コロナウィルスが世界を席巻して三カ月弱。
我が国でも4/7に発令された緊急事態宣言が50日弱で解除され、コロナに翻弄され続けた日々に終わりが見えています。

とはいえ、世界にはまだ流行が盛んな地域や、これから拡大が予期される国もあります。コロナの第二波、第三波が来た場合、後の流行の方が甚大な被害を出した二十世紀初頭のスペイン風邪の例もあります。

技術の進展が人々のライフスタイルを変えることは間違いない。
そうした予測は、随分以前から数多くの識者によってとなえられていました。
ところが、コロナの流行は変化のスピードを急激かつ広範に速めてしまいました。

何よりも、コロナは35万人を超える尊い命を奪ってしまいました。
亡くなられた方には謹んで哀悼の意を表したいと思います。
また、業種によっては耐えがたいストレスにさらされた方も多かったでしょう。

そうした犠牲を今後に活かすにはどうすべきか。
私たちは真剣に考えなければなりません。
このタイミングで起こったコロナをどのように教訓にし、後世に伝えるべきか。

もちろん、医療の体制や研究は進めるべきでしょう。行政の手続きや情報体制にも見直すべき課題は多いはず。
でも、もっと根本の部分で見直せる論点があると思うのです。
その論点とは、人口密度の高さです。
今、空間と時間の二つで人口密度が限界まで近づいています。

空間とは、具体的にいうと東京一極集中です。
総務省統計局のサイト
時間とは、具体的にいうと平日朝夕の混雑です。
国土地理院
それらの混雑が解消されない限り、コロナのようなリスクはいつまでも人類を苦しめることでしょう。これは日本だけでなく世界にも同じことが言えます。
この解消が急務です。

今回、緊急事態宣言が解除されたことによって、朝夕のラッシュが復活しているとの話もあります。休日に観光地に人混みが復活するのでは、という予測も出されています。
リモートワークの流れに抗うように、元のワークスタイルを貫こうとする会社。これはいけません。
物理的にリモートワークが難しい業種は仕方ないでしょう。ですが、リモートワークができる職種でありながら、社内制度や慣習を理由として朝夕の出社を義務付けることは、人口密度をいつまでも高く保ち続け、リスクの元凶であり続けるに違いありません。

リモートワークの推進により、時間の拘束から自由になれます。
例えば打ち合わせがある時だけ11時に出社して、それが終われば昼を同僚と食べ、二時に帰宅するなど。
そうすれば朝夕のラッシュは分散されることでしょう。
なおかつ、都心の飲食業や鉄道事業者に与える影響も抑えられます。

また、リモートワークは場所の拘束からも自由になれます。
地方でも仕事ができればわざわざ混雑した東京で働く必要はありません。
地方の活性化につながります。

そうした流れを読み、今後もリモートワークを続けると宣言する企業も増えています。大手企業ですら。もはや変化の流れは確定的ともいえます。

コロナが引き起こした変化の流れに乗るだけではなく、そのスピードを利用して、さらに人類の今後に向けて加速する。
今はそのチャンスと言えるのではないでしょうか。

人類の今後とは、SDG‘sの一語で言い表せます。
持続可能な開発目標。
コロナが発生する前から唱えられていた言葉ですが、コロナ前はSDG’sへの進みは遅々としていました。
ところがコロナによって経済活動が停滞したことで、環境が改善したとの報告が挙がっています。
Natureの記事(英語)

皮肉にも、コロナが経済の流れを止めたことで環境が改善し、SDG‘sの目標に近づいた。
この現実を認めることは、快適な生活を享受する私たちにはつらい。
ですが、そうした経済の果実とそれを産み出す人類の活動が環境に悪い影響を与えていたと結論づけるしかありません。

「経済を回さないと」
コロナの間、一体何度、この言葉を口にし、耳にしたでしょう。
今の世界は資本主義で回っています。そして人類はいまだに資本主義に変わる社会体制を見つけ出せていません。

私も経営者の端くれである以上、自粛による経済活動の停滞は座視できません。
同時に、コロナによる直接の生命の危機と金回りの停滞による間接の生命の危機。どちらかを選ぶこともできません。

とあれば、今私たちにできることは限られてきます。
その一つこそ、リモートワークによる人口密度の分散です。
人口密度が分散すれば、集中による環境への負荷も軽減でき、しかもある程度の経済活動も維持できます。なおかつ、新たなるウィルスの危機からもある程度は身を守れるのではないでしょうか。

なおかつ、それはSDG‘sの実現に向けた大きな寄与にもなるはずです。

もちろん、リモートワークと言っても簡単ではありません。
なぜ企業の多くがリモートワークに及び腰かというと、統制や社風や生産性が守れなくなる恐れがあるからでしょう。
そこには信頼の欠如が大きな理由となってはびこっています。

社員をどこまで信頼できるか。
それは、どの企業にも突きつけられた大きな課題であると同時に、従業員にとっても課題となっています。
統制がない中、どこまで自主的に自律的に成果を出すか。
この自己コントロールがリモートワークの鍵だと思います。
自己コントロールが出来ない労働者が一定の割合でいる以上、企業もリモートワークには踏み切れないはずです。
全ての労働者にも意識の改革が迫られています。

他にも実際のオフィスにあってリモートワークにはない長所はいろいろとあります。
たとえば雑談の効用。雑談がないことは、リモートワークにとっては、統制の欠如よりも大きな課題といえます。
ただ、雑談は無数にあるチャットツールや進捗ツールを使えば、解消できそうです。
そうしたツールの導入や、意識改善に向け、企業側にも研究の余地は多いでしょう。
まだまだ労使双方にやるべきことは多いと思います。

リモートワークを導入しなければ仕事すら覚束なくなる。
コロナは私たちにとても大きな変化と課題を突きつけました。
だからこそ、制度が整うまで、といった悠長なことは言ってられません。まず一歩踏み出す必要があるのです。
その踏み出した足は、最初の数歩はよろめくことでしょう。混乱もあることでしょう。
それでも長く歩いていれば、次第に歩調は整ってゆくのです。赤ちゃんが歩み始めた頃のように。

私たちにできることは、コロナによって一歩後退を強いられたとしても、それを逆手にとって大いなる二歩の前進を成し遂げることだと思います。
私たちは経済を回すことだけでなく、SDG’sのことも視野に含めなければならないのですから。

弊社もリモートワークの実現のため、SDG’sの実現のため、少しでもお手伝いできればと思います。


カテゴリ: 物申す.
最終更新日: 5月 30, 2020

コメントを残して頂けると嬉しいです

物申すの全投稿一覧