案の定というか、NTTさんから光回線などのアクセス回線網の業務を切り離すことが総務省のWGで見
送られました。

ソフトバンクさんの意気込みも理解できるし、孫さんの焦りも分ります。自社の利権独占だけが全て
でもないでしょうし、大容量回線が前提となってはじめて可能な多様な展開案があってこその焦りだと
思います。

NTTさんの利権が強大で、それを手放したくない抵抗勢力の暗躍も充分あり得る話だとは思いますが、
私は今回の決定を留保付きで賛成するものです。

留保付きといったのは、もちろん今の敷設率や利用率を上げるための施策を具体的に示してもらいた
いからです。

小さな政府を支持する私としては、公共インフラについては、私企業にどんどん委ねて行くべきだと
は思いますが、情報インフラである光回線については、公企業としての面が強いNTTさんが持つべきだ
と、いや、持たざるを得ないと思っています。

他の公共インフラについては、原料の供給経路はさておき、各国内で閉じた回路になっていることが
多いです。将来奪い合いが予想される水資源についてすら、供給元の確保の問題さえ解決すれば、あと
は供給インフラの部分は国内の努力にまかせられる範囲です。つまり、私企業が担当することも可能で
しょう。

情報インフラは別です。流通しているデータはすでにボーダレスになっています。でも、そのデータ
が流れる回線はゲートウェイもターミナルも各国の公企業ごとに管理されています(私企業であっても
国の強力な規制を受けています)。

ただ、ボーダレスにはできない部分もあります。それは機密情報です。小さな政府が持つ権能の一部
として、国防や外交があげられますが、いうまでもなく国益に直結する機密情報の宝庫です。もちろん
個人情報についてもそれはいえます。そのような重要なインフラを私企業が握るのは今の段階では時期尚早だと思います。将来、rsaよりも強力な暗号(例えば量子暗号のような)が実用化するまでは。

もっとも中国のように、情報統制が行き過ぎている国もあるでしょう。あちらの場合は被害妄想というか、国内統制に躍起となっているだけに、本来機密情報にはなりえないものまでもいっしょくたにして統制しているから問題になっているだけではないかと思います。

ネットのよいところは、空間や時間に制約されていた個人の世界を広げてくれたことにあります。それを制約しようとする中国の努力はすでに破たんするのは時間の問題でしょう。同様に、日本国内において、その普及を妨げかねないNTTさんの現状についても、このままでは破たんとは言わないまでも厳しい非難を覚悟しなければならないと思います。ソフトバンクさんにおいては、現状でもかなりの光回線の普及率があるわけですから、その利用率をあげるような魅力的なコンテンツを是非とも実現してほしいものだと思います。


カテゴリ: 物申す.
最終更新日: 6月 14, 2014

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