは、それを逆手にとれば、なんだってやれるのですから。

LOVE YOUR CHAOS。今年のCybozu Days 2021のテーマです。
テーマにカオスが打ち出されているのなら、一つぐらい連携やコンサルティングや自社のサービスを主張しない、全く違う色合いのブースがあってもいいじゃないか。そういう気持ちで出展しました。
思った以上に弊社の展示が異色だったためか、皆様からもさまざまなお言葉をいただきました。尖っているとか、目立っているとか、カオスとか。

今年は弊社も雇用に踏み切り、人数も増やしました。そのため、早い段階から自社単独での出展を考えていました。そしてテーマも。

今年の展示は三つの柱からなっています。
・テレメーターとkintone
・現金つり銭機とkintone
・カーナビゲーションとkintone

自社単独で、とはいうものの、弊社メンバーもまだまだ発展途上。案件をこなすだけで精一杯です。そのため、それぞれの出展は協力会社や技術者にもご協力を仰ぎました。

テレメーターとkintoneの組み合わせは、弊社とは数年前からパートナーとして密に協業している有限会社シンボ技研様に協力をお願いしました。
テレメーターとは、ダムや河川の水などを継続し警告するための機械関係の総称です。シンボ技研様は、日本全国のさまざまな場所に設置されているテレメーターを設計しています。
その豊富な経験と知識をkintoneに活用していただく発想は、数年前から温めていました。

今回の展示にあたっては、会場に雨水量を計測するセンサーと水を受ける容器を持ち込みました。

仕掛けはこんな感じ。
・水を受ける容器に雨水量を計測するセンサーを置きます。
・来場されたお客様にペットボトルの水を雨水量センサーに注いでいただきます。
・センサーを経由したデータはRaspberry Piで処理されます。
・Raspberry Piから座標情報とともに雨量データをkintoneに飛ばします。
単純ですが、それだけにお客様にとっては全体の構成が分かりやすかったようです。効果と使い道、その実装の可能性も含めて。
その結果、さまざまな会社様に興味を持っていただきました。それこそ沖縄から北海道まで。

次の現金つり銭機の出展は、最後に決めました。当初はテレメーターとカーナビゲーションとの連携に加え、何らかのセンサーとkintoneの出展を考えていました。ですが、お客様の案件で現金つり銭機とkintoneの連動を実現したことをきっかけに、それを発展させ、より深く追求してみることにしました。
現金つり銭機を扱われているグローリー株式会社様にご協力を仰ぎ、会場に現金つり銭機の実物を持ち込みました。

現金つり銭機とkintoneを直に接続することは難しいため、両者を介するWindowsアプリケーションが必要です。
そのアプリケーションは、グローリー様よりいただいた仕様書に沿って、弊社で作成しました。
アプリケーションは、現金つり銭機に対して金種がいくらあるかを問い合わせます。さらに出金・入金の指示も行うことが可能です。

Windowsアプリケーションのインターフェースは、ブラウザ上で動作するクラウドの世界ではあまり出番がありません。そのため、Cybozu Daysの会場内ではレガシーな香りを醸し出していました。
レガシーですが、実際に入金や出金の指示によってお金がジャラジャラと出入りする様子は異色。それもあってか皆様に興味深く見て頂けたようです。

続いてはカーナビゲーションとkintoneの連携です。
こちらは株式会社マップル様のご協力を仰ぎました。さらに、実装についてはフリーランス技術者の大竹さんに全面的に携わってもらいました。

カーナビゲーションは普通、一つのマップに一台の車のルートを表示します。
今回、私たちは複数台の車とルートを一つのマップに同時に表示させる荒業を実現しました。
その出発地と目的地は、kintoneのレコードに保存しておきます。ウェブ側に仕込んだスクリプトはkintoneからの情報を読み、それをマップル社のAPIに対して指示します。マップル社のAPIは、現在位置に応じて地図を再描画します。到着予測時刻等も含めて。

今回は複数台の車から同一の目的地を指定し、その動きをデモで示しました。
例えば複数の出発地と目的地もバラバラの車の動きを同時に表示できれば可能性は広がります。バス、タクシー、レンタカー、レンタサイクル、救急車、ゴミ収集車、消防車、人。
それらの動きを一つのマップ上で同時に表示できれば、配車担当者様にとって必要な情報が一目で見られます。

カーナビゲーションの展示もお客様からのお問い合わせと引き合いを複数いただきました。
皆様からの熱のこもったご質問は、弊社が目指すべき目標や次の一手をより明確にしてくれました。


今年は、去年はなかったブースツアーのコースに弊社を通っていただきました。弊社ブースについて説明するkintoneエバンジェリストの前田さんのお話を大勢の方が興味深く聴いておられました。

今年は昨年の反省を生かし、展示ブースに貼るパネルもシンプルかつ見やすい形にしました。
代表のラフ案をもとにデザインしてくれたのは代表の娘です。
娘は中学生の頃に個人事業主として登録し、小遣いは自分で稼いでいました。今年の春にイラストレーターの専門学校を卒業した後、個人事業主として活動しています。
今回の弊社のパネルもなかなか好評を博しました。娘にとっても自信につながったのではないかと思います。

今回の展示を通し、さまざまな方とさまざまな会話ができました。そうした会話を通し、来年度の展示内容や共同で出展するパートナーなどのアイディアが泉のように湧いてきました。
これはリアルの開催だからこそ実現できたことだと思っています。リアルの交流から生まれる発想や着想。私たちがコロナによってどれだけその機会を奪われてきたか。今回のCybozu Days 2021はそれを私に教えてくれました。そうした発想や着想は全て弊社の財産になるはずです。

自社のサービスを持たなくてもいい。いや、逆に持たない方が自由な発想の展示ができる。来年も、展示内容や展示パートナーも含めて尖ったブースにしたいと今から意気盛んです。

去年に続いて今年のCybozu Daysも、新型コロナウィルスが完全に収束していない中での開催でした。そんな中、この困難なミッションを無事に成し遂げたCybozu社の皆様には感謝しかありません。

各社さんのブースで対応してくださった方や、催された多くのセミナーに登壇してくださった方もありがとうございます。
そして、来場してくださった全ての方にも大きな感謝を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。


Cybozu Days 2021を終えて(セッション聴講編)


先日のCybozu Days 2021。弊社は昨年に続いてブースを出展しました。
そのため、今年もあまりセッションを見ることが叶いませんでした。

本稿では私が見ることのできたセッションのうちの一つ、二日目のKeynoteセッションで感じたことを書いてみたいと思います。

LOVE YOUR CHAOS。今年のCybozu Days 2021のスローガンです。とても良いキーワードではないかと思います。Cybozu社はIT企業として知られています。ITシステムとは、一般的には整然と処理が行われ、カオスとは対極にあると思われがちです。ところがそれとは真逆のキーワードであるカオス、混沌を打ち出すあたり、Cybozu社の真骨頂ですよね。

このCHAOSという言葉はとても深い広がりを持っていると思います。多様性とはCybozu社を語る上で外せません。カオスとは雑多な物事が混在しているさま。つまり多様性です。

Cybozu社が多様性を打ち出すまでに至ったいきさつは、青野社長の書籍をはじめ、たくさん紹介されています。

ですが多様性とは、Cybozu社内だけに当てはまる言葉ではありません。世の中の全ては多様性であり、カオスに満ちています。世の中には多くの人がいて、無数の会社があり、各々のビジネスを多彩に営んでいます。

今までの社会は、その多様な世間を束ねるため、社会や組織や会社という仕組みが必要でした。ともすればバラバラになろうとするカオスを一律でくくる必要があったのです。総員前向け前、右に倣えの精神です。
もちろんその仕組みを否定するのは間違っています。その時代に応じたやり方があるからです。そもそも今まではカオスを束ねる技術がなかったのですから仕方がありません。

今、技術の進歩はクラウドシステムを生み出しました。kintoneのような。
さらに、人がそれぞれに持っている価値観を尊重し合おうという機運も満ちつつあります。

Keynoteに最初に登場した「社会福祉法人浦河べてるの家」さんは、ホームページに掲げられた理念からしてカオスです。むしろ世の中がカオスまみれであることを逆手に取り、カオスの中に徹底して生きていこうとされていました。清々しいまでに。
システマティックなIT屋の理想とは対極の存在です。べてるさんを冒頭に登場してもらうあたりがさすがです。


続いて登場したジーンクエスト社の高橋祥子氏は、生命科学者の観点からカオスが何かを教えてくれました。人もしょせんは生物の輪を構成する一つであり、カオスを構成する一片に過ぎないこと。
私が思うに現代文明の歪みとは、カオスに満ちた世界をシステムや制度で縛ろうとした結果ではないか。
ありとあらゆる制度や仕組みなど、宇宙の尺度に置き換えれば塵にも及ばぬささいなことです。それを金科玉条に奉ることの虚しさ。

そのようなカオスな環境に置かれているからこそ、人はそれを課題として捉え、改善に向かう。
秩序のある環境では人はその環境になじんでしまい、その状況から動こうとしない。まさにわが意を得た思いでした。
ヤクザさんの家に売り込みをかけて掌底で殴られ監禁されそうになったり、朝礼で成績の不振を理由にベランダで丸刈りにされたりした私の経験も、カオスな世の中のほんの一例でしかありません。
むしろ、それをきっかけに変われたことが、カオスな環境の中で私自身を活かそうとした私の生物としての本能にほかならない。

語られる言葉の端々に知恵が満ちており、私は夢中でツイートしていました。

最後に登壇された小国士朗さんも、カオスな環境を受け入れ、そこから新たな発想を作り出す方です。
温泉プロジェクトや注文を間違える料理店、C.C.LemonのCを消してガン根絶を願うプロジェクトなど、面白い発想にワクワクさせられました。

近代は、カオスな世の中を整然とさせようと躍起になっていました。その中で世の中からこぼれてしまったカオスを拾い集め、それを世の中にネタとして提供する小国氏の姿勢は、まさに私たちがカオスに向き合う一つの方法だと思いました。

では、カオスな世の中にありながら、システム開発を営む会社はどのように世の中を泳げばよいのでしょう。
私はまず、人のあり方や思考がカオスであることを認めることから始めなければ、と考えています。

その上で、人が担うべきでない部分を受け持つのがシステムであると考えています。システムやビジネスのオペレーションなど、本来は人が担うべきではなく、そのような作業に人の可能性を費やすべきではないと思っています。
それぞれの人が抱えるカオスは、無限の可能性でもあります。些末なルーティンワークなどシステムに任せ、人はそれぞれが抱えるカオスの中から斬新な発想をくみ上げるべきではないでしょうか。それこそがkintoneの使命ではないかと思っています。

ただし、ルーティン作業も組織や起業によってさまざまです。そこにはそれぞれのカオスをはらんでいます。それをシステムに置き換えるには、システム会社に丸投げする従来のやり方ではとても無理でしょう。それこそカオスを縛って無理やり束ねる旧来のやり方になってしまいますから。
そうではなく、それぞれの担当者の抱えるカオスの一握りをシステムに反映させる仕組みが必要です。そのためには担当者がまずシステムに関われる仕組みが必要。それこそがkintoneの存在する意味ではないかとすら思うのです。

その意味でも、今回のLOVE YOUR CHAOSとはまさに適したキーワードだったと思います。


Cybozu Days 2020に三日間出展しました


2020年11月11日から11月13日まで幕張メッセで催されたCybozu Days 2020に弊社も出展いたしました。https://cybozuconf.com/

今まで、弊社はCybozu Daysも含め、あらゆる展示会に出展した経験がありませんでした。
そうした経験の不足に加え、今回は世の中がコロナウィルスに振り回されています。そんな世相の中、そもそもCybozu  Days開催されるかすら定かではありません。
さらに、多数のkintone案件を受注し、開発に従事していた弊社にとって、並行してCybozu Daysの出展準備などとても無理。そう思っていました。

そう思っていた一方で、昨年のDaysの後、サイボウズオフィシャルパートナーとして任命いただきました。また、長らくエバンジェリストとして任命されていながら、ステージにも立ったことがなければブース出展の経験もなかった私。いつもオーディエンスのままだったことに自分でも飽きたらないものを感じていました。
パートナーになってブース出展の資格を得たところで、一つブース出展をやってみようか。
ところが弊社は、kintone連携ソリューションを持っていません。ブースに出展しても、出せるのはパートナーとしての開発実績か、エバンジェリストとしての立場のみ。そんな手持ちの札が少ない状態でブースを出展したところで、会場の隙間を埋めるだけに終わってしまうのでは、と懸念していました。

そんな私に心強い助っ人が。
Polaris Infotech社の情報親方こと東野さんです。
https://www.polarit.co/

kintone界隈の方々には、サイボウズ社が発行しているkintone導入ガイドブックはおなじみですが、そのコンテンツは東野さんによって作られています。
さらに東野さんは、新規技術やガジェットを導入するのが好きで、その進取の気性は、私をはるかに上回っています。
弊社はサイボウズオフィシャルパートナーであり、出展資格を持っていますが、Polaris Infotech社はパートナーでないため出展できません。

二社が共同出展することにより、互いに足りないところを補い合い、なおかつ二社にとってWin-Winの結果が見込まれる。
そんなわけで、共同出展に踏み込みました。

二社で共同出展することにしたとはいえ、来場者の目を引くにはもう一つ決め手が薄いことは否めません。なにしろ、kintone界隈で著名な連携サービスを持っていないのですから。そのような状態で出展するには決め手が足りない。もう一つ柱が欲しい。

そこで東野さんが提案したのが、アバターによる音声応答のソリューションです。
名古屋のRAKUDOさんが運営するAI Interfaceというサービスがあります。
https://www.ai-interface.com/
http://rakudo.io/homepage/
AI Interfaceが備える音声応答のソリューションの背後にkintoneを組み合わせれば、音声による応答を実現しつつ、背後のデータベースも備えられる。しかもkintoneの場合、簡単にデータベースが構築できる。より良いソリューションになるはず!

そんなわけで、他の案件との並行に疲弊しながらでしたが、アプリの連携に成功しました。

あとはブースの展示パネルやちらしや名刺の手配です。ここは出展経験を持つPolaris Infotechさんの経験に全面に依存しながら、無事に当日に間に合わせることができました。東野さんには感謝です。
スタッフも両社の関係会社やビジネスパートナーさんにご協力を仰ぎ、三日間で延べ11名のスタッフに手伝っていただきました。皆さんにも感謝です。
また、二日目の最後のほうにこうした素敵な動画を撮影し、すぐにYouTubeにアップしてくださったキンスキの松井さんにも感謝です。

こうして三日間の出展を無事終え、感じることは来場者の皆さんへの感謝です。
沢山の方が訪れてくださいました。埋め草ブースどころか、私たちの思った以上に。
二社の知己の方はもちろん。弊社が過去に手掛けさせていただいたお客様や、私が前月に登壇したセミナーで私に興味を持ってく出さった方や、サイボウズ社員の方など。
もちろん、初めてお会いする方も多くが私たちのブースに立ち寄ってくださいました。

もちろん、無名の私たちのブースは、ほとんどの方にとっては興味を引く対象になりえず、一瞥して通り過ぎてしまう方も多かったです。
それでも、私たちのブースに目を止めて下さった方がいたことは、とてもありがたく思いました。

なぜ目にとめてくださったのか。kintone連携ツールのパネルが掲げられてもおらず、ノベルティで客引きできるほど資金力もない我々のブースに。
それはおそらく、アバターの画面がブースの中で異彩を放っていたからでしょう。
アバターの女の子にならんで検索の応答結果として東野さんの顔が大きく映し出されたディスプレイ。それはなかなかのインパクトでした。東野さんの打った手が見事に功を奏しました。

今回のCybozu Days 2020は、EGO & PEACEというテーマでした。
わがままと平和。
その一見すると相反する二つのテーマは、今の多様化が求められる社会において、誰もが両立に悩んでいます。

私にとっても同じです。今までの私の生涯は、まさにEGOを追い求めてきたものでした。
ラッシュがいやだ、毎朝毎夕の通勤の繰り返しがいやだ。それは間違いなくEGOです。
では、そのEGOをどうやって実現し、人に迷惑をかけずに自分にとって平和な毎日を呼び入れるか。

そもそも私がなぜkintoneのエバンジェリストになっているか。
その主な理由は、こうしたサイボウズ社の理念に共感していることです。
毎年のCybozu Days で打ち出されるテーマが、私にとって刺さります。
今年もそれは変わりませんでした。

ただ、今年はブースに三日間のほとんどを立つことに決めており、セッション聴講はあきらめていました。
ですが、三日目のセッションが聞けたのはうれしかったです。(初日のkintone Hackもほぼ見ることができました)

まさにそこで展開されていた議論は、私と弊社の抱えるテーマに即しており、そうした場に出展社として参加できたことがとても誇らしかったし、得るものが多かったです。

弊社は大阪のCybozu Days 2020には出展しませんが、私は登壇のために初めて参加する予定です。今から楽しみでなりません。

最後になりましたが、来場者の皆さん・サイボウズの皆さん・弊社ブースのスタッフの皆さん・東野さん。ありがとうございました!


ゲームの名は誘拐


2017年の読書遍歴は、実家にあった本書を読んで締めとした。

私は誘拐物が好きだ。以前に読んだ誘拐のレビューにも書いたが、この分野には秀作が多いからだ。本作もまた、誘拐物として素晴らしく仕上がっている。本作の特色は、犯人側の視点に限定していることだ。

誘拐とは、誘拐した犯人、誘拐された被害者、身代金を要求された家族、そして、捜査する警察の思惑がせめぎ合う一つのイベントだ。それをどう料理し、小説に仕立て上げるか。それが作家にとって腕の見せ所だ。なにしろ組み合わせは幾通りも選べる。例えば本書のように犯人と被害者が一緒になって狂言誘拐を演ずることだってある。本書は誘拐犯である佐久間駿介の視点で一貫して描いているため、捜査側の視点や動きが一切描かれない。犯人側の視点しか描かないことで物語の進め方に無理が出ないか、という懸念もある。それももっともだが、それを逆手にとってうまくどんでん返しにつなげるのが著者の素晴らしいところだ。

誘拐犯の佐久間駿介は、サイバープランの敏腕社員だ。ところが心血を注いだ日星自動車の展示会に関する企画が日星自動車副社長の葛城勝俊によって覆されてしまう。己の立てた企画に絶対の自信をもつ佐久間は、屈辱のあまり葛城家に足を向ける。俺の立てた企画を覆す葛城の住む家を見ておきたいという衝動。ところがそこで佐久間が見たのは塀を乗り越えて逃げ出す娘。声をかけて話を聞くと、葛城勝俊の娘樹理だという。樹理は、父勝俊から見れば愛人の子であり、いろいろと家に居づらいことがあったので家を出たいという。その偶然を好機と見た佐久間から樹理に狂言誘拐を持ちかける、というのが本書のあらすじだ。

本書は上に書いたとおり、一貫して佐久間の視点で進む。犯人の立場で語るということは、全ての手口は読者に向けて開示されなければならない。その制約に沿って、読者に対しては佐久間の行動は全て筒抜けに明かされる。それでいながら本書はどんでん返しを用意しているのだから見事だ。

本書は2002年に刊行された。そして本書の狂言誘拐にあたってはメールや掲示板といった当時は旬だったインターネットの技術が惜しげもなく投入される。だが、さすがに2017年の今からみると手口に古さを感じる。例えばFAXが告知ツールとして使われているとか。Hotmailと思しき無料メールアドレスが登場するとか。飛ばし電話をイラン人から買う描写であるとか。でも、佐久間が日星自動車の展示会用に考えたプランや、佐久間が手掛けた「青春のマスク」というゲームなどは、今でも通用する斬新なコンセプトではないかと思う。

「青春のマスク」とは、人生ゲームのタイトルだ。私たちが知る人生ゲームとは、各コマごとの選択の結果、いくつものイベントが発生するゲームだ。ところが、この「青春のマスク」はその選択の結果によってプレーヤーの顔が変わっていく。スタートからの行いがゲームの終わりまで影響を与え続け、プレーヤーに挽回の機会が与えられなければ興が削がれ。その替わりに救いが与えられている。それがマスクだ。マスクをかぶることで顔を変え、その後の展開が有利になるような設定されている。しょせん人はマスクをかぶって生きてゆく存在。そんな佐久間の人生観が垣間見えるゲームシステムが採用されている。

「青春のマスク」のゲームの哲学を反映するかのように、佐久間と樹理の周囲の誰もが何かのマスクをかぶっている。それもだれがどういうマスクをかぶっているのかが分からない。犯人の佐久間の視点で描かれた本書が、犯人の手口を読者に明かしながら、なおも面白い理由こそが、犯人以外の登場人物もマスクをかぶっているという設定にある。だれが犯人役なのか、だれが被害者なのか。だれが探偵役でだれが警察役なのか。読者は惑わされ、作者の術中にはまる。 それが最後まで本書を読む読者の手を休ませない。そのせめぎあいがとても面白かった。

しょせん人はマスクをかぶって生きてゆく存在という、佐久間の哲学。私たちの生きている世間の中ではあながち的外れな考えではないと思う。何も正体を隠さなくてもよい。正々堂々とあからさまに生きようとしても、大人になれば考えや立場や属する領域が幾重にもその人の本質を覆い隠してしまうのが普通だ。この人は何クラスタに属し、どういう会社に属し、という分かりやすい属性だけで生きている人などそういないのではないだろうか。少なくとも私自身を客観的に外から見るとまさにそう。そもそもどうやって稼いでいるのかわかりづらいと言われたことも何度もあるし。そう考えると私の人生もゲームのようなものなのだろう。

本書はそうした人生観を思い知らせてくれる意味でも、印象に残る一冊である。

‘2017/12/30-2017/12/31