先週末、セミナーの講師としてお招き頂き、郡山に行って参りました。
今回は、郡山地域ニューメディア・コミュニティ事業推進協議会様からのご依頼でした。題して、
「脱Excel! 「kintone(キントーン)」で業務改善セミナー」
https://www.techno-media.net6.or.jp/newmedia/advanced/1362

実は、首都圏を離れた場所でセミナーの講師としてお招き頂くのは始めてです。
今まで弊社の本拠である町田やkintone Café 神奈川、埼玉で話させて頂きましたが、今回は初めて首都圏を離れた場所でお話をする機会を頂きました。弊社にとっても代表の私にとっても初めての試みとなります。

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こちらのエントリーでは、今回のセミナーを通じて得たことを書きます。一般の方向けにkintoneをプレゼンする際の反省。それが主な内容となります。また、今回はスライドとしてオンラインプレゼンサービスのslides.comを使いました。そういったオンラインプレゼンサービスでセミナーを行う際に気を付けるべき点も盛り込みました。ご参考になれば幸いです。

そもそも郡山市に訪問するのは、プライベートも含めて初めてです。福島県の皆様の県民性についても知らなければ、kintoneの普及率も知りませんでした。

事前に主宰者のご担当者からは、以下のような方向性を頂いておりました。
 ・社会人一般 ※IT系に限らず(業務改善・効率化・専門知識不要)
 ・中小企業の経営者・管理職(経営の効率化・コストダウン)
 ・ベンダー企業(顧客にkintoneを勧める立場の方)

つまり、技術者よりもユーザー様や導入決定に関わるご担当者向けの内容をご希望でした。

それを受け、どういうセミナー内容が相応しいか。考えました。

kintoneの特徴として真っ先に挙げられるのは、ドラッグ&ドロップによるフォーム作成の容易さと全体に通ずるシンプルな設計です。

それをフォーム設計の容易さ=工数削減の視点で話すか。
それとも、簡単にアプリが作れる楽しさに焦点を当てて語るか。

私が選んだのは両者のいいとこ取りです。

カリキュラムは以下の通り。
  ・excelとkintoneの比較
  ・アンケートアプリの作成実演
  ・アンケート結果の取り込み実演
  ・グラフの作成実演
  ・権限・通知・アクションの説明
  ・休憩
  ・Amazon連携・Google マップ連携の実装例の説明
  ・価格プラン・セキュリティについて
  ・Cybozu Developer Networkについて
  ・kintone Caféについて
  ・質疑応答

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カリキュラムの冒頭では自己紹介をさせて頂き、その中で郡山の好印象を語りました。
続いてはExcelとkintoneの比較。kintoneを語る上で両者の比較は欠かせません。
その流れで、実際のアプリ開発の模様をアンケートアプリを例として取り上げました。アンケートアプリが出来た後は事前にアンケートアプリ用に用意しておいたデータの取り込み実演と、グラフ作成の実演。今回はハンズオンは行わず、私のデモをプロジェクタを通して皆様に披露しています。
休憩を挟んでからは、これまた事前に用意しておいたアプリで、住所を入力するとGoogle マップが反映する様子をごらん頂き、さらに書籍アプリとしてISBNを入力するとAmazonから取得した画像データなどが表示される実例の紹介。
その後は、価格の説明、セキュリティ、動作環境から、技術者向けのサポート体制についての説明を行い、質疑応答で幕を閉じました。

定員ぎりぎり、30名弱の方にご参加頂きました。主催者の皆様の努力には感謝です。また、終了後にはアンケートもご回答頂きました。

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アンケートの内容からは、皆様の率直なご意見が伺え、とても参考になりました。30代の年齢の方々からは概ね高評価を頂きました。それはとても嬉しかったです。ですが、50代の方からは低評価でした。これには残念な思いでした。でも、高評価よりも低評価こそが自分を成長させてくれる原動力となります。率直にご意見が伺えたことにも感謝ですね。次回に向けてそこをどう活かすか。

以下に、私が受け止めた反省点と今後の改善点を書いてみます。

今回のセミナーでは、kintoneを紹介するのにExcelとの比較から入るのがよいと判断しました。実務に携わることの少ないであろう経営者の皆様にどうやってkintoneの利点を説き明かすか。パッケージシステムや基幹システムの替わりとしてkintoneを持ち出すのはよい選択とは思えません。それでは特定のシステムや業種に偏らざるを得ず、セミナーを聞きに来てくださっている皆様全てにとって相応しくありません。なのでセミナーで取り上げるとすればExcelを取り上げるのが相応しいと思いました。

では、Excelとkintoneはどう違うのか。何がkintoneの長所なのか。この点について、私は同時編集というキーワードに焦点を当てて話しました。

しかし、この点が経営者の方には分かりにくかったかもしれません。同時編集が出来ないことで困るのは、実務の方。そのあたりの不便さは経営者にとってはどうでもよいこと。kintoneの優位性を経営者の方に訴えるには、Excelとの比較には限界があるのかもしれません。30代の実務経験者にとっては理解頂けた点も、実務から離れて久しい経営者の方には利点と映らない。これは反省点ですね。

また、経営者は財務諸表で経営判断することに長けていらっしゃいます。ですが、kintoneのコスト削減効果を財務諸表でお見せすることに意味があるとは思えません。敢えて出すとすれば人件費の削減効果でしょうか。でも、それはアプリ開発のスピード感をデモすれば、容易にご納得いただける気がします。それもあって、今回のセミナーではその点には触れませんでした。ですが、コスト削減効果の見せ方は、今後の課題として考える必要があります。

また、もう一つの反省点は、画面が見えにくかった点です。なるべく文字を大きめに、一ページあたりの情報量も少なく抑えたつもりでした。事前に主催者のご担当者からはそれでもまだ一ページあたりの情報量を少なく、文字を大き目にというご指摘を頂いていました。また、文章の途中で単語が分割されてしまっている箇所についてもご指摘を頂きました。

ここで、冒頭に挙げたslides.comが登場します。ここのところ、私はセミナーや勉強会ではslides.comを使っています。パワーポイントに近い長方形のスライドがオンラインで簡単に出来るので重宝しています。

ですが、私が使っているプランは無料版なのです。無料版はCSS編集ができません。つまり画像のサイズが固定となります。ブラウザの機能でズームさせようにも、一旦貼り付けた画像はズームできません。一方、kintoneの画面を固定した画像はどうしても情報がつまっているため字も小さくなります。年配の方で、なおかつ会場の後ろに座っている方のためには拡大してお見せする必要があります。多分、年配の方からの不評の原因はこれが多かったと思われます。また、CSSが使えないことでもう一つ問題があります。それはテキスト自身の折り返し設定が、パソコンの画面解像度によって変動することです。つまり、セミナー資料を執筆し、改行箇所を調整しても、他のPCで確認すると違った箇所で改行されている可能性があるということです。特にテキスト要素自身の余白を多めに取っておかないと、変な改行が入るようです。これは今後注意したいところです。

CSSによる表示制御。それを実現するには、slides.comの場合Proプランにアップグレードする必要があります。今回は、改めてslides.comの無料版を使い続けることの限界を感じさせられました。
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もちろん、オンラインプレゼンツールは他にもあります。Preziがよく知られていますよね。私も昨年、地元で始めてセミナーを行わせて頂いた際、Preziを使って資料作成しました。Preziはズームもできますし、各スライドを別々に管理するのではなく、一枚の大きな用紙の中を自由に移動させるという設計思想の下に作られています。これだとズームや改行の問題もうまく解消できそうです。ですが、私が使っているPreziのプランもまた、無料版です。Preziの無料版は、無条件に公開されてしまう制限があります。つまり、試作段階ですでに公開されてしまうのです。それもあって、Preziは使いませんでした。
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でも、Preziはズームが柔軟に出来るという点があり、やはり捨てがたい。

結局のところ、オンラインプレゼンツールにも一長一短があります。そして、セミナーの資料の質を上げるには有料版を使わざるをえないな、というのが今回の教訓の一つです。kintoneを説明する上で、画像のキャプチャは欠かせません。また、画像はズームして表示させないと、後ろのほうの席の方には見えづらい。ここの考慮をないがしろにすると、折角出席してくださった方のセミナーへの興味を殺ぐことになります。

これを解決するには、素直にパワーポイントをインストールするか、OpenOfficeのImpressを導入すれば済むのかもしれません。が、プレゼンソフト間でも相互の表示がきっちり同一になりません。それもまた、頭の痛いところです。プレゼン環境は早急に定めなければならないと思いました。

今回のセミナーで得た成果は多数ありました。そして、それと同じだけの反省点もありました。
それをまとめるとすれば、以下の三つです。

・Excelとの比較は実務担当者にしか有効でない。
・コスト削減効果を謳うには、 アプリの開発スピード以外に、実際の人件費削減効果を実際に試算したほうがよいかもしれない。
・プレゼンツールを厳選し、細かい画像もズームして表示させるような配慮が必要。

私にとって、今回の郡山商工会議所でのセミナーは、私自身にとってもすごく勉強になるものでした。セミナーの翌日は、kintone Café 福島 vol.1があったのですが、ホテルに帰ってからも資料の改訂作業にも熱がこもりました。

主催者の皆様、ご参加の皆様、今回は誠にありがとうございました!


3 thoughts on “kintoneセミナーで気をつけるべき点

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